市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

名古屋市議選感想

 いわゆる「統一地方選挙の前半戦」といわれる、名古屋市会議員選挙と、愛知県議会議員選挙が終了した。

 愛知県議会議員選挙においては、減税日本議席が消滅し、自民党単独過半数を獲得した。共産党も2議席を獲得して空白を埋めることになった。



 名古屋市会においては、以下のような会派構成になりそうだ。
 自民党:22(18:改選前議席
 民主党:16(12)
 公明党:12(11)
 共産党:12(5)
 維新党:1(3)

 そして、
 減税:12(11) 増えた! びっくり、増えちゃった!


 このうち、自民党議席増と、共産党の躍進は想定内だ。それにしても、共産党の増え方は凄いが。

 驚きなのは、減税日本が11の改選議席に対して12に増えてしまったということだ。

 こりゃあ、ビックリ。正気か皆?

 この12議席をもう少し詳しく見ると、他党の元職やら元国会議員といった、経年議員、職業議員が2名、前職の生き残りが6名。そして新人が4名となっている。

 まあ、多ければ多いほどやりがいがありますので、楽しみです。と、半分以上ヤケクソで、後ろに向かって前向きに捉えますが。

 どうも、各選挙区の票を分析してみると、これを「減税日本の勝利」とは捉えにくい。

 それは、当ブログが減税日本に対して否定的だから、バイアスがかかっているのだろうと思われるかもしれない。その部分は差し引いて見てもらえればいいが。

 自民党共産党以外の議席の動きを「第三極」の議席争いととらえると、減税日本が勝利したわけではなく、維新の党がふるわなかったとみることはできないだろうか。前回の総選挙において、比例代表の得票傾向を見ると、維新の党は名古屋市内各区でおおよそ15%程度の得票をしている。

 それを当て込んでこの市会議員選挙においても、ほぼ全区、15人の候補を立ててきていたのだろう。ところがこの市会議員選挙において、15%の得票は維新の党には出なかった。辛くも議席を獲得した瑞穂区の新人 − 結局この場合も、国会議員のおひざ元として、組織が動いた結果だろうが − で13.4%の票を獲得しただけだ。

 緑区の大物現前議員についてみると、今回の獲得票は5.6%にとどまっており議席を失う結果となった。比例代表における緑区の得票率14.6%にまで伸びないとしても、10%程度の得票を得られれば議席を確保でき、その場合次点に落ちるのは減税日本の前職という事になっていた。

 名古屋における維新の党と減税日本のつばぜり合いが、減税日本の勝利になってしまったのは、減税日本が名古屋の地域政党だったからだけとも思えない。維新の党自体に有権者を引き付ける魅力が無かったのだろう。維新の党は「身を切る改革」というテーマを掲げていたが、地方議員における「身を切る改革」というのであれば、名古屋市会はすでに議員報酬を半減、800万円にしてしまっているのであって、それを今更、議員報酬3割カットであるとか、800万円〜1200万円と言ったところでアピールはできないだろう。

 ここで、いい加減大人なら気が付くべきだ。

 議員が「身を切る改革」といって議員報酬を下げて、自らを廉売しても。
 「議席を減らします」と議席を議員の所有物、既得権であるかのように扱う事も、実は本質を捉えた議論ではない。こんな議論は矛盾を孕んでいる。

 廉売は廉売を呼ぶだけで、その内最後には「タダでやります」というアホな「裸踊り」が始まるだけだ。プライスレースを行う企業や商店はアホだ。その裏にちゃんと、収益を確保する手立てもなく、半減だの3割減だのを口にする者は経営者としての資格など無い。

 また、「議席」とは有権者の権利なのであって、その権利を我が物顔で「減らします」という人間は、有権者代理人たる資格は無い。議席を自分のモノとでも思っているのだとすればおおいなる勘違いだ。

 特に、名古屋市の市会議員の議席は充分に少ない。
 そんな事も知らずに、市会議員に立候補しているとすれば・・・ふふふ、当ブログの「餌食」になるだけだ。


 昨年末の衆議院議員選挙における維新の党の獲得票。それを見て「名古屋における第三極の新しい核は維新の党だ」と思った人々が居るのであれば、それは誤りだっただろう。



 有権者が求めているのは、自民党に対する健全な野党だ。では自民党という党は何であるか。それは「有産階級の党」である事は間違いがない。(有産階級と無産階級が何か、判らないで政治にくちばしを突っ込んでいるようなら、それは無免許運転というものだ。一応説明しておくと、有産階級とは財を再生産する資産を持っている人々の事だ。会社の株や会社そのもの、家賃や地代が入る土地などを持っているヒトを言う。弁護士や医者など、資格を持つ高額所得者でも、その労働の対価として所得を得ている段階では無産階級、労働者である。ちなみに、インフレは有産階級の財産を目減りさせる政策でもある)

 さて、自民党が「有産階級の党」であるなら自民党のカウンターパートナーとはなんだろうか。「無産階級の党」に違いない。つまりは労働者、給与生活者が自民党に対する野党の基盤となるべきだ。そしてこういった層が、今何を求めているか。雇用の安定化。医療や加齢後の補償。子育ての支援。つまりは「福祉」であり、「再分配」に他ならない。


 特に地方においては、政策が生活に密着しているだけにこの選択はより明確になる。
 この分水嶺東京都知事選挙における細川元首相と宇都宮健児さんの都知事選挙の結果だったのだろう。

 国民に絶大な人気を持った細川+小泉連合が、「反原発」を掲げてマスコミに大々的に取り上げられつつ、都知事選挙に「割って入った」。一部の「反原発」運動家は、宇都宮陣営に「反原発」を求めるのであれば、宇都宮が細川に乗るべきだとまで迫った。
 ところが、結果は宇都宮の次点となった。

 自公政権が推す舛添に足したところで届かないものの、あれほど喧伝された細川+小泉連合より、宇都宮の方に票が入ったのだ。

 ここから、有権者の求めているものはハッキリしてきている。

 「再分配」だ。

 地方における公債の問題が、維新などの「改革」政党を生み出していると思うが、そもそも地方における公債は、その出自が「外交問題」である。日米構造協議の産物が、日本各地の公債なのだ。米国から内需拡大を迫られた日本政府が、国債を発行せずに、地方に債権を発行させた結果が今の各地の地方債だ。(故宇沢弘文さんの主張)

 トマ・ピケティの「21世紀の資本」を読むと、気付かされることがいくつもあるが、これについては二つ具体的に注目すべきポイントがある。当ブログでも繰り返し主張しているが、国や地方の債務を見てもそれを一般家庭の債務と同様に考えるのは誤りだということだ。国や地方が債務を抱えているという事は、誰かがその債権を持っている。つまり、債権を持っている層、人々、社会階層と、国や地方といった公的セクターの間で、財の不均衡が有るだけではないのかということだ。

 国の中で、こういった財の不均衡が有るのであれば、それを均衡させればいい。
 文字通り「再配分」すべきだ。


 もう一点、ピケティはこうした公債の償還の方法が3つあると指摘している。課税か、インフレの誘発か、歳出削減だ。そして、一番の愚策は歳出の削減を続けることだと指摘している。小泉構造改革以来、民主党政権に至るまで続けてきたのが歳出の削減で、維新の党などが言っているのもこの歳出削減だ。


 残念なのは、「再配分」を前面に押し出し。こういった経済原理を訴える政党が、名古屋市の各地域を丹念に組織化し。減税日本の無策を指摘しつつ、例えば、その減税に浪費された100億円を使えば、名古屋においてどれほどの政策が取れたか。敬老パスの私鉄への利用拡大や小中学校の給食の無料化など。具体的に提案していくことができたなら。そして、減税日本のように4000万円ほどもかけて新聞チラシなりでそういった政策をアピールする事が出来たなら。

 話は全然違ったものになっていたのではとも思うんですけどね。
 (ある意味、こういった方向性で活動をしていたのが、今回、キッチリ躍進した共産党だったわけではないのでしょうかね)



 まあしかし。自民党ですらできなかった全市、全紙への折り込みチラシ。そんな事をしておいて「庶民革命」だそうですから。庶民というものもお金がしっかりとあるものらしい。

 東区の新人市議である佐藤夕子市議は「庶民革命を止めない」と言っていた。

 そもそもお伺いしたいものだね。「庶民革命」っていったい何?

 説明もできないものを「止めない」と言っているのではないの?

 ちなみに、これが「政策」らしい。
 政策 | 佐藤ゆうこ

 非常にシンプルで分かりやすい。魚拓も取っておこう。

 https://archive.today/123Bh


 さて、この「政策」の中で「政務活動費の完全全面公開(黒塗り廃止)」という公約が有る。

 まず、減税日本がサボっている。平成25年分の政務活動費の個人別公開。

 所属名古屋市議の政務調査費使用状況について(10/26更新) | 減税日本

追記(4月20日):「減税日本政務調査費/活動費の平成25年度分の公開を怠っている」と述べましたが、事実誤認でした。

 市議団のサイトで公開していましたね。
 平成25年度 減税日本ナゴヤ市議団 政務活動費報告書

 これについては、内容に対する評論もやっていまして、完全に24年度と25年度を混同しておりました。当ブログをご覧いただいている皆さんと、関係者の皆さんにお詫び申し上げます。


 この公約から実行してくれませんか。


 当選お礼の演説で「(4月12日)今日からです」と言っていましたね。

 そして、この「黒塗り廃止」というのは簡単です。

  あなた方は非常におかしな事をしている。あなた方は、一旦、議会事務局に提出した「領収書の写し」を、市の当局(議会事務局)に情報公開請求で提示してもらって、それを公開するという二度手間をしている。この手間を省けばすぐに「黒塗り廃止」はできる。

 なぜって?

 「領収書の原本」は、各議員、各会派が持っているのだから。

 あなた方自身は「領収書の原本」もちろん、黒塗りなどされていないものを持っているはずじゃないか。減税日本が「黒塗り廃止」を公約に掲げて、公開するというのであれば、その「領収書の原本」を公開すれば良い。

 はい、すぐやって。


 それと、元衆議院議員佐藤夕子さんにお伺いしますが。

 地方議員の政務活動費を完全ガラス張りにするべきであるというのであれば、あなたがもらっていた衆議院議員の文書通信交通滞在費、年間1200万円ある筈ですけど。

 これも「黒塗り廃止」で公開しませんか。

 それが「庶民革命」なんじゃないんですか?

 さて、11名に減ってしまい、更にぐっとアクティビティの落ちた方々に代わり、12名の「活きの良い」方々に代わったのですから、どのようなパフォーマンスを見せてくれるか。減税日本の市議の皆さん、非常に非常に楽しみです。*1


*1:面倒くさい県議は居なくなったしね。