市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

極私的 NHK報道検証

 なかなか「真実」というものに出会うことができないことは判っていますし、現場に立ったり、現物を手にとったとしてもそれが「真実」足り得ないことはままある。しかし物を考えていく上で、現場や現物に近づく努力は、その課題へ挑む姿勢として必要であろうと思う。
 7月12日(というか、11日の深夜)ツイッターでNHKが名古屋市議会に対して、批判的な報道しているという投稿があった。その投稿が、おおむね常識的なその報道の受け止め方なのだろうと思われるからその方のツイートを引用しておく。

「夕方のNHK名古屋ニュースで、とうとう「自民・民主・公明」の3党が減税日本相手の政争と揚げ足取りで市議会が空転」と報道される。公正なNHKがここまで言う以上、相当酷い議事妨害活動と見ていいでしょう。市政空転の責任を3党はどう取るのか。市民の目は厳しくなっています」

 その後、横井市議のブログに同報道の抜粋が載る。
「何かおかしいNHK報道」
(タイトルが、初期の物とは異なりますが、そりゃ仕方が無いと言うよりも、この内容が本当であれば、初期の厳しいタイトルになる意味も判ります)

 この横井市議の書きお越しが本当であれば、非常に偏っている印象を持つので、確認をしたいと思い、NHKに電話してみました。午後8時を微妙に過ぎていたので名古屋のお客様窓口と思しき電話は営業終了。しかたなく東京のお客様窓口のようなところへ電話。そちらの担当者は「名古屋ローカルの放送内容については判らないので、応えようがない。明日、NHK名古屋にご連絡いただけば素材を御覧いただけるように自分が今から手配をする、明日、NHK名古屋に再度ご連絡を」との事だった。その際、NHK名古屋への連絡用電話番号も聞いた。

 そして明けて13日、NHK名古屋に電話してみると、東京からの言伝が無いとの事。その他にも色々と考えられないような不首尾も有ったのですが、これについては先方に配慮して敢えて書かずにおきます。あれこれあって午後3時にNHK名古屋の放送センターに直接伺う事にしました。

 13日、午後3時。NHK名古屋放送センター。実は私はこのビルには通っていた事もあって、ちょっと懐かしかったのですが。受付(ちっちゃくなりましたよね)に名前を告げるとちゃんと連絡が繋がっていたようで、とりあえず席に。担当者とその上席者がやってきました。あれこれやり取りをすると、当該の素材は見せられないとの事。もしも、放送事故などがあって、報道された本人が確認をしたいと言うような事でも確認はできないのですか。と聞くと、そうだとの回答。これって非常におかしくないでしょうかね?

 通常、報道と言うのは、新聞でも雑誌でもバックナンバーへのアクセスって保障されていますよね。新聞は縮尺版を出しますし、雑誌も国会図書館等に報道内容を保存します。民放は知りませんが(多分、同じなんだろうと思いますが)テレビに関してはこういった検証を拒否するんですね。つまり、「垂れ流し」なんです。
 もしも、何等かの権利侵害が有った場合、それを訴えても、彼等、テレビ放送に携わる人々は自分の正当性を立証するつもりがないのでしょうかね。

 もう一つ。民放であればまだ理解できます。しかし、NHKの放送素材って、広く国民の共有財産なんじゃないんでしょうかね?ならば、放送素材は即座に図書館等で閲覧できても当然なのではと思えます。勿論、コピーして持ち帰ったり、その素材を再利用する事まで許せといっているのではないですよ。国民が確認の為に見たいと言っているのに、その正当性の立証まで放棄して(つまり、NHKに違法性がある、または同義的に偏りがあるという前提のまま)国民の素材へのアクセスを、職員が阻止する(繰り返しますが、素材は広く国民の共有財産で有るべきで、職員はその管理者であるはずです。所有者ではありません)権利があるという彼等の主張が理解できませんでした。
 等々を縷々説明したところ、時間をくれとの事で、少々待つ事にしました。

 暫くすると、当該ニュースを作成したというデスクという方が現れました。

 素材については見せることはできないということでしたので、あれこれのやり取りの後に、横井市議のブログにある、記者の言葉としての「市議会は市民不在の足の引っ張り合いと、勢力争いに終始していたというのが率直な印象です」という言葉について、放送していたか否かを確認してもらい、(デスク氏は放送したと回答されました)この言葉についてだけ議論を展開する事にしました。

 この言葉における問題点は2つ。

 1.足の引っ張り合いと、勢力争いに終始していた。と判断した理由、根拠。
 2.この言葉自体が「印象論」ではないか。

 結局、1についてはあれこれと理由を出してこられましたが、最終的には根拠として薄弱である事は認められました。更に、「市長と市議会の対立はわかりませんが、市民と市長の関係で申し上げれば、中期戦略ビジョンを知事裁定の後も裁判所に送るという、市長の判断こそ、市民不在の勢力争いではないでか」等々、お話をするうちに、NHKとしてはバランスを取っている、この報道でも減税日本ゴヤの市議の批判も盛り込んでいる。との事でしたが、では、その素材を見せてくださいと要請しても、見せてはいただけませんでした。こういうのを自縄自縛といいますね。

 その他にも、中京都構想、議長の失言問題、地域委員会の問題等、具体的個々の話から、地方自治、地方議会の在り方まで話は広がり、結果的に2についても「印象論であったことは否めない。この『市議会』には勿論、減税日本ゴヤの市議も含まれているが、どうしてもこの場合、主語は市長と対立する既存政党の市議会ということになって、その既存政党の市議会が、足の引っ張り合い、勢力争いに終始していたという主張になってしまう」というような問題点については理解していただけたと思います。

 別に、私は訂正記事を求めるというような意思は無く、単に素材を見て確認したかっただけで、そんなものは図書館に新聞の縮尺版を見に行くぐらいの事だろうと気軽に考えていたのですが、非常に時間がかかりました。

 結果から言うと、上記引用した言葉について、放送の事実があり、それを根拠付ける根拠は乏しく、その表現としても偏りを含んでいた。上記引用の言葉に偏りがあることを、デスク氏は認めたからこそ、「他の部分でバランスを取っていた」と言われるのだろうけれども、その部分の確認を私は求めたが得られていないのでそれをそのまま信じるわけにはいかない。つまり、私の目の前には「バランスを欠いた報道をしたNHK」が残ったと言う事になる。

 デスク氏は最終的に、こういったような検証をする為にも、素材を見ていただけるような制度が必要であり、社内で検討したいとおっしゃっていました。

 また、様々な議論の中で、このデスク氏は、元国政に居た方らしく、地方議会を見るのは名古屋が初めてで、その落差に驚いた。と言ってみえましたが、他の地方議会はご存じないとの事でした。多分、名古屋の市会は、国内でも、そこそこ良い線行っていると思いますよ。その一端は、本日の中日新聞朝刊でも触れられていて、愛知県議会の委員会の在り方に疑問が投げかけられていましたね。

 また、これはこのブログでも度々触れることですが、地方政治、地方自治、地方議会において、悪戯に対立を煽るべきではない。というのが私の持論なのです。確かに、黒白をはっきりとつける事は、議会やら政治の機能なのでしょう。国政であれば構成要素に様々なレイヤー、セクターが含まれているために、否定されたマイノリティが行き場をなくすことは中々ありません。
 けれども、日々軒を接して暮らしていく地方自治やら、地方議会において、こういった先鋭的な議論は亀裂を深めるだけで、地域コミュニティを壊す要因になるだけです。
 なので、他の地方で導入されている「地域委員会」においては「選挙制度」が採られていないのですよ。等というようなお話もさせていただきました。