市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

怪文書「弁明書」

 この週末に「中村孝道事務所」が発行したとされる「弁明書」なるものが出回った。

 内容が面白いので全て掲載する。

 文章には「中村孝道事務所」と記載されているが、発行者なのかどうなのか不明のものとなっている。また*1、発行日も宛先も記載されていないため、どのような文脈で誰に向けて提出された物かも不明である。

 文章を読むと減税日本ゴヤの提出した「報告書」の内容を受けて、中村孝道としての異論、弁明を表明したものという体裁を目指したと思われるが、その意図が達成されているか疑問である。

 この文章が私の手元に渡ってきた経緯を明かすわけにはいかない。そしてこの文章が、本当に「中村孝道事務所」または「中村孝道市議」が作成したものであるかは不明だ。

 その判断は当ブログを読まれている皆さんに委ねる。

 私は高い確率で中村孝道事務所、それもある特定のT氏が書いたものと看做しているが、確証があるわけではない。

 全体の構成は7ページ。
 1ページ目「弁明書」としての表明
 2〜4ページ「報告書」(1ページ目の表現でいう「減税日本ゴヤに宛てた報告書」)

 5〜7ページ「これまで減税日本ゴヤに対して繰り返し主張してきた内容」
 「通知書について」「念書について」「訴状について」
 「領収書について」「本来は説明する必要もないが領収書について」
 「『勤務実態が無い』という主張について」と続く。



 文章の内容を見ていくと、あまり文章の作成に慣れていない人物のものと思われる箇所がいくつか見受けられる。特に、イメージ中に指摘しておいたが「賢明な判断」を「懸命な判断」と誤変換、誤字を放置するというのはどうなのだろうか。


 1ページ目の「弁明書」の中を見ると、気になる事が二つある。

 1つ目は減税日本ゴヤが、藤田市会議長に提出した「調査結果」には、中村孝道市議本人が主張していない事柄が書かれていたり、誤った解釈で記載されているものがあったり、中には中村孝道市議に確認せず「聞かれてさえいない内容」が報告されている。と主張している点。

 2つ目は「冤罪事件で議員活動が止められている」という主張。
 法的には中村孝道市議は議員活動を止められてはいない。議会に出席しているし、そこでの発言権や委員会などにおける調査権なども勿論ある。

 ただ、アンフォーマルには「議員活動が止められている」という「噂」も広まっている。

 現在、名古屋市会には5つの「一人会派」が存在する。
 名古屋市:会派別議員名簿(市会情報)

 これら「一人会派」が増えてしまったので会派控室の区割りが難しいようで、一部不思議な状況になっている。

 これら「一人会派」の内、「名古屋維新の会(旧既得権打破の会)」である山本久樹市議は、「地方分権改革会」のうさみいく愛市議と同室となっている。

 「市民クラブ」のかたぎりえいこ市議は「名古屋市民クラブ」の荒川和夫市議と同室になっている。

 そして「無所属クラブ」の河合優市議は「減税日本ゴヤ」の分室に居る。廊下の案内板には両会派の名前が入った看板が出ており、入り口は一つだ。

 なんでも中村孝道市議もこの部屋に押し込められているという情報が入っている。
 (この目で見たわけではないので確証を持っていえませんが)


 政党としての減税日本は中村孝道市議に「議員辞職勧告」を出していますが、市会会派としての減税日本ゴヤは中村孝道市議を除名していない。会派の中に留めたままでいる。それでも控室は別室にしている。

 更に、減税日本ゴヤとして中村孝道市議に対しては政務調査費清算しない方針らしい。

 これは法的には問題があるのではないかと思う。なぜなら、議員の職責というのは有権者の付託によって与えられるものであって、会派がその職権を奪う事も、活動を抑制する事も本来あってはならないし、その活動のための政務調査費の支出に付いて、正当な理由もなく支払いを拒否する事はできない筈ではないだろうか。

 まあ、このあたり、法令順守精神に乏しい減税日本に、今更何を言っても無駄でしょう。

 
 しかし、このような「噂」とこの文章の記載の通り、中村孝道市議の「議員活動が止められている」とすれば問題でしょう。ちなみに歳費は払われています。
 (この文章を書いている間に、別の問題で様々な人と意見を交換する機会に恵まれたが、その内の一人は、「減税日本中村市議の議員活動の停止をさせているのであれば、歳費も返上するべきではないか。孝道市議に支給されている歳費を止めることができないのであれば、残った16人の市議と河村市長は自らの歳費、給与から、彼らの勝手で止めている中村孝道市議の議員歳費分を名古屋市に返還するべきだろう」という指摘を受けた。もっともな話だ)



 さて、2ページ目の「報告書」に移りましょう。
 最初から今回の肝である「政務調査費の不正受給」問題に触れています。

 ここで「不正受給とは『事実と違う請求をして不正に受給をした』時に不正受給になります」と記載されていますが、非常に曖昧な定義で*2法的には違います。この表現などでも記述者の法知識に付いて基盤の危うさが見てとれます。
 中村孝道市議には弁護士が付いていますが、この文章はその弁護士を介在させていないであろう事が推測されます。

 年金や生活保護など各種手当の「不正受給」が問題になっていますが、「事実と異なる事柄によって支給申請する事」が「不正受給」です。

 実際に受給したかどうかは構成要件にありません。支給申請した。支給を受けようとした時点で「不正受給」となります。

 ちなみに、国会議員をはじめ、県議や市議などの公職者における公的資金支給に関しては、事後の修正申告が広く認められる傾向にあります。ですので「不正受給」をしても修正が行われ、法的には不問に付される事も多いようです。

 ところでこの「報告書」では中村孝道市議の不正受給の事実は無く、全ては「メディアのミスリード」であると主張しています。


 そしてここからいささか転倒した議論が展開されます。

 まず、筆者は「中村孝道市議の不正受給が成立するには」

 1)元スタッフと中村孝道が共謀して領収書を偽造した
 2)領収書を中村孝道が偽造し提出した

 の二つの場合があると断じて居ます。
 そして(2)に対しては「元スタッフが『自分が書いたもの』だと認めている」ために除外するとしています。これについては私も同意しましょう。領収書は中村孝道市議が一人で偽造したというようなものではないようだ。

 しかし、この文書は(1)に対して「元スタッフが『給料の30%分を貰っていない』と主張している事から成立しません」と結論付けていますが、この推論は成立していますでしょうか?


 一つの文章にしてみましょう。

 「元スタッフが『給料の30%分を貰っていない』と主張している事から、元スタッフと中村孝道が共謀して領収書を偽造した(17万5千円の支給に対して25万円の領収書を発行した)ことは成立しない」でしょうか?


 成立していない事は、「<現在>の共謀関係」でしょう。しかし、政務調査費の支給があった<当時>には中村孝道市議と元スタッフが共謀して、元スタッフが「まだ受け取っていない25万円」の領収書を発行して、それによって政務調査費の支給を受けようとした可能性は棄却しきれるものではありません。

 またこの文書では「共謀であれば、元スタッフも罪に問われる事になります」と主張しています。その通りです。

 その為に、この元スタッフは減税日本事務所や減税日本ゴヤの控室を訪れ、「領収書の差し替え」を依頼しているようです。

 つまり、当時、手元資金が足りなかった中村孝道市議が、25万円の給与を支払う約束で、先に領収書を元スタッフに発行してもらい、政務調査費の支給を受けた後に、その政務調査費の支給金額に、中村孝道市議の自己負担分を加算して、この元スタッフに給与として領収書どおりの25万円を支払うとしていたようなのです。
 ところが、中村孝道市議は自己負担分は加算せず、政務調査費からの支給分だけを元スタッフに渡し、残額に付いては後ほど支払うとしていたようです。

 こうしたことが数ヶ月続き、その他の事柄もあって、元スタッフは中村孝道市議の下を去ることに成るわけです。その際、残額は未払い賃金として残っているわけですから、請求もしていたようです。

 けれども、事ここに至って、未払い賃金は諦めているが、せめて自分が発行してしまった架空の25万円の領収書に付いては、正当な金額である17万5千円に差し替えて欲しい。
 これが元スタッフの意思のようです。

 ですので、その文書に続くように、「給与未払い、債務の不存在確認」に付いては、中村孝道市議の言うように、債務の存在を元スタッフが立証しなければならないとすれば、それはできない。

 中村孝道市議の指示によって、受け取ってもいない25万円分の領収書を発行してしまった事は誤りであった。この文章にいうように、「共謀であれば、元スタッフも罪に問われる事になる」のは承知している。
 しかし、使用者と被雇用者。市議と一般市民という立場から、その「優位的立場」は明白であり、その指示を果たして拒絶することができるのだろうか。

 以上のように考えると文章がいうように「今回の件は『政務調査費の不正受給問題』ではなく『給料の未払い問題』である事がはっきりします」とは言えません。

 そうではなく、少なくとも「給料の未払いがあるとすれば」それは即座に「政務調査費の不正受給にあたる」と言えるだけです。

 この対偶裏である「給料の未払いが無いなら」「政務調査費の不正受給は無い」も真とは言えます。

 しかし、中村孝道市議と元スタッフの間で「債務の不存在確認」がなされても、それは元スタッフが法的に請求できる債務を立証できないというだけで、その法的根拠となる「領収書」が上記のような非対称の関係で作成されていたとするならば、そこに「給料の未払い」が有ったのか無かったのか立証できません。

 逆に、一旦、マスコミという公の下で、中村孝道市議は債務の存在を認める発言をしているわけです。文章では「ミスリード」と決め付けていますが、その決め付けこそ根拠が薄弱という以外にないでしょう。

 つまりこの問題は前段の前提である、給与の未払いについて確定できないために、後段の推定、政務調査費の不正受給は有ったのか無かったのか、が、どこまでも立証できないという事になってしまっているのです。

 「給与の未払い問題」「債権債務の不存在確認」これは雇用者としての中村孝道市議と、被雇用者としての元スタッフとの私的な関係でしかありません。民事の係争です。

 しかし「政務調査費の不正請求」は公的な問題であり、違法であれば刑事罰が与えられます。

 「給与の未払い問題」については元スタッフの側に立証責任はあるでしょう。しかし、「政務調査費の不正請求」は公的な問題であり、その正当性の立証責任は、どこまでも公職者たる中村孝道市議に求められるべきです。

 公金の支出に対して、こういった厳しい態度で批判をしてきたのが減税日本、河村市長ではなかったのでしょうか。いったい何枚舌があるのでしょう。

 3ページ目以降は「仕組まれたウラ」であるとか、黒塗りのハッキリしない記述が続きます。

 正直言って、これ以上検証する事が馬鹿馬鹿しくなってきます。

 当ブログの一日の規定文字数もそろそろオーバーしそうなのでこのあたりで検証は止めにしておきます。

 残りページに付いてはどうぞ、皆さんが評価してみてください。

 最後にもう一度確認しておきます。

 この文章が私の手元に渡ってきた経緯は一切公表できません。
 そして、この文章の作者が「中村孝道事務所」の人物であるか否かに付いても確証は持てません。読まれた皆さんの判断に委ねます。


*1:減税日本の文章には有りがちな事に

*2:不正に受給した事、が不正受給だ。なんて、トートロジーではないですか。子どもの説明みたいです