市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

河村市政100日

 8月13日は河村市政4期目開始より110日目にあたる(私は当初8月13日で100日と思っていたが、ご指摘を受け確認してみたところ、8月3日が100日目で、13日は110日目だった)

 私はこのブログで、政治家が公約を果たさないのは、有権者が公約の実現状況をチェックしないからだというような事を書いた。選挙といえば掲げられた政策について、あれこれと議論も起きるが、いざ実現の段になると、なかなか議論は起こらない。ましてや「公約に掲げた政策が実現されない場合」には話題にすらならない。

 つまり、政治家は選挙の時にだけ、耳障りの良い空約束だけを掲げ、当選してしまえば、そんなものは無視していればバカな国民、有権者は気が付きもしないということになる。

 こうした傾向が続けば、有権者は政治家を信用しなくなり、真剣に政治にコミットする者は、失望のうちに政治から離れる。結果として選挙は単なる人気投票、有名人選びになり、その結果を見た政治家も有権者を信用しなくなる。真面目に考え、練り上げた政策よりも、テレビに出ている有名人やタレントもどきが、思いつきで口にしたような事柄を掲げた者が当選し、選ばれるのであれば、真面目に政策を考えるモチベーションなどなくなる。

 「公約」と言われた事柄を、具体的に実現時期まで明記して示し、その進捗の報告義務までを科す。「マニフェスト」という概念を日本社会において提唱したのは北川正恭氏であったが、それ以降「公約」と呼ばれた「空約束」は、「マニフェスト」と呼ばれる「空約束」に代わった。

 「マニフェスト」はその進捗度合い、完成時期までを明示できていなければマニフェストの価値はなく、政治を国民に強く結びつけ、政治の信頼を回復させ、社会を健全に前進させていくためには、政治家の行動を厳しく、現実に即して評価していく有権者の態度が必要なのであり、それをつなぐのがマスコミの役目だろう。

 今年の4月、米国バイデン政権は100日目を迎え、各メディアやシンク・タンクはこの100日のバイデン政権の施策を検証した。

www.jetro.go.jp

www.bbc.com

 マニフェストは、政権担当者が有権者に示した約束であり、その約束を果たせないものは、政権担当者でいる資格がない。

 さてさて、この8月3日以降、中日新聞名古屋市河村たかしの「マニフェスト」に対して、何らかの検証を行ったのだろうか。

 名古屋市政で初の多選、4期目を迎える河村市政が、100日を迎え、果たしてこの人物が名古屋をどうしようとするのか、それが検証されたのだろうか。

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2021年市長選挙公報

 まず、このマニフェストを見ると、いわゆる「政策提案」に当たるものが少ないことに驚かされる。単なる決意表明というか、希望を述べただけで、具体的な姿が浮かばない。いくつか羅列されているもののうち「2021年の5大公約」と言われている5項目だけをまずは見てみよう。

「1.日本一のコロナ対策、保健所の地を這う調査」
名古屋市のコロナ対策が「日本一」と呼ばれているとは客観的には聞かれない。保健所の疫学調査は重要かもしれないが、すでに市中感染の段階に至っていることは明白であり、この段階で行政が行うべきことは検査と、隔離、及び隔離施設と重症化した者に対する医療体制の確立だろう。
 日本政府全体が迷走しているようなので深い議論には入り込まないが、河村自身毎日のようにツイッター上に調査報告を投稿しアピールしていた。しかし、この調査報告もすでに途切れがちである。私が河村たかしが無能であるとみなす一因がこれだ。つまり、政治、行政において必要な基盤は継続性である。「地を這う」などといっているが、そうした地道な努力を行っているのは職員であって、その成果をあたかも自分のものであるかのように喧伝するバカ殿、市長様自身は、すでに「飽きてきた」のだろう。市長公約なら4年間、少なくともコロナ禍が終息するまで継続するべきだろうが、河村たかし、無能市長にかかると、100日も継続できないといえる。

「2.日本一子ども応援、子どもを一人も死なせないナゴヤ なんとしても実現」
 これについては、3年前におきた「中学1年女子いじめ自殺」について、河村、及び教育長などが8月6日、遺族に謝罪に赴き、その際正座して威儀を正し謝罪する教育長を横目に、あぐらをかいたまま他人事のようにその様子を見ていた河村の姿が批判を呼んだ。

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遺族の前であぐらをかく河村たかし

「3.敬老パス~」については、公約とは言えないだろう。すでに具体化している「私鉄への拡大」について書かれているだけで、これも私鉄側からの申し入れなどで実現したもので、河村が交渉などで一役買ったなどということはない。

「4.ウーブンシティ~」 これなど、今回の「マニフェスト」で最も無責任、いい加減な空約束、戯言でしかない。トヨタ裾野市に設置しようとする「ウーブンシティ」については、高度な技術的投資と、法整備が必要となるもので、名古屋のように200万人を超す人口を擁する都市が一朝一夕に「ウーブンシティ」を実現できるわけがない。各メディアは、河村たかしに質すべきだ(選挙期間中に、質すべきだった)ここに掲載した「ウーブンシティ」との字義の定義、何をもって「ウーブンシティ」というのか、そしてその実現予想時期、及び費用見積もりを。そうした検討はない。

「5.「働くお母ちゃん、お父ちゃん」「若者」とマニフェストづくり一緒に実現」この最後など、酒でも飲みながら、河村が支援者や支持者に囲まれて、お追従を受けながら、何も考えず、単に勢い、思いつき、調子にのって掲載しただけということが判る。この項目は一体何がしたいのか?
この実行主体は「一緒に」となる。これは市長候補の公約ではなく、呼びかけということになる。そして、一緒に実現する対象とはなにか?「マニフェストづくり」だというのだ。マニフェストに、マニフェストづくりの手法が盛り込まれる?

 この「マニフェスト」を「市民から票を入れてもらうためだけの表面的に耳障りの良いキーワードの列挙」と理解するとしっくり来る。「お母ちゃん、お父ちゃん、若者が注目するキーワードはなんでぁあも」と言うことだ。その実現性?そんなことはどうでもいい。

 これに引き続く項目の中でも、具体性が有る「出産祝い制度、子育てギフトセット」にしても、他都市も行っている全国的な傾向であり、名古屋市においてもすでに実施されている施策でしか無い。

www.city.kamisu.ibaraki.jp

ssp.kaigiroku.net

 さらに選挙期間中話題となった「30%キャッシュバック」は一体どこへ行ってしまったのだろうか。

 中日新聞を読んでいては、この政策について理解できないことは論証した。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

 結局、河村が理解不能な不明瞭な公約を公言し、それを更に不明瞭に中日新聞が喧伝することによって、実態のない、鵺のような39万票という投票が河村たかしに向かったことが判る。中日新聞はこの公約の行方について、いかなる検証を行ったのだろうか。それともこのまま有耶無耶に終わらせようというのだろうか。(前例は、中部新空港に接続するあおなみ線延伸計画や、減税による1128億円の経済効果などがある)

 河村たかしの「マニフェスト」は、その実現性を担保しない無責任な「空約束」であり、名古屋市民はこの無責任な嘘に騙され続けている。しかし、その嘘に騙され続けた原因の一つに、名古屋市内で圧倒的なシェアを持つ「中日新聞」が河村たかしの「マニフェスト」を名古屋市民に広く伝え、その結果についてはろくに伝えていないという問題が有る。

www.chunichi.co.jp

 経済学的に誤っており、経済的効果など見込めず、日本全国のすべての地域において取り止めとなった「河村流減税政策(歳出削減で、地方税率を軽減するという政策)」が、名古屋市だけ漫然と続けられている理由は、名古屋市だけにあるこの情報の特殊性、異常性が原因であると考えられる。

 現在河村市政に対して厳しい目を向ける人々が増えている。

 極めて自然なことだが、12年間、市長が嘘をつき続け、その嘘の歪が名古屋市政のアチラコチラに顔を出している。更に、世界的な潮流として「フェイク・ニュース」に対する「ファクト・チェック」を求める傾向がある。もう、嘘には飽き飽きなのであり、一部の政治家やデマゴギー、勉強不足の記者が振りまくデマがこの社会を毀損していくことを容認できるほど、日本という社会には余裕はないのだろう。強力なブロック紙として名古屋市内でシェアを誇ってきた中日新聞といえども、緊張感をもって事実をーー「誰々が、語った」などという無責任な「事実」ではなく、中日新聞が社名を背負っても恥じることのない事実をーー伝えていかないと購読者から切り捨てられると覚悟したほうが良い。

 例えば、次のようなツイートが有る。

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 8月14日 午前8時24分に投稿されて、18時の現在、約400のリツイートと、457件の「いいね」を受けている。

 ・市税の増額は、主に県税からの予算移譲の結果であり、名古屋市の増加傾向は他都市と相違が見られないこと。

 ・世帯減税額が「1万円」であるとする主張には嘘があること。

 こうした嘘を河村が名古屋市民に言い続け、地元メディアが有効に検証を加えなかった結果が、名古屋だけ河村流減税政策が続けられている理由であり、この異常な人物を市長として選んでしまった原因なのではないのだろうか。

 今回の「金メダル噛り事件」にしても、一部メディアは「またいつもの河村市長のおちゃらけであり、解散を間近に控えて、埋没を恐れた河村の売名行為でしかない。こんな悪ふざけを紙面、テレビに出せば、河村の思うつぼでしか無い」という意見があったようだが。SNS上の強烈なリアクションに押されて、各局が動画を放映し(特に、代表カメラを入れていたNHKまでが地方ニュースのトップに持ってきた)、全国ニュースやキー局のワイドショー、更には海外のメディアまでが注目するに至った。

 では、なぜSNS上で強烈なリアクションが有ったのかと言えば、その直前に知事リコール署名における「署名簿偽造問題」があり、ここでも「100万人」と言いつつ実数が7万人程度(県内有権者の約1%)しか集まらなかったという、河村たかしの主張の異常性があったのだ。

 この偽造問題の以前に、「不自由展」に係る河村の大村知事に対する申立そのものが異常であり、虚偽に満ちたものであった。

 そしてそれは、上記のような減税政策における虚偽性、南京発言問題、名古屋城問題における造られた民意、SL問題においても河村たかしの虚偽を垂れ流すメディアの問題と、健全な対抗言論の不在を表すものだったのだろう。

 現在の名古屋市河村たかしの「異常性」は、昨日今日造られたものではないし、河村たかし一人が作ったものでもない。こうした異常な行動は、既に随所に見られていたにも関わらず、それを真っ当に報道してこなかったメディアの責任であろう。(確か、SKEに対しても舞台上でセクハラ行為を行い問題になった。また、フィギュアスケート浅田真央選手とは共演NGを通告されており、名古屋市内で行われる様々な行事で、浅田真央選手がブッキングできない理由になっているのではなかっただろうか)

追記:
こういった事例も表に出てきているようだ。

メダルかじりで炎上!河村たかし市長に未成年声優への“性ハラ疑惑”が再浮上 (2021年8月11日) - エキサイトニュース

 私がメディアの責任を批判するのは、すでに河村たかしにはこうした批判を受け入れて修正を行うなどという芸当は無理であろうし、そんな必要もない。河村たかしには死ぬまで反省もせず、気づきもせず、自分を理解しない社会を恨みながら余生を送ってもらえばいい。それよりも名古屋市政を正常化し、名古屋市内の特に子どもたちに見せても恥ずかしくない市長を迎えたいものだ。そのためには、メディアの、特に中日新聞の力が必要だ。何も、こととして河村たかしを批判する必要など無い、事実をありのままに、しっかりと報道するという当たり前の姿勢を取り戻せばいいだけだ。

 その為にも、中日新聞の市政担当記者には、河村たかしマニフェストを再読いただいて、この100日間何が行われ、何が行われていなかったか、確認し、市民に伝えていただきたい。
 行われた事を記事にするのは誰にでもできる。行われるべきことが行われていないことに気がついてこそ、給料をもらって恥ずかしくない記者なのではないのか。


 最後に、追記1)

 金メダル噛りで、辞職を聞かれた河村は「有権者から選ばれたのだから、無責任に辞任とかできない」などと言っているが、有権者から選ばれた愛知県知事である大村知事に辞職を求めていた者が言う言葉ではない。他人には辞職を求められても自分には辞職を許さないとは、ダブルスタンダードであり、嘘である。

追記への追記(9月1日):


 追記2)

 議会から「具体的なけじめ」を求められた河村は、12日に河村事務所に減税日本の幹部議員、田中特別秘書、平野一夫等を集めて、対策会議を開いたようだ。マスコミの一部では、河村はそもそも国政転身を考えていたことも有り、ここは一旦市長を辞職し、近々行われる総選挙で愛知一区から立候補し、選挙に受かることで禊とし、国政転身と騒動の沈静化を考えるのではないかとこの会合を注視した。「具体的なけじめ」として、市長辞任なら有り得る選択と思えたからだ。ところが、出てきた答えが「ハラスメント講習受講」と聞いて、呆れるというか、改めて減税日本品質、河村たかし品質の紛い物感を知ることとなった。