本日は、本文の前にお知らせを一つ。
来る
11月3日、
17:00より、
名東区役所講堂において、
冨田かつぞうさんたち主催の
「市政報告会」が開催されるようです。
前回までの概要を別の方向から辿ってみましょう。
そもそも「政治」とは何か
ひとは様々な立場、利害、そして価値観を持っています。多様な人々が共に生きていくのがこの世界で、地域社会です。
ひとそれぞれにはそれぞれに見える世界の姿が有ります。それはまぎれも無い事実です。しかし、事実というのは多面的です。自分から見えている世界の風景があるように、他の人にとってはその人から見える世界の姿が有ります。ひとの数だけこの世界の見え方があります。その全てを理解する事などできませんが、そういった事実を求める謙虚な姿勢を失ってはいけない。ひとの多様な在り様を認めて、それらの人々が共に生きていく道を探るのが人間の智恵です。
ひとは「認知的不協和」を解消する為に自分に見えている世界すら誤魔化して理解する事が有ります。一度、この誤魔化しをはじめるとその矛盾が次々と歪を生み出して、やがて明白な事実すら認めることが出来なくなってしまいます。何が矛盾の根本的な原因か、その歪の元を正して世界をありのままに受入れられる柔軟な姿勢を保つ必要があります。
また、ひとはそれぞれに目的意識を持ちます。それは短期的で心変わりしやすい目的であったり、長期的でその人の人格にまで根差した根源的な目的であることもあります。そしてその目的は意識されている事もあれば、無自覚なままに生きていく人たちも居ます。(単に生きていく上で、この目的に無自覚なまま居る事は悪い事とも言えません)
ひとがそれぞれの立場で見えている世界の風景から、自覚されているかいないかに関わらず、様々な目的意識を持つときに、様々な希望、要望が生まれます。
これらの希望、要望を言語化したものが「意見」です。
社会制度を設計しようという議員であれば、自分の主張しようとする意見が、本当に事実に立脚しているか。「事実を求める謙虚な姿勢」を崩してはいけません。
― 他の立場、価値観の、多様な意見を聞く姿勢を崩してはいけない。
そしてその意見が実現された際には、どのような結果が生まれるか「自覚された価値判断による目的意識」を持たなければなりません。
― 自分自身の意見に対して「なぜ」という問いかけを5段階追及してもなお、答えられる程の深さが必要です。
そして「地方自治法」*1と「名古屋市会議規則」などの根拠に立って、議決に向かう議論を形成するのが市議です。
市議として主張すべき意見は、自分自身の私利私欲から発したものでは説得力などありません。広く市民の為の意見でなければならない。
自己正当化、虚栄心から来た言葉は嘘になりやすい。
逆に、自己を離れた言葉に嘘を交える必要は無い。
議論とは、自分とは違う立場、価値観から見える、論点の別の見方を教えてもらう機会である。そして、相手の立脚する事実の検証と、目的意識を理解して、自身の目的意識との共存の道を探るのが「政治」である。
少々徳治主義に傾きますが「大学」に述べられた八条目は参考になります。*2
格物 ― モノの在り様(それぞれの相違)を知る。
致知 ― それらのモノの相互的な関わりを知る。
これら、この世の中の有様を十分に知った上で、知識を整えた上で、
正心 ― 心を整える。
心を整える為には、自身を取り巻く世界の理解が必ず必要となる。
誠意 ― 自身の意志を正す。
これら八条目は積上げるレンガのようなもので、前提が歪めば以降も歪む。
邪な意志には、以降を積上げる事は出来ない。
修身 ― 自らの身を修める。
斉家 ― そして家を斉(ただ)し。斉(そろ)える。
これらの条件が整って。
治国 ― 国が治まり。
ひいては、
平天下 ― 天下が安らかとなる。
歪みの無い意志、目的を持つためには心が正しくあらねば成りません。心を正しく保つ為には、事物の道理、それらの関わりを知らなければなりません。そしてそのためには事物の正しい判別ができなくてはならない。あまり語られない八条目の前半は、「修身」の基盤となる人の心と意志を整える為の条件が述べられており、現代にも通じます。
減税日本ナゴヤに対する提言
さて、振り返りも終わりましたので、いよいよ減税日本ナゴヤに対する提言を述べます。これ以外にももっと具体的な修正事項は有りますが、それらについては割愛します。知りたければ問い合わせをかけていただければ答えます。
例えば、以上のようなアドバイスも減税日本ナゴヤの市議の内、何人が読み、何人が理解し、そして何人が納得するかはわからない。減税日本ナゴヤの市議の内、幾人かはそもそも政治や地方自治を誤解したまま市議となってしまった人が要る。それらの動機が単なる私利私欲だけであるとは思っていない。(しかし、今に至っても過ちを過ちと認められない、自身の無謬性、虚栄心に束縛されている姿は、私利私欲であると指摘しておきます。自ら見聞きした事実を黙っている事が、市民の利益にとってプラスになるかマイナスになるか、判断して行動すべきでしょう)
そして、市議の職責と、市民への義務に目覚めて、自身を変えようと思っている人が一人でもいて、その人の為にこの文章の断片でも役に立つのであれば、この拙文の役割は完全に果たされたと言えます。
提言1)
非常に簡単で具体的です。「年間スケジュール」を立てなさい。
できれば、今後、改選までの残り2年半ほどのスケジュールを立てておきなさい。
毎度毎度、9月議会の予算要望の前にジタバタして訳の判らない「予算要望書」をでっち上げるのではなく、「サマーレビュー」と呼ばれる他会派の勉強会などを参考に、予算要望書の為の準備など6月の梅雨の時期ぐらいから考えるものです。
こういった年間スケジュールや、月間、週間スケジュール、更に残課題(「バックログ」とか、「Must to do リスト」と呼ばれるもの)が無いのではないか?
その為に、様々な事柄が後手後手に回って、結果として議会運営委員会の時間延長、職員拘束時間の延長問題に繋がっているのではないか。
こういったものも無いような組織は組織とは言えません。
提言2)
これも当たり前の事ですが「会派規則」を考え直すべきです。
現在ある会派規則はあまりにもムチャクチャです。そもそも議決に要する参加者数の条件(執行部会の成立条件、執行部会の所管範囲)すら決まっていないのであれば、事実上執行部会の開催権者(幹事長)の独裁を許すに等しいのですよ。
(以前、「名古屋市会会議規則」を元に、会派規則を決めなさいと言いました。「市会会議規則」には会議の成立要件は述べられていません、それは「市会会議規則」の根拠となる「地方自治法」に成立要件が定められているから)
以前、減税日本ナゴヤは団総会を解放、傍聴を許していましたよね。議長候補者選挙だったか、団長候補者選挙で河合議員が演説している姿がメディアに残っています。
現在は、まったく閉鎖され、「団総会」ではなく「団員懇談会」として閉鎖会、秘密会として開かれているという事ですが、それが今のような不健全さを生み出しているのではないですかね?
こういった団の意志決定プロセスの不透明さは、批判された既存議会以上の不健全さです。
いったい誰が責任を取ってことに当たっているのか、万事不明確なので、無責任でいい加減な意思表明が為されて混乱を来たす。最近では総務環境委員会における湯川委員長解任に伴う松山委員の副議長就任における辞退と、それを翻した副議長就任のプロセス。
または、議運から抗議を受けた園田議員の意思表明からそれを撤回したプロセス。
こういった事からちゃんと教訓を引き出せない。自身の会派内の制度設計ができないのであれば、いったいどうやって市政の制度設計ができるのでしょうか?
提言3)
公開すべきものを公開すべきです。
(3−1) 政務調査費の個人公開
最初は、公約にしていた「政務調査費の個人公開」です。減税日本ナゴヤの政務調査費については個別に仕分けが為されている筈です。その領収書を個別に公開するだけなのですから簡単にできる筈ですよね。「あたりまえです」といって選挙戦を戦った人もいるのですから、ちゃんと公開すべきです。そうですよね!富口さん!
(3−2)議会報告会の減税日本ナゴヤ案
議会報告会にしてもそうですね。「議会報告会は政務調査費で開催すべし」というのであれば、どのようにすれば政務調査費で開催する事ができるのか、その代替案を提示すべきです。この問題は一年以上経っているのですから、単に反対ばかり言っているのではなく、責任ある第一会派としての「代替案の提示」があってしかるべきです。違いますか?
(3−3)議会改革推進会議に対する減税日本の腹案
議会改革推進会議の小委員会を公開にせよと要求されていますね。この要求自体、そもそも今のような秘密会に定めたのが減税日本ナゴヤの団長、浅井団長であるので筋違いの要求であると思いますし、時間の無駄であると思いますが、そう要求して少なからぬ市民の血税を使って議論するのであれば、公開を求める理由ぐらい「公開」したら如何ですか。
なぜ、議会改革推進会議の小委員会を公開すべきなのですか?
そして、その回答に対して「なぜなぜ5回」をかけさせていただきたいものです。
追記(10月22日):この小委員会の公開などが請願としてあがっており、総務環境委員会で取上げられるようです。
10月24日(水曜日) 午前10時
総務環境委員会(1)請願・陳情審査(総務関係)
名古屋市:委員会の開会日程(予定)(市会情報)
○平成24年請願第14号 議会改革推進会議の小委員会を公開することを求める件
○平成24年陳情第13号 名古屋市会の議会運営委員会理事会を公開することを求める件
(他一件)
請願は請願ですが。それを上程した理由をちゃんと答えられるのでしょうか。
また、その議論を公開せよと言われるのであるなら、その議題である「議会報告会の実施、海外視察のあり方、議会基本条例の課題、議員報酬、議員定数」のそれぞれへの会派の意見(つまり、議論の自派主張部分)だけでも公開すればいいではないですか。
ひとに「公開せよ!」と言っておいて、実は減税日本ナゴヤ自身が最も情報公開が為されていないのではないでしょうかね。幼稚に過ぎます。
ご指摘を受けたので少々触れます。
私は上で扱った減税日本ナゴヤの中でも富口さんと山田さんは市議として認めていません。即刻、謝罪をもって発言を訂正するか、市議を辞めるべきだと思っています。
なので、両者がインターネット上でどのような意思表明をしても「私人の発言」として評価しない事にしています。しかし、この記事。
政務調査費が政務活動費に!?いったい何が変わるのか! : 山田まな 活動日記
は、ここに書いてあることが本当であるとすると、「われわれ減税日本ナゴヤも以下の意見を付しました」と述べられていますので名古屋市会における公的な会派である「減税日本ナゴヤ」の意見表明として受け止め、そこに誤りがあれば指摘する必要があるでしょう。
「第2条【政務活動の範囲】に関して」の中で次のような記述があります。
会派活動と議員活動の棲み分けが困難であるのと、条文の煩雑さを避けるため、「会派又は議員活動」という地方自治法上の表現に準拠すべきである。
地方自治法に「会派又は議員活動」という表現は無い。あるのは「会派又は議員」である。(法第百条の14「会派又は議員に対し、政務調査費を交付する事ができる」)
これは単なる言葉の間違いではない。(そんな表面的な問題なら取り扱わない)
この問題は政務活動費の公布交付対象とされる「政務活動」自体の定義を明確化しようという主旨である。ここで筆者は論理学上の過ちを起している。
ここで批判対象とされる「全国市議会議長会モデル案第2条」は次のようなものであるとされる。(実際の「全国市議会議長会モデル案」については不明、同案が不明であっても、以下の論述はこの文章の論理的誤りを指摘するものであり、当該案に対する議論ではない事に注意)
この条例において活動とは、政党活動、後援会活動などの選挙活動を除く、会派活動及び議員活動をいう。
2 会派活動とは、議会内の議員で構成する団体として、政策立案、政策提言、調査研究、住民意思の把握、広報広聴活動等を主体的に実施するとともに、会派に所属する議員が会派の職務を果たすための活動をいう。
3 議員活動とは、政策立案、政策提言、調査研究、住民意思の把握、広報広聴活動等の活動をいう。
これに対して筆者は「政務活動に関する定義が除外条項のみになっていて、明確でない」と指摘する。これは誤りである。
この講座の2回目の応用をしてみると判る。つまり、この文章の趣旨は、
「この条例において活動とは、会派活動及び議員活動をいう(ただし、)政党活動、後援会活動などの選挙活動を除く」
であって、「除外条項のみになっていて」という批判は当たらない。当たらないどころか全く間逆と成っている。
この条項は「政務活動」を「会派活動」と「議員活動」に分けているのである。
そして、それらから「 政党活動、後援会活動などの選挙活動を除く」としている。
その後に、更に具体的に「会派活動」とは何か、「議員活動」とは何かを列挙しているのであって、以降の主張は無意味に思える。
この文章にもあるように「東京都政務調査費の交付に関する条例施行規程」には「別表」が添えられていて具体的になっているが、この「分類」「項目」を見るとこの「全国市議会議長会モデル案」と齟齬は認められない。
東京都政務活動費の交付に関する条例施行規程
こういった読み間違えの元で構成された文書であり全く無意味だ。
また、同案に示された「会派活動及び議員活動」は「政務活動」の範囲を論理和として示したものである。
それに対して地方自治法の条文は、政務調査費の交付対象を「会派又は議員」と列挙したものであって相異なる概念であるので準拠できない。
減税日本ナゴヤのこの意見書成立に関わった人々は再度、注意深く論理学を確認する必要がある。
追記(10月21日):山田市議(自称)について、この政務調査費の問題だけでなく、個人質問についても書かれているので評価してくれと言うようなコメントを幾つか戴いた。
山田まな 活動日記
本文でも述べたように、私はこの方を公人としては認識していないので、ご自分の意見を表明されている個人質問に対する記事に対してはコメントしない。まあ、敢えて言えば「青春出版社の●゛ッグトゥモロー的」ということでしょうかね。
ところで、減税日本ナゴヤの政務調査費と言えばこういった報道があった。
減税日本ナゴヤ:政調費返さず コミック誌購入市議、返還したのに…
政務調査費をコミック誌購入などに充てていた河合優・名古屋市議(47)=減税日本ナゴヤを除名=から減税ナゴヤに返還された11年度の政調費4829円が、不適正使用発覚から3カ月たった今も市議会に返されていない。
http://mainichi.jp/area/news/20121017ddq041010009000c.html
(略)
(毎日新聞 2012年10月17日 中部朝刊)
この件については一切事情説明が無い。まるで無かったかのようだ。
更に、文章の締めで
今後、名古屋市会独自の条例を制定するために、より透明性・公開性に関して先進的な静岡市ですとか東京都の政務調査費条例を研究し、施行規則を詳細に決め、開かれた議会を目指して、市政に反映してまいりたいと思います。
と語っているのにも関わらず、上で述べたように自分たちが公約した「政務調査費の個人公開」は行われていない。
まったく言っていることとやっている事がチグハグだ。
自分たちがやっている事が見えていない?
または、周囲の歪んだ思惑を持った人たちが、こういった事実を「認知的不協和の解消」的ネグレクトを決め込んで、無視するように促している可能性もある。(コメント欄を見るとそういった危惧はより確信される)
個人公開されない限り、つまり説明責任が果たされない限り、減税日本ナゴヤにおける政務調査費の支出も、ここで取上げた半田晃士県議や三宅功県議レベルの乱脈さだと推測する以外に無い。
そして、こういった問題があるにも関わらず、本会議の個人質問だけを取上げて「議員通信簿」と称するだけで、実質的に議会の正常化に音なしの構えのオンブズマン組織の異常さにも危惧を抱く。