市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

減税に対する単純で明白な3つの質問

 いったいどこまで「嘘」を言い続けるのか。

 11月23日の中日新聞朝刊に「盟友熱く行革論争」という記事が載った。熱くもないし、行革についての話でもない。更に論争でもない。
 なぜなら、事実に基づいていないからである。
 事実に基づかない話し合いは論争でもなんでもない、敢えて言えば机上の空論であり、まったくの無意味な言葉の応酬に過ぎない。中日新聞もまともなジャーナリズムを標榜するつもりならば事実に基づいて記事を書くべきである。(確かに後述するように中日新聞は「嘘」は書いていないが)
 また、大村知事もくだらない事に相手をしていても時間の無駄だ。さっさと沈みかけた船からは離れたほうが良い。

 何が「事実に基づいていない」か。
 記事には河村市長の言葉を引用してこうある「給与カットだけでなく退職者の不補充なども含めた総人件費では市は二百億円以上を削減していると。これが事実に即していない。

 既にこのブログでは減税日本ゴヤ富口市議山田市議を「市民に平気で嘘を言う市議」として、「市議不適格」と断じている。

 真実に向き合うには、勇気が必要なのではなく、単純に謙虚であれば良い。とも語っている。いったい何故彼らが市民に対して嘘を言わなければならないか。
 それは、単純に、彼らが主張する事柄が事実と異なっているために、事実を突きつけられてもそれを認める事ができないからでしかない。

 河村市長が常々言っている「名古屋市における総人件費の一割カット」という主張には根拠が無い事についてはすでにこのエントリー総務省の資料を元に指摘してある。

 名古屋市の総人件費はおおよそ1、800億円であるので、180億円の削減がされていれば、その一割が削減されたと言ってもいいだろう。しかし、されていない。



 実に奇怪なことに、名古屋市の市庁の中で左に示すような文章が流通し始めている。題名が「職員の総人件費削減について」となっており、様々な人件費削減「効果額」なるものが積算されて、その合計が「204億円」に上っているというのだ。

 一説には、総務局が作成し、市長にもこの資料が提示されているという。

 しかし、そもそも不思議なのは総務局は「名古屋市の職員給与・定員管理等の公表」という資料を公開している。(公式HP

 この資料によれば、平成20年の人件費は1,884億円で平成22年が1,758億円である。その差は126億円。左の内部資料に示された内の定員減23年分(21億円)を加えても147億円。まだ57億円足りない。

 財政局の「平成24年度予算編成方針」という資料も公開されている。この「別添2 収支不足への取り組み」に平成22年の人件費「定員の見直し」「その他人件費の見直し」がそれぞれ、20億円、31億円と示されている。

 この値も食違う。



 この食い違いを図示したのが次の図「総人件費10%削減についての総務局と財政局の資料数字の相違について」である。

 既に一部の人々にはご覧いただいている。その方々から指摘があった。
 人事院勧告の数字が総務局と財政局では一年ずれているのではないか。との事であった。とすると、この総務局側の資料は全て年がずれている可能性もあり。定員削減分についてもずれている可能性はある。
(このように批判的な指摘は非常にありがたい。この件については完全に私は見誤っていたので、遠慮されて指摘を受けなければ不正確な記述をするところだった。お礼を述べるとともに、その他にも批判があればどしどしご指摘いただきたいと申し述べておく。
このブログはコメントもトラックバックも開かれており、文字通り批判には「開かれている」つもりだ)


 しかし、平成20年の人件費総額が1,884億円であるならば、204億円削減されればその額は1,680億円になるべきで。平成23年の人件費支出、または一年ずれたとして平成24年の人件費支出の見通しがそうなっていれば帳尻はあう。けれども、財政局の見通しでは平成23年度が1,766億円。24年度が1,737億円となっている。

 どうにも帳尻が合わないのである。

 また、この人員削減については、職員採用を控えて、派遣社員などに切り替えることによって、人件費から物件費(派遣社員の費用は、派遣会社に支払う「物件費」扱いになるらしい)に移し変えが行われているそうだ。

 けれども、これはまだ市民にとっては良い(世間で言われる「官製ワーキング官製ワーキングプア」を作っているという意味では失政だが)
 そもそも人員を削減するということは行政サービスの質的低下であって、こんなものが行政改革とはいえない。「リストラ」といっても、本来の意味の「リ・ストラクチャリング(re-structuring)=再編成」ではなく、和製英語の悪い意味での「リストラ=首切り」でしかない。

 なので、本来「減税財源は行政改革で確保した」と言われるのであれば、どのような行政改革によって、幾ら確保したのか、河村市長に明示していただきたい。

 このブログで散々指摘してきたように、そもそも減税には経済効果など無い。逆にデフレスパイラルを悪化させる(昨日のエントリーに述べたような高邁な政治的意図があるのか?)
 また、減税財源など確保されていない。
 そして、民意と言われるが、市長選挙における争点は減税だけではなかった。
 市長選挙とその後の市議選においては、リコール署名でも訴えられた「議会改革」「市議会入れ替え」が減税よりも大きく訴えられたように思うのだけれど、違ったかね?
 何か誤魔化しを感じる。

 減税を求めるのならば、河村市長には次の3点を明確に市民に示していただきたい。

 1.名古屋市において減税に耐えうる財政的余裕はあるのか、それが行財政改革で作られたとする根拠。
(具体的にどのような施策で幾ら作られたか。
報道では財源の不足が言われている。その財源不足が経済環境を起因とするものであったにせよ、財源がなければ減税は叶わないのであるから経済環境が整うまでは減税も止めざるを得ないだろう。
それでも、減税ができるとするのならば、その財源が何処にあるのか、示す責任がある)

 2.河村市長は名古屋市の総人件費は一割削減されたとされるが、その根拠。

 3.現在の状態で名古屋市において減税をすすめよという「正しい経済学の理論」とは何か。誰の主張するどのような理論か。


 非常に単純で明白な質問だと思う。