総選挙が終わって「中署が騒がしいヨ」という話を聞きつけていたら、中日新聞の一面に「名古屋市幹部採用で不正/答案改ざん『市議の口利き』」となかなか衝撃的な記事が載った。中署ではなく、県警本部の案件らしい。
職員の採用だとか市営住宅への入居に「口利き」があったというのはなかなか懐かしい話で、今ではこういった事は行いにくく、現実的には行われていないと思われる。
実際に、市議に市営住宅の入居を願い出ても、抽選のシステム自体が恣意性の介在できない仕組みになっている為に「情報提供」が精一杯のようだ。勿論、入居希望者募集の情報提供は合法だ。
かつては市議が一定の入居枠を持っていて、この入居枠への口利きで幾ばくかのお金が市議の懐に入ったという「伝説」があったが、報酬800万円(小売店で言えば「売上げ」であって、年収ではない)で苦しい現在の名古屋の市議でも、このような形の「アルバイト」はできないように成っているらしい。
採用についても、今回の様に任期一年、月額報酬が27万100円という嘱託職員の採用で、不正があれば3人もの幹部職員の首が飛びかねないわけで、完全に損得勘定が合わない話だろう。
中日新聞は「市議の口利き」と伝えているが、朝日新聞の報道によると「県警は、渡辺氏については共謀が問えないとして立件を見送る方針」と伝えている。
名古屋市の嘱託職員の採用試験で点数の水増しがあったとして市が内部調査している問題で、採用に関わった市幹部ら数人が、愛知県警の任意の調べに「市議からの口利きで合格させた」と説明していることが捜査関係者への取材でわかった。市から告発を受けた県警は年内にも、この幹部ら3人を採用関連文書を偽造したとする疑いで書類送検する。
市関係者によると、不正があったとされるのは、国民健康保険の保険料徴収事務をする嘱託員採用試験で、2010年4月に実施された。今年4月、不正行為の情報提供を求める「市長ホットライン」に通報があった。内部調査の結果、少なくとも受験者1人について合格基準に達していなかったのに点数が水増しされ、採用されていたことが明らかになった。
捜査関係者によると、採用に関わった市幹部らが自民党の渡辺義郎市議(74)=名古屋市北区選出=から口利きがあったことを認めた。「採用するよう頼まれたので点数を水増しした」という内容の話をしているという。
県警は、渡辺氏については共謀が問えないとして立件を見送る方針。
http://www.asahi.com/national/update/1221/NGY201212210005.html
不正行為があったのか否かについては警察の判断を待つより無いだろうが、3つほど興味深い問題がある。
1.匿名の通報者とは?
この問題が明るみに出た発端は「今年の4月に『市議の口利きで既に合格者が決まっていた』との匿名の通報が市にあった」(中日)ということらしい。朝日の報道では「『市長ホットライン』に通報があった」と具体的だ。
この匿名の通報者は、ではいったいどうやってその情報を得たのか?
また、4月に「市長ホットライン」に通報があって、それが8ヶ月も過ぎた今になって表ざたになった理由は?
ちょっとこの辺りは気になってしまう。
2.不正が許される採点制度とは?
これらの記事を読んでいると、上司の意を受けて係長が採点ミスを装って得点の嵩上げをしたとされている。とすると、たった一人の恣意的な判断で採点を操作することができるのだろうか?
ここでちょっと気になることが。
この就職難の時期。市議だけでなく市の職員にもこういった就職の斡旋を求める声というのは寄せられないのだろうか?まさか、市の職員がそんな斡旋で私服を肥やしているなどとは信じたくは無いが、こうやって一人の職員の恣意性で採用が曲がってしまうような制度を採っていれば、そのキーマンと成る職員に悪魔の囁きが訪れないとも限らない。充分に公開性を持たせて、不正の可能性を排除する事も可能であるだろうに。このような閉鎖的な制度を維持しているところに ナ ニ カ へんてこりんなものを感じるのだが?
3.根底をひっくり返す出来事か?
中京テレビの報道によると( http://news24.jp/nnn/news86211478.html )この出来事を受けて河村市長は「市民の皆さまの名古屋市政への信頼を根底からひっくり返すとんでもない出来事。まずおわびしないといけないし、徹底的に真相解明します」と語ったらしい。この河村発言に3つの問題が含まれている。
3−1.本当に「徹底的な真相解明」が為されるだろうか?
本当に「徹底的な真相解明」が為されるだろうか?
全く期待できない。
ま〜た「言うだけ」ということに成りそうな気配だ。
3−2.問題点を判っていない。
この問題を受けて、敢えて言うと「徹底的な真相解明」など必要ない。
先ず必要なのは上の2でも述べたような「不正が許される採点制度」を制度的に変えることでしょう。これは既に明白な解決すべき問題点で、これ以上の真相解明など副次的といえる。
採点時の情報統制の在り方を見直せば、議員といわず、有るか無いか不明だが、職員間の口利きなどの不正も防止できるのだから、それを行えば良い。
これには議論も必要ないし、迂遠な調査も必要ない。
3−3.根底をひっくり返す出来事か?
大げさにも程があるが、この問題が「市民の皆さまの名古屋市政への信頼を根底からひっくり返すとんでもない出来事」なんだろうか?
そもそも「市政」の話題と言っていいのかすら微妙な気がする。
確かに16人の採用枠に126人が受験して、110人については不正のあおりを食らっている。それらの人々の気持ちが踏みにじられているのだから、軽い話だとは思わない。そうは思わないが、しかし当事者としてもこの範囲で、事柄としても限定的な事は間違いが無い。
こんな事が定常的に行われているのであれば、市政としての問題だろうが、やはり特異な事例であるという気がしてならない。
「名古屋市政への信頼を根底からひっくり返す」と言うのであれば、市長たるものが「正しい経済理論」と言い募った「減税理論」なるものが、実は全く根拠もない妄言であったことのほうが、よほど「市政への信頼を根底からひっくり返す」と言えるのではないだろうか。
うぐいす嬢に1日3万円 自民運動員逮捕
愛知県警捜査2課は21日、公選法違反(買収約束、事前運動)の疑いで、衆院選愛知3区に出馬し、初当選した自民党の池田佳隆議員陣営の運動員で司会業志村和美容疑者(43=同県小牧市)を逮捕した。
逮捕容疑は11月下旬ごろ、愛知県内で池田議員陣営の運動員5人に、うぐいす嬢として選挙運動する見返りとして、法定限度額を超える1日当たり3万円で計算した金額を報酬として支払う約束をした疑い。
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20121221-1062646.html
(共同 2012年12月21日20時39分)
こちらは、「けしからん!」ではなく、単純に「うらやましい!」
どうせ、選挙を手伝うのであれば、こっちでウグイスをやるべきだった!
・・・・と、いうのは冗談半分ですが(ということは、本音半分だと言う事です)
時給に換算すると、公職選挙法には抵触しないが、労働基準法の最低賃金に引っかかるんじゃないか?ハハハハハハハ・・・・(乾いた笑い)