昨日の結論はちょっとショッキングなものだった。(というか、ショッキングと誤認したのは自分だったのだけど)
自分で書いていて腑に落ちなかったので幾度も見直したり検算してみたり、参考文献を引っ張り出したりしてみたが、どうも間違いはない。幾人かのヒトにも検算をお願いした。どうも、ご依頼した方々、ありがとうございました。
減税の額は積分定数になるわけだけれど、それを積分を使わずに説明した方が良いと思ったのが昨日のエントリーのアイデアだった。そしてその結論は。
式が成り立つ条件: c ≠ 0
追記(1月7日):指摘を受けました。
この場合、「式が成り立つ条件: c ≠ 1」です。訂正します。
これは、一言で言うと。「『河村流減税政策』(※1)においては歳出削減分だけ経済を縮小させる効果を持つ」という結論だったわけだ。この式が腑に落ちなかった理由は、この式の最初の形、
の後ろのKだけが残って前のK(税(T)と一緒にカッコの中に入っているK)が丸々消えてしまったように思えたからだ。
これを理解するのには”「正しい経済学」が導く減税の意味(後編)"を確認すると理解できる。この論考でも例えば c=0.6 の場合「→2.5G」と「→1.5T」という結果を導いた。政府支出(G)に係る係数「2.5」と税(T)に係る係数「1.5」では「1」だけ異なる。
つまり、政府支出よりも税に掛けた効果の方が 1 だけ効果が減じて現れるという意味だった。ここで「1」という固定した値が出る理由も欄外の「※4」で説明している。
この「1」という値が有ったが為に「K」が丸々残る(そして、税に係る分が消えるように見える!)事が腑に落ちなかったが。ここでは「1」は係数の値で、それぞれGとTに係っている。つまり、増減する値「K」は係数1分の差で残るということになる。(※2)
確かにこれは単純な古典経済学やケインズ経済学のマクロ経済モデルで、考慮されている係数も限界消費性向だけなので概念的には理解し易いが、現実の経済モデルとは異なるかもしれない(現実の経済モデルがこの式の枠組みを超えるというわけではなく、ここで示されている限界消費性向の値が様々な要因で変わりうるという意味で)なので、このモデルから言えることは「河村流減税政策」は「経済を活性化させる方向には負の影響を持つ」ということだろう。
名古屋市が実施したコンサルタントのシミュレーションについては、人口増加分が予め想定されているということで、その分経済効果がプラスに働いているのではないだろうか。
おおよそ14兆円の名古屋全体の経済の内、0.6%減税でおよそ200億円(0.14%)、今回の0.3%減税の場合100億円程度の効果額なので0.07%しか効果が無い。完全に誤差の範囲だろう(統計的には「誤差の範囲」だろうが、これで削減され、行政サービスを打切られたり、仕事を奪われた人々にとってはたまったものではないだろう。何にせよこんなくだらない計算ミスであそこまでの大騒ぎをするのは「費用対効果」があまりに小さい。この間この「減税政策」に提灯を付けたマスコミは反省すべきだ。完全に名古屋という地方の経済に毀損をもたらしている
なので、今後も河村は「減税対増税」だとかといってバカの様に自分の「河村流減税」と国政の増税(または税と社会保障負担の再構築)をごっちゃに語るだろうが、まったくの勘違いかごまかしでしかない。
さあ、「減税日本」の諸君。君たちは、自ら名乗る党の名前が、すなわち事実誤認。経済政策に対する無理解、または失政を表す事になる。
つまり、君たちが進める政策自体が名古屋の経済を失速させる失政である。
君たちは「民の竈を暖める」つもりで、その実「竈に水をかけている」事になる。
そうでないと言うのであれば、絶賛反論募集中だ。この立論を論破してみよ!
※1:「河村流減税政策」の定義は、減税によって納税者に戻す税額は全て行政改革、つまり歳出の削減で賄う。財政規律を守った上での減税政策であること。
※2:税に係るKが「消えてしまうように見える」理由は、この関係式の場合、総生産Yについて、前回の総生産Yが限界消費性向cが係った状態で右辺に居る。限界消費性向分だけ予め減額される為にその分と打ち消してしまっている。
・・・・Yをまとめ、Kはまとめない。
・・・・両辺を(1-c)で割ります。
河村の場合、この模式図がすべての過ちの元なのかな?
この図はまるで税金が役所や議会に吸い取られているようにみえる。
前近代における王や貴族が、荘園や領土の財を税として収奪して、自分たちの浪費に費やしていたかのような図だ(前近代の王や貴族も、税をそのように浪費していたわけではない)
参照:"河村たかし「減税論」の誤り(2011-10-04)"