市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

事実の提示

子ども医療費助成制度

 河村氏は最近のスピーチで「名古屋では中学生の医療費はただ、これは市議の報酬半減、6億円で実現できた」という発言をしているようだ。この制度は正式には「子ども医療費助成」だと思われる。
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000009154.html

 こちらに「平成23年度行政評価事業一覧」という資料が 公開されている。( 参照 )

 この資料の43ページに「事項番号 241」として「子ども医療費助成」が載っている。ここで一般財源からの予算が明記されている。「5,957,210(千円)」
 解りやすく書くと「59億5千7百21万円」。6億円ではない。

 市議の報酬半減で浮いた6億程度で「子ども医療費助成」制度など成り立ちません。

追記(9月10日):子ども医療費助成制度についてご指摘を戴いた。

名古屋市:平成22年度予算参考資料(修正後)(市政情報)
の「局別主な施策一覧」 (通頁34)に拡充項目として、「子ども医療助成費の助成」とあり、説明に「通院 小学校6年生まで、入院中学校 3年生まで」とある。その予定額が77億123万円になっている。(ご指摘いただいた資料はこの「修正版」の前の資料だったようで、若干数字が異なりました)

 次に、
名古屋市:平成23年度予算参考資料(修正後)(市政情報)
の 「局別主な施策一覧」 (通頁31)にも同様に同施策があり、拡充部分が通院の小6までが「中3まで」となっているようだ。更に「実施時期 平成23年10月」となっている。この予定額が85億4千87万6千円となっている。
 この両者の差額は8億3千9百64万6千円となる。


(ご指摘いただいた平成22年度修正前の場合、予定額が 78億9千3百57万4千円(7,893,574千円)であったので、差額は6億4千7百30万2千円となっていた)

 つまり、23年10月より、通院に対する助成が、小学校6年生から中学校3年生にまで拡充されたので、その追加予算が8億円強かかっている(修正前の算出では6億円強)。この部分の拡充を「市議報酬半減の6億円で賄われたとも考えられる」と述べたのではないかと言う事だった。

 修正後はご覧戴いてお判りの様に、6億円強が8億円強となっているので、いよいよ河村市長のトークは怪しい様相を帯びるが、それ以前に市長トークには問題が2点ある。

 1)比較する施策の対象期間の相違を無視している
 施策の拡充がなされたのが10月からで、年度末までの半年間の予算拡充額が6億円であったとして、施策の「半年分の執行額」を、「一年分の議員報酬削減額」と比較して意味があるとは思えない。

 2)オーバートークの問題
 市長トークでは「通院部分小6から中3への拡充に6億円(8億円)かかった」とは言っていない。あくまで「子ども医療費助成制度」の全体であるように語っている。
 本文でも述べたように「子ども医療費助成制度」全体は、市議報酬の削減程度では賄えない。

 河村氏の話にはこのような「オーバートーク」が散見される。
河村市政の主な取り組み | 河村たかし
 ここで述べられている「水道料金の値下げ」はマニフェストには掲載されていない。また、市長就任直後に水道料金が値下げできたのは、それまでの市政運営による黒字が原因であり、河村市政による影響は無い(逆に、河村市政になって上下水道事業に問題が発生しているがここでは述べない)
 また「待機児童対策の拡充」が挙げられているが、この直後に政令指定都市の中で2年連続で待機児童数日本一を記録する事になる。(施策が有効でないだけでなく、そのような事実がありながら、自身のホームページに平気でこういうことを掲載できているだけでも「無能」と言えるのではないか?)













総人件費10%削減

 減税に関する河村氏のスピーチで、減税財源が「名古屋市職員の総人件費10%削減で賄われた」というような発言がある。河村氏就任直後に幹部職員が、自分たちの人件費の10%削減を受け入れたのは事実だが、だからといって「総人件費10%削減」などにはなっていない。
 幹部職員というピラミッドの上の部分だけ削減しても、総額としてはあまり大きくならないのは理の当然だ。ところが河村氏にかかるとこの「名古屋市の幹部職員の人件費10%削減」が「総人件費10%削減」に話が膨らんでしまう。

 この話がおかしい、事実と違う。またはハッキリと嘘と判るのはこの資料だ。
"名古屋市の職員給与・定員管理等の公表 平成23年度版"

 この資料の2ページ目に非常にわかり易いグラフが記載されている。

 河村氏の市長としての采配がどの部分から影響したかは議論が分かれるだろうが、この図に載っている中で最大の差額を認める事ができるのは平成19年の1,909億円と平成22年の1,758億円だろう。この3年間での「削減率」は8%で「総人件費の10%削減」とは言えない。*1


 また、総務省には「地方公務員給与実態調査」という資料があり、それが公開されている。

"平成19年地方公務員給与実態調査結果の概要"

"平成20年地方公務員給与実態調査結果の概要"

"平成21年地方公務員給与実態調査結果の概要 <参考5−1>地方公共団体における独自の給与削減措置の状況"

"平成22年地方公務員給与実態調査結果の概要"

 この中に、「地方公共団体における独自の給与削減措置の状況」という資料が含まれている。*2













 本当に人件費を10%独自に削減している自治体もある。しかしどこに「名古屋市の総人件費10%削減」の事実があるだろうか?

中国領事館問題

 北区にあった名城住宅跡地に中国領事館が移転してくるというので問題となっている。私もあまりに敷地面積が大きすぎるとは思う。
 8月19日に「名城住宅跡地利用を考える地元集会」という会合が北区役所講堂において行われた。2月に続いて2回目となる。
 この会合においても、2月に引き続いて「外務省口上書問題」の報告は無かった。( 参照

 また、河村氏は「(中国領事館が移転しないように)様々な機会を捉えて、国に要望していく」と明言した。

 夏のこの時期に、各地方自治体から国に「提案書」というものが出されます。(「平成25年度 国の施策及び予算に関する重点事項の提案」 *3

 ところがこの「提案書」の中に、財務省や外務省に宛てた中国領事館問題の要望は有りません。それどころか「中国領事館問題」については何も触れられていないのです。

 外務省口上書問題についても河村氏は市長として何も行いませんでした。
 そして、この会合で明言した「国への要望」についても、実際には何もしていません。

 「嘘」です。

つまり、「事実の提示」として述べますが、河村氏は市長として無能で、その発言には「嘘」が含まれています。


*1:たったの2%というなかれ、未達金額は40億円になる。更に、本来なら平成20年と比較すべき(この場合の削減率は6.7%)ところを誤解の入り込む隙が無いように19年と比較している。また、平成22年度の人件費についても、物件費との差し替え部分の問題があるがそれも無視してある。

*2:22年は記載が無い、つまり「名古屋に特記すべき削減実績は無い」という事だ。

*3:ここで提示できる資料を探っていて、この話題を出すのが遅れました。提示できる代物が手に入りませんでしたが、あまり遅れるのは良くないと判断して文章だけ掲載します。