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議題5.問責決議案について

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 昨日のエントリーに引き続き、12月6日の名古屋市会本会議について書いていく。

 議題5は「問責決議案」であった。問責を受けるのは減税日本ゴヤの湯川栄光議員(南区)であり、元総務環境委員会の委員長としての職責にかかわる対応を問題として問責を受けることとなった。詳しい事情は本会議で自民党の丹羽議員が述べた「提案の趣旨」を見たほうが早い。
 書き起こしは慎重に行ったつもりだが、誤りがあれば訂正の指摘を願います。
 また、文中にある「・・・・(1)」などの記号は後の整理の為につけた。

 また、すでに名古屋市の公式ホームページに採択された「問責決議」の本文が掲載されている。(こういった事は、書き起こしてから気が付く。)
 "湯川栄光元総務環境委員長に対する問責決議"

 参考資料として。
 "名古屋市議会の解散請求に係る署名簿及び受任者名簿の目的外使用に関する決議"


 ネット中継の中の音声データに関して切り出してみました。形式はMP3です。
 こちら

 「湯川栄光元総務環境委員長に対する問責決議案」につきまして、自民、公明、民主、新政、共産の5会派を代表して提案の趣旨をご説明申し上げます。

 湯川栄光議員は、平成24年8月22日の総務環境委員会において、委員長として平成24年請願第12号「名古屋市議会解散請求に係る署名収集のための受任者名簿を選挙・政治活動に使用しないことを求める件」の採決を行いました。・・・・(1)

 その結果、当該請願項目第2項、すなわち「貴議会が、名古屋市議会解散請求に係る署名簿及び受任者名簿を選挙・政治活動に使用しないことを確認するとともに、これらを管理・保有している関係者に選挙・政治活動に使用しないことを要請する旨の決議を行うこと」が採決されたことに伴い、決議文案を調製し、湯川議員は総務環境委員長として、議会運営委員会に対して決議案の発議方を要請したものであります。・・・・(2)

 これを受けて、議会運営委員会及び議会運営委員会理事会では、当該決議案の議決*1に関し協議を行い、議会運営委員長による修正案が提示されるなど調整が行われてきましたが、当時の議会運営委員会副委員長の職にあった余語さやか議員は、減税日本ゴヤ名古屋市議会解散請求に係る受任者名簿を管理・保有していないことを理由に決議案には賛成することはできないと主張しておられました。

 また、昨年の議会報告会においても、市民からの質問に対し、当時、議会運営委員会副委員長の職にあった余語議員は「減税日本ゴヤ所属議員は誰も署名簿の写しを保有していない」と弁明しておられます。

 こうした減税日本ゴヤの主張に鑑み、議会運営委員会理事会では、決議案に関する協議を継続してきたところでありますが。・・・・(A)


 平成25年8月20日に、当時の減税日本ゴヤの幹事長であった中村考道議員が、事務所に保管していた署名簿の写し及び受任者連絡用ハガキを元スタッフ2名により窃取されたとして、愛知県南警察署に告訴状を提出していたと公表するに至り、これまでの減税日本ゴヤの主張に反して、減税日本ゴヤ所属議員が署名簿の写し及び受任者連絡用ハガキを保有・管理していたことが明るみになったものであります。

 こうした事態を重く受け止め、議会運営委員会理事会において、当該決議案を発議し、議決すべく協議が重ねられ、平成25年12月4日には、当該決議案の発議方を要請し、発議者となるべき立場にある湯川元総務環境委員長について、減税日本ゴヤの鈴木孝之幹事長から、本人に確認した上で、決議案の発議者として署名するとの報告がなされました。・・・・(3)

 ところが、湯川元総務環境委員長は、その後突如として意向を翻して、決議案の発議者として署名する事ができないと表明されました。

 そのため、議会運営委員会理事会では、湯川議員を招聘し、その真意を確認しようとしたところ、湯川議員は真摯な態度で協議に応じようとしなかったことに加え、議会運営委員会理事会において、決議案の発議者として署名するとしていたことが報告されていた件についても、その発言を翻すとともに意向を変えた理由について説明を求めても明確な説明を一切せず、委員長の職務として決議案の発議要請をしたいと言いながら、みずからの政治信条に反するので署名することはできないとの主張を一方的に繰り返すばかりでありました。・・・・(4)

 これら湯川議員の態度は、総務環境委員長として自らが発議方を要請した決議案に対する職責を無責任に放棄するものであり、さらに、会派間の協議を通じて円滑な議会運営を目指している議会運営委員会理事会を冒涜し、円滑な議会運営を損なう著しく不適切な行為であることから到底容認できるものではなく、絶対にあってはならないことであります。

 よって、名古屋市会は、湯川栄光議員に対し、猛省を促すとともに、その責任を強く問うものであります。

 何卒、満場のご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

 何が問題とされているか整理してみましょう。
 1)湯川栄光議員は総務環境委員会の委員長として請願の採決を行った。採決は多数決で採択となった。
 2)湯川栄光議員は総務環境委員会の委員長として議会運営委員会に対して決議案の発議方を要請した。

 その後、(A)のような事情があり、決議について協議が続けられていた。

 3)のような事情が発生し、採決を行った委員長として、湯川議員が発議者の署名を行うか、会派の代表(鈴木幹事長)に確認し、発議者の署名をするとの報告を受けた。

 4)ところがこの報告に反して「発議者としての署名はしない」と主張した。
   その理由を議会運営委員会理事会で聞くために本人を招聘したが「真摯な態度で協議に応じなかった」

 具体的にいうと、理事会で各理事が説明を求めても「目的外使用ではありません」と「自分の政治信条で署名はできません」という二つの言葉しか答えなかったそうだ。

 まるで「その他の事は何も答えるな、勝手にしゃべるな」と誰かに釘を刺された様に見えるほど異様なまでに「自分の言葉で説明しようとはしなかった」との事である。
 ここで確認しておきたいのは、(1)、(2)において湯川議員は総務環境委員会の委員長として採決を行っており、さらに議会運営委員会に対して、すでに「決議案の発議方を要請して」いるのである。その後(A)のような事情があり、発議の決定に関して遅れたわけだが、今回の決議案採決は、湯川元委員長自身の要請によって行われているのだ。

 つまり、議会は湯川議員が要請したから決議案を調整したのであり、その発議を今更蔑ろにするという事は「総務環境委員長として自らが発議方を要請した決議案に対する職責を無責任に放棄するもの」であり、その後、説明や釈明の機会を設けても対応を取らなかった訳であって、そのことに対して問責するとしているのである。

 ここで更に確認しておきたい。

【確認事項】

 名古屋市会の常任委員会の委員長というのは、当然のことながらその就任は任意であり強制されて就任するものではない。それどころか湯川委員長が就任する際には「減税日本ゴヤの市議の皆さんは経験も浅く、色々と大変なようなので第一会派(当時はまだ最大会派だった)とはいえ、常任委員会の委員長は他の会派に譲られて、委員会運営という職務から離れて、政策の中身について勉強されたりしてはいかがか」というような意見も出されたそうだ。

 それを押して委員長になったのが湯川議員である。

 また、当然のことながら委員会の委員長は、委員会においては議長を務める。この議長は裁決に参加することができない。また、委員会において自説を述べることもできない。
 あくまで議長として、公平に所属委員の意見表明や議事の進行が行えるように努めるのが議長、委員長の役目なのである。

 つまり、憲法はその第19条で「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と規定している。また、第21条で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定めている。しかしだからといって、委員会において委員長が勝手な発言、表現をすることは許されていない。
 議員や市長であろうと、どこでどんな表現活動を行おうと自由だ、しかし議会における委員会の委員長はその行動に強い制限を受ける。その制限が嫌ならば、委員長にならなければいい。降りれば良いのだ。

 と、あまりに当然の事を「確認事項」として並べて恐縮ですが、以上のような常識を踏まえたうえで、いよいよ、湯川議員ご本人の弁明を見てみましょう。


 ただいまの問責決議案に対しまして、一身上の弁明をさせていただきます。

 昨年の総務環境委員会において、受任者名簿に関する請願を審査した際、私は委員長として不採択とすべきと述べ、副委員長と意見が一致しなかったため正副委員長案として保留を提案したところ、採決を求める動議が自民党所属議員から出され、賛成多数により、採択となったものです。

 しかしながら、自分の政治信条として、また、会派の意向として、受任者名簿を利用しないことを確認するという決議を議会が行うことは、憲法で保障されている、政治活動、選挙活動の自由に対する侵害であり、それを受け入れることはできないため、今回、受任者名簿に関する発議案の署名をすることはいたしませんでした。

 先日の理事会において、私はその旨を自分なりに説明させていただきました。

 その中で、私が当時の委員長として、発議者となるべきであると言われたことが、本日の私の署名なしに、受任者名簿に関する決議案が議題に挙がっていることからも、必ずしも委員長の署名が必要ではなかったということが判りました。

 ここで憲法第19条、思想、良心の自由とは何人も犯してはならない絶対的保障を受けたものであり、民主主義の根幹をなす非常に重要な定義です。

 内心に反する行為を強制されることは、憲法に反します。

 したがって、私は自分の政治信条にもとずき、署名をしませんでした。

 以上が署名をしなかった理由です。

 私は、自分の、思想、良心に従い署名をしなかったものであり、それにより問責決議を受けるのであれば、憲法の精神に反するのではないでしょうか、

 議会の皆様のご理解並びに、慎重な決断をお願いします。

 すでに「確認事項」で述べた事に、何も付け加える必要を感じない。

 名古屋市会の各会派(5会派)は、特に異常な行動をとったわけでも非常識なわけでも、ましてや減税日本ゴヤの議員を虐めてみたりしているわけでもない。

 一人の政治家、個人としての湯川議員の行動を云々しているわけではない。元委員長としての職責について再考を促しているのである。

 ところが、こんな簡単な事が判らない。続いて冨口潤之輔氏*2減税日本ゴヤの代表として反対討論を行っている。それも見てみよう。

 しかし、書き起こしも面倒なので彼のブログの主張だけでも良いかもしれない。

昨日12月6日で11月定例会が閉会しました。

みなさまご存知のとおり、市バスの小児料金を据え置く修正案や受任者名簿に関する決議、湯川栄光議員への問責決議などが可決されました。

われわれは受任者名簿に関する決議は憲法に違反する内容であるため決議は無効であると考えます。

また、湯川栄光議員への問責決議も湯川議員の行動は憲法に保障された思想の自由であるため反対しました。

http://tomiguchi.com/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/12%E6%9C%887%E6%97%A5

 読むのが楽ですね。

 しかしこれでは何の事やら判りませんので、やはり書き起こしをしましょう。

 減税日本ゴヤを代表して、湯川議員に対する問責決議案に対して、反対の立場から討論を行います。

 まず、我々が、受任者名簿に対する決議案に反対するのは、受任者名簿を管理・保有していないことを理由にされた*3とされていますが。我々が主張してきたのは、受任者名簿を使用しない事を確認するという決議を議会が行うことが、政治活動、選挙活動の自由に対する侵害であり、それを受け入れることはできないからであるということです。

 また、湯川議員が発議者として署名をすると鈴木幹事長が理事会に報告したのは、手続き上、署名をしなければならないのであれば止むを得ないという意味でした。しかしながら、必ずしも署名をしなければならないわけではなかったので、自らの政治信条に基づき、発議者としての署名を拒否したものです。けして虚偽の報告をしたものでも、意向を翻したものでもありません。

 思想、良心の自由、表現の自由憲法で保障された重要な権利であり、個人の思想は尊重されなければなりません。

 湯川議員が署名しなかったのは自らの政治信条に基づいての行動です。

 署名しなかったことが職責の放棄であり、不適切な行為であるとの理由で問責決議が為される事は、憲法に保障されている思想、良心の自由に反するのではないでしょうか。

 以上より我々は、湯川議員の名誉のためにも問責決議案に反対いたします。
 これで討論を終わります。

 この文章で可笑しいのは結語が「湯川議員の名誉のためにも問責決議案に反対」となっていることです。もし、文章の趣旨のように、問責決議という名古屋市会の行為が憲法の精神を踏みにじるものであるのなら、私ならこう書きます。

 「ここで、名古屋市会が問責決議を成立させたならば、名古屋市会は憲法の精神を蔑ろにし、その歴史に汚点を残す事となるでしょう。云々」

 彼らの立場に立って考えてみても、視点、視野が「仲間」である湯川議員の名誉にとどまっており、名古屋市名古屋市会に届いていない事が判ります。

 つまり、説得力のない文章です。子どもじみた文章でしょう。


 彼ら減税日本は、代表の河村市長も含めて「(自身の)思想の自由、(自身の)表現の自由」は声高に求めます。

 ところが、憲法にはこういった条文もあるのです。

 第十五条の2「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」

 特に、委員会の委員長は、すべての会派、委員の為に存在するのであって、自身の思想信条を一時預けしなければならない。自身の表現の自由を束縛し、発言を控えなければならない。
 それが嫌なら委員長やら議長にはならなければ良いだけだ。

 中学生にも判るこの理屈が判らないのだから困ったものだ。(参照



 本日はすでに文書量が、自分の決めた一日の規定量を超えているが、それでも足りない。
 特に上で述べた(A)の事情と、そもそも受任者名簿を選挙利用する事が正当であるかについて補足しておきたい。


 リコール署名簿や受任者名簿について、流用、流出が起こったわけだが、河村市長や減税日本は真っ当な対応を取ってきていない。

 そもそも個人情報の取り扱いに関する法律、及びOECD原則に照らし合わせてみると、リコール署名簿や受任者名簿に記載された情報は個人情報であり、それらは当該本人の所有物である。個人情報を収集する際には利用目的を明確にしなければならないし、その目的の中だけで使用しなければならない。そして苦情などについて対応しなければならない。

 河村市長は政治団体個人情報保護法の制限を受けないと勘違いしているようだが、罰則から除外されているだけで保護法益に関しては一貫している。

 更に個人情報保護法には次のような規定もある。

 第50条の3「第一項各号に掲げる個人情報取扱事業者*4は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置、個人情報の取扱いに関する苦情の処理その他の個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じ、かつ、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない」


 特に、リコール署名簿の流出まで発生させたのであれば、その対応に窓口を開設するぐらいは当然の事なのだろう。しかし減税日本、河村代表は何もしていない。

 また、受任者名簿について河村代表は「もしも選挙利用して欲しくないという人がいるのであれば申し出てくれれば利用しないようにします」と述べているが、一向に「どこに述べれば良いのか」判らない。

 受任者に対する説明会を開くとしていたが、それも開かれていない。

 受任者の一部が不満を持って名古屋市会に請願という形で選挙利用、目的外利用をしないように求めたのはある意味当然の事、身から出た錆といえるかもしれない。

 ちゃんと、法律が定めるように苦情処理の窓口を設置しておけば良かっただけの事ではないか。


*1:ママ

*2:私はこの人にめんと向かって嘘をつかれたので市議とは認めていない

*3:ママ

*4:政治団体など適用除外を受ける事業者