市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

名古屋市議選の終盤情勢

 名古屋市議選の終盤情勢を聞くと。
 投票率が低くなりそうだ。

 投票率が低くなれば、共産党公明党といった組織票が固いところが有利になる。
 さらに、自民党もこういった低投票率には強みを発揮するのだろう。


 民主党が今一つ振るわないのは、こうした組織の力が弱まっているからで、本来、圧倒的な数的優位を持っているはずの「労働者の票」を集約できていない。労働者自体を分断してしまった現代の雇用状況に、連合が対応を行い、労働者の雇用と生活を守らなければ、民主党の再浮上は有り得ないだろう。

 低投票率は、いわゆる「第三極」と「無所属」に逆風を吹かせている模様だ。

 減税日本は支持を取り返せないままでいるが、それにとって代わろうとしているかに見えた維新の党は、結局こういった「第三極」の核になり得なかった。
 維新の党の問題は、党のアイデンティティを「反自民」「非自民の核」に置けなかった事にあるのだろう。有権者の中には自民党政権に対する、健全な野党を待望する気持ちは強くあるのだろうと思う。しかし状況によっては、公明党にとって代わって自民党政権を支えかねない立場を取る維新の党に対しては「自民党の補完勢力」と映ってしまうのだろう。


 市場原理主義自由経済新自由主義を進めようとする安倍自民党政権に対するには、「再分配」を掲げる以外ない。いや、今の日本の経済的アンバランスを是正するには「再分配」が正解であるに違いない。公的セクターの債務の積み上げと、一部民間セクターに滞留している資本のアンバランス。日銀の緩和と、財政出動を行っても、国内のGDPが伸びなかった原因。つまり、過剰流動性が国内の経済循環に乗らず、どこか(つまりは、資本の下)に滞留してしまっている現状を打破するには、「再分配」を行い、消費を渇望しているセクター(つまり、民間の貧困層、若者)にお金を回すべきなのだ。

 河村流減税政策は、これとは相反する政策だ。(影響力は小さいけれども)

 つまり、納税者の税を軽減するという政策は、税の再配分を(0.3%)留めようという政策なんだ。


 さらに、この河村流減税の財源は、一般的に言う「市長の政策経費」だ。

 どんな市長に対しても、その市長の「花形政策」を実現するために、100億円ほどの予算の準備があるそうだ。人によってはそれを文化事業に使ったり、教育事業に力を入れたりするのだそうだ。
 河村市長はその100億円を「減税」としてバラ撒いているに過ぎない。念の為にくどいようだが、減税は、納税者に対するバラマキでしかない、納税もできない所得層には何のメリットも無い。金持ちに対する優遇策に100億円を支出して、その他の政策については何も措置していないのが河村流名古屋市政だ。

 そうじゃないのか?

 この6年間。終了した施策は幾つもある。始まったものが何かあったか?

 各地の地域振興策は終了した、堀川導水路事業も終了した。

 大須演芸場は再建のめどが立たず、名鉄ホールまで閉鎖される。

 敬老パスの自己負担金の据え置きは良い。しかし、今後増加が予想される敬老パス事業の市の負担について、何ら方針も見通しも示されていない。このままでは「座して死を待つばかり」ではないか。敬老パス事業に対する河村市長の姿勢こそ、文字通りの「無策」だ。



 なぜ、名古屋市会議員選挙が低調か。争点がないからだ。なぜ争点がないのか。それは河村市政に方向性が無いからだ。河村市政が何も行おうとしないからだ。

 敢えて言えば、河村市長の政策は、幼稚な市場原理主義でしかない。
 そして、その政策が余りにも小さすぎるのだ。チンケすぎるのだ。

 名古屋城の木造化にしてみても、1000メートルタワーにしてみても、「口だけ」「言うだけ」であれば、政策的争点にはなりにくい。

 何もしようとしない河村市長には批判も起きにくい。

 市民は(というか、マスコミは)あまりに物忘れがひどすぎる。

 一方的に徳山ダムの負担金だけを支出し続け、そのメリットを享受できないままの木曽川導水路事業も、しっかりとした政策議論を行おうと思えば行える。しかし、誰もやろうとしない。いったいなぜこの政策を止めたのか。議会は取り上げない。市民が関心をもたないからだ。なぜ市民が関心を持たないのか、マスコミが報じないからだ。なぜ、マスコミは報じないのか、市民が関心を持たないから、つまり「数字」が取れないからだろう。いったいこの悪循環を断ち切るのは誰なんだ。


 名古屋市 市民税減税300億円で何ができたか : 市民オンブズマン 事務局日誌


 オンブズマンが調査した、河村市政のネグレクトの一覧だ。
 民間鉄道駅舎へのエレベーター設置は、身体に障害がある人や高齢者の為の施策だろうが、実現されなかった。実現されなかったら批判の対象にもなりにくい。批判が無かったら「福祉日本一」とかも平気で言えるのだろう。

 消防ヘリコプターも、その必要性は何年言われ続けているか。「伊勢湾台風を忘れない」と言いながら、必要に迫られているヘリコプター一つ整備できていない。整備できていなくても平気で「最強の防災都市」などとも言えてしまう。名古屋市内のあちこちの施設の耐震改修工事や補修工事も先送りのままだ。そんな実態であるにも関わらず「最強の防災都市」などと言えてしまう。なぜならこんな言葉は定義された言葉ではないから。何もやっていなくても言うだけはタダだ。

 こんな実態も市民は知らない。なぜか、マスコミが報じないから。

 反原発も言うだけはタダだった。それで何が行われたか。何も行われていない。

 行われていないことについては批判も起きない。



 争点は無い。
 なら、名古屋市政に課題は無いのか?

 ある、幾らでもある。幾らでもあるが、市民、有権者は知らない。なぜか、マスコミが報じないから。それを調べてまで気にかけるような人間はほんの一部だ。

 以前、議会が何をしているか、市民に見えない。と言われた。私から言わせてもらえば、それは単に市民が見ていないだけだ。議員は一所懸命報告をしようとしている。こういった事をやりましたと、チラシで、市政報告会で、街頭で訴えようとしている。しかし大部分の市民が、チラシなど読みはしない、市政報告会には足を運ばない、街頭の訴えに耳を傾けない。

 新聞やテレビで断片的に報じられる事が、市民にとってのほとんど全てであって、新聞やテレビで取り上げられなければ、議会がどれほど真剣な議論を戦わそうと「議員は年間80日しか働いていない」と言われてしまう。
 

 私は前回の記事で「地元で一番知られているヒトよりも、地元を一番知っているヒトを選ぶべきだ」と言った。しかし、有権者は「誰が地元を一番知っているか」を知らない。有権者はテレビに出ているヒト、有名な人に無批判に票を投じてしまう。

 そして、選に漏れた者は、落選者として切り捨てられる。それにも関わらず「選挙は民主的な手続きだ」と、その暴力性にすら気が付かない。なんともお気楽で、自己反省がなく、無責任で、いい加減な態度か。

 反吐が出る。

 民主主義においては、有権者の程度の議会しか構成できない。

 有権者の選んだ市長は、有権者の鏡像であり、有権者の選んだ議会も、有権者の姿でしかない。



 議員報酬が市議選の争点?

 バカじゃないのか?

 誰かさんお得意の「ラーメン屋さんのアレゴリー」を使って説明してみようか。

 皆さんは、ラーメン屋さんでラーメンを頼むときに、ラーメン屋の報酬なんぞで選ぶのか?数店あるラーメン屋の中で、「あそこは儲けているから止めよう」なんて選択するのか?
 儲かっていようと儲かっていなかろうと関係ないだろう。
 どんなラーメンを出すのかが問題なんじゃないのか?

 つまり、議員にしても、その報酬なんぞ二次的、三次的な話題に過ぎない。そして、それに対して一般の有権者の我々が「高い」とか「低い」とか言えるだけの判断基準を持っているのだろうか。典型的なマスコミによる刷り込みに「洗脳されている」だけに過ぎないのではないのか。誰かが*1「議員報酬は高い」と言っていたから、高いように感じているだけなのではないのか。


 これは市民税減税の時にあった「アンフェアな議論」というものだ。

 税金だって安ければ安いほど良いに決まっている。
 議員報酬だって、その相場なんぞ判りはしない。他人の報酬で、それが自分たちの負担だと言われれば、安ければ安いほど良いように思ってしまっているに過ぎない。

 税金だって、議員報酬だって、安く済めばそれに越したことは無い。
 しかし、当たり前の常識がある者は、そんな事では済まないと判っている。

 それが判らずに、他人の給与を引き下げて喜んでいるのであれば、それは卑しく、さもしく、あさましく、卑賤で、せこくて、固陋で低劣で醜く、下衆で賎劣でちんけであるという以外にない。

 ラーメン屋のアレゴリーに戻ると、どうなんだろうか。私たちは逆をやっていないだろうか。ラーメン屋を選ぶ際に、儲けていない店など選ばずに、儲かっていそうな店を選ぶのではないのか。
 それでいて、なぜ議員や市長を選ぶ時には「安物」を選んでしなうのだろう。

 もう一つ、こんな喩はどうだろう。もし、あなたが病気になって、手術をしなければならないとする。保険外で高額な報酬を要求する顔に縫い目のある医者が居るとする。保険でちゃんと対応してくれる医者が居るとする。「安くやってあげるよ、なんならタダでもええよ。ボランティアでやってあげる」と声をかけてくる医者も居たとする。この3人の内、あなたは誰に手術を任せる?

 ラーメン屋や医者なら、「安くやる」「タダでも良い」なんて者に任せる人は居ないだろうに、なぜ、議員や市長となると、こんな簡単な詐術にはまってしまうのだろうか。


*1:無責任なテレビ政談番組(バラエティー)で