市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

インチキは見破れ

COVID-19 に絡んで、あれこれ言うつもりはないと言った。
今でもその気持には変わりないが、2つだけどうしても言っておきたいことがある。

今、現場で苦労されている方々の足を引っ張るような話ではない。(とおもう)
また、あやふやな情報で恐慌を煽るような話でもない。
しかし、その逆に同じ様にあやふやな情報による「誤った安心」については否定する事になるかもしれない。

まず、昨日の参議院予算委員会をぼんやりと流して音だけ聞いていたなかで2つ心に残った事がある。

一つは、蓮舫委員が指摘した「歴史的事象が起こっているんだから、現在の政権が決定したことなどを絶対に公文書に残しておいてほしい」との訴えだ。

私は、安倍政権が打ち出した全国一斉休校という「要請」は、そこそこ当たっていると思っている。
というのも、そもそもこの COVID-19 は、どの様に感染していくのか、まだはっきりと分かっていない。

プラスチックの板の上に置いて、室温20℃の環境で9日間残留したという話もあり、飛沫に紛れて飛散するという事もあるようだ。
どのような性格を持ったウィルスであるのかわからない以上、正確な対応も判らない。

今はとりあえず人と人の接触を減らす以外にない。

そうはいっても、最終的には40%~70%の人々が感染するだろうと言われている。
感染を遅らせて、医療崩壊が起きないようにする以外にないだろうし、重篤化すると言われている、高齢者や既往症のある方に対して、効果的な治療法が確立するまで感染の拡大を抑える以外にない。

学校を止めるぐらいなら、「企業活動を止めるべき」とか「公共交通機関を止めるべき」という話もあるが、そうした事にしても社会を歪ませる事には代わりはない。煽りを食うのが、企業ではなく、子どもを持つ家庭であるという事はその通りだが、そこは仕方がない。現政権は子育て家庭よりも、企業の意向が反映される利益代表なのだから。子育て家庭や若い世代が、生活者を支える利益代表を選んでおけば、この選択は変わっていたのだろう。(只今でも遅くはない、ごねまくり補助金や対策費を獲得すべきだ。政治とはこうした社会的リソースの奪い合いなのだから。その獲得合戦を諦めたセクターは、どんどん割を食う羽目に陥る)

しかし、決定過程に問題がないとも思わない。
学校を停止して、人の接触を断ち切るというアイデアを、もう少し早く、専門家会議の前に思いつき、その場で提示できていればもうちょっと「揉み込んだ」施策になった可能性もあるし、整合性の取れた基本方針になったかもしれない。なぜ、専門家会議に提議できなかったのか、その判断の遅さと、専門家会議への参加態勢は後日、歴史の評価を受けなければならないだろうと思われる。

そのためにも、蓮舫委員の言うように、公文書を残すことは大切だ。

もう一つは、PCR検査を保険適応にすることや、民間企業が受け入れるという話になっていたが、それでも600件(一日の処理件数だろうか)程度しか増えないという事を聞いて失望した。

確か、一昨日だか、安倍首相が記者会見を行って、希望する国民には全て検査を受けられる体制を整える。と大見得を切ったはずだったが、全国でまだ4000件程度しか受けられないということで、オーダーが違う。

本当に、自衛隊のBC戦部隊とか展開できないのだろうか。

医師会だか感染症学会だかが、米国CDCを見習った検査体制の拡充を求めていたが、CDCの職員が1万5千人に比べて、日本の感染症研究所の人員数が約300人とは、あまりに情けない。

公務員を削減し、歳出を削減し、小さな政府を求めていた結果がこれだ。

本当に日本は、貧しい国になった。

残念ながら COVID-19 の流行は国際的に広がり、その試薬や検査機器(増殖器具)は国際的な奪い合いになってしまうだろう。
備えておかなかった「平和ボケ」の国は、こうした競争にも対応できないのかもしれない。

こうした検査体制の不備を主張すると「PCR検査は正確性に欠ける」とか「不正確な検査を行うことで却って感染が広がる」「医療崩壊が起こる」という主張がある。

しかし、COVID-19 (ウィルスとしては、SARS-CoV2)の診断には、PCR検査が最も基本的な診断であって、それに併せて胸部CTを撮ることで、信頼性の高い診断もできるようだ。

https://www.sciencedaily.com/releases/2020/02/200226151951.htmwww.sciencedaily.com

さて、そんな感じで国会審議を聞きながら、家でゴソゴソ作業を行っていたところ、ツイッターである動画が紹介されていた。

ちょうど、質問内容が面白くなくなってきたので、この動画も再生しながら相変わらずゴソゴソしていた。

www.youtube.com

その内容というのが、やはり政府におけるPCR検査の不備を主張するヒトの主張(ツイッターコメント)を論って批判するという内容であって、最終結論は「PCR検査なんぞ信頼性も低いんだから、そんなものを揃えられなかった政権を批判しても仕方がない」というようなものだった(正確な表現は聞き間違えているかもしれないが)

典型的な「藁人形論法」である。確かに、話者が取り上げていたツイッターのコメントは基本的な用語の取り違いがあり、これが専門家であれば恥ずかし事柄だろうが、何分ツイッターでの事なので、暗算を間違えたってだけではないのかとも思うし、そもそも、そうした個人が間違えたからと言って、PCR検査そのものの有効性が否定されるわけではない。そして、有効な検査を展開できていないこの国は、やはり備えに不備がある。

ツイッターでこの動画を紹介していたヒトに、こういった事を反論してみた。
そうしたところ、動画の趣旨を取り違えているのではないか、動画と同様の内容がこちらにもあるので見てみてと言われた。

gendai.ismedia.jp

やれやれ、「数字は嘘を言わないが、嘘つきは数字を使う」という典型だ。

3ページ目の「『できる限りたくさん検査』は悪手だ」からが議論の対象となる。(1,2ページ目の主張には異論はない)


まず、基本的な話として、この高橋氏の論考も、上氏の主張も、推測の上の議論である。
ベイズ推定のような体裁をとっているが、 COVID-19 については、「事前罹患率」も「感度」も「特異度」もまだ得られていない。
中国における8万人程度のデータが整理されているが、武漢や周辺地域でもデータの傾向が異なり、統計的有意性を得られていない。

なので、上氏の統計学に対する理解度という論点でなら、高橋氏の論考も意味があるかもしれないが、個人のスキルを論点にして意味があるのだろうか?

そもそも、高橋氏の推論も間違っている。

この文章中、上氏の主張を展開して、1万人、罹患率20%の場合の陽性適中率は63.6%である。(これは高橋氏の言う通り、上氏の取り違えだろう)しかしそれを展開して罹患率2%の集団に当てはめると「陽性的中率はわずか12.5%である」と指摘し、

「これでは検査ミスによる再検査などが続出して、本来の医療もできなくなり、医療崩壊につながるリスクが出てくるのだ」
と議論が展開され、「PCR検査を際限なく行うと、検査ミスによりますます不安を煽るとともに、医療崩壊にもつながりかねないということをマスコミはもっと伝えるべきだ」つまり、「PCR検査は誤判定も多い」という主張になるのだろうが、これってベイズ推定を使う時に素人が引っかかる単純なミスで、そういう意味では「この種の話は、統計学入門で教える内容だ」「こうしたミスは専門家ならやらないものだ」

何故か。ここからは数式が飛び交うのですが、できるだけ簡単にします。中学校の数学レベルで十分理解できる内容です。

f:id:ichi-nagoyajin:20200303215637j:plain
パターン1(罹患率20%)

高橋氏の作った図の各事象に a、b,c,d の記号を振ります。

高橋氏は検査を受ける全体(母集団)を一万人としている。
そのうち、仮に罹患率を20%として推論を進めている。
罹患率を e とします。e = 0.2 )

「感度」というのは「陽性」(罹患者)を検査でどの程度正確にあぶり出せるかという比率だ。
検査を受けた全ての罹患者の内、正確に陽性を当てられれば比率は高くなる。
図では、a と c が罹患者にあたり、その内の a が正解となる。 a/(a+c)
これを上氏は70%程度であると推定している。
(感度を f とします。f = 0.7 )

感度 - Wikipedia

「特異度」というのは、罹患していないものを正しく陰性と判断する比率となる。
図では b と d が非罹患者となり、dと判定した比率となる。 d/(b+d)
これを上氏は90%程度であると推定している。
(特異度を g とします。g = 0.9 )

特異度 - Wikipedia

この図は左右を罹患者、非罹患者に分け、上下を検査結果の陽性、陰性に分けているので、
「感度」と「特異度」は、「縦の関係」を決めていることになる。
また、罹患率(図の右と左)の比率も決めている(e= 0.2 )

ここで、高橋氏が問題としていた「陽性適中率」というのは、上の段。
陽性と判定された中での的中率ということになる。

つまり、

陽性的中率 = a/(a+b)だ。 ・・・・(式1)

さて、もう気が付かれた人もいるかも知れない。

そもそも a の値はどの様に求められたのか。
母集団の一万人から、罹患率(e = 0.2 )をかけて、そこに感度(f= 0.7 )をかけたものだ。

a = 10000 × 0.2 × 0.7 = 1400

図と同じ値になりますね、式にするとこうなる。

a = 10000 ・e・f ・・・・(式2)

(煩雑なので、×を中点「・」で表します))


図の右側、非罹患者は罹患率(e = 0.2 )の余事象( 1 - e = 1 - 0.2 = 0.8 )になる。
これは

10000・( 1 - e)= 10000・( 1-0.2 )= 10000 ・ 0.8 = 8000

更に、この中で b は陽性と誤って診断されたわけで、特異度「g」の余事象となる( 1 - g)

b = 8000・( 1 - g)= 8000・( 1 - 0.9 )= 8000・ 0.1 = 800

図と同じ値が得られました。式を確認すると次のようになる。

b = 10000・( 1 - e)・( 1 - g) ・・・・(式3)

高橋氏の言うように、この場合の「陽性適中率」は

a/(a+b)= 1400/( 1400+800 )=1400/2200 = 0.6363

となる。


陽性的中率の(式1) a/(a+b) は

(式2)と(式3)で表すことができる。

陽性的中率
 =10000・e・f/(10000・e・f+10000・( 1 - e)・( 1 - g))

・・・・おわかり頂けますか?

主張の根拠である「陽性的中率」は、議論の前提として置いた、
e(罹患率)、f(感度)、g(特異度)で表すことができる。

追記:
メールを頂いた。この式が一番重要。
この議論では、高橋氏は「陽性的中率」が激減することをもってPCR検査の無効性を訴えているけれども、彼が示した「陽性的中率」の激減は、上記3つの値から算出されたものであって、その内f(感度)、g(特異度)が固定であれば、e(罹患率)の比率で変化するに過ぎない。そのe(罹患率)も好き勝手に変化させることができれば、何でも言える。試しに e が100%である場合や 0.01% なんて場合を試算されれば判りやすい。

そして、この罹患率も感度も特異度も実際の COVID-19 にもPCR検査にも関係ない、上氏と高橋氏の間の議論のための前提でしかなく、全く架空の話でしか無い。

f:id:ichi-nagoyajin:20200303215739j:plain
パターン2(罹患率2%)

なので、今、e(罹患率)が2%になった場合、上の式が

10000・0.02・0.7/(10000・0.02・0.7+10000・( 1 - 0.2 )・( 1 - 0.9 ))
= 140/( 140 + 10000・( 0.98 )・( 0.1 ))
= 140/( 140 + 980 )
= 140/1120
=0.125

となっても、議論の前提(罹患率)を勝手に変えて、結論が勝手に変わっただけに過ぎない。

「この種の話は、統計学入門で教える内容だ」「こうしたミスは専門家ならやらないものだ」

「PCR検査は誤判定も多い」とは、この論証では言えないだろう。

高橋氏のいう陽性的中率が 63.6 %から 12.5 %に落ち込んだのは、PCR検査の実態ではない。(あくまでここに並べられたものは推定値だ)高橋氏自身が設定した罹患率の変化が、この的中率を減らしただけであって、議論の対象は高橋氏自身が設定した前提であって、それ以外の何も言ってはいないのだ。

まるで、自分の尻尾を追いかける犬みたいだ。



こんな主張もされていた。

academic.oup.com

追記:
当該文書の結論部分を訳してみた。
Google による機械翻訳を掲載しておく。(こちらのほうが公平性があるように思えるし、十分理解できるでしょ。

In conclusion, the cruise ship conditions clearly amplified an already highly transmissible disease.
R0*1 is related to population density, and is particularly driven by contact rate and mixing effects,
and this explains the high R0 in the first weeks before countermeasures were initiated.

Population densities and mixing need to be taken into account in future modeling of the COVID-19 outbreak in different settings.
Early evacuation of all passengers on a cruise ship

  • a situation with confined spaces and high termixing-

is recommended as soon as an outbreak of COVID-19 is confirmed.


(google 翻訳 ( https://translate.google.co.jp/?hl=ja&tab=TT )による機械翻訳)

結論として、クルーズ船の状態は、すでに伝染性の高い病気を明らかに増幅しました。
R0は人口密度に関連しており、特に接触率と混合効果によって決まります。
これは、対策が開始される前の最初の数週間で高いR0を説明しています。

異なる設定でのCOVID-19アウトブレイクの将来のモデリングでは、人口密度と混合を考慮する必要があります。
クルーズ船のすべての乗客の早期避難 - 限られたスペースと高いターミクスの状況 - COVID-19 の発生が確認され次第、推奨されます。


即座にこう返してみた。


まあ、私は全てを学べと言いたいけどね。
少なくとも「恥」は知らなければね。

追記:
上記のクルーズ船の検証でもそうだが、人と人の隔離をすすめる以外にない。
現在は「自宅療養」を進めているようだが、生ぬるい。

藤田医科大学が引き受けられた新築病院の先行利用という判断は誠に立派だ。

それで思い出したのだが、東京にはこうした新築の居住空間がある。

オリンピック選手村だ。

ここに陽性反応者、及び感染が疑われるものは、バンバン移っていただくべきだろうと思う。

該当者にしても、オリンピック選手村に滞在できるのであれば、ヒトによっては喜んで隔離されてくれるのではないだろうか。(インセンティブを作らなければ該当者は逃げるだけだ)

仄聞するに、オリンピック選手村のベットは紙製だそうで、消毒しなくても、破棄して再生処理してしまえば除菌もできるのではないのだろうか?



追記(2021年5月24日):

datsuaikokukarutonosusume.blog.jp




<< 大切なお知らせ >>

北区の生涯学習センターで開催予定のお城の会月例会

http://bit.do/Ncastle

peraichi.com


3月11日(水) 18:30~

は、COVID-19(新型コロナウィルス)防疫に伴う施設の使用制限に伴って
行わないこととなりました。3月11日 の月例会は行われません。
4月11日 は予定通り行います。



世界各地の COVID-19 感染状況表示ダッシュボード

arcg.is


第33期 「2019-nCoV-新型冠状病毒全球简报」- 2020.03.03

(No.36 COVID-19 グローバルブリーフィング - 2020.03.03)

https://github.com/Academic-nCoV/2019-nCoV/wiki/Academic-nCoV-Daily-Report-2020.03.03 github.com


Coronavirus and the race to distribute reliable diagnostics / nature biotechnology 2020/2/21

www.nature.com


www.who.int

academic.oup.com
i/10.1093/clinchem/hvaa029/5719336

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