市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

平成26年3月12日土木交通委員会(弥富相生山線問題)

 「弥富相生山線問題」・・・今の河村市政で大きな政治的課題になっている。後述するが、そもそも河村市政でこの「弥富相生山線問題」が課題となる事自体が不思議な事なのだ。簡単に経緯をお話ししましょう。

 そもそも「弥富相生山線」とは何か、という方には名古屋市のホームページに紹介が載っている。少々更新がされておりませんが、それも河村市政の停滞を示すものです。
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-3-7-3-2-0-0-0-0-0.html
名古屋市:環境に配慮した取り組みについて(市政情報)
名古屋市:都市計画道路 3・4・79号 弥富相生山線(市政情報)


 野並から植田に向かうと右手に緑が豊かな丘陵地が続く。(もちろん、植田から野並に向かう際には左手に)ここに相生山緑地があり、この丘の裏手にあたる地域は市街中心への便が悪い。この丘陵地を縦断する道路を整備するというのが「弥富相生山線」だった。

 この相生山緑地には「ヒメボタル」の生息が確認され、生態系の保全のため、河村市長は「ストップ・アンド・シンク」と8割がた進んでいた工事を止めて、工事の再開か中止かは地元住民の住民投票で決めるとしていた。

 (「河村たかし 2013年 第二期市政マニフェスト」には「政策6 環境に配慮した街づくり」の中の「(3)の3)」に「相生山(弥富ー相生山線)は住民投票で 住民自ら高度な責任ある判断を」とうたっていた)

 工事の停止以来丸々4年、住民投票の準備は進んでいない。工事を中断させておくにも経費は必要となる。また地元住民から「早期開通」を求める請願や「公正な住民投票」を求める請願など、様々な意見が寄せられていた。
 そうした中、昨年12月土木交通委員会の席上、入倉副市長が「住民投票にこだわらない判断を」と述べ、一気に工事再開の予算が付けられるものと期待された。

 実際に市当局からは整備予算が計上されたが1月市長査定でこれは認められなかった。
 名古屋市:平成26年1月20日 市長定例記者会見(市長の部屋)

 河村市長の意見としては「住民投票」の実施が絶対の条件のようだが、しかし不思議な事にこの予算に「住民投票の準備予算」も計上されていない。


 そこで今議会、土木交通委員会で「もし住民投票など、工事中止が決まった場合、どのような措置が必要となるか」と疑問が提示され、当局に対して資料要求がなされた。

 そもそもおかしな話だ。

 この時要求された「工事の中止が決まった場合、どのような措置が必要となるか」この中には、工事中断の際の「後片付け経費」の概算も含まれる。

 工事再開となって残り2割を終わらせるには工費がかかる事は当然だ。しかし工事を中断しても、8割がた進んだ現場を元の「里山」に戻さなければならない。そしてそれには当然の事に経費がかかるのだ。

 相生山の自然、ヒメボタルを守れという工事中断派の意見。相生山後背地の住民の利便を考慮せよ、さらに防災の要望に応えよという推進派の意見。両者共に理はあるだろう。あるだろうが、そういった理念的な話だけではなく推進にも中断にも「お金」がかかるのだ。

 つまりこの「工事中止が決まった場合、どのような後片付け経費が掛かるのか」という推定もなく「住民投票」を行ったところで、それが住民の「高度な責任ある判断」と言えるのだろうか?

 土木交通委員会、つまり議会からの要請で初めて資料はまとめられたそうだが、住民投票を模索している筈の河村市長から、こういった調査の要請が無いのは何故なのだろう。


 さて「主な構造物を撤去する場合の概算費用」をお示ししよう。
1.シェルター:約8.9億円
2.橋台・橋脚:約1.6億円
3.擁壁:約0.2億円
4.舗装:約0.2億円

 しめて約10億2千万円約10億9千万円(訂正:深夜に暗算してはいけませんね)。この金額は単純に構造物を撤去する際の概算費用であって、その他にも埋め戻し費用や植栽などの経費が発生するだろう。

 「シェルター」とは何か「橋台・橋脚」とは何か、という方には是非一度、現地に足を運んで現状をご覧になる事をお勧めする。如何に現在の道路が環境に配慮した異様なまでに手間をかけたものであるかに驚かれるだろう。そして残り2割という工区の少なさにも。
(本当に、後たったこれだけでよく止められたものだと逆に感心する。多数の名古屋市民は「工事を止めた河村市長」を称賛はするが、現場にまで足を運んでそのナンセンスさに気が付くものは少ない。そう見積りでもしたのだろうか。名古屋市民は事実を見て政治決定などしないと、河村(隆男)たかしに嘗められているのだ)


 河村市長や工事中止派の人の中には主な構造物はこのままにして(という事は、今の工法で環境負荷が充分少ない事を認めてくれているのだろうと解釈するが)「モニュメント」にでもすればいい。という人が居るようだ。無責任な発言だ。
 今は工事中という事で出入りできないように管理されているが、中止となれば出入りが自由となる。そもそも道路として継続的な管理を前提に作られた構造物は、それが道路として使われていようと使われていまいと一定の維持管理費が必要となる。 擁壁の撤去費用2千万円をケチって擁壁を放置すれば落剥の危険性がある。子どもでも遊んでいる上に落剥した擁壁の破片が落ちてきて良いのだろうか。

 当局の概算にはこれ以外に次のような経費も見込まれている。(金額は入っていない)
1.シェルター上部のヒメボタルの保全
2.移植した樹木の再移植
3.動物の活動時期に対する施行時期の配慮
4.森へ復元するための現地発生土の不足への対応
5.構造物撤去を行う際の騒音振動対策
6.土地の改変を最小限に留めるための対策
7.仮設物(土留・仮桟橋など)にかかる費用
8.砂防法に係る土砂流出対策費用

更に次のような事柄も考慮する必要があるようだ。
ア.中止する場合の関係者や地域との合意形成
    (1)交通機能
       1.都市計画道路網の代替案
       2.生活道路への入り込み対策(既に問題になっている)
       3.周辺道路の渋滞対策
    (2)防災機能
       1.災害発生時の避難路や救援活動のための通路
       2.消防車などの緊急車両の経路(この問題については後述)
       3.速やかな消火活動場所の確保
       4.火災の延焼防止
    (3)環境配慮
       1.整備済み構造物の取り扱い方針
       2.森へ復元する方策
       3.動植物への配慮方策
    (4)用地処理
       1.買収済み用地の取り扱い方策(約1.2ha、64筆)
       2.関係人への説明方法(69名)

イ.弥富相生山線の当該区間の廃止を行う場合の都市計画法に基づく手続き
  1.都市計画変更原案の作成
  2.説明会の開催
  3.都市計画変更案の作成
  4.関係機関との事前協議
  5.都市計画変更案の縦覧及び意見書の提出
  6.名古屋市都市計画審議会での議決
  7.公告及び図書の縦覧

 何を大層にと思われるかもしれないが、もう一度
 http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/page/0000000498.html
 ご覧いただきたい。

 そもそもこの弥富相生山線の計画は昭和32年に都市計画決定された代物なのだ。
 それを一部ご破算にするのだから様々な処理、手続きがある事は当たり前だろう。


 さて、この中でも触れられている「消防車などの緊急車両の経路」の問題については特に驚くべき報告が委員会の中でなされた。

 この相生山も山林火災の過去がある。昭和43年4月21日午後2時半ごろ、ハイカーのタバコの火の不始末からとみられる失火が発生し約15ヘクタール(相生山の12%)を消失する火事が起きた。
 「市消防局は第二次出動をかけ昭和消防署などから消防車約10台がかけつけたが、水がなく、また山道で消防車が接近できないため、ホースを20〜30本つなぎ合わせてやっと消火にあたった。
 一時、民家に80メートルと火は迫り、愛知県機動隊1個小隊をはじめ昭和、瑞穂署員など計123人も出動、出火元に近い民家5戸に避難命令を指示した」

 とされている。

 実は今年の1月18日に天白区役所で「次期総合計画タウンミーティング」が行われた。その席で相生山の住民の方が発言された。この火災で消防にあたった経験があるそうだ。

 この方のご発言を受けて議会の土木交通委員会において、委員が事情を知りたいと調査を依頼した結果が上記の委員会提出資料にあった記載らしい。

(上でご紹介した1月20日の河村市長記者会見でも触れられている。河村市長はこのように述べている。

 天白区役所におきまして、タウンミーティングがありました。その他の会場でも、必ずとは言えませんが、ほとんどのご発言が「再開をするな」という方の、「道路開通(工事)の再開をするな」というご意見がありまして。きちっと勘定してくればよかったな。わしは全部メモしていますので。「道路開通をしていただきたい」と、「山火事があるので」というお話があったのは1人でして、あとのご発言はみんな、「再開をするな」というふうだと。

名古屋市:平成26年1月20日 市長定例記者会見(市長の部屋)

 委員会ではさらに、このタウンミーティングでの発言を受けて、河村市長はこの件について調査、ヒアリングを行えというような指示があったのかと当局に確認がとられた。当局の回答は「そのような指示はない」という事だった。

 上の市長会見の発言をみても、河村市長のこの問題に対する認識の浅さが判るだろう。
 敢えて言う、人命よりも「ヒメボタル」や「自分への支持」「人気」「票」なのだろうか。

 委員からの報告では、この相生山付近で平成17年に2件、20年にも2件、21年には3件、23年に1件の火事(消防への出動要請)が起きている。この内17年4月の火事は100平米を焼く火事だったそうだ。

 タウンミーティングで天白区の住民が直接訴えかけた言葉に対して、その側面調査もせずに漫然と観念論を繰り返す。「 きちっと勘定してくればよかったな。わしは全部メモしていますので」

 たわけの発言だ。そんな数に何の意味がある。メモをしていても、その言葉が「現場」でどのような重みを持つか、それが判らなければ子どものノートと代わりがない。敢えて言わせていただく「無能市長河村」と。



 そもそもこの道路の計画はすでに述べたように昭和32年に策定されたようだ。
 そして平成6年から16年にかけて「愛・地球博*1をきっかけに大きな政治課題になったそうだ。前市長である松原氏も建設には反対をしていたそうだ。
 松原市長も環境保護という観点から建設には反対していた。そういう意味で、そもそも特に環境に考慮した、いってみれば「余分な経費も潤沢に使った」道路計画が出来上がったのだろう。シェルターの存在や、道路には「ハクビシン」の為の隧道も設置されているそうだ。

 また、この期間。天白区の住民説明会で会場に花火が投げ込まれたり、住民同士がいざこざを起こしたり、住宅に嫌がらせをするという問題も起きていたらしい。

 そうした過去があるだけに、また住民間の亀裂を生みかねない「住民投票」を行わないで欲しいという意見が地域住民から議会に提示されたのだろう。

 こうした長い年月を費やして、やっと実現にこぎつけた「命の道」である「弥富相生山線」に対して、早期開通を願う住民の気持ちはいかばかりだろうか。また、中止であるのなら中止でも良い。住民投票でもなんでもやって、とにかく早く決定してあげるべきではないだろうか。弥富相生山線の工事を中止するしかないのであれば、代替の周辺道路整備など、また別の計画も立てられるかもしれない。それはまた何年、何十年もの回り道になるかもしれないが、住民の選択だ。

 しかし、今のように地元住民の声も(メモにはとっても)聞き入れない。住民投票を約束しておきながら4年も放置し続ける。そして見かねた副市長が工事再着工を決めようとすると、わざわざ国交省からの「天下り」を受け入れてまで首を切る(?:この部分は敢えて「?」としておく。しかし上記のように「再着工を明言した入倉副市長」は1年の任期を繰り上げて引退に追い込まれているのは事実だ)

 そもそも、だ。

 2013年の第二期マニフェストにはこの弥富相生山線の問題は取り上げられている。それも2箇所も。( 2013年第二期マニフェスト

 しかし、2009年の第一期マニフェストには弥富相生山線の問題は含まれていない。( 2009年マニフェスト

 松原前市長が弥富相生山線に反対したのは「緑の保全」だったらしい。
 しかし、今では「相生山」と言えば「ヒメボタル」がシンボルになっているだろう。

 何故か?これはCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が名古屋で行われたからだ。ここで相生山の意味が単なる「名古屋の少ない緑地」から「ヒメボタルの生息地」に代わったのだ。

 このCOP10が行われたのは何時か?
 2010年(平成22年)の10月だ。(つまり市長になってから問題の存在を知ったのだ/または問題の存在を知っていたがマニフェストには記載するほど意識はしていなかった)

 つまり、とっくの昔に議論が終息しており、8割(くどいようだが、一度現場に行って見てみるべきだ)工事が終わっている計画を、止めて、そのくせ4年(ほぼ1期)の間、約束であった住民投票も行わずに放置し続けたのが河村市長だ。敢えて言わせてもらってもバチは当たるまい。「無能市長河村」と。


 そして、COP10をきっかけに、河村市政の政治テーマにこの問題を進言し、終息して静まりかけていた地域の政治的課題をかき混ぜ、多大な経費を浪費させ、騒動にしてしまった者が「小島敏郎青山学院大学教授」であらせられる。
 そしてその御仁は件の「日本政策学校」と組んで減税日本ゴヤに高額の政務調査費による講義を行っているのである。(更に高額のアドバイザリー契約も提案されていたそうだ)
 やがて、いつかは・・・ - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0


 平成24年9月に減税日本ゴヤの市議は小島敏郎氏から「相生山ヒメボタル」の件で講義を受けている筈だ。いったいどのような講義が行われたのか。当ブログは再三、減税日本ゴヤに内容の開示を要求しているが聞き入れられていない。

 小島敏郎氏がこういった現状も調査することなく、講義を行っているとすれば学者としての良識を疑う。もしもこういった現状を知りつつ、それでもまだ地域の防災よりも「ヒメボタル」であると言うのであれば人間としての良識を疑う。

 そして、そんな事で多額な金員を得ているのだから「曲学阿世の徒」と遠慮なく呼ばせていただくことにする。

 繰り返して言う。弥富相生山線が開通したからといって「ヒメボタル」が居なくなるとは限らない。つまり「地域の利便」と「ヒメボタル」はトレードオフの関係にはない、今の計画では両立は可能であろうと見積もられている。
 もちろん、実際に車両の通行が始まれば環境負荷もかかる事だろう。そういったモニタリングに予算を付ける事も考えられるかもしれない。(実は名古屋市内にはもう一か所ヒメボタルの名所がある。ほかでもない名古屋市庁舎のすぐ近く、名古屋城のお堀だ。このお堀、ご存知のように外堀通りという交通の要衝、一日中、深夜まで自動車の往来が絶えない道路のすぐ横に位置する。ヒメボタルという生物は思ったより自動車には強いのでは?)

 松原前市長は自身も道路建設には反対した、しかしそれでも地域住民の利便と安全を考慮して道路建設の決断をした。そしてその際には思い切った予算をつけて、環境に配慮した設計としたのだろう。(実際に、呆れるような道路だ) 

 建設再開も常識的な選択だ。住民投票を経ての建設中止も、住民の選択としてはあり得るだろう。しかし何よりありえない事は、その決定をただ徒に先送りする事ではないだろうか。



追記:大切な事を書き漏らしていた。
12日の委員会の席上、減税日本ゴヤの委員より河村市長の委員会出席要請があり、この問題について土木交通委員会に河村市長が出席する見込みだ。

要請したのは減税日本ゴヤの委員である。
(この辺りが凄すぎる)

追記の追記(3月13日11時):
本日(13日)土木交通委員会の冒頭、
14日の同委員会に河村市長が出席するとの報告があった。



うん?

我はエル・カンターレ小川隆法である。
今、河村隆男の生霊が降りつつある。

うむむむむ。

「おお、儂だでよ、河村だで。
まあ、難しい事は由にして、焼酎でも飲もみゃぁか。
弥富相生山の道路の事きゃあ、
まあヨ、儂はどうでもぇぇんだわ。
今決めたら、中止にすりゃあ道路を欲しがっとる人たちから恨まれるし、
工事再開したら反対派から『河村は裏切った』言われてまうがや。
カンベンしてチョ。
どっちにしてもドツボにはまりますヨ。
だで、儂が市長の間だけ、工事中断にしてヨ、
儂が市長辞めたら、再開してもらやぁええから。
いつでも再開できるように管理費は払っとるし。
じゃあ、焼酎飲みたいからもう行くわ」

という事のようだ。







*1:平成17年開催