追記:
明日 11月11日 午後1時
名古屋市会 財政福祉委員会
「市民税5%減税の検証について」
※明日は午前中に市長会見も開かれます。
この市長会見で河村市長から「大きな発表」があった場合、
それはこの減税の検証を紙面の片隅に追いやろうとする
いつもの手段である可能性があります。
ギリシャの神ディオニソスを助けたミダス王は、その礼に願いを叶えると告げられる。富を求めた王は、触れたものが全て黄金に変わるようにと願った。試しに小枝や石に触れてみるとそれらはたちまち金に変わった。やがて王の身の回りは金で包まれた。しかし水や食べ物まで金に変わってしまうに及んで、王は空腹を抱え自分の考えが間違っていた事を知る。
河村市長の触るものはすべて「失政」に変わるかのようだ。
10月29日の中日新聞に一風変わった記事が載った。
名古屋市の稲永埠頭に国際展示場の整備計画があるというのだ。
この話はまさにメチャクチャ、「5歳児河村たかし*1」の面目躍如の幼稚な行動だ。
順を追って見ていこう。
名古屋の金城ふ頭には国際展示場がある。
現在の総展示場面積は33,946㎡で
東京ビッグサイトの80,660㎡、
幕張メッセの75,000㎡、
インテックス大阪の70,000㎡
などと比較すると手狭であり、特に昭和48年(1973年)に開館した第一展示館は、ドーム型の象徴的な外見が親しまれているものの、空調等の施設の老朽化、円形という使いづらい形状など改善点がいくつも指摘されている。
そうした状況の中、平成19年6月に「名古屋市国際展示場整備構想検討委員会」が設置され、翌20年1月に「名古屋市国際展示場整備構想提言」がまとめられている。
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000056007.html
ここでは場所を金城ふ頭として、第一展示館を移設拡張し、40,000㎡の展示スペースを確保する方針が打ち出されている。
さてそれに対し、河村市長の 2013年 マニフェストには次のように明記されている。
政策4−(2)
http://genzeinippon.com/manifesto201304explain.pdf
2)名古屋港に巨大国際展示場を開設(拡充)
※名古屋市国際展示場ポートメッセ(現在3万4000㎡)を10万㎡以上
日本1の巨大国際展示場に拡充 *2
実はこのマニフェストにはこのような記載もある。
【どえらけにゃあおもしろいナゴヤ】
http://genzeinippon.com/manifesto201304explain.pdf
○国際展示場の拡大 10万㎡から30万㎡目標
金城ふ頭で30万㎡を取ろうとするなら、ほとんどすべての施設をどかさないと取る事はできない。展示スペースを多層構造にして10万㎡を確保する事ができるか微妙な状態だろう。
そもそも30万㎡の展示スペースを取ろうとすると、それが採算に合うものか不明だ。
根拠もなく思い付きで数字を弄んでいるようにしか見えない。
それでも金城ふ頭を整備して、10万㎡規模の展示スペースを確保するという方針は判らなくもない。国際的な展示場はこの程度の規模を誇っている。
シンガポール Expo 10万㎡ Singapore EXPO Convention & Exhibition Centre
上海新国際博覧中心 20万㎡ SNIEC
しかし、この河村市長の 2013年 マニフェストには次のような記載もある。
(4) 名古屋港のテーマパーク「レゴランド」開業に向けた周辺整備
河村市長はレゴランド開業に前向きで、レゴランド開業に合わせて、名古屋駅からレゴランドがある金城ふ頭まで、あおなみ線にSLを走らせたいと(5歳児らしい*3)抱負を語っていた。
実際に2014年6月30日に正式調印が済まされ、2017年春には金城ふ頭にレゴランドが開業される。
この図は金城ふ頭の開発予定図だそうで、レゴランドが真ん中に場所を占め、現在の国際展示場第一展示館の用地はレゴランドの拡張予定地と位置付けられているようだ。
第一展示館は公園を挟んだ逆サイドに移り、規模を拡大して新築されるようだ。
これは検討委員会の提言に沿うもので、4万㎡の展示スペースは確保できる。
しかし、この案では第一展示館と他の施設が離れすぎているのではないかという意見もある。また、10万㎡という規模を考えた場合、このレゴランドの誘致は矛盾するのではないだろうか。
オフィシャルな名古屋市の国際展示場計画は、金城ふ頭を舞台とし、目標とする規模を4万㎡程度として、第一展示館の移設新築という方向で進んでいる。
しかし、それは河村市長のマニフェストとは異なる。
そこで記事にあるように、稲永ふ頭に10万㎡の用地を探して企業に当たっているというのだろう。
しかし、この動きはメチャクチャだ。
記事には次のように有る
十万平方メートル規模の展示場整備を唱える河村市長が適地を探すため、名古屋港に詳しい企業関係者に相談したところ、稲永ふ頭が候補に浮上した。
市長特命の課題を担当する特別秘書が八月以降、倉庫を使う全社に移転が可能か打診。各社は、市長の正式な提案を待って検討する方針という。
整理しよう。
河村市長は2013年のマニフェストで金城ふ頭「ポートメッセ」を10万㎡に拡張する事を明記した。
2014年4月 レゴランドと正式調印。
2014年8月 稲永エリアの企業に用地の打診。
順番が泥縄というかムチャクチャではないだろうか?
行き当たりばったりでもない。完全に矛盾している。
つまり、河村市長はレゴランドと調印した際に、レゴランド誘致によって、自身がマニフェストで明記した金城ふ頭「ポートメッセ」における10万㎡展示施設の拡張が不可能になる事を認識していなかった?
または、認識しつつ「二枚舌」を使っていた?
(どうせ、市民は気が付かない。とでも思われていたんでしょうかね)
レゴランド誘致の前に金城ふ頭以外で国際展示場を開設可能な10万㎡の土地が見つからないようなら、国際展示場をマニフェストに据えた以上、レゴランド誘致を見合わせるしかないのではないのだろうか?
レゴランドとの正式調印以降も用地の宛が無かったという事になる。
そして、当局や検討委員会を使わずに、「名古屋港に詳しい企業関係者に相談」して、特別秘書を回らせている。キチンとした組織の力を使わなかったり、わざわざ設置された委員会という仕組みを使えなかったりするところなどは職員給与をめぐる人事委員会とのゴタゴタにも通じるものがある。
ちょっと面白いのが対応した企業の反応だ。
「市長の正式な提案を待って検討する」
最近これによく似た言葉を見た。「鳥久」問題ではなかったか。
五月上旬には市長に「土地の交換案などを示す」と言われたため、「五月いっぱい」と期限をきった上で、市長秘書の示す案を検討した。だが、「今の建物がある土地の評価が低すぎ、納得できる交換案ではなかった」という。
折も折、「鳥久」の問題がこんな形でこじれて、各企業は安心して交渉に乗れるだろうか?
もし、河村市長ににらまれた場合、行政の力を使ってどのような「嫌がらせ」をされるかわからない。それなら関わらない方が良いに決まっている。
更にこういった背景を元に、この記事を読み返してみると、面白いことが分かる。
記事では単に「名古屋港の稲永ふ頭に、国際展示場の整備構想が浮上してることが分かった」と書き出されているが、果たしてどうやって「分かった」のだろう。この記事が出たのが29日。記事にはこうある。
「大規模な国際展示場をめぐっては、大村秀章愛知県知事が二十八日、県内での整備を検討する意向を明らかにした。河村市長は『聞いていない』と話しており、今後、両者の間で意見が対立する可能性もある」
愛知県企業庁企業立地部企業誘致課 企業立地のご案内:中部臨空都市 空港対岸部/詳細地図
つまり前日の28日に大村知事、愛知県が10万㎡の国際展示場計画がある事を表明した、それを受けて河村市長が記者にリークしたと見るのが妥当だろう。それにしても、愛知県の案は用地ありきであるように見える。それに引き換え、名古屋市のというか、河村市長の対応は稚拙過ぎないだろうか。
この記事のタイミングといい、視点といい、当局の内部が出所には見えない。対する企業などでもない。
大村知事の発表を受けて、同じ10万㎡の国際展示場計画をマニフェストで謳っていた河村市長に、愛知県のプランについて記者が感想を求めたタイミングで、河村市長自身からリークされた情報と理解するのが正解だろう。
もちろん、大村知事、愛知県に対する牽制という意味もあるだろうし、動きの遅い河村市政に対する批判に言い訳を用意したということかもしれない。それにしても稚拙だが。
しかし、この稲永ふ頭に10万㎡の国際展示場を作るという話。よほどズバリの土地をもった事業者がいれば別だが、これはとん挫するのではないだろうか。
各企業からしてみれば土地を手放す、事業をたたむという事にもなりかねず、信用問題にも関わる話になるだろう。迂闊に話にのって「鳥久」問題のようなトラブルにでも巻き込まれてもたまらない。更に、内心では河村市長からの提案に乗って移転を模索していたかもしれない企業も、こうした形で情報が洩れ、政治的に使われるようでは腰が引けるだろう。事業の取引相手として河村市長が率いる名古屋市は信用を置くことができないという事だ。
政治家 河村たかしに対して「選挙モンスター」であるとか「気さく」「おもしろい」という評価を耳にした事があっても「信用できる」と評価するヒトを見た事が無い(逆に「信用できない」という声は幾らでも聞く)
河村市長には近づかない方が良い。寄ったり、触ったりすれば、黄金にされてしまうだけなのではないだろうか。
ミダス王の物語は続きがあるそうだ。
ミダス王が黄金の呪いから解放されたのち。
パーンという神が自分の笛はアポロンの竪琴よりも素晴らしいと自慢し、腕比べをする事になった。山の神はアポロンに軍配を上げたがパーンと友人のミダス王だけはパーンの方が良かったと主張して譲らなかった。腹を立てたアポロンはミダス王の耳をロバの耳に変えてしまった。
「しがらみ」から歪んだ評価を下し、その自説に固執する。
そのような者の耳はロバの耳になるのが相応しいのかもしれない。
当ブログでは「王様の耳はロバの耳」という投書が幾つか舞い込んできている。この情報について、整理でき次第掲載させていただこう。