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一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

大村幹事長不信任決議における減税日本の問題点(3)

大村幹事長不信任決議における減税日本の問題点(3)

減税日本ゴヤ、大村幹事長への不信任決議について検討する中で、減税日本の問題点を考察している。

いままでの「ボタンの掛け違え」は

(1)
1B:すでにできることが判っている基金について、その設立を求める要望書を提出するという出来レース

2B:自分たちが要望した基金設立について、本会議で質問にのせ、設立したという形を取るためには、質問以降に設立発表すればいいのにそれを待ちきれずに口にしてしまうという幼児性

3B:担当者である大村幹事長に重要な情報を伝えていなかった情報の欠落を生み出す組織運営上の問題

4B:目の前の問題を早く、火種の内に始末せず、放置しておく怠慢

(2)
5B:本会議など公的行事を自己宣伝の場として捉えるさもしい了見

6B:ヒトの成果を我が物にする癖

7B:議員の職を「自分のもの」と思っている

ということになるだろう。
検討対象としては、5月13日の昼ごろまで進んだ。5月15日の本会議、個人質疑の質問内容の通告の刻限である昼は過ぎ、減税日本ゴヤから通告が提出されないことから理事会が開けずにいた。

その原因を理事長である自民党小出幹事長が名古屋市当局に聞き、当局から経過について説明があった。

ここで基本的な事柄を押さえておきたい。

名古屋市会は68名の議員で構成されている。自民党:21、民主党:17、減税日本:13、公明党:11、共産党:5、諸派(例の「伊勢湾台風のおかげで名古屋市の街はきれいになった」発言で、減税日本から離脱した前田有一元市議の配偶者)

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

所属議員が5人以上の会派を「交渉会派」として議会運営委員会(略称:議運)を設け、この席で議会運営(議題や日程等)が決められる。しかし議会運営委員会はセレモニー的な要素が強く、この場で突っ込んだ議論が行われることはあまりない。(あくまで「あまり」やはり減税日本ゴヤの行動に端を発した問題で紛糾し、厳しい議論が行われた事例は有る)

この議運における実質的な協議は、各会派の幹事長(幹事長とは、一般的に会派を代表して発言、交渉する役割を担う)が「理事」となって集まり議運理事会が置かれ、そこで行われる。理事会における理事長は最大会派の幹事長が担う習わしなので、自民党幹事長が自動的に議運理事会の理事長となる。現在の自民党市議団の小出幹事長は同時に小出議運理事長ということになる。

議員が本会議で質問を行うような場合は、質問時間の割り振りや順序なども理事会で協議される。

今回の5月臨時会においてはコロナ対策について、各会派から様々な要望が寄せられているので、本会議においても各会派にそれぞれ10分間の発言機会が設けられることとなった。

一般的にこうした質問については質問者が担当して調査し、質問を作り上げていくので、その中で他会派の議員と交渉するような事は普通に行われている。

市会の質問では地元の課題などが取り上げられる事が多いわけだから、選挙区を同じくする他会派の議員と課題が重なることになり、選挙で争う相手ではあるけれども、政策を進める上では相談、調整を行うことになる。政治家とは本来こうした利害関係が衝突する争いを平和的、民主的に解決に導くことが職能なのであるから、こうした交渉はできて当然だ。

今回の問題をもう一度整理してみよう。
減税日本ゴヤはコロナ基金の設立について質問がしたかった。その理由はこの基金が、自分たちが提出した要望書(4月30日)の実現であると思ったからだ。
しかし、財政局から減税日本ゴヤの要望書よりも前に自民党の斉藤議員や民主党の山田議員から要望を受けていると説明を受けた。更に、斉藤議員は市長にも直接電話をして要望を伝えている。当局としては斉藤議員、山田議員に基金設立について適宜経過説明もしており、今回同じ施策について、減税日本ゴヤが本会議で質問をするというのであれば、その意向を事前に斉藤議員、山田議員に伝えておくべきではないのかと情報提供した。(減税日本ゴヤが本会議で当議題を取り上げた後に他会派から先行要望を蔑ろにするのかと批難されたような場合に「そのような事情は市当局から聞いておらず、承知していなかった」などと責任回避されても困るために、情報提供した)
また、5月12日にはすでに基金は設立されたと、市長から発表がなされている。3日後の本会議で質問しても、記者発表で公表した以上の情報はないのだから本会議で質問する必要はないのではないかとも指摘した。

特に、この5月12日の市長による基金設立の発表のように、施策実現に尽力した斉藤市議や山田市議の存在を無視するような発言が、本会議における減税日本ゴヤからの質問に対する河村市長の答弁として出された場合。つまり、減税日本ゴヤが提案して、河村市長が設立した基金であるというような発言がなされた場合、その表現方法によっては、斉藤市議や山田市議を蔑ろにする行為として異論が出る場合もあるだろう。(議事精査の末、議事録抹消という事例も減税日本においては頻発している)

質問内容について、斉藤議員や山田議員の要望があった事などを言い訳程度でも加えて、質問を強行すれば良かったのではないかと思えるし、こうした交渉を質問者である佐藤市議が直接、斉藤市議や山田市議に打診すべきだったのだろう。

(8B:なぜ、質問者である佐藤市議が直接交渉しなかったのだろう)

5月13日の午後、本来であれば理事会が開かれて各会派の質問通告が出揃い、15日の議事について討議がなされる予定だったものが、減税日本ゴヤから、質問通告が出されなかった。

5月19日議会運営委員会における大村幹事長への不信任動議に対する弁明で
は、なぜ質問通告が出せなかったのか、その理由が判然としないが、5月28日の減税日本「公開質問状」にその間の事情が書かれている。

5月28日の減税日本「公開質問状」より

「令和2年5月13日、13時30分(略)開催が予定されていた理事会が約3時間遅れ、16時30分から開始されました。上記理事会が遅れた理由は、減税日本ゴヤ自由民主党名古屋市会議員団との間で、5月臨時会における個人質疑の内容について調整を行っていたため」

そして、この調整役が大村幹事長だったわけだ。これはすでに当ブログでは指摘しているが、なぜ当事者である佐藤市議が、直接斉藤、山田両市議に協議するのではなく、会派間の調整に持ち込んでしまったのか。

さらに、その時、大村幹事長は9時30分から行われた財政局からの報告を把握しておらず、両市議の要望のほうが、自分たちの要望書よりも前になされていることなどを知らずに居た可能性がある。

普通、こうした調整では断続的に相互の会派控室に戻り、善後策を協議するものだろう。そうした際に、大村幹事長は9時30分の報告に参加していた議員からそうした事情は聞かなかったのだろうか?

推測するに、こうした当初の情報の欠落が、大村幹事長と小出理事長との会話において「説明が二転三転する」とされた理由なのではないかと推測される。

しかし、13日の結論は、減税日本ゴヤから別の質問が提出されることで決着し、16時30分に理事会は開かれた。

ここでも他会派の理事は不信感を持つだろう。なぜなら、19日の大村幹事長の弁明においてさえ「我々としては、質疑を取り下げる必要は感じておらず」というように、客観的に納得のいく決着では無かったからだ。理由もなく「取り下げ」たというのであれば、質問しようとした理由もまた説明不能な理由であると推測する以外にない。私が推測するに、河村代表が議会で自慢したかっただけだ。そんな事で理事会を遅らせて、時間を浪費したのだとしたら、こんなに非生産的なことはない。「70歳児」が、おもちゃ売り場の前でダダを捏ねているのを、大村幹事長がなだめて諦めさせるまで全会派の理事が待っていたということになる。

後になって判明した事だが、どうも13日の15時頃まで、減税日本ゴヤの市議は河村市長と連絡を付けたがったが、河村市長が捕まらないために、回答を遅らせていたという観察もある。つまり、大村幹事長は河村市長から基金についての質問を行うように厳命されており、市長にそれを思い直すよう説得することができなかったために板挟みになっていたようだ。しかし15時過ぎに河村市長と連絡が取れて、16時30分に理事会が開かれているということは、河村市長に事情説明を行ったら比較的すぐに河村市長は質問を諦めたということになる。大村幹事長としてはそれまでの抵抗が無駄になったわけだ。更に言うと。13日の理事会が遅れた理由が、このように河村市長が捕まらないことによる会派内の調整の遅れだとすると、減税日本の公開質問状にある、大村幹事長不信任の原因は、河村市長本人にあることになる。

追記(6月12日):
5月における「市長の動き」が公開されている。
名古屋市:令和2年5月 市長の動き(市長の部屋)

13日(水曜日)の午後の動きは、午後1時30分の議会運営委員会(問題となっている理事会はこの後開かれる予定だった)に出席の後、午後3時45分の嘆願書受領(庁内)まで予定が入っていない。つまり「所在不明」ということになる。この間、自党の幹部との連絡も取れない?何処へ行っていたんだ?*1

ともあれこの理事会の席上、大村幹事長は質問通告が遅れた事を謝罪したわけだが、その謝罪の途中から「一生懸命調整をしたが遅れた」などと説明にならない発言に他会派の理事は納得せず継続審議することと成った。次回理事会の開催予定は週明けの19日。形の上では質問通告も出揃い、翌日の議会は正常に運営されることになった。ならばこれ以上理事会で協議する事柄は無いように思える。それでも19日に日程が組まれたのは、それまでもあった大村幹事長への不信感が募っていたために、今回の問題について、なぜ遅れたのかハッキリと分かる形での説明を求めることで、今後の減税日本ゴヤ及び大村幹事長の対応を改善して欲しいとの意向であったようだ。

さて、そして15日に個人質問が行われる。ここでも各会派10分しか持ち時間がない中、減税日本ゴヤの質問は内容が無く、最後に河村代表の演説を促し、市長が好き勝手にしゃべる場となった。

本来、議員というものは、行政の問題を指摘し、改善を求めていくべき存在であり、行政という「テーゼ」に対して「アンチテーゼ」を提示して、行政そのものを「止揚/Aufheben」していくものではないのか。いささか古い弁証法的な捉え方かもしれないが、アンチテーゼを提示できない議員に議員たる資格はないし「市長を助ける市議」などという存在はこのように「無駄」であると言える。完全に「二元代表制」のなんたるかを理解していない。

さて、週が開け18日になってとんでもないことが起きる。私はこの話を聞いたときには我が耳を疑った。なんと、減税日本ゴヤの佐藤団長と大村幹事長が、自民党市議団団長の渡辺義郎市議の家を訪ね、事態の収拾を依頼したのだ。

真っ当な社会人であれば心得ておくべきことだが、企業間でもなんでも良い。自分と交渉、協議を行う立場の人がいたならば、そうした人は「カウンターパートナー」として尊重しなければならない。人間であれば、合う合わないも有るだろうし、交渉の過程でへそを曲げられて交渉を進められなくなることもあるかもしれない。しかし、間違ってもそうしたカウンターパートナーの上席者に泣きついてはならない。

これはしかし、有るんだよなぁ。なんとなく苦労なく育った「お坊ちゃん」に多い気がする。肩書が上の人のほうが「偉い」からそこに飛び込めば良いんだ、なんて現場を無視してすぐに上へ上へとコネクションを求めていき、そうした人脈ができると喜んでいるバカ。

こうやって、カウンターパートナーの上席者を使って、自分の交渉相手を抑え込んでみても、現場での交渉は進みにくくなるだけ。また賢い上司なら、自分の部下の立場を無視して頭越しに来た話に乗るものではない。この上司もまた、こうした頭越しをして来たヤツなんかだと、現場の気持ちも考えずに頭越しに指示を出したりする。

今回の場合、そもそも質問者である佐藤市議と(自民党会派だけ考えた場合)斉藤市議の間で調整できればいいだけの話だったろう。しかし、減税日本ゴヤは当初から交渉役を大村幹事長としてしまった。つまり、幹事長同士の会派間協議事項としてしまったわけだが、こんな形で話を持ち込まれても、小出幹事長は斉藤議員の意向を無視して了承などできるわけがない。また、斉藤議員にしてみれば、本来自分に来るべき話を先に幹事長に持っていかれて、その頭越しに了承を求められても、なかなか快く了承することなどできるわけもない。

(9B:頭越しの交渉を行う/肩書きに弱い)

そしてこれだ。
今度は、幹事長同士の協議である理事会における紛糾を、長老議員の威光を使おうと思ったのか、団長間で交渉して幹事長を抑え込もうとしたのか、佐藤団長、大村幹事長が揃って渡辺義郎自民党市議団団長の元を訪れる。

呆れてモノが言えない。「お嬢ちゃん方、一体何を教わってきたの」とでも言いたい。

こんな事をされて、渡辺団長が了承するもしないも結論など出せるわけがないのは、斉藤議員に対する小出幹事長と同じ構図だ。そして、こんな頭越しをされれば、小出幹事長としても快い交渉は進められない。

そしてこの3者会談の席上、大村幹事長は渡辺団長に、自分は減税日本ゴヤの要望書の前に、斉藤市議や山田市議からの要望があったという事は知らなかったと説明したようだ。「自分たちはこうした行き違えから質問を提出したが、結果として事情を理解し質問を取り下げた。そしてそうした事情確認のために質問通告が遅れ、理事会開催が遅れたことも謝罪した、それなのにこれ以上責任を求められている」というような主張をしたようだ。

渡辺団長は、事情が判らないために、佐藤、大村の発言を受けて小出幹事長に説明を求めたようだ。そこで小出幹事長から「大村幹事長が減税日本ゴヤの要望書の前に、斉藤市議や山田市議からの要望があった事を知らなかったという主張は納得がいかない。財政局はちゃんと減税日本ゴヤにそうした事情を伝えている」と告げられて激怒した。渡辺団長は大村幹事長に「あんた聞いとったんじゃないか!」と告げた。渡辺団長としては「窮鳥懐に入れば」と、佐藤、大村の発言を受けて、小出幹事長に事態の斡旋を図ろうとしたわけだが、そこに嘘を入れられれば、渡辺団長自身が虚偽を振りまくことにもなりかねない。当たり前の政治家なら、自身の言動に虚偽が紛れ込んでは「生きてはいけない」のだ。政治家は「信なくば立たず」とは、減税日本河村たかし周辺以外では生きている正しい文化なのだ。

ここでちょっとこの場を再現したいのだが。ここに佐藤夕子減税日本団長が同席していたんだよね。大村幹事長が迷走した理由を説明している間、佐藤夕子団長は隣で座っていた。要望書の前に他議員から要望を受けていた事を大村幹事長が把握していなかったというような説明をしたのだとしたら、佐藤夕子団長は、その言葉をどんな気持ちで聞いていたんだろう。その情報管理のミスは、この事実を財政局から聞いて、大村幹事長に伝えるべき佐藤夕子団長自身に有るのではないのか?

なぜ渡辺団長が大村幹事長に怒った際に、自分のミスを認めて取りなさなかったのだろうか。というよりも、そもそもそんな言い訳にもならない話を大村幹事長が持ち出したら、止めるべきだろう。

(10B:責任意識の薄弱さ。自派内に責任の有ることを、他会派や当局の責任であるかのように主張して責任を回避しようとする)

渡辺団長は、そもそも筋違いの斡旋を持ち込まれた上に、説明の中に嘘が紛れ込んでいたとあっては、それ以上話を聞く気にはなれず、二人を追い返したそうだ。

そして、ここで真打登場。頭越しの真犯人。19日の朝に河村市長が渡辺団長に電話をかけて執り成しを願い容れた。つまり、18日の佐藤、大村による渡辺団長宅への訪問は、河村市長も承知していたということになるのではないのか。というよりも、18日に渡辺団長の家を訪ねて斡旋を依頼すれば、渡辺団長の力で小出幹事長を黙らせられる。ぐらいの浅知恵を出したのは、河村市長本人ではないのだろうか。

渡辺団長は北区、佐藤団長は東区、河村代表も東区で愛知一区。お互いに知らぬ間柄ではない。私は18日の佐藤、大村による渡辺団長宅訪問は、河村たかしの指示によるものと睨んでいる。このあたり、私自身はこれ以上真相を追求する気にはなれないが、減税日本の周辺にいる人達は気をつけたほうがいい。河村たかしが交渉事を苦手とする背景は、こうした物事の筋目、けじめといったものの無理解や、他人の心を理解できない幼児性が背景にあるのではないだろうか。そうだとしたなら、こんな人物と絡んでいると損をするし、こうした行為を真似すると、とんでもない目に遭うことになる。けして見習ってはいけない。

渡辺団長はそうした申し入れを容れることはなく、19日に開かれた自民党市議団会議において小出幹事長に「キッチリけじめを着けてこい!」と厳命することになる。

5月19日議会運営委員会における大村幹事長への不信任動議に対する弁明より

(略)
 また、私は、自民党の渡辺団長に対し、説明不足な部分はあったかもしれませんが、誓って嘘は申し上げておりません。その点ははっきりと主張させていただきます。

 さらに、小出幹事長を差し置いて、渡辺団長に話をさせていただいたことに関しては、当時私だけではなく、団長(佐藤減税日本ゴヤ団長)もおりましたので、団長対団長の話し合いということで、差し障りがあるというふうには考えておりませんでした。小出幹事長が気分を害されたということですので、その点についてもお詫び申し上げます。

(以下略)


名古屋城住民訴訟について

次回、第七回公判、場所が変わりました。
1階の 1号法廷 です。

第七回公判:
令和2年6月23日(火)午後2時
名古屋地方裁判所 1号法廷です。

名古屋地裁で一番大きな部屋だそうです!

住民訴訟についての動向は、順次お知らせいたします)

peraichi.com


*1:多目的トイレとかだったら笑う