市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

 中央日本交流・連携サミット

 中部経済連合会中日新聞の主催で行われた「第12回中央日本交流・連携サミット」(8月31日 於ナゴヤキャッスル)の模様が9月3日の中日新聞で紹介されている。

 今回のテーマは「中部圏における地方創生に向けた取り組み」となっており、コーディネーターの伊藤氏より「日本が抱える大きな課題は少子高齢化である。大きな要因として東京への一極集中が挙げられる。その為にも人口を地方に分散し、地域資源を生かしながら、どう魅力ある日本をつくっていくかが問われる(大意)」との問題提起もあり各県知事は「人口維持」を大きな課題として取り上げた。(記事の大見出しでもこの問題が取り上げられている)

 プラットフォームが中部経済連合会やら中日新聞という事になると−−どうしたって、サプライサイドに立たざるを得ないのだろうから−−仕方がないのだろうが。この伊藤氏の見解は物足りなく感じる。

 なぜ、日本の人口やら社会的リソースは東京に一極集中するのだろうか。

 それはその方が「効率が良い」からだろう。

 そろそろ日本の社会も、社会と会社の相違ぐらいは理解すべきだろう。

 社会に対して、私企業にするような「効率化」の議論は成立しない。私企業や個人においては「支払い」は「外部化」であり、支出(財や資本の流出)は少ない方が良いだろう。しかし「社会」においての「支払い」は単なる「移転」であり、財や資本が社会の中で移動するだけに過ぎない。そして、財や資本の移動こそが「総生産」なのであって、社会を効率化するという事は「総生産」を縮小させることに他ならない。

 私企業や個人においては、支出を最小化し、効果を最大にあげる事は意味を持つが、社会全体として支出を最小化する事は、単に社会そのものの活性を下げることにしかならないのである。

 企業、産業にとって東京に人口、経済、政治、文化が一極集中する構造は効率が良い。少子化という側面で見てみれば。人口を東京圏にとどめ、労働力を安いワンルームマンションに居住させる。こうすれば企業にとっては居住費も通勤費も軽減できる。非正規雇用でも生活維持が可能なので、充分安価で不安定な雇用条件で労働力を賄える。

 しかし、そういった境遇に置かれた若者にとっては、少子化を打破するための育児どころか、その前段階の結婚すら成立しない。(写真は嘗て「ドヤ街」と呼ばれた地域の簡易宿泊施設らしい。本質的に現在、非正規雇用の若者が生活する都市圏のワンルームマンションと代わらないのではないのか)

 現代日本少子化は、この不安定な雇用にこそ、その問題の本質が有り、人口の一極集中はその一側面でしかない。

追記:こういった「反アベノミクス」の経済的主張を各地方から起こせば、東京よりは各地方、名古屋よりは周辺地域と、分散と連携が起きるんでしょうけどね。

(当ブログでは、そういえば一時「コンパクトシティ―」に好意的だったね。
誤りだったのかも。
そういう意味では「新しい公共」にも期待して
今では宗旨替えしているのだから、ご理解をいただきたい。

宗旨替えや、意見を翻す事はあるでしょう。
そんなに私は自説に拘る人間ではありません。
しかし、そういった時でも、
意見を替えた事を隠ぺいしたりはしませんから)


 企業や個人に対して市場原理主義を当てはめることは、ある一定の条件では正当な事かもしれない。しかし、それを社会全体に当てはめることは誤りだ。そもそも社会は市場原理で測れるような基準を持っていない。(行政サービスや社会的リソース(例えば、道路(歩道)の利便性)の満足度を計る客観的指標などない)

 無原則な市場原理主義は収穫逓増の傾向を先鋭化させる。

 それは「持たざる者は、持てる者に奪われ、持てる者は、より持てる者に奪われる」という傾向だ。

 つまり、資産も無い若者は収奪され、資産を持つ者、企業へと財は移転していく。企業においても、資産の弱い者は敗北を喫し、より資産の大きなものへと収斂していく。(寡占化)


 公的セクタから私的セクタに財が移転し、私的セクタの中でも、資産を持つ者により資産が集中するようになる。(つまり、国や地方は財政赤字に陥り、私企業は利益を溜めこめる構造になっていく。現在、安倍政権が考えているような法人税減税も、こうした中の「ストック」を積み上げるという考え方で、経済原理としては誤りだろう。現在必要なのは「ストック」ではなく「フロー」であって、アベノミクスは「フロー」を生み出さないためにGDPが揮わないのだ。「フロー」を生み出すには従来の自民党税調が進めていたような「法人税増税」こそが打開策だ。(ああ、がっくりくる。つい先日もある方と話した時に(その方はいわゆる左派の方だけど)「日本の法人税は国際的に高い。20%の国もある中で30%以上あるんだから」とおっしゃっていた。もし一部の人々が言うように、法人税率を下げなければ日本国内の企業が海外へ流出するというのであれば、そんな「プライスレース」は破たんする。減税競争は成立しない。なぜなら、今でも法人税率をゼロにしている国や地域は有るのであって、法人税率をそうした人々の言うとおり「国際標準」に合わせたところで、際限など無い事は目に見えている。論理的にはゼロにするしかないのだ。))

 と、大脱線しましたが。

 各県知事がそれぞれの課題を訴えられている。
 静岡県川勝知事が「沿岸部減災」を。三重の鈴木知事は伊勢志摩サミットを契機に移住を呼び込むなどの策を。長野も東京に展開している「銀座NAGANO」という取り組みを紹介され、岐阜はとりわけ危機感をにじませて複数の施策を紹介している。

 愛知県の大村知事は人口減少について、愛知県の現状を述べるとともに、産業振興によって地域を活性化させるとしている。

 これらの話は良く判る。

 なにより各県民にとっても飲み込みやすい話だろう。

 さて、そんな中でこの名古屋の河村市長はどのような話をしているのか。
 まず、減税政策らしい。

 上でも述べたが、河村氏の減税政策は単に地域社会の経済を縮小させるだけの「インフレ対策」(過剰流動性を抑制する対策)でしかない。経済は「活性化」しないし、それによって(つまり、減税を理由として)人口増も起こらない。*1

 そして、名古屋城の木造化。

 「地域の成長と活性化」の「目玉」が「名古屋城の木造化」とは政策としてお粗末に過ぎる。政策構想力の無さが滲んでいる。

(先日、三菱地所が東京駅に日本一の高さとなるビルを建設する方針を発表した。現在その地位*2は大阪の「あべのハルカス」だそうだ。河村市長は常々1000mタワーを口にするが、果たして河村市長の言うような効果を生むだろうか?そして、名古屋に1000mタワーを建てたとして、それは「いつまで」有効なのだろうか。「あべのハルカス」は21年間「日本一」の座に着いていた横浜ランドマークタワーを抜いて、日本一の座を奪った。しかし、この三菱地所のビルができてしまえば、その座はたったの13年で奪われるという事になる(2027年完成予定)。河村市長の言う「世界一の1000mタワー」という言葉はいったい何年もつのだろうか。*3

 更には「アジア最大級の国際展示場」だそうだ。

 本当にできるのだろうかね?・・・港区に?・・・稲永地区?・・・あそこが分裂したから?(以下あまりに危ないので自粛)

 国際展示場建設に向けての予算措置や当局内の動きが見えないようなのですけどね?
 あくまで、名古屋市当局は、国際展示場の整備について、金城埠頭の現国際展示場の建て替えという方針で進んでいるのではないのですか?
 仰っている事と、やっている事が食い違っているのですけどね。・・・まあ、いつもの事ですが。*4


 減税にしても、名古屋城木造化や国際展示場にしても。これって全部、名古屋市民や名古屋市なんて関係ないように思えるんですよね。河村市長の為の「減税政策」(バラマキ)であり、河村市長が子々孫々に名を残せるようにと、名古屋城を木造化したいとか、国際展示場などの「大型箱モノを作りたい」とかというような、私利私欲しか感じられない。

 発言の主語が名古屋市民でもなければ、名古屋市でもない。あくまで「自分」。ある意味徹底した「ミーイズム」ともいえる。

追記:こう言っても、「あいつは単に河村が嫌いだから言っているに過ぎない」「為にする議論だ」と批判する人も居るでしょう。
河村市長の発言が名古屋市名古屋市民と乖離している明白で客観的な傍証が有る。

この「中央日本交流・連携サミット」は今回が12回目だ。昨年の11回目には名古屋市は「Greater Nagoya MetroVision-名古屋大都市圏成長ビジョン-」というものを打ち出した。当然、策定の最終責任者は河村市長だ。

http://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000058471.html
Greater Nagoya MetroVision-名古屋大都市圏成長ビジョン-(PDF)

さあ、この中に「減税」の文字がどこにある?

予算をかけ「多様な分野からの有識者と関係機関から構成された検討会議における様々な意見や提案をとりまとめたもの」を無視して自分の興味があるものだけを訴えていては、利己的に過ぎるだろう。

 さすが選挙の際に、厚顔無恥にも「名古屋市民の為」よりも優先して「河村市長を助ける」と訴えられるだけの事はある。

 頭の中は、名古屋市民や名古屋市の事よりも、自分、河村たかしが優先であって、それでいいと思っているんでしょうね。・・・頑張ってください。そして、そう訴えて議席を獲得された減税日本ゴヤの市議の諸君は、せいぜい河村市長を助けて頂けばよいのでしょう。

 そういえば河村市長の大切な政策である「地域委員会」ってどうなりました?
 減税日本ゴヤの市議の諸君! この「地域委員会」はどうなったんだい?
 君たちは、これを進めて河村市長を助けなければならないのではないのか?


 この会合は「交流・連携サミット」であり、中部圏が一丸となって充実し首都圏機能を補完・肩代わりできなければ日本自体の脆弱性につながる。

 この中部圏において名古屋市は間違いなくコアであり、ハブである。

 しかし、その名古屋市の市政は完全に停滞している。(前回お伝えしたように、6月補正予算は0円なのだから、文字通り「何もしていない」のですからね)

 リニア対策、交通網の整備に加え、木曽川導水路の問題も停滞したままだ。
 確かに現状で名古屋の水は充分だろうが、将来的にどうなのだろうか*5。更に防災上の観点からいって、木曽川導水路事業をこれ以上止めておく意味があるのだろうか?(ダム開発についてのそもそも論は無駄な議論だ。それ(徳山ダム)は既にあるのだから)

 果たして、9月の名古屋市会においては少しは進展が見られるのだろうか?




 小牧市図書館問題について、小牧市議会が住民投票についての採決を行うのは9月10日だそうです。

 http://www.nhk.or.jp/tokai-news/20150901/4552211.html



 最近、ブログの更新が滞っているのは、仕事や私事で忙しい事もありますが、
 ここに書く事によって、減税日本やら河村市長が、ここの記事を読んで「対応」してしまう事が「逆効果」だと思っているからです。
 名古屋市民の為にならない事であれば指摘したいですが、比較的どうでも良い事ならば、放置しておいて「抜き差しならない状態」になったら、当ブログでご指摘させて頂こうかと思っています。「小さな親切、大きなお世話」モードから「底意地の悪い」モードに切り替わったという事でしょうか。

 相変わらず、色々な情報、お話は伺っておりますので、追々お楽しみに。


*1:シミュレータの結果を持ってきて「減税で人口増は起きる」なんて反論しないでね。ケチョケチョにしてあげるから

*2:日本一の高さのビル

*3:「奪う者は奪われるのである」とでもいうところでしょう

*4:そういえば、あのカチョーさんはどうなったのでしょうか?

*5:国際的には飲用可能/産業利用可能な水の需要は確実に上がっている