市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

なぜ「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」は開かれたか

名古屋城バリアフリーに関する市民討論会の配信について
・なぜ「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」は開かれたか
・浅井康正元市議の減税日本ゴヤ政務活動費に係る不当利得返還請求事件 続報

名古屋城バリアフリーに関する市民討論会の配信について

名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」の内容についての配信動画が「公開を一時停止」している。

https://nagoyajo.city.nagoya.jp/other/2023/05/20230526_4230.html
名古屋城バリアフリーに関する市民討論会の配信について | その他のお知らせ | 名古屋城公式ウェブサイト



 討論会の存在自体、内容について不透明であったもので「市民討論会終了後もご視聴は可能です」としていたものが約束が果たされていない。
 名古屋市が公開していた動画公開という約束が「一部の市民の方から不適切な発言が」あったとして配信を停止し約束が果たされなく成った。「討論会」なるものの実態が判らない。

 それを補うように市民オンブズマンが動画を公開していた。名古屋市会でも問題となり、市民オンブズマンはその議論を受けて当該不適切用語に「ピー音」を付加し公開を続けていた。名古屋市の行政執行の中で「不適切な発言」があったのならそれも含めて公開し、発言者の問題ではなく、行政の姿勢を問わなければならない。しかし、当該発言は誠に酷く、障害当事者の方々や、その家族の方々には耐えられないものでも有る。その後起こった拍手(障害者を揶揄する拍手)や無関心な名古屋市職員の姿には怒りさえ覚える。

 ここで「著作権」を持ち出して市民オンブズマンの「告発」を抑制する行為は正しくない。著作権法十三条の「権利の目的とならない著作物」として地方公共団体の発する通達その他これらに類するものは「著作権」を主張できない。これらの存在は市当局の所有物ではなく、広く市民の所有物であるからだ。

 しかし名古屋市が「著作権」を持ち出して、事実を隠蔽するのであれば、当該「一部不適切な発言」を処理(必要最小限の隠蔽にとどめ)し、即刻公的に公開すべきだろう。

 名古屋市の漫然とした隠蔽は許されない。

 現在、市民オンブズマンは、当該差別発言を黒塗りとして文字書き起こしを公表している。

http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230603-4.pdf

 問題となる発言は、PDFファイルの28頁目以降である。

なぜ「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」は開かれたか

 そもそも差別発言が飛び出した今回の「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」はなぜ開かれたのか。

横井利明名古屋市議のブログや
blog.livedoor.jp

市民オンブズマンのブログが
ombuds.exblog.jp

 その背景を浮き出させてくれている。

 結論から書くと「選挙対策」です。

 昨今、永田町に吹き始めている「解散風」に煽られて、河村たかし名古屋市長が<やっと>国政復帰する衆議院選挙の手土産にするために、名古屋城木造化を「ネタ」にしたに過ぎません。

 上記横井市議のブログによると、

観光文化交流局への聞き取りの中で、名古屋城天守閣木造復元に際し、「3月20日にはエレベーターは、1階以上には設置しないことが決まっていた」ことが明らかとなっている。しかもこの決定は所管の観光文化交流局ではなく、「上から」の指示で決められていたことも明らかとなった。

 つまり、6月3日に「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」などやったところで、名古屋市の「上」(河村市長)は1階までしか到達させない方針だった。

 当ブログでは、度々「選挙が近づくと、名古屋城問題が動いているような報道が、中日新聞に掲載される」と指摘している。

 最近では、今年の春に行われた統一地方選挙を目前に控えた3月25日の一面の報道だ。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

 でかでかと「名古屋城 木造へ一歩」などと書かれているが、実態は何も変わってなどいない。今から見ると「誤報」「虚報」と言って良い類の話ではないだろうか。

 恐ろしくシンプルな話をすると、名古屋城天守建て替えを行おうとすれば、文化庁復元検討委員会の審査を経て、文化審議会の諮問を経なければならない。(文化財保護法第百五十三条等)この内、文化審議会の諮問はセレモニー的な位置にいるが、復元検討委員会では専門的、実質的な審査が行われる。そしてその審査にかかる条件の一つは「法的正当性」である。現行法に適応しているか、適応していないとすればその合理的な理由はなにか、いたずらに文化財の改変は許されない。*1

 つまり、名古屋城天守建て替えの許可を文化庁から得るためには、現行法に準じた正当性が必要となる。河村たかしが言っていたような「建築基準法の適用除外を受ける」から、法的にいい加減な計画でも許されるというものではない。

 なので、中日新聞が「名古屋城 木造へ一歩」と書いたところで、肝心の法的条件が何も揃っていない*2現状では前に進む訳など無いのだ。なので実際には「名古屋城 木造へまた一歩足踏み」と書くのが正しい。

 選挙の前に、名古屋城木造化があたかも前進しているように見せるのは、名古屋市長としての河村たかしによる「市政」や「名古屋城問題」の政治利用でしか無い。真に受けるほうが間違い。

 まず、6月頃に岸田政権が衆議院解散に打って出るのではないかという観測が上がった。これを受けて、国民民主党大塚耕平参議院議員名古屋市長選挙に出馬の意向を表明した。(4月27日)

追記:名古屋市長の任期は本来2025年春まである。この時期に「名古屋市長選挙に出馬の意向を表明」するということは、任期以前に名古屋市長選挙が行われる。つまり、現職の名古屋市長、河村たかし名古屋市長を辞任するという見通しがあるということで、その辞任は衆議院解散を受けた、衆議院選挙出馬、つまり国政転身を行う見通しを、少なくとも大塚陣営(国民民主党)が「嗅ぎつけた」ということを表す。

 河村も、これを受けて「名古屋城計画を6月までに文化庁に提出する」事としたのだ。この計画提出は完成していなくてもいい、(いわゆる疑似餌で良い)当然、文化庁は必要とする要件が揃っていないと突き返す。これを受けて「文化庁は許せん、せっかく名古屋市民が国宝になる名古屋城の木造復元を願っているのに、難癖つけて撥ねつけやがった」と大見得を切って、「儂が東京に乗り込んで、文化庁の役人をどやしつけてやる」と、国政転身の名分に使うつもりだったのだろう。(ところで、文化庁はもう東京にはありませんけど)

 バリアフリーについて、1階までという不十分な状態であったものについても、アンケートを取り、その結果から「エレベータ設置反対意見」を募って、「懇談会」を開催し、「市民からも、エレベータ設置について、反対の意見も多数寄せられている」と書き足すつもりだったのではないかとも推測される。今までもバリアフリーのための「意見交換会」などは行われていたので、その逆を行おうとしたようだ。当初はアンケートも、懇談会の内容も(というか、開催自体)内々に処理するつもりだったようだ。ところがそれを聞きつけた河村市長が、マスコミにリークしてしまって、内々に開かれる予定の意見聴取の予定が狂い「市民討論会」などという馬鹿げた会合に成ってしまったということだ。

 そもそも公共施設のバリアフリーについて、市民が「討論」するのが間違っている。

 公共施設のバリアフリーは有って当たり前、その実態調査のために名古屋市でも交通局などが実施する当事者の方たちからの意見聴取ということはあっても「討論」してバリアフリーを後退させるなどという話はあり得ない。

 当局が進めようとしていた「昇降技術の適用を部分に留めた理由として、市民より昇降機の設置についてカクカクシカジカの意見が多数寄せられている」と書こうとした「意見聴取の会」をぶち壊したのも河村たかしで、その為に結果として「差別の城・名古屋城」「障害者差別の街・名古屋」の烙印を自ら求めて押されに行ったのも河村たかしということになる。なんとも愚かなことと言う以外にない。

 結論として、河村たかしは自らの国政転身、衆議院選挙出馬のための知名度獲得、名分獲得のために、中身のない文化庁との対立(あくまで名古屋城木造化など言い訳に過ぎない)を作り、あまつさえ障害者差別を助長しようとしたのである。

 河村たかしにおいて「障害者差別を助長などしていない」と反論を言うのであれば、
 令和4年12月7日提出の「名古屋城天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」からの抗議文に対して、明確な回答を示すべきであるし。

 日弁連が10月24日に提出した「名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)」に対しても、真摯に回答対処すべきだろう。

 中日新聞はいい加減に目覚めないと、コレとどこまで泥沼に嵌るつもりなのだろうか。

○6月10日(土)午後2時00分
名古屋城天守有形文化財登録を求める会
peraichi.com

月例勉強会(市政資料館 第4集会室)
参加自由、参加費無料

○6月13日(火)10:00~12:00
差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(名古屋市役所前)
dpi-japan.org

○6月14日(水) 午後1時
  総務環境委員会「本市における人権に対する認識等について」

○6月15日(木) 午前9時30分 
  財政福祉委員会「障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について」
https://city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html

追記(6月10日):
中日新聞が、「【独自】名古屋城天守、昇降機の結論先送りへ 名古屋市は討論会の対応を優先」と報じている。
www.chunichi.co.jp
つまり、12日の名古屋市の全体会議(有識者会議)でエレベーター問題の結論を得て、文化庁に6月中に基本計画を提出する*3方針であったものが、提出をしないという事となった。

しかし、この記事は「中日新聞の詐術」と言えるものだ。
これを読んだ名古屋市民は必ず誤解する。
「当初は十二日の有識者会議に最終計画を示して了承を取り付けて文化庁に提出する予定だった」
「三月の有識者会議でおおむね了承された計画案」
と書かれた「有識者会議」は名古屋市有識者会議である。

有識者会議 | 有識者会議 | 名古屋城公式ウェブサイト

記事の最後に書かれている。
文化庁は市の計画を受けて有識者会議を開き、着工の可否を判断する」
とする「有識者会議」は文化庁の「復元検討委員会」のことであり、左記の「有識者会議」とは異なる。

文化庁復元検討委員会 「現名古屋城天守閣は戦後都市文化の象徴」 : 市民オンブズマン 事務局日誌

「三月の有識者会議」と、「文化庁は市の計画を受けて有識者会議を開き、着工の可否を判断する」などという言葉を並べれば、着工の可否が遅れているのが、「文化庁有識者会議」の議論が進んでいないからと受け取れる。

事実は、名古屋市の計画は文化庁に届いていない。(「箱根の山を越えていない」ではなく、「関ケ原を抜けていない」とでも言うべきだろうか)

それどころか記事にある「最終計画を示して了承を取り付け」などとする「最終計画」など無い。まだ全然その段階に至っていないのだ。


追記:名古屋市の障害者施策協議会が16日に開かれた。元々予定されていた協議会で障害者基本計画などを議論する予定だったものが、「討論会」における差別発言に関する議題が追加された。

mainichi.jp


協議会会長の瀧誠・愛知淑徳大教授の発言として「『バリアフリーを市民に決めさせることが一番の問題』と、討論会の開催自体に疑問を投げかけ」たそうだ。

 河村たかし市長にも批判の矛先が向かった。討論会後に不適切発言について記者に問われた河村市長が「市民による発言は自由が原則」などと述べた点について、障害者団体のメンバーから「障害者や差別についてどこまで理解しているのか」と批判が上がった。


 こうした指摘に対し、名古屋城総合事務所の上田剛所長は「知見が不足していた」と謝罪。「立場上申し上げづらいが、(河村)市長の日ごろからの言動に、私自身も非常にじくじたる思いを持っている」と胸の内を吐露する一幕もあった。


問題の根源はハッキリしている。河村たかしの存在である。


浅井康正元市議の減税日本ゴヤ政務活動費に係る不当利得返還請求事件 続報

すでに、市民オンブズマンが報告されていますが。
ombuds.exblog.jp

6月8日に第6回公判が行われました。

 前回までのあらすじ

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

 当時、名東区選出の減税日本ゴヤ所属の浅井康正名古屋市議が、令和2年(2020年)8月に名東区に広報紙を配布した(A3版、A4版の2回)として、1,132,065円の政務活動費を支出しているが、名東区の複数の市民より「そんな広報紙は見ていない」との報告を受けてご本人に公開質問状を送ってみた。しかし満足な回答が得られなかった。(印刷、配布を示すエビデンスは何も示されなかった)

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

 仕方がないので住民監査請求を提起。
 しかしポンコツな住民監査では事実は得られず。

<ここで、住民監査をポンコツとする理由>
1.後に住民訴訟において「領収書」とは認められなかった「領収書(控)」のコピー(収入印紙未添付、発行責任者不明)を「領収書」として認める不正
2.更に、その「領収書(控)」を住民(つまり私)に開示せず
3.A4版領収書は「両名印刷」と明記されているにも関わらず、提出されたA4版広報紙の様態は片面印刷。この齟齬について追求の形跡なし。説明の齟齬を見逃している。
4.判例の誤用
5.印刷業務に関するエビデンスの不在を見逃し

仕方がないので住民訴訟に移行。

浅井康正元市議は、瀬戸市の水野昇氏(水野プランニング)に当該広報紙の印刷と配布を発注し、政務活動費は 水野プランニング発行の領収書によって支払われている。

浅井康正元市議は、広報紙の印刷は水野プランニングにおいて行われ(監査における回答)、配布は株式会社ポトスが再受注していると説明している。

住民監査において、この株式会社ポトスの発行した「領収書(控)」が提出され、これが再配布の証拠として採用されたが、住民訴訟では領収書とは認められず。

株式会社ポトスが業務を受託した証である「領収書」を求めたところ「受領証明書」(発行日2022年9月5日、つまり訴訟提訴後!)やら「入金伝票」などの法的位置づけが不明の書面が提出され、法的に支払いを明かす「領収書」は提出されないまま。

この場合、水野プランニングにとっては、株式会社ポトスの領収書は自身が受け取った配布代金の原価を明かす書面であって、これがなければ、水野プランニングは、自身が発行した領収書(つまり受け取った配布代金)が、全額粗利益として課税対象になってしまう。その為、再発注した株式会社ポトスの領収書を、水野プランニングは少なくとも7年間保存しておく義務がある。(法人税法150条の2、同施行規則59,60)

また、上記のように印刷に関しては水野プランニングにおいて行われたものと説明されていたが、実は印刷も再委託されていたと供述が変遷する。

その印刷についても再発注が行われた根拠は何も示されていない。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

水野プランニングが、自身が受け取った株式会社ポトスの領収書の提出を拒むのであれば、仕方がない、水野プランニングの所在地、瀬戸市を所管する「尾張瀬戸税務署」に水野プランニングの売上申告及び原価、経費の申告状況を開示してもらう以外無い。これが 尾張瀬戸税務署に対する「調査嘱託申立」である。

これは、今のところ却下されている。

しかし、水野プランニングに裁判所から直接、当該広報紙の印刷、配布を再発注した証となる領収書等の開示を求める「文書送付嘱託申立」は送付された。

この裁判所からの依頼に対して、水野プランニングから(A3版に関して)「御見積書」「請求書」「納品書」の3枚が提出*4され、それについて補助参加人弁護士より「準備書面3」が提出された。*5

面白いことに、水野プランニングから再委託された印刷業者、配布業者が発行した、「領収書」は提出されず、再発注の代金支払いが発生した証拠は一つも提示されていない。

もう一度繰り替えますが、水野プランニングからの 再発注に係る代金支払いが発生した証拠は一つも提出されていません。

更に、上記市民オンブズマンが報告されていますが。
ombuds.exblog.jp

水野プランニングから提出された「御見積書」「請求書」「納品書」はA3版のものだけで、A4版について、水野プランニングは「認識していなかった」(なんで?自分のことなのに?)のではと、被告弁護士(名古屋市側弁護士)から指摘があった。この指摘が減税日本ゴヤの代理である、補助参加人弁護士から為されたものでないところも味わい深い。

さて、上に述べたように「水野プランニングからの(印刷、配布業務の)再発注に係る代金支払いが発生した証拠は一つも」提出されて居ない上に、これら「御見積書」「請求書」「納品書」にも疑問がある(今はまだ明かせない)ことから、印刷された広報紙受取人、広報紙配布業者、委託業者Aこと、水野プランニング、水野昇氏、及び浅井康正元市議ご本人に対する証人尋問申出書を提出いたしました。

名古屋市減税日本ゴヤ政務活動費に係る不当利得返還請求事件」事件番号「令和4年(行ウ)第36号」

次回公判は7月26日(水曜日)午後3時30分
名古屋地裁11階、1102法廷です。

どなたでも傍聴できます。


*1:この審査の対象は、正確には「特別史跡名古屋城跡」に対してなされるもので、城郭や縄張り、天守台石垣を含む石垣や堀に対するもので、名古屋城天守建物自体は対象とならない(文化財ではない)。それで幼稚な河村たかしは「名古屋城天守先行解体」を持ち出したのだろうが、文化庁は却って構えて、史跡全体に係る工事であるならば、一体的な基本計画を求め、先行解体案は門前払いを食った

*2:消防「設備」は整っているという反論が来るかもしれないが、肝心な消防長の同意は得られておらず、避難計画も確定していない ーできないのだが、理由はここには敢えて書かない、当ブログを隅から隅まで読めば自ずと分かるー

*3:上に書いた通り、この提出はあくまで「選挙目的」

*4:発行業者名は黒塗りされている。配布については株式会社ポトスと公表しているにも関わらず、印刷業者を黒塗りにする理由については不明であり、一貫性がない。浅井市議などは、自らの選挙公報で「政務活動費の全面公開」と黒塗り批判を繰り返していたのに、自身の話になると、黒塗りを行う。あ、だから落ちたのかね

*5:内容は殆どない