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政党を強くするもの

河村市政の裏表

河村市政の裏表

 以前のエントリーで「第三極」が何故ダメなのかという疑問をいただいた。

 本日(5月14日)も大阪の橋下市長が共産党への答弁で馬鹿げた対応をしていたらしい。

大阪市議会:橋下市長が共産市議に「若造」…1時間半紛糾
(毎日新聞 2014年05月14日 21時39分(最終更新 05月14日 22時21分))

 大阪市議会で14日にあった一般質問で、橋下徹市長(44)が、議席にいた小川陽太市議(36)=共産=を「若造」と発言して批判、別の共産市議の質問に素っ気ない答弁繰り返す場面があった。議会は紛糾し、約1時間半中断した。
(略)
 橋下市長は答弁の冒頭から「共産党の中に、わきまえていない若造議員が一人いる。にらんだり小ばかにしたように笑ったり、非礼に過ぎる」と批判を展開。質問には「しっかり進めていきます」とだけ答えるなどし、木下吉信議長(自民)から「誠実に答弁を」と注意された。

 しかしその後も同様の答えを続けたため議会は中断。結局、橋下市長が「若造」発言などを撤回し、共産も小川市議を指導することで決着した。
(略)

http://mainichi.jp/select/news/20140515k0000m010095000c.html

 河村市長も先だっての議会で同じように共産党に対して不誠実な回答を行って謝罪させられていましたね。

 私の推測する「第三極」がダメな理由も、橋下、河村両市長がこのような稚拙な対応をする理由も、根は同じでしょう。

 それはズバリ「党内議論の不成立」です。

 党内における異論の存在を認めるか、または党内において議論ができるか。
 「第三極」にはこれができていません。その為に次々と問題が発生し、分解していってしまうのです。


 例えば自民党を見てみましょう。自民党という政党は自主憲法制定、憲法改正を党是とする政党です。しかし中には護憲派と呼ばれる人々も居ました。(今も居るのかね?)

 政権与党という求心力、実効性のある政治という場を得るために、スーパーライトからゴリゴリリベラルまで、党内に抱えていたのが自民党だったのだろうと思います。

 そしてこうした中で党内議論を重ねていたために、他党から論戦を挑まれても対応ができたという事だろうと思います。社会党共産党の護憲論者が追及する憲法擁護論より、自民党リベラルの追求する護憲論の方が国民に対して説得的だったというような事もあったのではないでしょうか。そして自民党党内でそうした護憲論に晒されて、それを超えて改憲論を展開していけば、党内における憲法論議は深まるというものです。

 まあしかし、自民党の党内議論というのは中々激しい(ようです)。

 時には大の大人がチビリそうなほど追及を受けたり、大声で泣き出すという事まであるそうです。私自身(何の因果か、ハッキリ言って今でも判りませんが)心ならずもこうした自民党の内部議論に巻き込まれて「チビリそうな追求」というやつを受けてみた事もあります。もう、受話器を持つ手が他人の手のように感じられ、足のくるぶしから順番に鳥肌が登ってくる様子が判りました。

 この顛末を詳しくは書けませんが、大の大人がああした議論、追及に晒されて、それでも活動を続けていけるだけの身の振り方を習得していくのですから、強くなるはずです。

 共産党においてもこうした試練はあるようです。共産党においては党の理論に対する理解が足りないと「総括」とかするのですかね?もう今はしないのかな?
 公明党においても議員に対するチェック機能というものが働くようです。

 共産党公明党というのは「絶対の党理論」があるために、これが求心力となっているのでしょうね。

 しかし民主党という政党には、こうした議論が成立しなかったようです。

 結局、自民党政権打倒、政権交代というテーマで求心力を作ってはきましたが、実際に政権交代を実現してみて、野党として研究し言ってきたことが事実と異なり*1、様々な失政を重ねるうちに国民の信頼を失いました。
 そして政権自体を失ってみると、党内の異論を保持しきれずに党自体が分裂してしまったという事でしょう。

 民主党の失敗は幾つもあります。自民党政権は小泉構造改革による縮小経済を調整する為に、麻生内閣においては積極財政論に舵を切り直そうとしていました。つまりこれは単に経済政策の調整だったのですが「土建国家に戻るのか」と小泉構造改革を続行させるような世論が起こる。こうした世論に迎合した民主党政権は小泉構造改革を継承するような縮小均衡財政を続け、結果としてデフレ不況を長期化させた。(更に、安倍政権も三番目の矢でこれを継続させようとしている)

 「官僚排除」と霞ヶ関からの情報を排除して、結果として原発事故等の緊急時対応を失敗するなど失政を重ねた。*2

 けれども最も大きな失敗は「党内議論を尽くさなかった」という事でしょう。

 小沢一郎という人物については私は信用できませんが、彼が離党直前に掲げた「国民の生活が第一」というテーマは充分議論の対象になる物だったろうと思います*3。結果として民主党が消費税増税を決定したわけです。本来、労働者、生活者の党が増税政策を打ち出すなどと、あたかも経営者に対して物わかりの良い、率先してリストラに励む労働組合のような姿ではないですか。そういう意味では民主党の落魄も連合と軌を一にしているのでしょうかね。

 民主党の根本的な問題は、こうした党内異論を我が身に胎して、尚、党としての一体性を維持できなかった事にあるのでしょう。

 特に現在は政党助成金という存在が、党首脳部に権力を集中させる傾向があるようで、どのような党においても「党内野党」(ぶっちゃけると「派閥」)の存在が成立しにくいようですが、こうしたダイナミズムが無くなれば政党は力を失います。(個人でも内省性が無い人物は薄っぺらい、深みが無い)

 現在、第三極に起きている現象はこれでしょう。

 誰も軸を打ち出せない。それでいて少しでも議論が起きれば、その議論の可否を後回しにして「お山の大将は俺だ」と権力闘争、政局騒ぎばかり。

 第三極を集約する、非自民で連携するにしても、それは誰の為なのでしょうか。

 それこそ「国民の生活が第一」でなければならないでしょうに、そんな事も無視したまま、お構いなしに碌な議論もなく「非自民で集まりましょう」では、「それで権力を握って上手いことやりましょう」という様な本音が透けて見えます。

 順序は逆、自民党ではコレコレでダメ、我々にはナニナニという政策がある。

 こうやって、自民党と正々堂々、議論を戦わせることができる野党が生まれない内は、この混迷はもう暫く続くのでしょうね。



追記:ちなみに「減税日本」という党において「党内議論が尽くされた」なんて話はトンと聞いた事がありません。
そもそもは「党議拘束は無し」だった筈ですが「党議拘束よりも守るべき事柄」(by 山田さん)なる幹部の発言で、異論は許されなかったそうですからね。
そういった閉塞感が、28人をバラバラにして、残り15人にしているともいえるのでしょうね。

*1:ex.埋蔵金とかね

*2:在特会」が菅元総理をこれで批判していましたが、まあ、当たっているところもありますよね。色々と。

*3:つまり、縮小均衡財政を積極財政策に転じ、雇用、社会保障少子化、高齢化にも積極的な政策を打ち出すというような