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一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

河村「マニフェスト」

名古屋市市長選挙に向けて、河村市長の「マニフェスト」が提出された。

2017年市長選挙 第1次確定マニフェスト 河村たかし 庶民ファーストナゴヤ

2017年市長選挙 第1次確定マニフェスト 河村たかし 庶民ファーストナゴヤ

平成29年 市長選挙 第1次確定マニュフェスト

相変わらずの調子だが、内容については、後に触れる。

2013年市長選マニフェスト(解説付き)

2009年河村たかしのナゴヤ政策「庶民革命・脱官僚」

その前に、本日の中日新聞。市民版に掲載された「内堀外堀」の署名記事「見込みの甘さ」に注目したい。

(略)初当選した河村市長は2009年9月、(陽子線ガン治療施設の)開設8年目の患者数を年800人とした市の試算を疑問視し、「事業計画の採算見通しが甘い」と指摘。工事を三ヶ月半止めたため、業者が増加費用約三億八千万円の支払いを求めている。
 先日、名古屋城天守閣の木造復元関連予算案が市議会で可決された。約十ヶ月間の議論で、議会が最も問題視したのが入場者見込み。市は年三百六十六万人が四十五年間続くとしたが、議会は「見通しがあまい」と追求した。
 市長が力を入れる木造復元事業。入場者数見込みの甘さを指摘されても、「世界中からどえらい人が来る」ばかり。七年前は患者数の見込みの甘さを訴え、工事まで止めたのに。市長選では、ぜひ明確な説明を期待したい。

公開されたマニフェストを見てみよう。

4.どえりゃあうれしい庶民の経済
(略)
(2)減税による経済循環と可処分所得アップ
 マチづくりと一緒に中小企業のオヤジを助ける。
(3)名古屋城木造天守閣を引き金にナゴヤの経済を盛り上げる
 現在よりもさらに、予想年間約100億円の経済効果。
(4)名古屋城寄付金プロジェクト
 旧金鯱行脚、撮影権、年間パスポートや取り壊した旧天守閣解体グッズなどの活用。
 (略)

 2009年のマニフェストの説明では「減税政策が決定的にナゴヤの経済を盛り上げる」という説明があった。実際はどうだっただろう。

 河村流減税政策は地方自治体の歳出削減も同時に行われる。歳入を縮小させ、歳出も縮小させるのが河村流減税である。つまり「経済循環」自体を縮小させるのが河村流減税政策の正体であり、正しい経済学的結論だ。つまり、インフレ期、過剰流動性の認められる時に、加熱した経済を沈静化させるためには経済政策のオプションとしてはありうるが、現下のデフレ期にはそぐわない。つまりマニフェストにあるように、河村流減税政策では「経済循環」はアップしない。

 そして注目していただきたい。河村氏の発言や文書が「判りにくい」理由がここにある。
経済政策の議論をしている時になぜか「マチづくり」が唐突に提示され、「中小企業のオヤジを助ける」というすり替えられた結論に着地する。この根拠もなく、意味もない単に「ポジティブ風」の言葉で何か言っているつもりになっているが、実は何も言っていない。これは有権者、聴衆をミスリードするものだが、多分、河村氏本人も意識していない。衆議院議員16年、市長8年の「税金を食って極楽生活」を続けている間に、こうした思考方法が固着してしまったのだろう(テレビ芸人としては、こうした論理性の無さが議論を混乱させ、フェードアウトを誘発する役回りになっていたのだろう)。彼は最早困難な論理的思考ができなくなっているのだ。(と、こうやって指摘すると、半笑いになって「そんなことニャアですよ」というが、では、反証をと求めて、反証が論理的に成立したタメシがない)

 それはともかく、天守閣木造化の採算性について中日新聞の記者氏が求める「明確な説明」は見られない。
 8年前には「決定的な減税政策」があり、今回は「名古屋城木造天守閣を引き金に」するというだけだ。

 市議会では入場料収入だけで木造化経費は十分賄えるという発言をしていたが、可愛いものでマニフェストでは、この採算性に河村氏自身不安を持っているようだ。そうだからこそ、収益を上げるように「旧金鯱行脚、撮影権、年間パスポートや取り壊した旧天守閣解体グッズなどの活用」などを掲げているのだろう。そして挙げ句の果ては「名古屋城寄付金プロジェクト」ときた。入場料収入だけで十分、木造化ができ、逆に名古屋に経済的恩恵をもたらせるのであれば、なぜ「寄付金」など募らなければならないのか?なぜ、名古屋市民の追加の負担を求めなければならないのか?

 儲かる施設であるというのであれば「寄付金」ではなく「出資金」でも求めて、収益によって利益を配分すれば良いのではないか。

 河村市長自身がご自分の土地や建物を担保に出資すればいい。すぐに元が取れるんだろう?


 今回の名古屋市市長選挙というのは、政策の選択ではない。

 河村的、大阪の維新の党や小池新党、または第三極と言われたいわゆる「新自由主義的政策」と従来からの日本型民主主義の選択などではない。(なぜ、対立候補自民党から共産党までの広範な支持が集まるのか)

 現実に即した選択をするか、漠然としたテレビに映る「仮想現実」を選択するのかという選挙になっているからだろう。もう、こういった「仮想現実」いやもうはっきり言おう、「嘘」には飽きあきなんだ。

 その昔、大阪府知事選挙を「お笑い百万票」と言ったものだった。

 大阪の「庶民」は権威や「お役所」が大嫌いで、そういった「公助」にも期待しない。
 「権威的で偉そうに収まっている大阪府庁のお役人のトップに、あの横山ノックを据えて、お高くとまっているお役人が右往左往する姿を見てやろうじゃないか」というような意識があったのだろう。

 実際、大阪府知事東京都知事など、中間自治体の長は横山ノックでもそのまんま東でも務まる。(そういえば、つい最近も、千葉県知事にあの森田健作が再選されている)
 東京都の石原元都知事などは、週に3日程度しか登庁しなくても知事の仕事はできるとうそぶいていた。そして、実際にその通りに通用した。それが中間自治体である。
 しかし、今回、豊洲市場移転問題で批判が噴出したように、そうした姿には本来無理がある。

 ましてや政令指定都市の長、つまり、名古屋市の市長は、こういった「タレント」に務まるものではないようだ。

 河村氏の2009年のマニフェストを見直してみれば判るように、ほとんど何もできていない。

2009年河村たかしのナゴヤ政策「庶民革命・脱官僚」

「減税率10%、納税者権利憲章、市庁内分権、総合計画、予算節約報奨制度・・・」マニフェストの1ページ目に掲載されている個別施策を取り上げても全滅と言っていいだろう。

 そして今回の大幅に戦線を縮小した2017年マニフェスト。私には戦線の後退を「転進」と強弁した旧日本軍の大本営発表を連想させる。さしずめ、地域委員会や高速道路の値下げ政策などは「玉砕」してしまったのだろうね。

 しかし、このマニフェストは面白い。
 ロサンゼルスの例を引いて「市長は2期8年を超えて立候補できず」と「任期制限」を掲げていて、自身は3期12年目に突入するのだからね。

 ちゃんと、自分の頭で考える市民であれば、このマニフェストは配れば配るほど「まあ、河村さんも8年もやったんだからもうええだろう」と言ってもらえるのではないかと思える。

 それと、「敬老パス値上げ絶対ストップ」と言っているが。
 元々敬老パスの自己負担金値上げ(2倍増)案を持ち出したのは、河村市長の側だ。

 平成25年11月26日の名古屋市本会議、自民党、浅井正仁議員と河村市長のやり取りは興味深い。( 参照)

追記:当時の様子がわかる記事があった。
 2013-11-28 11月定例会

 議事録を読みやすいように抜粋してみました。

 平成25年11月26日 名古屋市会議事録より


 自分が市長として自己負担金2倍増案を持ち出しておいて、あたかもそれを「阻止」したかのように振る舞うって、こういうのを「マッチポンプ」というのではなかったでしょうか。それとも、本当にご自分が「阻止」したと思っているのであれば、いよいよ何か大切なものが分裂しているのではないかと心配になる。

 こういった矛盾や、事実と異なる発言、思考にお付きあいできるかた。つまり自分の自治体がテレビ的な「仮想空間」で由と思われる方は、「お笑い百万票」に投票されればよろしい。

 最後に、このマニフェストで気になる部分について指摘させていただこう。
 いやしくも伝統と文化を誇る名古屋市市長選挙において、現役市長でもある候補が、違法、またはそれに近い第三者に対する権利侵害を公然と行うことは看過できない。

 マニフェストにワンポイントが使われている。

 この「目玉」はこちらのクリップアートの「一部」であると思われる。(眉毛の部分を消し、解像度を下げたものと思われる)

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 権利を買い取ったとでも言うのだろうか?

 いやしくも名古屋市長たるものがこのような第三者の権利を侵害するとは、その見識の低さを社会に明示する事であり、名古屋市及び選出した名古屋市民の品位を損ねるものである。

 主権者である一人の名古屋市民として、パブリックサーバントたる市長・河村たかしに命ずる。この著作者人格権の侵害が疑われる文書を訂正せよ。


編集の結果、本編からはじき出された部分:
このマニフェストでも不明確に、中日新聞の対論では明確に。河村氏は待機児童対策に小学校、中学校の校庭に保育施設を設置する方針を打ち出している。
が、この話は単なる「思いつき」でしかなく、まったく現実性がない。
その他の公約同様「空約束」に過ぎないだろう。
なぜなら、河村氏は市長として平成23年8月29日の市長会見でも同様の「思いつき」を語っており、すでに6年近くたっても現実化していないのだから。

名古屋市:平成23年8月29日 市長定例記者会見(市長の部屋)



追記:
中日新聞の市長選対論の動画が公開されています。
http://www.chunichi.co.jp/senkyo/nagoyashicho2017/movie/touron.html
9日(公示)までのようです。