市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

真・庶民革命(3)議会は酷薄な戦場

 前回までのあらすじ:
 名古屋市におけるリコール議会解散減税日本ゴヤという、素人ばかり28人という議会会派を生み出した。彼等は選挙公約である議員報酬半減に向けて条例案を作成し、可決の為に議会内で交渉を続けていく。しかし、会派内から改正内容の不満を批判されて条例案作成を担当していた玉置幹事が辞意を表明、事態を収拾すべく舟橋も幹事長職の辞意を口にする。

 真・庶民革命(1)革命の鳴動
 真・庶民革命(2)幹事長、辞表提出!

 (この文章は創作です。創作ですが出来うる限り事実に即して描いております)


 「舟橋さん、本気ですか」説明会が終わった後、則竹団長が舟橋幹事長に心配そうに聞いた。「大丈夫ですよ」舟橋は確信を持って答えた。舟橋には自信があった。この会派で幹事長を務め、他会派と交渉が出来るものは自分をおいて他には居ない。この則竹を含めても無理だ。それはこの一か月弱の間、会派内を見てきたうえでの結論だった。河村代表が自分の幹事長職の辞表を飲むわけがない。
 それよりも心配なのは先ほどの説明会、団員は3つに分かれていた。一つは議員報酬半減を実現しようとしていた者、二つ目は報酬半減は受け入れるが説明が不足していたと不満を言う者、こうした者は問題はない。説明が不足と執行部を攻めるにしても、人間が集団を作ればそうした者は常にいる。しかし、最後は問題だった。三つ目は議員報酬半減条例そのものの成立を阻止したいと思っている者。つまり、公約で報酬半減を言いながら、本音は報酬半減の実現を歓迎していない者たちだ。誰だって自分の報酬は一円でも高い方が良いに決まっている。しかし、選挙の公約で市民と約束したからには、自分の中にあるそういった弱い心と闘わなければならない筈だ。その覚悟の無い者が少なからず居る。舟橋はそこに危惧を感じた。



 平成23年4月15日、名古屋市会本会議場。
 議長席には減税日本ゴヤの中村孝太郎議員が座る。「次に、日程第49及び第50、すなわち・・・」ついに減税日本ゴヤの提出した改正案と自民党民主党共同提案による改正案が議会に提出される「最初に、議員提出議案第3号について、提案者の御説明を求めます」「議長、則竹」自席で則竹団長が手を挙げる「則竹勅仁くん」

 議事は減税日本ゴヤの改正案「3号議案」について、団長である則竹が提案説明を行い、続いて自民民主共同提案の「4号議案」について、自民党の藤沢が提案説明を行う。続いて、減税日本ゴヤの田山が「4号議案」に対する質疑を行い、それに対して藤沢が答える。つづいて自民党の中川が「3号議案」に対する質疑を行い、それに対して則竹が答えるという流れになっていた。この則竹の答弁で波乱が起こる「政治ボランティア条例ということで位置づけということでございますが、これにつきましては、800万円という報酬、一通り暫定的な数字ではあるんですけれども・・・・」議場がざわついた「暫定じゃなくて恒久だろう」と野次が飛んだ。「800万円ですね。800万円という数字を明示いたしましたのは、具体的な金額を出すということで800万円と・・・・」その他にも則竹の答弁は答弁漏れを起こしたり、言い逃れとしか解釈できないものがあったり、およそ説明としては不満足なものだった。減税日本ゴヤの会派内で充分に討議がはかられた提案理由説明とは言いがたいものだった。

 ともかくこうして、両案が提出され、総務環境委員会に付議される事となった、これ以降は委員会で両案が審査される。

 この時の名古屋市会、総務環境委員会の構成は次の通り。
 減税日本から大村光子(委員長)、林直樹、玉置慎吾、中村孝道、鈴木孝之の5人。
 公明が木下優、田辺雄一の2名に共産が田口一登の1人。

 対する自民から藤田和秀、藤沢忠将、成田隆行の3名に民主の斎藤亮人、山本久樹の2名。減税日本ゴヤの想定通り、公明、共産が「3号議案」に賛成してくれれば改正案は委員会を通過できる、しかし公明、共産が「4号議案」に乗るようであれば逆転されてしまう。委員会での審議は予断を許さぬものとなった。

 4月18日、総務環境委員会、「3号議案」に対する質問には、林、鈴木、玉置が回答をしていた。各委員からの「そもそもなぜ800万円なんだ」という疑問には、明確な回答を提示する事が出来ずにいた。それも当然で、最初から800万円である合理的理由などないのだから説明できるわけがない。選挙で支持を得た「有権者の民意」だけで押し切る事が一番正しかったのだろう。ところが何とか説明しようとして、言葉を重ねれば重ねるほど、言葉が矛盾を生み出していく。なんの根拠もない議員報酬半減案の、根拠のなさが浮き彫りになっていく。やがて15日の本会議における則竹の発言が問題となった。提案理由説明の中で「一通り暫定的」と則竹は発言したが、減税日本ゴヤの改正案には議員報酬を「暫定的」に800万円に定めるなどという表現は含まれていない。また、今までに河村市長が主張してきた議員報酬議論にも暫定的という概念はない。ここで提案理由説明に則竹が「暫定的」と言った真意はなんであるのか、質問が集中し、減税日本の委員は回答に困った。減税日本の改正案に肯定的な筈の公明党の委員からも、この則竹発言に対する疑問が提示された。結局、一日目の議論は減税日本ゴヤの側の防戦一方の議論となった。


 4月19日、減税日本ゴヤ控室。大村光子総務環境委員会委員長が則竹団長に昨日の顛末と、委員会への出席を要請する。テレビ局の記者がカメラとともについてくる。「出ていく必要なんかないですよ」則竹が答える「まんまと出て行ったら餌食ですって」かたくなに委員会出席を拒む則竹に、それでも大村は食い下がった。他の委員も交えて控室の隅にあるスペースに場所を移し、協議を続けることとなった。参加したのは則竹、大村、鈴木、玉置、中村孝道。テレビカメラも彼等を追った。大村が則竹に出席を求めるが則竹はかたくなに出席を拒んだ。玉置が発言する「他会派の委員が問題にしているのは、則竹団長の暫定的という発言に対してなんですよ。この改正案に暫定的なんて要素はありませんから。あの発言について取り消すなりしないと収まりませんよ。暫定的なんて。僕らが説明しても僕ら個人の意見なんて通りませんから。団としての見解をまとめるか、発言をされた則竹団長ご本人が取り消すなりご説明していただけないと事態の打開は無理ですよ。誰が説明責任果たすんですか、僕ら無理ですよ」やがて則竹もしぶしぶ出席に同意する事になる。

 4月20日、午後7時過ぎ。減税日本ゴヤ控室。総務環境委員会のメンバーが戻ってくる。皆疲れ切った表情だ。則竹団長を交え、長時間にわたった委員会での議論は散々な出来だった。玉置が戻ってくると、一人の議員が声をかけ控室のテレビの前へ連れて行った。午後6時過ぎに放送されるローカルニュースに、玉置たちの問題が取り上げられていたのだ。テレビに内蔵された録画装置に収まったその模様が再生される。テロップには「大丈夫?”減税”新人議員/看板公約なのに『僕ら説明ムリ』」アナウンサーが深刻そうな顔で「名古屋市議選で大量当選した減税日本の新人議員が、報酬半減案の審議で答弁に窮する場面が続出しています。経験不足なのか、それとも勉強不足なのか。看板公約の説明すら満足にできない、名古屋市議会最大会派は今、非常事態です」アナウンサーに言われるまでもなく玉置も非常事態だとは認識していた。続いてつい先ほどの委員会答弁における則竹団長の質疑が映し出される。不毛な議論の様子を改めて見て、疲労感がぶり返してきた。やがてテレビにはこの控室での一昨日のやり取りが映し出された。そこでは玉置本人の発言として「誰が説明責任を果たすんですか、僕ら無理ですよ」という言葉が切り取られていた。「やられた」玉置は思った。このままでは自分が条例案の説明すらできないと思われてしまう。自分の発言は則竹団長の発言に対する説明の事を言っているのに。いつのまにか舟橋幹事長があらわれ、一緒に画面を見ている。「これ違いますよ」玉置は舟橋に弁解するように告げた「僕は則竹さんの発言の事を言っているのに、条例案の事のように扱われている」舟橋は「まあ、今後発言には気を付けるんだね」仕方がないよと笑顔で告げた「それよりちょっと」テレビを止め手近な椅子に腰を掛けた。「今の委員会で、公明党の委員からこのままでは賛成できないというような発言があったよな」舟橋は深刻そうな顔で玉置に告げた。「このままいい加減な答弁ばかり繰り返していて、公明党が賛成の意向を翻したり、自主投票という事態になれば条例案が成立しなくなる。公明党の真意はどの辺にあるんだろうな」

 玉置が答える「本気で潰す気のようにも見えました。このまま800万円の説明や則竹さんの発言を釈明できずにいれば、公明党は離れるかも知れませんよ。それにさっきのニュース。ああやって僕たちの出した条例案自体やその説明に問題があるというような描き方をされれば、他会派にとっては『減税日本の所為で議員報酬半減が実現できなかった』という構図になりますからね。則竹さんも『暫定』なんて取り消せばいいのになぜ意地になって取り消さないんでしょうか」舟橋はこの問いかけにハッとする物があったが、口を噤んでいた。

 それより数日前、減税日本ゴヤの控室別室に居た舟橋のもとに、B(匿名の減税日本所属議員)がやって来た。「舟橋幹事長、こんな話は聞かれましたか」こう切り出したBの話は市会議員候補者の集まりでの事だった。減税日本は大量の新人候補を立てるに当たって、選挙前に幾度か勉強会を開催していた。勉強会と言っても政策や行政の話などではなく、選挙実務についての話ばかりだった。それもそんなに長時間でもなく、主にはそれ以降の飲み会が目的のようになっていた。その飲み会の席で、ある立候補予定者が講師でもある則竹にこう聞いたそうだ「則竹さん、僕ら、報酬800万円を公約に選挙を戦うわけですけど、本当に800万円なんかで市議の活動はできるものですか?」それに対してすでに焼酎の水割りを重ねて顔を赤らめていた則竹がこう答えたそうだ「心配いらないヨ。僕らガンバってもせいぜい15議席ぐらいしか取れない。自民や民主の議員が報酬半減なんて飲むわけないから潰される。だからちゃんと1400万円もらえるから、安心しなさい」周りで聞いていた立候補予定者も含めて、皆が高笑いをしたという。Bは「則竹団長の本音は報酬半減の不成立なんですかね。団の中にも何人か居そうです」と心配そうに語った。舟橋はさもありなんと納得する以外になかった。

 それと、気がかりな事もあった。

 舟橋が他会派との調整の為に条例案に組み入れた「激変緩和措置」つまり、既存議員について、この6月の加算額(賞与)を100万円上乗せして、市民税の支払いに対応してもらうという配慮が却って批判を生んでいる。今思うと、あんな説明しにくい配慮などせず、愚直に「有権者の民意、報酬半減800万円」で押し切った方が説明しやすかったのではと思われる。すると、この配慮を求めた人が、自分を嵌める目的でこんな提案をしてきたのではないかと疑惑が湧く。足元の床が抜けるような錯覚に襲われる。

 減税日本ゴヤの団の中も安心はできない。後ろからも鉄砲玉が飛んでくる。勿論、他会派からも飛んでくる。マスコミにも気を付けなければならないし、進む道にも落とし穴だらけ。普通の商売であれば、信用第一、信義則で成立するところだろうが、この議会というところは、恐ろしいところだと再認識させられる。それなりに分かったつもりになっていたが、いざ、自分の身をこうして投じてみて、いよいよとんでもない事をしたことに気付かされる。



 さて、周囲は全て敵と気を引きしめた舟橋に、
 最大級のミサイルが飛んで来る。

 そして、いよいよ議論は佳境に入る。
 果たして、議員報酬半減案は成立するのか、

 次回「真・庶民革命」第4回「5分間の休憩」
にご期待ください。



追記:
非常に興味深い動画が掲載されている。

近藤さん本人の語っている事が、ディテールを含めてこの記述
「議席」とは誰の為のものなのだろうか? - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

ままである事に我ながら驚く。
私の水晶玉はよくよく精度が良いようだ。


東区の市議候補となられた、元衆議院議員佐藤夕子さんには私も色々と聞きたいことがある。
7.30 A.A.K. 行動報告 | 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を!
7月30日の補足説明 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0
佐藤夕子衆議院議員には反省はない - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

佐藤氏の支持が落ちているのは、誰の所為でもない。
それこそ「自業自得」というものだ。

私が昨年末「警察に逮捕される」だとかいい加減なデマを飛ばせば有権者の信頼を失うだろう(だから、どんどん、デマを飛ばしてください)

ただ、デマは私だけにしていただけませんか。
私の年老いた母親にデマを飛ばして心配させるような事は止めてください。



追記:
3月22日、東別院において「平和展」が開催された、それに対して「抗議」をする、かの有名な在特会の皆様。

ヘイトスピーチ対策に関する意見書@名古屋市会

ちなみに、この意見書でいう「人種差別に該当する」と「認定」された言動を行っているのが、在特会です。

在特会は「河村市長を助ける男と女」のようですね。