市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

名古屋市会5月臨時議会における醜悪な事象

5月15日に名古屋市臨時議会を開催した。もちろん、コロナウイルス対策の為の名古屋市としての対応が最重要課題であり、それに伴う予算、補正予算や条例の変更が審議される。

新型コロナ対策として評判となっている明石市や神戸市に比べると見劣りするものの、仕方がないのだろう。

www.city.kobe.lg.jp

www.city.akashi.lg.jp

特に、今議会の「市長提案説明」において。

名古屋市:会期中の本会議・委員会(市会情報)

「事業の火を絶やさない、命をつなぐとの使命のもと、5月1日から立ち上げたのが「ナゴヤ信長徳政プロジェクト」でございます。
 約5000億円の資金をご用意し、本市制度融資を取り扱う28の金融機関の皆様の多大なるご協力もありまして、5月13日現在、名古屋市信用保証協会への申込件数は約1,500件、総額では330億円を超えております」

などと言いながらも、計上されている予算総額はで224億円で、話としてもおかしいだろう。
実際には37億円程度の市費が入れられる利子補助の事業に過ぎず、上記実施データを元に算出すると、一件あたり2万円程度を補助するに過ぎない。それでも何もしないよりは良いかも知れない。しかし、それにしてもこれだけで終了となるのであれば、「名古屋市独自の経済的支援策」などなにもないに等しいのではないだろうか。

それに、そもそもこの事業は、前回の4月臨時会で提案された事業であり、それを今議会の「提案説明」で言及するというのは、逆に言えば新しいネタが乏しいと言うことではないか。

そうした中で、「基金」を設立するという方針が打ち出されている。


f:id:ichi-nagoyajin:20200516091017j:plain
2020.5.13 中日市民版

記事は、5月13日の中日新聞市民版に掲載された記事。

興味深いのは5月15日にはHPまで設置されているという手際の良さだ。

名古屋市:ナゴヤ新型コロナ対策でらハートフル寄附金(市政情報)

事業内容については次のように説明されている。

「寄附を通じて支援したいという方々のお気持ちにしっかりと対応するため、ナゴヤ新型コロナ対策でらハートフル基金(正式名称:名古屋市新型コロナウイルス感染症対策事業基金)を設置しました。
医療従事者への支援など、新型コロナウイルス感染症対策事業に幅広く活用します。」

事業の内容と、基金がどのように使われるのか今ひとつハッキリとしない内容だ。
今後基金が集まってから支出先等について議論でもするのだろうか?

明石市の場合にはこのようなページ構成になっている。

www.city.akashi.lg.jp

事業対象が幅広くなっているとも言えるし、総花的とも言えるが、それでもなんとなく「真剣さ」は伝わる。というか、名古屋市の案内に一番欠けているのが「真剣さ」のような気がしないでもない。

更に、その明石市の「新型コロナウイルス感染症 あかし支え合い基金」から県の寄付事業である「ひょうご新型コロナウイルス対策支援基金」へのリンクが張られている。

hyogo-kikin.jp

こちらはリアルタイムの寄付件数や寄付総額が掲載されるなど、より「真剣さ」が伝わる。


ちなみに愛知県においてもすでに(HP掲載は4月30日)「あいち医療応援基金(仮称)」が設置されているが、名古屋市と愛知県の連携はどのようになっているのだろうか。

www.pref.aichi.jp


さて、私はこの寄付事業、基金の設置を「醜悪」と呼んでいるわけではない。(ネーミングには幼稚なバカさを感じるが)

基金というものは、得てしてその存在自体が問題となることはない。その運営が闇に包まれると途端にヘンテコなことになる。そうした意味では今後、ちゃんとした情報公開などの民主的な手続きのもとで運営されれば一定の効果は上げられるだろう。



この5月臨時議会は日程も少ないが、現下の状況に対して、各会派からも要望や指摘事項が有るために、本会議において各会派10分程度の代表質問を行うことに成った。

愛知県、名古屋市も確かにコロナ対策は行われているだろうが、やはり市内各地域等からも要望や問題点の指摘は上がっており、こうした中でも重要なものについては本会議で質したいということだ。

・・・そんな中で、上に述べたこの基金、「ナゴヤ新型コロナ対策でらハートフル寄附金」について質問をしたいという会派が現れた。というか、「コロナ対策に市民、企業から寄付を集め、基金を設立すべきでは」という「要望」を述べたいというのだ。

当然、こうした質問は予め事前通告として市当局にぶつけられ、質問の主旨にそった回答が準備されるのだが、この事前通告を受け取った市当局は戸惑った、なぜならそうした基金、「ナゴヤ新型コロナ対策でらハートフル寄附金」は今議会において「名古屋市新型コロナウイルス感染症対策事業基金条例の制定について」として条例案が提出されているのであって、HPまで掲載されているなど、すでに事業そのものは走っているからだ。

今更「要望」を質問されても「すでに動いております」という回答を言う以外ないし、施行における詳細に疑義が有るとしても、そうした実態的な動きはまだないのであるから問題も起きようがない。

言ってみれば、現下の状況下で「医療関係者に対して(どういう形かはわからないが)一定の援助を行いたいという個人や企業の意向を、名古屋市基金という形で集約し資金の運用を行う」という理念について方向性に問題があるはずもなく、それ以上の具体的な内容については何を質問されても応えようがない。

事前折衝の中で市の担当者は違和感を持った。

この会派は4月30日に、市へコロナ対策の要望書を提出しているのだが、その要望書の中に「基金の設立」が盛り込まれていて、今回の基金設立はその成果であると主張したいということが判ったからだ。

つまり、たった10分しかない議会代表質問において、現下の市民生活、防疫体制、医療体制、救急救命体制、物流や上下水道、公共交通を始めとした社会インフラの課題、更に各種事業者の支援などの課題(大名古屋ビルヂングから、伊勢丹が撤退すると大きな「事業の火」が消えてしまうのだが)、更に図書館や社会教育施設、公共施設、学校、学校給食の問題、食材やセカンドハーベストの課題等々・・・この名古屋市で起こっている問題を取り上げようとすれば、とても10分では収まらない。その中で、自会派の要望が実現したとアピールしたいから質問を行う?

およそ市民の為の生活を守るという観点からは考えられない選択ではないのだろうか。

どういった優先順位だろうか?

市民生活の課題よりも、自派の宣伝???

まあ、ここまでいえばこの会派が「減税日本ゴヤ」であろうと思われることでしょうが、その通りです。

結果として減税日本ゴヤの代表質問に「基金」の話題は加えられなかったのですが、彼らがどのような指向で市政に関わっているか、垣間見れる事象です。

さて、ではこうした自己宣伝を「醜悪」と呼んでいるのか。それが違う。

上でこの会派(減税日本ゴヤ)が「基金の設立」について要望書を出したと言った。

4月30日にその要望書は出されているのだが。

その内容は次のようになっている。

「1. 新型コロナウイルス感染症の感染拡大、外出自粛を鑑み、国内外問わず、医療従事者をはじめ、広く名古屋市民を助けて頂ける窓口として『ナゴヤ市コロナ助け合い基金』(仮称)なる基金を創設すること。」

genzei758.com


f:id:ichi-nagoyajin:20200517222311j:plain
減税日本ゴヤパブリシティ、密密密

名古屋市はこの要望を4月30日に受けて、5月12日に公表し、15日にHPにまで掲載される。
なんとも驚くほどの迅速さだ。

過去にも似た事例が有った。減税日本ゴヤが出来上がったばかりの頃、田山市議が質問した「耐震化の助成金」が実現し、当該施策のHPが質問からたった14日後に更新された。(今はどうかわかりませんが、当時、名古屋市のHPは一般的にページ内容の申請が有ってから掲載まで2週間程度かかっていたそうです)

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

さて、種明かしをしましょう。

ここからは、ところどころ裏が取れていない事柄もありますので、その程度の信憑性として捉えてください。

まず、河村市長は現下のコロナ禍に対して、名古屋市の各局に対策案を出してこいと命令しているようだ。
各局とも、形だけでも一案程度は出さなければ格好がつかないらしい。

そうした中で、自民党の中村区選出、斉藤たかお市議の元に、地元企業の経営者から「医療従事者を助ける支援金の拠出はできないものか」と相談が入り、斉藤市議が財政局などとつないで協議がなされたようだ。

普通考えれば、「ふるさと納税」や一般的な「市への寄付」として受けることはできるが、そうした資金は一般会計に繰り入れられるため、寄付者の要望を十分汲むことができない。また、一般会計に入ってしまえば、一般の予算として扱われるために、あるいは小回りの効く支出とはならない。そうしたことから、財政当局が基金という案を用意した。

資金提供を申し入れていた経営者も、斉藤市議も、寄付の意向を汲んでくれる基金の設立に迅速に対応してくれた当局に感謝しつつ、基金の実稼働を待った。

さて、市の幹部会合では、上記のような事情があり、各局より「コロナ対策」が提出される。財政局からもこの基金設立という案が提示された。そこで「食いついた」のが河村市長ということだ。従来から「寄付」が好きなので(河村市長が好きな「寄付」は金がもらえる「寄付」で、自分が出す「寄付」は大嫌いという話がある)さっそくノリノリで「ナゴヤ新型コロナ対策でらハートフル寄附金」と言う名前まで付けて基金設立にOKを出したようだ。

さて、ここからが「舞台裏」の面白いところで。

この基金設立の方針が決まったのは4月の中旬から下旬だ。実はそうした動きを受けて、河村市長(というよりも、河村減税日本代表)から、減税日本ゴヤに「こういう要望書を出せ」と司令が来たようである。

上に出ている田山市議の質問でもそうだが、国や地方自治体において、与党側の質問というのは「お土産」と呼ばれているように、当局が準備し、当局の意向に沿うような質問が準備される。

要望書を出せば、運が良ければマスコミに取り上げられて、仕事しているように見えるし、それがこうやって実際の施策になれば選挙区の支援者にもアピールとなる。

本会議における代表質問も、そうしたアピールの場と捉えていたのだろうが、さすがに

1.事実関係として減税日本ゴヤの要望書によって設立された事業とはいえない
2.現に上程されている議案を「提案」するような質問は成立しない

ということで、本会議における質問は見送られた。

私が「醜悪」だと感じるのは、こうした他者の成果を、あたかも自分のものであるというように喧伝する態度であり、そうした他者の功績を横取りして恥じない姿勢である。

エピローグ:
さて、こうした記事を書くと、すぐに市長や減税日本では「犯人探し」が行われるようだ。
そんな事に力を使う暇があったら、そもそも批判されないよう、誠実に仕事をすればいい。
何を暴かれても、誠実に進められているのであれば、何を書かれても恥ずかしいことはないだろう。暴かれて恥ずかしいのは、表の顔と実態の間に落差が有るから恥ずかしいのだ。

ここで実名を出した自民党の斉藤市議にしても、様々な情報から私が勝手に推測したものであって、確度には自信はあるが、絶対というわけではない。

また、財政局から情報が出たか? さあ。

しかし、一言言っておくが、事あるごとに職員を悪者に仕立て、給与や賞与の削減をちらつかせるようなトップや、そのトップの茶坊主どもに、協力的な感情を持てという方が無理だろう。

名古屋市庁舎(及び、各区役所、分所)の中は、減税日本ゴヤの「味方」など居ない。それは市長が居てさえそうであって、市長も居なくなれば・・・せいぜい、身辺はキレイに、おとなしくいい子でいることだ。

追記:
本日、5月臨時会の最終日にも関わらず本会議開催が遅れた。
結果的に夜の11時20分開催と成った。

延々と「理事会」が開かれ、「協議」が続いたようだ。

名古屋市会は正式な議会運営委員会の前に各会派の理事が「理事会」で議会の詳細が決められてから、議会運営委員会、本会議と進むそうだ)

自民党の横井議員がその辺りの事情を書かれている。(横井議員は議員の説明責任として、毎日欠かさず、ブログを更新して情報発信を続けている)
blog.livedoor.jp

おおよその内容は上に書いた事情と符合する。

ほんとうに、呆れた議員だ。社会人、人間として醜悪極まりない。

反論、異論があるのなら、下のコメント欄へどうぞ。




名古屋城住民訴訟について

COVID-19(新型コロナウィルス)防疫に伴う施設使用制限につき、
5月13日の公判は中止となりました。

次回、第七回公判は令和2年6月23日(火)午後2時
名古屋地方裁判所 第1102法廷です。

住民訴訟についての動向は、順次お知らせいたします)

peraichi.com