市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

平成21年市長提案「市政改革ナゴヤ基本条例」

この3月名古屋市会において、またまたまたまた、議員報酬800万円の議案が市長から提出された。

本当に、幾重にもわたって誤った、間違えた、民主主義を取り違えた、というよりも民主主義による地方議会というものを破壊する、正気を疑う議案なんだが、なぜだか名古屋においては「当たり前」に捉えられてしまっている。

当ブログは、この議員報酬半減条例が成立した過程について、当事者などの証言を元に、小説仕立てにご紹介している。

「真・庶民革命」特設ページ - 市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

これを読んでいただいた東京在住のある方から、

「そもそも市会議員の報酬を半減するという争点が理解できない。
市会議員の報酬を、特に理由もなく半減化しようなどというのは理解できない上に、
一般の市民がそれを受け入れたり、支持するというのは信じられない。
そんな狂信的な政策を市長が推し進めたことを物語の前提にされても、受け入れ難い」

というような意見をいただいているほど本来リアリティーの無い話であるはずだ。

その不可解な議員報酬に対する市長提案について、今市会でどのような議論が展開しているか見てみた。
具体的には3月13日の総務環境委員会の議論となる。

公明党の田辺委員が平成21年度の「ナゴヤ基本条例」の話を出してきたので再確認しようとした。
そうしたところ、内容の判るものが名古屋市のサイトにも、減税日本のサイトにも無い。

愛知大学、現在沖縄大学におられる小林武氏の論考に全文の引用があったので、ここにひいておく。

住民投票制度のプレビシット的運用(1) 小林武

名古屋市長の提案による「市政改革ナゴヤ基本条例」案

平成21年第195号議案 住民分権を確立するための市政改革ナゴヤ基本条例の制定について

住民分権を確立するための市政改革ナゴヤ基本条例を次のとおり定めるものとする。

平成21 年11月20日提出

名古屋市長  河村たかし

住民分権を確立するための市政改革ナゴヤ基本条例

(趣旨)
第1条 この条例は,住民が主体となった市政の実現を図るための改革(以下「市政改革ナゴヤ」という。)の実施について,基本となる事項を定めるものとする。

(基本概念)
第2条 市政改革ナゴヤは,政治の職業化による集権化の進展が,住民の政治や行政への参画の意欲や機会を阻んでいる状況にかんがみ,自発性・無償性に基づく政治を実現するための改革(以下「政治ボランティア化」という。)により住民への分権を推進し,住民を主体とする真の住民自治の形成を図り,「歴史に残る街・ナゴヤ」と称するにふさわしい市政を確立することを基本理念として行われるものとする。

(市長の責務)
第3条 市長は,全市民に奉仕し,及び市と統轄し,これを代表する職として率先して市政改革ナゴヤの実施に取り組む責務を有する。

(地域委員会制度の創設)
第4条 市民が自ら地域課題を解決することができるよう,市民が地域に関する施策の企画及び決定並びにこれらに必要となる予算の策定に参画することができる制度として,新しい住民自治の仕組みである住民から選ばれた委員により構成する「地域委員会制度」を創設する。

(市民税の減税)
第5条 現下の経済状況に対応し,市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに,将来の地域経済の発展に資するため,市民税の減税を実施する。

(議会の改革)
第6条 議員は,議会において市民を代表する職として,またパブリックサーバントとして政治ボランティア化を実現するために,次に掲げる議会に関する改革に取り組むものとする。

(1) 議員の定義は,現行の半減を目途として減員する。
(2) 議員は,連続して3期を超えて在職しないよう努める。
(3) 議員の報酬は,民間企業の勤労者の給与額等を考慮し,現行の半減を目途として減額する。
(4) 政務調査費を支給しない制度に改める。
(5) 議員の費用弁償について実費を支給する制度に改める。
(6) 市会の本会議において市民が意見を表明することができる機会を創設する。
(7) 議員の自由な意思に基づく議会活動を実現する。
(8) 議員の年金制度について廃止に向けて活動する。

2 市長は,前項の議会に関する改革に伴い,議員による条例案の提出,議員の調査研究及び行政の監視活動を充実させるために,議会からの求めがある場合には,人員の配置,予算の計上その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市長の多選禁止)
第7条 市長は,連続して3期を超えて在職しないよう努める。

(実施の時期)
第8条 市政改革ナゴヤは,平成21年度末までに制度化を図るなど,所要の手続を実施するものとする。

附則
この条例は,公布の日から施行する。

(理由)
この案を提出したのは,市政改革ナゴヤの実施について,基本となる事項を定める必要があるによる。

酷い文章だ「第3条 市長の責務」の「市長は,全市民に奉仕し,及び市と統轄し,これを代表する職として率先して市政改革ナゴヤの実施に取り組む責務を有する」というのは、日本語として成立しているのだろうか?

「議員の定義は,現行の半減を目途として減員する」というのも「議員の定数は,現行の半減を目途として減員する」の誤りだろう。誤植を含んだ条例案を提出しても、否決された責任は提出した側にあるだろう。

「議員は,連続して3期を超えて在職しないよう努める」とか「市長は,連続して3期を超えて在職しないよう努める」などの主張もある。(見事に反故?)

現在も投げかけられている「議員報酬議論」というものは、「議会改革」の為の議論であった筈で、その議会改革の主旨は上にあるような市長の主張による。

そして名古屋においてはこれを軸に議会リコールの住民投票が行われたのだが、結果として、この住民投票名古屋市を狂わせたのではないかと思えてならない。

この間の事情を小林さんが述べられている。
まず、小林さんは原田尚彦『地方自治の法としくみ〔全訂2版〕』を引いて、住民投票のマイナス面を指摘される。

住民投票には,「(1)十分な資料や情報にもとづく冷静かつ多面的な討議が浸透しにくく,いきおい扇動家やマス・コミによる大衆操作の影響を受けやすい。その結果,(2)住民投票の結果は,一時の情熱や偶然的要素に左右され,政策的に一貫性を欠いた予想外の結論となることが多い。

しかも,(3)たいていは勝敗が僅差で決まり,かえって国民の間にしこりを残すこともある。
にもかかわらず,(4)住民投票でいったん事が決った場合には,再び住民投票にかけなければ覆せないこととなるため,動きがとれず,かえって集団の統合を妨げることがある」

との「マイナス面」がある,というのである
(原田尚彦『地方自治の法としくみ〔全訂2版〕』(学陽書房,1995年) 251頁)

そして、こうした住民投票名古屋市においてどのような効果を持ったのか、長くなるが「住民投票制度のプレビシット的運用(1)」から引いておこう。

機種依存文字等は変更した。
・所々割愛させていただいたが、それは欄外に掲載する事にした。できればオリジナルを参照して頂きたい。

2009 年4月施行の名古屋市長選挙で,前民主党衆議院議員河村たかし氏が,51 万もの破天荒な得票で当選した(名古屋市は人口226 万,有権者179 万,市長選の投票者89 万)。これを受けて市長は,2大公約としていた「市民税10%減税」と「地域委員会設立」などの「市政改革」を一気に進めた(「減税」は,公約では富裕層は対象としないとしていたのを覆して,対象を限定しない一律減税に変えた)。

そして,それと並んで急浮上したのが「議会革命」である。主な内容は,河村氏が2009 年11 月に提案した「市政改革ナゴヤ基本条例案」〔資料1〕に盛られているが,議員定数の半減(公約では10%削減としていた)をはじめとして,議員報酬の半減(これは公約にはなかった),政務調査費の廃止,費用弁償の実費化,党議拘束の撤廃などである。

*1

*2しかしながら,名古屋の問題は,何よりも,市長のとる手法にある。つまり,直接民主主義の制度を用いて市長専制の実現をはかるという手法を用いていることが最大の特徴であり,また問題なのである。

すなわち,河村氏は,2010 年1月の段階で,まず議会改革の市長案を提案し,議会がそれを否決したときには,市長案と議会自身が出す案のどちらが良いかを住民投票に諮るための条例を制定するよう直接請求で議会に迫り,議会がこれを否決したときには議会の解散を求める直接請求の署名運動に入る,という手順を示した。

そして,議会は,2月市議会で,市長の議会改革提案を否決した。議会各会派は,この政治で*3住民投票条例制定の提案をしている(成立には至っていない。)市長は,4月に臨時会を招集し,市民から異論が強く出されていた定数半減案だけを除いて再度提案したが再度否決された。そこで,先に提示していた手順を短縮して,一気に,議会解散のリコール請求運動に踏み出した。

アピール項目を減税と報酬半減に絞って,これに反対する議会を「抵抗勢力」,「保身議会」と描き出し,これを解散に追い込もうと呼号して運動を扇動したのである。

本来住民のものであるリコールの制度を市長の主導で動かして,議会を屈服させる手法である。

*4解散請求に必要な数は,地方自治法によれば,有権者40 万人までの3分の1と,40 万を超えた分の6分の1の合計で,36万5795 であるから,集まったのはそれを約10万も上回ったわけである。

解散請求の手続きは,選管による審査,有効署名数発表,縦覧と異議申し立てを経て有効署名数が確定し,解散請求に必要な数を充足している場合,議会解散の是非を問う住民投票へと進む。

しかし,人々を驚かせたのは,集められた署名のうち約11万人分に,選管により有効性に疑問が付されたことである。

先に挙げておいた数字に照らすなら,11万は,リコールの成否を左右する数字である。疑問が付されたのは,受任者欄が空白の署名簿に書かれた署名であるが,その有効性を判断するために,選管は,当初10 月24 日までと予定していた審査を1カ月程度延長することとなった。すでに署名期間中から,違法な事例が多数選管に寄せられていたのであるが,この事態により,市長側が設定していた,2011 年1月に住民投票をおこなって議会を解散し,愛知県知事選挙の予定されている2月6日に,自ら辞職しておこなう市長選と合わせて市議選を「トリプル選挙」で実施するというもくろみはいったん崩れた。
しかしながら,市長側のおこなった一括異議申し立てを選管が認め,12 月15 日,有効署名は36 万9008で確定した。この逆転により,住民投票は2011 年2月6日に実施されることになった。

いずれにせよ,「46 万」ないし「37 万」は,220万都市の直接民主制運用の上でこれまでに他に例を見ない大きな数字であって,そこから目をそらせるわけにはいかない。

それは,金持ち優遇という本質を隠して「減税」の2文字のみで賛同を募り,また議員報酬をテコに根深い議会不信を掘り起こし,さらに潜在的な政治不信に火をつけて,市民動員に成功したことを物語るものであるといわざるをえない。

名古屋におけるこのたびの推移から,将来に向けた教訓として今銘記しておくべき何よりのものは,遂に,ここで直接民主主義制度が鮮やかな形でプレビシットとして用いられた典型的な実例を見たことである,と思う。

プレビシット」とは,先述のように,住民投票国民投票(レファレンダム)が独裁者の誕生とその地位の維持・強化,あるいは独裁政治の正当化のために用いられる形態をいう。

こうした権力担当者による直接民主主義制度の悪用の顕著な事例が,わが国の大規模な自治体で現出したのである。河村市長は自ら,しばしば街頭に立ち,またテレビの前で,「市民の支持を得た私の減税公約を阻む独裁議会」を難じ,その支援者は,「河村氏への支援を」と訴えて署名を呼びかけた。この署名運動は,終始,市長の先導により進められた。集まった46 万余のうち約11 万もの疑問署名が出たのも,さぞかし,権力者がバックについた運動ゆえの弛緩,また杜撰も許されようと考える傲慢の意識から出たものではあるまいか。

本来,直接民主主義の制度は,民主主義と住民の主権を実現する最も徹底した手段として,間接民主制を補完し,また住民の政治参加の潜在能力を最大限に引き出すなどの,大きな積極的意義をもつ。したがって,今,私たちは,住民投票が「プレビシット」として用いられることを防ぐ工夫,つまり強権政治・独裁者誕生の正当化に使われないようにする手だてを講じて,これを練成する課題を負ったことになる。

プレビシット」化を避けるための要点としては,これまでに,
(1)争点を公平に設定すること,
(2)住民の知る権利を保障するために,
 議会による投票対象について事前の公開の審議を保障すること,
 学識経験者や政党などによる投票対象についての認識・評価等の情報を保障すること,
 自由で公平な宣伝・批判を保障すること,
(3)投票の発案権を一定数の住民にまで認め,
 権力担当者による投票実施の有無と時期の恣意的な決定を排除すること,
(4)自由投票・秘密投票を保障すること,
(5)一定数の住民の投票参加を成立の要件とすること,
(6)公正な集計手続を保障することなどが説かれている。

そして,それらを実現する土台となるものは,何より,私たち住民自身が主権者としてたえず成長することにほかならない。


――以上にとりあげた名古屋市の事例は,これまでの経過だけからしても,地方自治における直接民主制のあり方を深く考察することを迫る重大な問題であるといわなければなるまい。

あの議会リコール、既存議会否定から2期8年が経過した。
その間の名古屋市会を見ると、あの議会リコールの虚偽性は明白だ。

小林さんの「金持ち優遇という本質を隠して「減税」の2文字のみで賛同を募り,また議員報酬をテコに根深い議会不信を掘り起こし,さらに潜在的な政治不信に火をつけて,市民動員に成功したことを物語るもの」との観察は、的を射ている。
将に「独裁者の誕生とその地位の維持・強化,あるいは独裁政治の正当化のために用いられ」た「住民投票」であり「権力担当者による直接民主主義制度の悪用の顕著な事例」である「議会リコール」であったわけだ。

「約11 万もの疑問署名が出たのも,さぞかし,権力者がバックについた運動ゆえの弛緩,また杜撰も許されようと考える傲慢の意識から出たものではあるまいか」との推察も当たっている。この運動に関わった人々からも私は様々な事情を聞いているが、河村事務所の弛緩は社会人としての常識を疑うものでもある。(後に起きた署名簿流出が白眉だが、河村事務所内部で大量の署名が行方不明になったという表に出ていない問題もある。また、この約11万もの疑問署名についても、その発生機序は明白で、河村事務所所員が署名簿の扱いについて誤解したまま情報を広めたために本来表紙に書かれるべき受任者情報が書かれていなかったという根本的な問題なのである。そしてこれを異議申し立てで強権的に認めさせた。これは大都市における住民投票制度の事実的な無効性を現している。あ!それと。受任者は本来自身と同じ区域でしか署名簿を集めることはできないのであるが、一人で複数の区域の署名を集めていた受任者も居る。そして、その様子をインターネット動画として公開していた。そしてそしてその人物は前回の市議選で中区、維新から出馬し、今回南区で減税より出馬している)

なぜ、こんな歪んだ事が実現できたのか。

小林さんが「『プレビシット』化を避けるための要点」としてまとめられているモノの中に、そのヒントがある。

プレビシット」化を避けるための要点としては,これまでに,
(1)争点を公平に設定すること,
(2)住民の知る権利を保障するために,
   (略)

平成21年においては、これが逆に行われたのだ。

(1)不公平な争点が設定された。

本来、論理的根拠などない。社会的な適合性、公平性だけから推計されている「議員報酬」を「半減する」という乱暴な議論を、漠然とした地方議会への不信感を煽って主張する。「議員報酬半減」自体に論理的根拠がないのだから、反論も立てようがない。つまり、議論が成立しない。その議論が成立しない上に、「年間報酬2400万円」というようなオーバートークや「政務調査費」を第二報酬であるかのように主張されてもいた。


(2)住民の知る権利が保障されていなかった。

一方的な主張が展開されて、名古屋市議の適正な報酬算定などされていなかった。(というか、そんなものができるわけがない)

また、報酬を下げれば、金持ちや報酬を必要としないヒトしか議会に参入しない。つまり、単に議会の質を低下させるだけという当たり前の主張がなされなかった。というよりも、議会リコールの際には、議会側の声は周りの騒音にかき消されていた。

あの時に、「既得権を守りたいだけの既存議員」と言い立てられた市議の元には、いたずら電話やFAXがひっきりなしに送られて、当時小学校や中学校に通っていた市議の子どもたちは「お前の親は、名古屋市議会の議員なんだってな」と「イジメ」に遭ったという。将に、集団の暴力が名古屋会の議員に向けられたのだが、その流れを作ったのはマスコミなのだ。
今こそ、検証して頂きたい。

市議報酬は800万円が適正であると主張してきた減税日本の市議(元市議)が、積み立てている「過剰報酬」は、いったいどこに行っているのか?誰か一人でも、その過剰分について名古屋市に戻したものが居るのか?(それよりなにより、国会議員年金を「一円も受け取らない」と言っていた市長の年金はどうなったのか?)

「多選禁止」を止めにした減税日本の理屈とは?
そして、それは正当性があるのか?

議会リコールによって生まれた減税日本は、呆れるような問題が続出し、議席も激減させている。
議員報酬半減とは、やはり議員の質を落とすものなのではないのか?
また、あの議会リコールは正しかったのか?

そして、それを報道した各マスコミは、市民に正しい情報を提示し、「住民の知る権利」を守ったのだろうか。


今回参照した小林さんの論考は、以前にも参照リンクとしてご紹介している。

減税日本卒業試験(後篇) - 市民のための名古屋市会を! Ver.3.0



告知:
名古屋城天守有形文化財登録を求める会」が起こした名古屋城木造化事業における住民訴訟
第一回公判の日程が決まりました。
5月16日(木)午後2時より
名古屋地方裁判所 第1102法廷 です。

名古屋城天守の有形文化財登録を求める会


*1:当初,最大の重点は,議員定数の半減に置かれた。現行の名古屋市議会定数の75(地方自治法の上限は88)を38 にするという提案で,それによれば,16選挙区のうち9が,定数1ないし2の実質小選挙区となる。議会の民意反映機能は決定的に弱まり,とくに少数意見が議会から閉め出されて,民主主義の根幹が大きく傷つく。これに対して,議会が,全員一致で,議員定数は「各層の多様な民意を市政に反映させるために必要な人数」であるべきだとの規定(16条2項)をもつ議会基本条例を制定した上で,市長提案を拒否したのは,道理にかなったこととして受けとめられた。有志の市民が直ちに,定数半減は,歴史上の人類の知恵として成り立った政治形態である議会制の根幹を崩壊させるものであると指摘し,党派を超えて民主政治を守るために結集しようと訴え,反響を呼んだ。 河村氏のこれらの主張は,議会を弱体化して市長への権限集中をはかるもので,憲法上の自治体統治構造の原則である二元代表制を実質的に否定するものである。憲法尊重擁護義務に照らして許されるものではないが,同氏は,この二元代表制を,「立法者のミスだ」と言ってはばからず,「議会改革」の方針を撤回しなかった。

*2:もっとも,河村市長が進めるような政治は,その内容については,各地の少なからぬ自治体において見られるもので,ひとり名古屋市だけに特有のものではない。そして,首長優位の状況も,議会が(一部政党を除いて)「オール与党」体制を組んで,本来の役割を果たしていない多くの自治体では,やはり通有のものといえる。

*3:引用者補足:「この過程で」と思われる

*4:そこで,2010 年夏,市長の支援団体「ネットワーク河村市長」が,河村氏主導の下で,受任者を約4万5000 人立てて8月27 日からの1カ月間,リコール署名運動を展開した。集めた署名は,有権者179 万4766 人のうち46 万5594人に達した。有権者の約4分の1である。