市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

河村市長4,740年頑張ってください。

 河村たかし名古屋市長は昨年2月、市長就任後(2009年)に停めていた「木曽川導水路事業」の再開を決めた。

 名古屋市揖斐川水系に作られた「徳山ダム」の建設費を負担しており、平成30年までに280億円、これから平成42年までで135億円ダムの建設費用を負担する。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000114/114730/31kigyoumeisai.pdf

 「徳山ダム」を作ったところで名古屋市揖斐川の水を引けるわけではない。そこでこの徳山ダムの水、揖斐川の水を木曽川まで引いてくる「木曽川導水路事業」が計画され、ダム建設とともに、愛知県、名古屋市に利水権を付与し、揖斐川の水を引く事となった。

 その頃の水需要推計が人口減少や産業構造の変化などから下方修正され、果たして愛知県、名古屋市揖斐川の水がいるのかという疑問の声が上がっていた。

 あるヒトに聞いた話では、そもそも徳山ダムは、ダムという調整機能がなかった揖斐川の治水を行うために作られるのであり、水害対策であったという。昭和50年(1975年)には揖斐川の上流域で台風による降雨で山崩れ、土石流が発生し、215戸が被害を受けた。昭和58年(1983年)には、美濃加茂市坂祝町可児市などで4,588戸の越水被害が起きた。

 木曽三川濃尾平野を形成し、長野、岐阜の豊かな土を平野に与え、豊富な農産物を生み出し、伊勢湾の栄養を高め、大量の漁獲をもたらした。伊勢湾沿岸部の豊かさは、こうした長野や岐阜の深い森が育む栄養を、巨大な木曽三川が運び込むことで生み出されている。

 戦国を収めた三英傑がこの地方から出た背景に、木曽三川の力があると私は思っている。

 しかし、この川は同時に繰り返し人々を飲み込む凶暴な川でも有った。

 江戸時代初期、この木曽三川の治水工事をおこなった薩摩藩士の逸話などを聞くにつけ、治水の重要性を思わずに居られない。

 名古屋市の繁栄は、こうした長野や岐阜の土の力による。私にこの話をされた方は、「最近では地元の優秀な若者は、大学に通うために名古屋に移り、そのまま帰ってこなくなる。土だけでなく、優秀なヒトも名古屋に取られてしまう」と語った。

 本来、揖斐川水系の治水事業に名古屋は関わりがないように見える。実際に「徳山ダム」「木曽川導水路事業」の議論を省みると、こうした視点に立っての意見が多く、説得力もある。名古屋の繁栄を生み出してくれた三重、岐阜、揖斐川水系の方々のためと言ってみたところで、あまりに迂遠で説得力に欠けるだろう。しかし名古屋市民の中に、こうした地域出身の者も多く、広域による費用負担には一理ある。今だけ自分だけの狭窄な議論を行うことは避けるべきだろう。

 そして、何よりこうした「徳山ダム」「木曽川導水路事業」の議論は終結していたのであり、事業が進行していたわけだ。それを止めるのであれば、然るべき理由が必要だろう。

 河村市長は平成26年7月14日の市長会見で「木曽川水系連絡導水路について」記者からの質問に応えている。

www.city.nagoya.jp

 具体的なプランや見通しがあるようには感じられない。

 そもそも2009年の市長選挙マニフェストにおいて「木曽川導水路は不要、徳山ダムは広く伊勢湾浄化の為に使用」と謳っていたが、徳山ダムの水を伊勢湾の浄化のために利用するようなプランや、調査などの指示を聞いたことがない。選挙の時に、選挙のためだけに語られた「嘘」でしかない。

 この「木曽川導水路事業」が再開されることとなって事業費の再見積もりが行われた。そこで示された金額は当初計画の2.5倍にあたる2,270億円!

 2009年には890億円と見込んでいたが、物価の上昇や働き方改革の影響などで工事費が膨らんだそうだ。

www.chunichi.co.jp

木曽川水系連絡導水路の事業費2.5倍に膨らむ 890億円→2270億円

 渇水対策のために徳山ダム岐阜県揖斐川町)の水を揖斐川から木曽川に流す木曽川水系連絡導水路事業を巡り、事業の検証を進める関係自治体の検討会が28日、名古屋市内で開かれ、事務局側は当初計画の2・5倍にあたる2270億円の総事業費を示した。


 検討会では、事務局の国土交通省中部地方整備局水資源機構中部支社が検証結果を説明。当初の総事業費は2006年度には890億円を見込んでいたが、物価上昇や働き方改革の影響などで工事費が膨らみ、2270億円に上る見通しを示した。


 890億円のうち国が408億円を支出し、愛知県が318億円、名古屋市が121億円、岐阜県が30億円、三重県が13億円を負担する予定だった。膨らんだ事業費の分担については、この日は話し合われなかった。


 参加した愛知県や岐阜県三重県名古屋市などの担当者からは「コスト縮減に努めてほしい」などの意見があった。


 導水路事業を巡っては、名古屋市河村たかし市長が09年に計画からの撤退を表明。旧民主党政権も計画を凍結したが、河村市長は昨年2月、良質な飲料水の確保や治水対策などの新用途を条件に建設容認に転じた。国や関係自治体は、事業の再検証を進めている。今後、各県の副知事らが出席する検討会や、有識者、知事らへの意見聴取を経た上で、計画を実施するかどうか国が最終的に判断する。

自治体の負担費用を、当初計画の比率で計算したものがこの図になる。

木曽川導水路事業の建設費

 名古屋市の負担は121億円から309億円。188億円の増額となる。

 この増大の大きな要因は事業を止めた河村たかし名古屋市長にあり、各自治体から見れば、「増額分は全部名古屋が被るべきだ」ぐらい思っても不思議ではない。

 増額分1,380億円と、当初からの負担額を加えると名古屋市の負担は1,501億円となる。(なんだ、たった名古屋城3個分じゃないですか)

 河村たかし名古屋市長が、2009年に事業を止めた影響で、事業負担が1,380億円増え、名古屋市の負担も増えたのだ。

 同様に河村市長の一存で事業を止めた西部医療センターの問題では、4年前、名古屋市は日立に賠償金を3億8500万円を支払った。訴訟の前にADRで約1億5000万円の賠償額で交渉が妥結したのに、市長選挙における影響を危惧してこの妥結を拒否し、本訴訟に移行して約2億3500万円余計な負担がかかった。

 そもそも3億8500万円全ては河村たかし名古屋市長の懈怠の結果だ。

 それを本人はまったく理解不能な理屈で「名古屋は儲かった」などと強弁してごまかしている。

 また、「給料を800万円しか貰っていない、3億5000万円市民にお返ししている」などと事あるごとに主張している。(この費用に、今回「サクラ問題」を引き起こした「市長特別秘書」の経費は含まれていない)

 その河村市長が引き起こした1,380億円の増額。今度はいったいどんな理屈で「儲かった事」にしてくれるのだろう。

 ちなみに、「12年間で3億5000万みなさんに返した」らしい。

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 1,380億円は3億5000万円の約395倍にあたる。つまり、河村市長が市長を4,740年努めていただければ、このマイナスが賄える計算になる。頑張ってください。

追記:「木曽川導水路事業」の停止は、「堀川導水事業」の停止を引き起こしている。(これも、正式、法的には関連がないとされているので話はイヤラシイが)

「堀川をドブ川に戻したのは、河村たかし」である。
ichi-nagoyajin.hatenablog.com

追記:
実は、河村たかし名古屋市長の懈怠により、事業が遅れ、名古屋市に余計な費用負担が求められそうな案件はこれだけに留まらない。
しかし、当ブログはそうした事を事前には取り上げない。
当ブログが警告することで、「逃げ道」を用意させる可能性があり、実際にそうした事例もある。
なので河村市政がにっちもさっちも行かなくなってから、当ブログでそれを指摘させていただく。

河村市長を選んだのは名古屋市民であり、この負担は名古屋市民が背負うべきと考える。