市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

河村城は嘘の塊なので、問題はバリアフリーだけではない

 私は名古屋城木造化は実現不可能であると思っている。財政的な問題も解決着いていないし、石垣の構造の問題や耐震性能の保証も課題だ。

名古屋城木造化979億円

 そもそも設計段階で不特定多数の入場者を迎え入れる法的安全性の担保がない。
 名古屋市は「日本建築センターの評定を受けています」と説明しているようだが、その中身は黒塗りで不明だ。

http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200318-2.pdf

 こうある「(略)本委員会は、下記について提出された防災計画書(資料別添)に基づき、申し込みの範疇において「新・建築防災計画指針」に照らし、火災時の避難安全性能に関する検討を行った結果、下記7に示す前提の下に妥当なものと判断します。」とある。

 そして、「7.評定の前提」はあちこち黒塗りに成っているが。
1-1 在館者密度の制限
1-2 安全な避難経路の確保(特に、③と④は重要と思われるが黒塗り)

2-2 歩行困難者、逃げ遅れ者対策

 どうにも不穏なものを感じずには居られない。

 そもそもこの「日本建築センターの評定」というのは、この後に国土交通大臣の認定を受けてはじめて「法同等の安全性がある」と言えるらしく、名古屋市はこの大臣の認定は受けないとしている。

 今日特に取り上げたいのは2月17日に行われた名古屋市有識者会議、「天守閣部会(第27回)」会合の議論だ。

表題

https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/5af8f984a5983ae90e210bcacc897d0c.pdf

基本計画(目次)

 この中に「木造天守整備基本計画(目次)[案]及び進捗管理表」というページが有る。私が名古屋市と裁判をやった際に「名古屋市は基本設計で作成するはずの基本計画ができておらず、基本設計業務は完了していない、完了していない業務に代金を支払ったのは違法である」と訴えた、基本設計で作成すべき「基本計画」なんだが、今に至ってもまだできていない。これを見ると、私達が裁判に負けた理由がわからない。

 まあ、それは良いとして。

 「⑤バリアフリー」は「次回以降」ということに成っていて、これがこの15日に話し合われる予定だったものが、流れたわけだ。

 ここに「新規」として「③防災・避難計画」がある。「23/2/17」で取り上げる予定なのだろう。

 対象となるドキュメントはPDFでいうと14ページになる。欄外の番号でいうと「8-7」となっている。

日本建築センター

 ここに「既に第三者機関である一般財団法人日本建築センター(BCJ)及び消防設備安全センタ-の審査を受け、評定書が発行された防災・避難計画の概要を以下に示す。」とある。

 上の日本建築センターの評定書では黒塗りばかりだったが、こちらで概要は掴めるかもしれない。

 と、早速恐ろしいことが書かれている。

避難路

「大天守からの避難経路は、橋台・小天守地階を経由して、地上へと避難する経路1ヶ所のみとなる。」

建築基準法施工令12条で求められている「二方向避難路」が確保されていないと明記されている。

日本建築センターの評定によると「二方向避難路」が確保されていないと指摘されているのだ。

これでは危険極まりない、名古屋市の基本計画では「上記課題に対し次の対策1~5を講じ、対策の効果を避難計算等により検証し、観覧者が安全に避難できることを確認した。」と二方向避難路の問題に対策を行ったと言っている。

では、順に見ていこう。

■対策1 避難安全性の確保
・入場する人数に上限を設ける
・3階から4階の間に階段を1ヶ所付加する
・入場制限を行い避難可能人数を超えないようにする
・小天守も入場制限

・・・「二方向避難路」の対応は無いねぇ

■対策2 出火防止・初期消火
・大・小天守各所に煙感知器等を配して火災の早期発見に努める
・開館時間には、適所に係員と消火器・屋内消火栓を配置
・夜間や休業日には監視カメラによる遠隔からの監視
スプリンクラーや屋内消火栓等を付加

・・・「二方向避難路」の対応は無いねぇ、ちなみに「スプリンクラー」については消防から「そんなもので火が消えるなと思うな(大意)」と指摘を受けている。

■対策3 火災被害拡大防止
スプリンクラーが作動しても、発生する煙が避難や救助に支障を及ぼす

・蓄煙や自然排煙を行う

・・・え~っと「二方向避難路」への対応は?

■対策4 安全な避難経路の確保
・板壁や板戸もしくは感知器連動で自動閉鎖
・煙に汚染されない避難経路を確保

・・・あの~「二方向避難路」への対応は?

■対策5
・5階に救助袋式避難ハッチ設置

・・・5まで見ても「二方向避難路」への対応は何もない!

対策1から5

指摘されていたのは「大天守からの避難経路は、橋台・小天守地階を経由して、地上へと避難する経路1ヶ所のみとなる」から「上記課題に対し次の対策1~5を講じ」るんじゃなかったんですか?

河村市政にありがちなんですが、最初に言っていることと、最後のオチが異なる。
気を付けていないとこの詐術にハマってごまかされる。

名古屋城天守木造化の基本計画においては「二方向避難路」の問題は何も対策されておらず、建築基準法施工令12条違反である。

 これは単なる法令違反という問題ではない。

 度々起こるレジャービルや、マンガ喫茶などの多数の死傷者を発生させる火災や、まだ記憶に生々しい「京都アニメーション」における放火事件。被害の広範な火災が起きる時、この「二方向避難路」の問題が存在する。レジャービルや、マンガ喫茶などにおいて無責任な経営者が違法な改造を行い、結果として避難路を失った客や従業員が煙に巻かれて亡くなる。そんな事例はいくらも見聞きする。こうした無責任な経営者と、名古屋市が同じレベルとは呆れる。

 名古屋城天守が燃えれば、滞留来場者は2500人程度見込まれる。

 名古屋市の職員は、バカな市長がいえば、こんな危険な計画を前に進めようとするのか?

 来場者の命をどう思っているのだろう。

 名古屋市の消防長は、こんな危険な建物に同意を行えるのだろうか。
 この避難路で命を落とすのが、自分の部下かもしれないのに?

 それは無垢の観光客、来場者のための犠牲ではない、あの無責任でバカな市長の為の犠牲なんだ。

 それだけは止めよう。

 なんとか事業を止めるか、河村を辞めさせよう。

追記:12日の有識者会議に提出された「地上からのスロープ」について、有識者は了承したそうだが、そのスロープが「二方向避難路」により一層の困難を突きつけている。果たして本当に解決は付くのだろうか。

名古屋市はどこまで人命を軽視するつもりなのだろうか。


 さて、6月13日には

www.dpi-japan.org

差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(主催:名古屋城木造天守に EV設置を実現する実行委員会)が午前10時から名古屋市役所前で行われます。


名古屋市議会においても
名古屋市:委員会の開会日程(予定)(市会情報)

6月14日(水曜日) 午後1時から、総務環境委員会で「本市における人権に対する認識等について」

6月15日(木曜日) 午前9時30分から、財政福祉委員会で「障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について」
及び、午後3時30分から、経済水道委員会で「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について」が議題とされています。

また、名古屋城天守有形文化財登録を求める会としても「名古屋城天守木造化事業に対する申入書」を提出する予定です。内容については、後日。