市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

そろそろミスリード

 名古屋市では市政への市民参加を促進し、市民の多様な意見を反映させる意図をもって「議会報告会」を開催する事としている。

 この「議会報告会」は平成22年3月29日に公布された「名古屋市議会基本条例」に明記されている。

   第2章 市民と議会
   (市民参加の促進、市民の多様な意見の反映)
第4条 議会は、市民の多様な意見を把握し、議会活動に反映させるとともに、市民が議会の活動に参加する機会を確保するように努める。また、議会活動に関する情報を市民に公開し、市民に対する説明責任を果たす。
2 (略)
3 (略)
4 議会は、議会報告会を開催し、議会活動に関する情報を積極的に公開するとともに、市民の意見を把握して、議会活動に市民の意見を反映させる。

名古屋市議会基本条例

 ちなみに公布日からも明らかなように、この条例の公布者は河村たかし名古屋市長ご本人である。

 ところが河村市長はこの「議会報告会」を開催しようとしない。

 正確に言うと「議会報告会の為の予算を付けようとしない」

 議会からの要請、市民からの請願は提出されているにも関わらず、一切取り合わず予算を付けようとしない、開催しようとしない。これこそネグレクトであり、怠業ではないか。

 昨日(5月26日)にも新しく議長となった民主党の鵜飼議長から議会報告会などの予算を要求されたが「慎重な姿勢を示した」そうだ。


 もうね、中日新聞さん。これは「慎重な姿勢」ではありませんよ。単なるワガママであり、怠業です。

 また河村市長の発言を伝えられていますが、これは違法行為を構成する恐れもある非常識この上ない発言です。

 後ほどその法理を述べますが、そろそろ市長の発言を単に伝えるだけでは市民をミスリードする事になります。

 河村市長の発言とされているのは次のようなものです。

 公費で開くなら公平性、中立性が保たれなければならない。議会には政務活動費もある。そちらで自由な報告会を開催した方がいい

 
 以下にこの発言が違法性を構成する恐れがある理由を述べます。

 1.議会報告会は議会が開催する( 名古屋市議会基本条例 第4条の4)
 2.議会とは地方公共団体が設置する(憲法第93条)
   (つまり議会報告会は地方公共団体の負担で開催されなければならない)

 3.公職者は当該選挙区の地方公共団体に寄付をする事が出来ない(公職選挙法 第196条の2)
 4.寄付を勧誘、または要求した者は一年以下の懲役若しくは禁固又は30万円以下の罰金(公職選挙法 第249条の2 5)

 河村市長が言うように「議会報告会」を各会派、議員が政務活動費等を持ち寄って開催する事は、この3に該当し違法であり、そのような「寄付行為」を「要求」した河村市長は4に該当しすでに違法性を構成している。

 この発言を肯定的に報道しているのだとすればそう報道する機関も議員による寄付行為を要求する事になる。また、そうした議員による開催が法的、倫理的に適合しているのだと市民に広く誤認させるかのような報道は慎むべきではないだろうか。

 名古屋市民は公職選挙法やこういった法理に詳しい人たちばかりではない、一般の人々は「まさか市長ともあろう人が違法な事を公言する筈はない」と思っているだろう。

 つまり、議会報告会の開催を拒んでいるのは議員が政務調査費を「ケチっている」からというような誤解を惹起するとすれば、それは完全なミスリードだ。(議員が政務活動費や私費をもちよって基本条例に定められた議会報告会を開いたとすれば、それは違法なのだから。

 また、そうした私費で開く報告会(市政報告会)においては各会派の公平性は担保されず、市職員の臨席も期待できない。市職員の職務としての臨席が期待できないとすると、市民からの市政への質問に関して十分な回答が行えないおそれがある*1

 議会報告会開催 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0
 議会報告会の意義 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0


 ちなみに減税日本ゴヤの山田さんは2011年5月14日のブログで

 「政務調査費を使えばよいので、新たに税金をつける必要がないと考えます」
 政務調査費とは : 山田まな 活動日記

 と発言されている。

 それ以降も「各会派、議員が政務調査費を持ち寄って議会報告会を開くべきだ。そうした仕組みを作っていきたい」とも述べている。

 しかし、現在に至るも、減税日本ゴヤからこうした政務調査費/活動費を利用した「議会報告会」の開催方法についての提案はなされていない。*2



追記:
 議会報告会に「公平性、中立性が保たれなければならない」と河村市長は語られたようですが、公平でなかった、中立でなかったという事があったのか?
 名古屋市:名古屋市会 議会報告会(市会情報)
 確かに減税日本ゴヤの不祥事に対する追及はあったが、それは不祥事そのものが問題だったのであって、議会報告会の公平性、中立性とはまったく論点が違うだろう。



河村市政の裏表

河村市政の裏表

*1:とはいえ、今までテスト実施された議会報告会に自分が参加した範囲では、議員が職員に回答の手助けを求める姿は見られなかったが。

*2:つまり市民に向かってはカッコイイ事を言ってみても、裏に回ると何もしない。まさに「河村イズム」の体現者。ご立派なお弟子さんですこと。