市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

減税日本 大村知事推薦にみる矛盾

 本日の中日新聞朝日新聞を読み比べてみると面白い事に気付かされる。

 まず、中日新聞の「大村氏を推薦 減税日本決定」という愛知県知事選挙についての記事。表題の通り、改選される知事選において、減税日本が大村現知事を推薦するという発表を伝え、

 最後は「今回の選挙で大村氏は(略)各党の支援を受けることが既に決まっているが、河村氏とも一定の協力関係を維持することになった」と大村氏の視点で締められている。





 それに対して朝日新聞の「減税、大村氏を推薦」とした記事は、地方税減税を公約から外している大村氏の姿勢に対して、河村氏に感想を求め「政治は欲を言えばきりがない」との発言を引き出している。また「政治的なものは別に、県民、市民のために」推薦したという河村氏の発言も載せている。


 何かお気付きの事は無いだろうか。

 中日新聞の記事には河村氏の直接の発言は無く、朝日新聞の記事は河村氏の発言を盛り込んでいる。


 去年当ブログでお伝えしたように、河村氏は(1月中の一か月だけ)中日新聞の個別取材を拒否でもしているのだろうか。
 御用納めの帳尻は - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0


 ところでこの朝日新聞に掲載されている河村氏の発言、ちょっと変ではないだろうか。

 大村氏は前回の選挙(トリプル選挙)において愛知、名古屋共通マニフェストを掲げ、県の地方税減税を重要公約としていたはずだ。
 ところが知事となって県税の減税については実施しない事を決めた。
 更に、今回の選挙に向けての公約にも県税の減税は盛り込まれていない。

 つまり、大村氏は政策的に大きな転換を行ったのであって、その効果もあって自民、民主、公明などから推薦を受けている。

 しかし、減税政策を掲げる減税日本は今まで大村氏への支持、推薦を表明できていなかった。

 今回、その減税政策を棚上げにしたまま、減税日本が大村氏を推薦することになったわけだが、それを河村氏は「政治は欲を言えばきりがない」と言うのだ。

 欲?

 誰の?

 もとより政治は「欲」の追求だ。

 理想社会実現であったり、具体的な補助やら制度的優位など、「欲」の追求と調整が政治である筈だ。そして河村氏は減税政策こそが市民、県民の最大の要望/欲求であると判断したからこそ、先の選挙において共同公約にそれを掲げたのではないのだろうか?

 それを「欲を言えばきりがない」と言って取り下げるというのはどうしたことだろうか。
 この「欲を言う」のは市民や県民ではなく、河村氏自身がという事なのだろうか。

 河村氏自身としては先の選挙と同様に県民税の減税を公約に掲げて<欲しい>が。
 それは「欲を言えばきりがない」ので、減税政策を公約しない大村氏でも推薦する。という事なのだろうか。

 それでは前回、県民税減税を掲げた公約は河村氏ご自分の都合であって、今回は「欲を言えばきりがない」ので引っ込めるという事なのだろうか。減税政策というのは河村氏自身の「欲」だったのか。

 それはもう一つの発言からもうかがえる。

 「政治的なものは別に、県民、市民のため」という発言は、大村氏が減税政策を掲げるか掲げないかは「政治的なもの」であって、今回は「別に」考慮しないという事だろうか。

 語るに落ちていないだろうか。

 河村氏にとって、減税政策とは本当はどういう意味を持つものであるのか、窺い知れる発言ではないだろうか。

 河村氏にとっては減税政策とは「政治的なもの」なのだ。

 政治的に支持を得るためのモノなのだろう。

 彼が表向き言うように減税政策が「市民のための決定的な政策」であるとは彼自身も思っていないのだろう。減税政策の効果を信じ切っているのであれば、それを盛り込まない事は「県民、市民のため」にならない筈ではないか。けれども、今回はそれを「政治的なもの」として外して、その判断が「県民、市民のため」であるとしているのである。

 このブレ。

 河村氏というのは本当に政治が読めていないようだ。
 誰ですか「河村は政治や選挙には優れた勘を持っている」なんて評価していた人は。
 彼は今までも単に無茶苦茶な事をしていて、たまたま運よく風に乗れただけで、内実は何もない。内実を何も整えなくても、運任せでいれば身分が保証され、税金で食えたのでその空疎さを埋めようとする努力すらも怠っていたに過ぎない。

 たとえば、今ここで大村氏にすり寄って推薦を出したところで、河村氏の矛盾がまた一つ増えるだけだ。減税日本として県議会に議席を持つ者は、この矛盾(減税政策を公約にしない大村氏を減税日本が推薦したこと)を支持者にどう説明するのだろうか。

 この矛盾を負ってまで大村氏を推薦して、減税日本には何が得られるのだろうか?

 すでに大村氏は各党からの推薦を得ている。

 結果として減税日本は何も得る所が無いまま、自身が否定していた「しがらみ」による推薦を自身が行うという、これまた酷い矛盾を有権者に見せつけるだけではないだろうか。

 朝日新聞の同紙上に「広沢幹事長不出馬へ」と衆議院選挙で愛知一区の「減税の聖地」に立候補した広沢幹事長が県議選には出馬しないとの表明があった。(この記事も、朝日新聞には載っているが中日新聞には載っていない)


 河村氏が動けば動くほど、語れば語るほど、矛盾がアチコチに生まれて周囲の人々はその「板挟み」に苦しむ。( 今、決然と反河村宣言! - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 )




 朝日新聞には次のような記事も掲載されていた。
 「管理職除き昇給 名古屋市、市長に代案」

 市人事委員会の勧告を拒んで市職員の給与を上げないと河村市長は表明している。

 市職員の給与、公務員の給与を引き下げる(または引き上げる事を拒むこと)を歓迎する声もある。

 くだらない!

 こういった「引下げデモクラシー」を無分別に称賛する者、他人の幸福を妬み、不幸を喜ぶ者。つまり公務員の給与引き下げ、生活保護や各種扶助費の引き下げを歓迎するバカ者(特に、「均衡財政論」のバカ者ども!)こそが、長いスプーンで苦しむ地獄の亡者であるに過ぎない。
 Allegory of the long spoons - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

 トマ・ピケティもデフレを脱するために行われる流動性の増大はいびつな歪みを作ると述べている*1。日本においてデフレを脱する最も良い方策は「給料、とくに公務員の給料を5%上げること」と具体的に指摘している。

 http://www.asahi.com/articles/ASGDS4G49GDSUPQJ003.html


 今回の人事委員会の勧告に対する河村市長の態度は、愚かしいにも程がある。
 また、経済を全く判っていないと判断するに相応しい。

 そして、この記事も注意深く読むと、総務局が市長に示した代案を伝えているということが分かる。つまりこれも河村市長の方から、朝日新聞にリークされた情報である事が伺える。こうしたことが一月中は続くのでしょうかね。続いていいですけどね。


 相生山について囲み記事が中日新聞に掲載された。
 これについては紙幅の都合上、明日以降に持ち越します。


 1月11日  13時から、名古屋駅東口交番前でコードーするホシュ運動が何かやるらしい。
 http://calendar.zaitokukai.info/chubu/scheduler.cgi?mode=view&no=160



*1:一般的には「ひもでは押せない」という話