市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

黒塗りは是か非か

 本日は「講談仕立て」をお休みにして、通常のブログ記事を掲載させていただきたいと思います。連載中の「講談仕立て」については色々とご意見をいただいております。特に、選挙直前という時節柄、特定の候補を貶めたり、称揚したりという事の無いように気を付けております。その為、所々個人名を敢えてぼかしております。また、減税日本ゴヤ市議団の舟橋幹事長(当時)が主人公のように扱われているのは、事柄の中心に居た事もさることながら、この選挙に直接かかわっておらず(立候補予定がなく)選挙がらみの束縛が無い事も預かっております。

 あ、ちょっと「メイキング」っぽい言い訳を一つ。

 第3回「議会は酷薄な戦場」で取り上げた玉置議員の発言問題。則竹団長の「暫定発言」に対して、則竹団長自身から説明しなければ事は収まらない。と、進言したことが、条例案そのものの説明を「僕ら無理ですよ」と言ったかのように報じられたという話。
 これは当時聞いておりまして、すでに当ブログでも軽く扱っていた覚えがあります。ただ、腰を据えて経過を伝えるには骨が折れる事例だと感じておりました。それでも、報道にありがちな「切り文」の事例ではありそうです。

 今回の「講談仕立て」においては、放送のその日に玉置議員本人が確認したことになっておりますが、実際にご本人が報道動画を確認したのは暫くたった後日だったそうです。
 それでは「講談」として、あまりに「間延び」してしまいますので、放送当日に見られたというようなご都合主義になっております。その他にも細かな交渉の経緯なども実態とは異なる事だろうとは思います。私の表現の拙さから、登場人物が(必要以上に)悪く取られるのも本意ではありませんので、その辺りは読んでいただける皆様に補完していただきますよう、お願いいたします。

 登場いただいた方からも「俺は、あんな事をしていたんだ、知らなかった」と好評(?)をいただいておりますが、あくまで「フィクション」でありますことをご理解ください。また、ご不満や事実誤認については、是非コメントやメールでご指摘ください。出来うる限り対応させていただきます。

 さて今回、通常ブログをお送りしている理由は、24日に掲載された中日新聞の記事が気になったからです。「政活費黒塗り範囲は」と地方議員の政務活動費について取り上げられています。全体的に「より透明性を高める努力が必要だ」という論調のようですが、なんとなく抜け落ちている論点があると思います。

 それについてはそもそも地方議員とは何か。というところからお話を始めなければなりません。

 地方議員の仕事とは何ですか?

 もし、この統一地方選挙に出ようという立候補予定者の方がこの文章を読んでいて、この問いかけに答えられないのであれば、即刻立候補を辞退されるべきです。「有権者の皆さんの民意をゴニョゴニョ」というような、どこかで聞きかじったような言葉でごまかすのもナシです。地方議員の仕事というのは、すなわち地方議会の職責であり、それは地方自治法に明確に定義されています。(第96条)
 全部で16有りますが、主には「条例の設置、改廃」「予算を定め、決算を認定する」「地方自治体の財産の処分」「地方自治体の責任に対する議決」「その他、条例で定められた事」になります。
 減税日本ナゴヤ市議に送る、市議養成講座(2) - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

 これらの仕事をまとめると「当該地方自治体を監視して、その自治体がちゃんと仕事をしているか、住民に替わって見守る事」という事になるでしょう。

 そうした意味では「首長を助ける」などと言って地方選挙に立候補するというのは、端から職責を放棄するのに等しく、そんな人々には地方議会に当選していただきたくない。

 また「オール与党」で首長を選出するというのは批判を浴びますが、これはまだ理解できる。というのは、そもそも首長というのは選出選挙においては一定の政治勢力に支援されるという事はあるのでしょうが、当選後は「全体の奉仕者」として全体の声を聞くべきだ。自分の支援者の声だけを聴き、自分と対抗する者の意見を聞かないという姿は首長として狭量に過ぎる。
 全体の声を聞くという事で、選挙においても「オール与党体制」になってしまうのはまだ理に適っている。しかし、首長がいたずらに党派を掲げて、他党を批判したり、その声に耳を傾けない姿勢はあまりに歪んでいる。首長は自分を審査する議会の選挙について、本来コミットすべきではないだろう。(というか、選挙にコミットするのであれば、その後の教育にもコミットするべきだ。生むだけ生んでおいて、育児放棄する姿は、批判を受けるこういった若いカップルの姿に重なる無責任だ)

 話があらぬ方向に向いてしまいますが。
 議会は本来、地方自治体と対峙して、その行政執行を監視するべき立場です。しかし、地方自治体当局というのは、ヒト、モノ、カネ+情報の全ての面で議会を凌駕しています。それでも地方議員は地方自治体と対峙しなければなりません。

 さて、そうした中で政務活動費について、地方議員はガラス張りの収支報告を自治体当局にしなければならないとすると、議員が何を調査しているか、調査対象である自治体当局にすべて把握されるという事になります。

 このアンバランスご理解いただけます?

 この問題は名古屋市会でも指摘を受けましたが、ある問題で名古屋以外の議会とコンタクトする機会があり、そこでもこうした問題の指摘を受けました。その為、こうした調査は当局に報告義務のない私費で行われることもあるそうです。

 このように、職責を果たすために、活動に私費を投入する議員も居れば、さもしくも公費を私的に流用する者も居る。それが政務活動費の問題であり、政務活動費の利用をもう少し詳しく見れば確かにその議員がどのような価値観を持っているか、知ることができるリトマス試験紙かもしれません。

 この記事や、一部で言われているような「黒塗り性悪説」は誤りだろうと思います。

 というか、そもそも一部での議論は無茶苦茶です。
 もうズバリ、その無茶苦茶だけは指摘しておきますが。
 河村市長の言っている事は無茶苦茶です。

 政務活動費の「黒塗り」をすべて取り払って、全部を公開すべきだと言うのであれば、すぐにでもすれば良いじゃないですか。
 政務調査費 | 減税日本

 名古屋市会においては、各会派は領収書の写しを議会事務局に提出します。その時に当然、領収書は黒塗りされていません。議会事務局に保存された政務活動費の領収書について、市当局が情報公開に応じる際に、一定の基準(主には個人情報保護法)で議会事務局は領収書を黒塗りします。

 つまり、議員や政党が「政務活動費の領収書は黒塗りせずに、完全公開すべきだ」というのであれば、議会事務局に提出する前の、自分自身の手元にある、オリジナルの領収書を公開すれば良いだけじゃないですか。上に示した「減税日本」の政務調査費 ー平成24年以降、公開が滞っているので、政務活動費になっていないー データも、自分たちの手元にあるオリジナルの領収書を使わずに、わざわざ議会事務局に情報公開を掛けて*1得られたデータを公開しているそうです。


追記(4月20日):「減税日本政務調査費/活動費の平成25年度分の公開を怠っている」と述べましたが、事実誤認でした。

 市議団のサイトで公開していましたね。
 平成25年度 減税日本ナゴヤ市議団 政務活動費報告書

 これについては、内容に対する評論もやっていまして、完全に24年度と25年度を混同しておりました。当ブログをご覧いただいている皆さんと、関係者の皆さんにお詫び申し上げます。


 なんで?

 自分たちができることをしないで、他人の所為のように言うのって無茶苦茶な議論ではありませんか?


 名古屋市のある「公文書」にこういった言葉が書かれています。

 公にすることにより、率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがある

 これは「名古屋市情報公開条例」第7条第1項第4号の規定だそうだ。
 名古屋市情報公開条例

 議員の政務活動費においてもその調査の秘密を守らなければ「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」はある。自治体当局に対しても「一定期間」秘匿できる仕組みが必要なのではないか。

 逆に、行政機構においても、この7−1−4の規定で情報公開を妨げるのであれば、一定期間は「黒塗り」を解いていただきたい。


  平成26年11月25日に名古屋市の幹部会が開かれ、名古屋市の全幹部に対し河村市長から焼失した鳥久に対しての意見書を提出せよと命令が下った。もっとぶっちゃけて言うと、

鳥久が燃えてまったがや、反省文を書け」と書かせたのだ。


 その反省文を「行政文書公開請求手続き」で公開すると、以下のような文書が公開される。スキャナーで取り込むのもバカバカしいので、今回は動画でご覧いただく。

 全部「黒塗り」だ。

 中には「病院局長」や「教育長」「監査事務局長」や「人事委員会事務局長」「選挙管理委員会事務局長」まである。減税日本ゴヤお得意の「全局横断的な施策」とでもいうのだろうか。完全に時間のムダ。バカ殿のご乱心としか言いようがない。鳥久の問題について「監査事務局長」や「人事委員会事務局長」に文章を書かせていったい行政の何が進展するのか?「不当に損なわれ」てはならないような「率直な意見の交換が」あるのだろうか?
 そんな事は居酒屋でやってくれ。そしてその文章を「黒塗り」で隠す。

 この「黒塗り」は名古屋市の「公文書」「文書番号 26市室秘 第78号」によって起案され、決済されている。
 起案者は「市長特別秘書 北角嘉幸」決裁者は「名古屋市長 河村たかし」だ。


 その他の職員の稟議は通っていない。


 こんな事が許されるのならば、なんでも「黒塗り」にできてしまう。


 他人の「黒塗り」は批判しておいて、自分の言動は「黒塗り」

 更に、お約束の政務調査費政務活動費の公開も平成24年以来止まったまま*2 *3


 おい、河村。やる気がないなら市長を辞めろ。800万でももったいない。

 おっ、失礼。が滑った。

 私の意見は逆だ。この「黒塗り」も肯定しましょう。しかし、一定程度の期間を置いたらすべて公開すべきでしょう。議員の政務活動費について、完全ガラス張りにしてしまっては、議員の調査活動を妨げてしまい、行政当局が優位になるだけだ。一定程度の秘密は必要だ。しかし、それも時限措置で、一定程度の期間以降(20年後とか)には完全公開されるべきではないだろうか。*4 *5

 24日の中日新聞を読んでいて、こういったような視点が無かった事が残念だった。
 地方議会の議員にとって、第一義の仕事は行政当局の監視であって、政治家としての各政党の活動は二義的なものではないだろうか。政務活動費の問題が、この二義的な政治色の強い議論に引きずられて、本来の意味を失ってはいないだろうか。



追記:
まあ、「政務活動費」についてはこういった図式の方が、ワイドショー的で面白いんでしょうけどね。

野々村、議員報酬半減とか言っていたんだ。
議員を安売りする奴を信用しちゃいけないって事だろうさ。



ご依頼がありましたので掲載いたします。
(このイベントについて、当ブログは一切関与しておりません)

瑞穂区において
「市会議員(県会)立候補予定者公開討論会」が行われます。
主催:市政を考える瑞穂区民有志の会。

3月29日(日) 午前10:00〜
於:瑞穂区弥富コミュニティセンター会議室

出席予定者:
高木浩司<県・民主党
かのう拓人<市・共産党
塚本剛志<市・維新の党>
川崎つとむ<元みんなの党、無所属>

お問い合わせ:五十嵐( メールアドレス:ig1220@rf.so-net.ne.jp )



追記(3月27日):
コメント欄にお応えするネタを投下。

写真の意味はコメント欄をご覧ください。

*1:コピー代金を払って

*2:いままでの例でいえば、昨年の10月には平成25年の公開がされていなければならないし、議会事務局とは関係なく、オリジナルで情報公開しようとすれば、すでに平成26年分も確定しているはずだ

*3:この減税日本の政務活動費公開が滞っている理由は、容易に推測できる。そしてその推測が当たっているとすれば、減税日本とは政党ではなく、単なる河村商店・政治部でしかない。

*4:国においてもそうだが、行政文書は破棄されるべきではない。国民に公開もされずに破棄される公文書は、本来あってはならない。公文書は本来、国民の所有物なのだ。 20年程度の期間を置けば、関係者の利害関係も解けるのだから、すべては公開されるべきだ。その公開もできないとなれば、行政が主権者たる国民に説明責任を果たしているとは認めがたい。

*5:名古屋におけるリコール署名簿も、このまま個人情報保護法の下に公開されないとすれば、適正に行われていたのか検証ができない。検証できないまま保存期間が過ぎ、破棄されてしまえば不正はやりたい放題。やったもの勝ちになってしまう。