市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

Wag the Dog

Why does a dog wag its tail?
Because a dog is smarter than its tail.
If the tail were smarter, the tail would wag the dog.

・・・嘘に振り回されるののは愚かなことだ。
自分のついた嘘に振り回されるのは、もっと愚かなことだ。

前回、「掃けば散り、払えばまたも塵積もる 人のこころも 庭の落ち葉も」なんて抹香臭い言葉を引用して、ちょっとは落ち着いて「淡々と、社会を歪める嘘や不合理を洗い清めていく」なんて事を言ったけれども、こう次から次へと嘘や誤魔化しを投げかけてこられては、淡々となんて構えていられない。もう、いい加減に嘘を付くのは止めなさい。というか、名古屋市民をミスリードするのは止めていただきたい。中日新聞

ひょっとすると、君たちは、自分たちのついた嘘を言い募るうちに本当にその嘘を信じ込んでしまったのか?


2021年4月26日 社説
「河村名古屋市長 おごらず、地に足つけ」


 名古屋市民は「庶民革命の総仕上げ」を掲げた河村たかし市長の続投を支持した。戦後初めて四期目を担う市長となる。仕上げの任期は、多選によるおごりを戒め、地に足をつけた市政を求めたい。
 投票前の本社世論調査で、河村氏の市民税減税と市長給与八百万円の公約を「評価できる」とした回答はそれぞれ約28%、25%で、「評価できない」を大きく上回った。
 初当選時から掲げてきた庶民目線の政策を武器に、議会や役所などの既得権益打破に切り込む行動力への評価は、いまだに色あせていなかったといえる。


(略)

河村名古屋市長 おごらず、地に足つけ:中日新聞Web

「河村氏の市民税減税」を評価する市民が「約28%」いるということは、次の3つしか考えられない。

1.河村流市民税減税の恩恵を受ける相当な高額所得者か資産家など、世論調査の対象者が極端に偏っていた。
2.経済学的無知から国の行う「減税」と区別がつかないために評価した。
3.「経済効果が1128億円」とぶち上げた中日新聞誤報を真に受けている市民がまだ28%も残っている。

さあ、どれだ。
まともな知性を持っていれば、河村流減税など、評価できるわけがない。

その話の前に、さて皆さん。「河村流減税」は何パーセントの減税政策でしたか?

5%?

「当初の公約は10%だったじゃないか!」と、そうした議論をしたいわけではない。明白な事実として、「河村流減税政策」は、日本広しといえども、この名古屋だけで行われている。なぜだ?河村市長や中日新聞が言うように、減税をしたほうがその地域の経済に良い効果があるのであれば、全国各地から減税政策を追従する地域が出てきても良いじゃないか。実際に河村市長が誕生して、しばらくの間は、あちこちで減税政策が実施された。しかし、いまやそれを継続している地域はいない、この名古屋以外には。なぜだ?

先ず「河村流減税」の正しい減税率をお伝えしておこう。

0.3%です。

もう一度言っておきます。5%減税ではありません。0.3%減税です。

大切なことなので、もう一度いいます。「0.3%の減税です」


所得割 7.7%


(注)市民税の減税後の税率です。


所得割については、従来の5%減税後の税率5.7%(標準税率6%×0.95)に税源移譲による2%を加えた税率となります。

名古屋市:個人の市民税の減税について(暮らしの情報)

当初の公約は、地方税(市民税分)6%を、5.4%にするということで、0.6%の減税政策を「10%減税」と言った。
この名古屋市中日新聞のスタンスが正しいのであれば、国において消費税が5%から8%に引き上げられた際には「消費税率、60%引き上げ」と表現すべきだった。しかし、消費税率の5%から8%への増税が、「3%増税」と言われるのであれば、市民税の6%を5.4%に引き下げる減税は、「市民税0.6%減税」と言うべきではないのか?

これは嘘では無いかも知れないが、「まぎらわしい表現」といえる。

ところが、この「0.6%減税」は1年で取りやめになって、紆余曲折(減税日本の市議の、無能を表す大騒ぎ)があって「0.3%減税」に落ち着いた。つまり、所得割が「6%」から「5.7%」に引き下げられた。ほとんどの給与所得者は気もつかないような金額で、一部の高額所得者には、それでも一人で500万円とかの減税が行われている。

追記:
上に言う「減税日本の市議の、無能を表す大騒ぎ」とはこれ
ichi-nagoyajin.hatenablog.com

ここで、市立高校の負担移行に伴う、税源移譲が行われる。それまでは市立高校について、人事権は名古屋にあったが、経費は愛知県とクロスしていたものを、経費も名古屋が負担することで、運営を市に移管し、その負担増を補うために、地方税の市、県の割合を、6対4から、8対2に移譲した。つまり、「税源移譲による2%」とは、これのことで、名古屋市の本来の市民税所得割率は「8%」である。
「8%」を「7.7%」に「0.3%減税」を続けている。これを河村市長や減税日本は「5%減税継続中」と言っている。

河村たかし減税日本の関係者は、バカとは知っていたが、こんな計算もできないほどバカなの。

「8%」を「7.7%」にするのなら、「0.3%減税」というべきだけど、百歩譲って、河村たかし中日新聞の言う方式に準じたとしても、「0.3÷8」なら「3.75%減税」ですよね。

「5%減税」なんて、実態はありませんし、フェアに、正確に、分かり易く表現するなら「0.3%減税」です。

中日新聞世論調査で、「河村市長のすすめる0.3%減税については評価しますか」と聞いたら、「5%減税を評価する」と答えた人たちはどう判断しただろうね。


次、2番について。

そもそも経済学的に赤点、落第。けれども落ち込む必要はない、中日新聞の記者でも間違っているんだから。

いいですか、通貨発行権のある国が、不況時(デフレ時=流動性が減退している時)に行う減税政策に効果があるのは、税として市中の通貨を吸い上げることなく、歳出は維持(または、財政出動で拡大)させることによって、市中の通貨流通量を増やすからなんだ。デフレという経済が収縮している局面においては、通貨(流動性)の拡大は直接効果がある。こんなのは、中学校の公民で習う話だと思う。
「河村流減税」の異常なところは、減税を行うにあたり、その原資は歳出削減、つまり、名古屋市の行う事業の縮小、取りやめで賄うとしていることだ。市中から税としてお金を吸い上げない事は上と同じだが、その同額を歳出削減してしまったら、その分市中の経済を収縮させるだけだ。名古屋市が事業を縮小、取りやめてしまえば、その事業を請け負っていた事業者は売上を失う。市中経済は縮小する。さらに、例えば消費税率を引き下げるような減税であれば、国民にまんべんなく減税の恩恵を与えられるが、「河村流減税」の制度設計のまずさは、定率減税にしたことで、お金持ちに減税の恩恵が偏重することだ。(これに対して河村は「国の制度だからどうにもならない」と応えているが、逆進性が高く、それが国の制度だから仕方がないのであれば、やらなければいいだけだ。こうした問題があるから、他の地域では行われておらず、名古屋でだけ続けられる異常事態になっている)お金持ちは元々フローとしての通貨よりも、ストックとしての通貨を多く持っていることは明白で、「河村流減税」の減税財源は、このストックに組み入れられてしまう。つまり、乗数効果が低い経済政策となってしまう。

よって、そうした経済学的常識のない方々が賛成しているだけであって、こうした情報を中日新聞が市民に伝えていたならば、この世論調査の28%という数字はどうなっていただろうか。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

そして、3つ目がいよいよ中日新聞の大誤報「1128億円の経済効果」だ。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

名古屋市の財政局が、「積み上げる値には意味はない」と諌めたのに、当時の市政記者(市長室の住人)は聞かなかったそうだ。
その後のシミュレーションで、国や県の補助金を引き出す現実的な試算を行ったら、やはり、減税政策には経済効果など無いという結果になった。というか、このシミュレーターは、大都市における人口流入が結果に過剰に出る設計になっているので、それも信憑性にかける。上に、そのまた前のシミュレーターでは「まともな算出」すら行われていない。

まともな算出が行われていない事実を書くのではなく、その異常な計算に乗って、更に異常な数字「1128億円」を謳ったのは、中日新聞ですからね。こうした歪んだ報道が行われた結果、少なくない名古屋市民は「河村流減税政策」が何か意味のあるものだと誤解してしまっている。(多分、自分がこの減税政策でいくら恩恵を受けているのかも知らない)

中日新聞が、以上のような偏った報道をしていなければ、この名古屋で「河村流減税政策」なんて歪んだ市税の浪費は既に止まっており、小学校の給食は完全無料化に踏み切り、内容ももっと充実したものにできたかも知れない。市中の医療従事者に手厚い支援を行い、コロナ禍で危惧される医療崩壊にも万全の体制で望めたかも知れない。1000億円からの市税が、市長の人気取りのためだけに、経済効果もなく大部分の市民には恩恵もないまま、そして、まともな議論もないまま、続けられている。

追記:
ombuds.exblog.jp

そうした現実がある上に、まだ、中日新聞は「河村流減税政策」に対して、市民の支持が28%あると、尻尾に振り回された犬のような報道を続けていくのだろうか。

それは市民の公正な判断だろうか。

名古屋はまだまだ様々なものを失っていくんだろう。