市民オンブズマンの内田氏が「ナゴヤ庶民連」に招かれて政務活動費についての学習会に参加したそうだ。
「名古屋市議4人・愛知県議1人も参加」とあり写真を見ると確かに「見た顔」が居る。
会場から「減税日本の議員は領収書だけでなくほかのものも公開しているから、些細なことであげられた」というような発言があったそうで。いったい何を指しているのか。
「ほかのもの」なんてない。あるのは領収書と当人の発言であり、そのたいていのものは「些細なこと」でもない。相変わらず事実を見ずに、勝手な思い込みと観念だけでフィクショナルな「政治談議」を展開されている「ナゴヤ庶民連」らしい。
また、
名古屋市議の2人は、「私はほとんど政務活動費を使っておらず、政務活動費は不要だと考える」と明言
市民オンブズマン 事務局日誌
という発言は、すなわち「私はほとんど政務活動を行っておらず、政務活動費は不要だと考える」と等価だと思われる。
内田氏は
「政務活動費について、領収書さえあればよい、という誤った理解が議会に蔓延しているようだが、本質は『議員が調査をしているように思えない』ではないか。成果が上がっていない議員にお金を渡し続けることこそ疑問だ」
市民オンブズマン 事務局日誌
と述べてみえるが確かにその通りだ。
昨年の同時期に私はこういったブログを書いている。
市民の税負担を軽減しよう - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0
マスコミなど一部の人が言うように「地方議員の政務活動費など無くしてしまえ」という議論には賛成できない。そんな事をすればお金が無い議員の活動が縮小するだけだ。
また、後に述べるように「活動をしない議員」の方が報酬が高くなるという逆転現象を生む。つまり、河村・減税=庶民連の言うように「政務活動費の支出が多い議員は第二報酬を得ている」というような幼稚な考え方をもって「政務活動費を無くせ」と言えば、河村・減税流の「働かない者が得をして、一所懸命働いて汗を流した者が損をする」という仕組みが出来上がる。
議会の議員に必要な資質は様々な事柄を瞬時にでも理解し飲み込む理解力だろうと思う。その為には様々な事柄に対する知見が必要となってくるだろうし、それらを組み上げるための知識や経験も要求される。
その為には様々な人に会う必要があるだろうし、日本中、場合によっては世界中の様々な現場に足を運び、その問題を現場で見る必要もあるかもしれない。また、手に取って読んでみたい本や講演会などにはどんどん参加すべきだろう。
そうした際に「交通費が無い」であるとか「書籍代が捻出できない」という事では十分な知見は得られない。
そして、そういった知見はどういった形で形成されるか。
様々な価値観をもった議員が様々な価値観をもって活動する事で「経験値」が高まるのではないだろうか。
これを予め規定する事はできない。
あるいは各地の美術館を回るようなことや、各地の美食を食べ歩くようなことでも、それが地域のプラスにならないとも限らない。
関西のある地方議員が奥さんと二人連れで観光地を巡り、たまたま訪れた施設で「キリ番」の訪問者となり、報道に乗ってしまった事で「奥さん連れの物見遊山も視察旅行なのか」と批判を浴びた。
この事例などは行き過ぎの感もあるが、それでも「予め規定すべきではない」という原則からすれば規定すべきではないかもしれない。
地方自治体の一つのテーマである「観光」という観点からすれば、男性議員本人が一人で訪れるよりは、奥さんを伴って訪れた方が得られる知見があるかもしれない。
私は何もこの議員を擁護しようというのではない。擁護もしなければ批判もしない。それぞれの価値観の相違とその多様性を言っているまでだ。
ごまかしや嘘はいけないだろう。しかし価値観は多様であるべきで、それを予め制限する事はおろかな行為だ。
かといって、多様な価値観を元に一般常識から外れた支出をしようとするのであれば、それに対しては充分な説明責任が伴うだろう。公金の支出であるからには、多様な価値観から支出された金銭に対して、価値観を異とする人々に対する説明責任が伴う事を自覚すべきである。
そういう意味では、この定例議会で、誰あろう! あの! 中村孝道議員*1本人が本会議個人質問で述べたような「政務活動費の支出について公的な機関で検討する」だの「市当局が支出をチェックする」だのといった事はまったくの誤りである。
まず、そんな事は議員本人ができて当たり前だからだ。
議員というのは市当局の支出(年間、全部で2兆円)について審査するのが仕事だ。それが自身の政務活動費もチェックできないようではバッチを外す以外ない。
また、上にも述べたように議員は多様な価値観に準じて活動すべきで、それを第三者やましてや市当局に制限されるような事はあってはならない。
そしてこれが一番の中村孝道さんやこの質問を書いたライターの勘違いなのだが、議員の政務活動費というのは「市からもらうお金」ではない。議員の報酬も含めて、それらは市民から直接それぞれの議員に支払われるべきお金なんだ。そういう意味では各議員、一人一人と、市当局丸ごと一個は全く並列の存在とみなすべきだ。
今かりに市の予算を管理している存在が市当局であり、そこから議会事務局に支払われているお金なので議員が市当局に雇われているかのように勘違いしている議員がいるかもしれないが、それは大きな過ちだ。
じつは、この辺りのケジメについて河村市長自身が非常に怪しい。
じつは、この辺りのケジメについて河村市長自身も認識が非常に怪しい。
減税日本の市議、県議は河村市長からろくな教育を受けていない上に、その当の河村市長自身、この二元代表制や行政と議会の関係、つまりは「政治」そのものに大きな勘違いをしたままなので、その勘違いの再生産が起きている。
この中村孝道さんの市会個人質問もその一例だ。
さて、アレコレ言っていてもいけない。
本日筆を執ったのは昨年に引き続き、減税日本ナゴヤの政務活動費が公表されたことを受け、その内容についての疑義を述べるためである。
平成25年度政務活動費について | 投稿 | 減税日本ナゴヤ市議団
このページにある「平成25年度政務活動費(PDF:2.12MB)」の22ページを見ていただきたい。
以前にも少しふれたが減税日本ナゴヤ・北区選出の園田議員の政務活動費の詳細が載っている。
見てわかる通り、コピーのリース代金と携帯電話の通信費だけ計上されている。
その他はどこにも出かけてもいなければ、書籍一冊買っていないという事になっている。
600万円許された政務活動費の支出の内、使われたのは278,739円
執行率は 4.65% となる。
つまり「政務活動費を使わない議員が良い議員」であるという事になれば、こういった議員が良い議員であるという事になる。
本当にそれで良いのだろうか。
そして、問題はこれだけではない。
これだけではなく見えているモノから見えないモノも見えてくる。
このコピー機のリース代と携帯電話の代金は全額が政務活動費から賄われている訳ではない。「按分率」という比率で政務活動費、すなわち公金が補われているのであって、残る部分は議員自身が負担しなければならない。
つまり、このコピー機や携帯電話といってもすべてが政務活動に使われているとは言えないだろう。私用や選挙などの党派活動にも使われるかもしれない、その分は公金からの支出はお控えください。というわけだ。
この園田議員の場合、この自己負担金は
総額 398,207円 − 政務活動費 278,739円 = 119,468円
となる。つまり、園田議員は議員活動の為にコピー機と携帯電話を用意して、それを使っていたので年間で12万弱の私費を支出したことになる。
もっと活動している議員はもっと支出している。
つまり今の政務活動費の在り方の問題の一つはこの「働かない者が得をして、一所懸命働いて汗を流した者が損をする」という仕組みにある。
これで政務活動費を縮小、廃止すればより一層この逆転が酷くなる事は目に見えている。
本来、様々な事柄について、制度設計をすべき市長や議員が、こんなバカなルールを放置し、酷くしようとしているのだ。
次、ちょうどその園田議員のすぐ下に田山議員の詳細がある。次のページに移ると「広報費」の欄に「HP管理・更新」として「DDH」という名がみえる。これは昨年批判した水野昇氏の会社だ。まだ今年も不労所得の「HP管理・更新」代金を得ている事になる。ちなみに 2013年4月から 2014年3月までの 田山議員のHP更新は3回だ。
次に、このPDFを遡って1ページ目をご覧いただきたい。浅井議員の政務活動費の支出詳細になる。ここにも「広報費」として、こちらは個人名で「水野昇」氏の名前が見える。
この使用目的欄の「HP更新」なのだが・・・・浅井議員のHPはこれになる。
このどこを「更新」したのか 私には判らない。
実は浅井議員の政務活動費についての疑惑はこれだけではない。
この水野昇氏への支出を踏まえて4ページを見ていただこう。
「人件費」の欄に同じ「水野昇」氏の名前があるのだ。・・・同姓同名?
もし、同じ人物であり、事務所の事務員として雇っているのであれば、このHPの「更新」は事務所の事務員としての仕事としてできないものだろうか?
更にここに見える「浅井末夫」という人物。
すでに齢80を超える方だとの事。
そういう方をパートとして使われる事は理解できるが、毎月9万円ジャストというのは解せない(1月や8月も?)。 果たして就労実態とこの支出は適合しているのだろうか?
それと、もう御一方。
ある減税議員についても「是非書いてくれ」と情報をいただいているが紙面も尽き、スケジュール的にも厳しくなってきた。それについてはまた今度の機会に。
*1:あ、私は中村孝道さんを議員とは認めないんだった