市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

短編小説

短編小説

 <短編小説「詐欺商法」>

 ある時、Sさんはお友達に誘われてK村先生の講演会に参加した。K村先生はテレビにも出ていらして有名である。お話は半分ぐらいしか判らないけれども、住宅の耐震性基準が変わったとか、家はメンテナンスをしなければすぐにダメになるとか為になった気がした。帰りにはサイン本を買ったり、親しく握手をして一緒に写真を写したりした。
 後日、講演会に誘ってくれたお友達が、もう一人のヒトを連れて自宅を訪れた。そのヒトはK村先生の事務所の方でMさんと言った。K村先生の言われたように、住宅というものは手を入れなければすぐにダメになりますと強調された。
 Sさんはご主人を亡くされて、ご主人が残してくれた自宅に一人住まい。子供たちも独立して本当であればもっと小さな住宅に越しても良いのだけれど、ご主人や子どもたちとの思い出がつまった自宅を離れられずに居る。これらの事を話すと、Mさんは涙をながさんまでに「それほど大切なお宅でしたら、大事になさらないと」とおっしゃってくれました。
 今月は特別に無料サービスができると言うので簡易診断というのを受けることになった。そうすると、国の制度が変わって家の土台に「チイキイインカイ」を付けないと、耐震基準を満たせない。また、屋根の構造体に「ゲンゼイ」を施すと良いと言われた。Sさんはそれがどういうものか良くわからなかったが、Mさんが言われるのだから良い物だろうと信用し、「今ならキャンペーン期間中で、報酬は半額です」と言われ、大きな出費だったが払えない金額でもないことから、施工してもらう事にした。
 しばらくすると、K村先生についておかしな噂を耳にするようになった。K村先生が言われていた事が事実とは異なると言う事らしい。Sさんも「チイキイインカイ」を付けた部屋の床が音鳴りし始めたり、「ゲンゼイ」した2階が雨漏りをし始めたので相談をしてみた。
 建築士といわれる専門家が尋ねてくると、施工費の異常な高さを指摘した。考えてみればSさんはこういった工賃の相場は知らないまま、K村先生やMさんを信頼して言われるままにお金を払っていた。
 専門家が床下を見たところ「チイキイインカイ」というのはSさんのお宅の場合、まったく意味の無い金具で、あまり腕の良くない職人が無理に付けているので却って土台がずれてしまっている事がわかった。そして天井に施した「ゲンゼイ」は取り付けた事によって屋根の防水を突き破ってしまい、雨漏りの原因となっているらしい。
 こういった被害者の人々が集まって集会が開かれた。

 K村先生の事務所の説明によると、一部の人物が行き過ぎた営業をしたために起きた事らしい。Sさんは会が準備してくれた工務店に追加施工をお願いして「チイキイインカイ」と「ゲンゼイ」を取り外し、土台と屋根を直した。工費は安くはなかったけれど、取り付けの費用に比べれば驚くほど少なくて済んだ。Mさんはそれ以来見ていない。K村先生の事務所でも行方は不明だそうだ。Mさんに言われて支払った工賃に関しては、会でまとめて裁判になるそうで、結果は何年も先になるそうだ。残念な事は、発端となったK村先生の講演会に誘ってくれたお友達と、毎年春と秋の2度、バス旅行に行っていたのに交流がなくなって行けなくなってしまった事だ。

 K村先生は今日もテレビに出ていて、住宅に太陽光発電パネルを取り付けるときの注意を話している。

(了)

肩書きに騙される

 減税日本に関わっている人、県議や市議の中には、河村流政治手法の誤りに気が付いている人が居る。しかしすぐに行動には移せない、または行動しようとすると抵抗が発生する。例えば、分派騒動の際には離脱を表明したにもかかわらず、支援者との関係で戻らざるを得なかった人物が居たし、今も組織内部で深い疑問に包まれつつ行動を起せない人も居る。

 緑区の会場で私は河合氏の支援者という人に「目を覚ませ」と言ったが、彼は「私は起きています」と答えた。彼は主観的なものの見方から離れられていない。視点を「市民の目線」に置いて、現に起きている問題を認識しながら、河合市議を生み出した責任という自覚があれば、このような無責任な言葉遊びの回答ができるだろうか。

 目を覚ますのは簡単な事だ。河村市長が述べた「3大公約:減税、地域委員会( )、議員報酬」これらの内、一つでも市民生活に利したものがあったか、よく見てみれば良い。(ああ、そうか。発言された方は0.3%減税でも多額の減税が受けられる高額所得者なのかな?)

 現在、河村市長は市政など無関係に、大村知事と「維新」の旗を取り合い、「第3極」の中で埋没しないために躍起となっている。(参照
 単なる政局ゴッコであり、この議論のどこに「市民目線」「県民のため」「国民の生活」があるだろうか。*1

 減税日本は今「脱原発」「消費税増税反対」「TPP反対」を掲げている。*2この政策に一番近い既存政党は「共産党」である。なんなら共闘でもすればいいではないか。(というご意見を戴いた)

 河村政策の底の浅さ、いい加減さは、その看板政策であるはずの「減税」を引っ込めている姿を見れば明白だろう。
 「減税政策」は河村氏の思惑とは裏腹に、国民から広い支持を得る事はできなかった。

 その理由も明白だ。河村氏は「減税政策」を主張する際に、それを裏付ける「正しい経済理論」があるとかねがね主張している。しかしそのような物は無いこの話に行き着くと、「IS-LM曲線」であるとか「リチャード・クー氏の名前」を出すが、河村氏の説明は中途半端でとても減税政策を裏付ける「正しい経済理論」とはなりえていない。
「正しい経済学」が導く減税の意味(補足:後編)の補足 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

 しかし、悲しい事に。世間では「テレビに出ている人」や「肩書きがある人」が言っている事を何の疑いも無く受入れてしまう人が居る。そして、それに対して批判されても「テレビに出ている人に対するやっかみ」や「肩書きがある人に対する反発」程度に矮小化されて、批判を評価、検証しないままに放置するのだろう。

 当ブログの右側に「ご挨拶」としてこのような人間の習い性を指摘してある。
 私は自分の肩書きや権威を一切主張しない。
 単に、事実を提示する事によって批判をしているだけである。

論理的整合性よりも群れの中での関係性を重視する種「ヒト」

 こういった事実による批判を、それでも受け入れる事ができないとするならば、その人はどんどんと事実から遊離していくだろう。

 面白い事に、この社会は事実から遊離していても生きていける。米国社会におけるアーミッシュの存在は極端にしても、ダーウィンの進化論やコペルニクスの地動説を信じなくても社会生活はできる。河村氏の「正しい経済理論」を信奉していても生活に支障は無いのだろう。

 ただ、本来「新自由主義」に根差した「減税政策」と、そういった新自由主義の行き過ぎに対する反省から提唱された「定常型福祉社会」の政策が、満足な議論もなく接合されると、「自分たちの地域だけは十分な福祉を受けられるようにせよ。貧しい地域は切り捨てよという恐ろしく我儘な理論が現出する。*3
市民税10%減税の実現を求める請願、徹底検証 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 http://d.hatena.ne.jp/ichi-nagoyajin/20111028/1325356017

 現に、大村知事や河村市長の主張する「地方財源の委譲」は、「豊かな名古屋、愛知の所得は名古屋や愛知で使う、東北に再配分する事は断る」と言っているに等しい。*4

 税とは河村市長が主張するように、一方的に否定されるようなものではない。現代社会の歪を調整する為に必要な制度なのである。*5


 テレビに出ている河村市長や大村知事の発言に惑わされて、それらの発言や考え方が何か素晴らしいものであるかのように勘違いしてしまっている人が居る。そして、その誤解を再利用する瀬戸の元市議M氏*6や、名古屋市会の周囲をうろつく勘違い男*7である「ひげのM氏」などがこの理論の過ちを拡大再生産する。

 そういった人々のつながりが出来上がると、頭では「おかしいのではないか?」と思っても、人間関係の中で口に出せないようになり、全体としてレミングの行進さながら、破滅へでも平気で向かって行ってしまうのだろう。
 ここで面白いのは、誤った理論を拡大再生産していたような人物でも、落ち着いて考えてみれば何かおかしいとか、現に目の前に破滅が見えてきて考えを改めたいと思う事もある。しかしそれを、全体の場では口に出せなくなっているという事だ。皆の前で、自分が述べてきた自論の誤りや、その矛盾点を公表する事ができなくなってしまう。そういった異常な「場の空気」の支配というものがある。

 先の大戦で、日本は「一国まるごと」これをやって、結局「大日本帝国」という国は消滅の憂き目に遭っている。*8戦後、その反省から山本七平は「空気の研究」として、警鐘を鳴らしているが、相も変わらずこの陥穽に陥る集団は多い。

 こういった姿は「日本人」に特有というわけでもない。*9ドイツにおいてもヒトラーは第二次大戦末期、ベルリンが陥落するのを受けて「市民も道連れになってもらう、選挙で我々を選んだのだから」と言ったとされる。

 河村氏やその周辺者、更に支援者がどのようになろうと知ったことではない。*10しかし、名古屋市民を道連れにはさせない。



追記:

橋下氏、慰安婦強制連行「証拠あるなら出して」

 大阪市橋下徹市長は21日、いわゆる従軍慰安婦問題について、「慰安婦という人たちが軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない。もしそういうものがあったというなら、韓国の皆さんにも出してもらいたい」と述べ、旧日本軍や官憲による「強制連行」はなかったとの認識を示した。


 大阪市役所で記者団の質問に答えた。

 橋下氏の発言は、「資料の中に、強制連行を直接示す記述は見当たらない」とする政府の見解を踏まえたものだ。ただ、慰安婦問題の解決を主張する韓国側に論争を提起する姿勢を示したことで、韓国政府の反発を招く可能性もある。

 橋下氏は、李明博イミョンバク韓国大統領の竹島訪問の強行について、「従軍慰安婦という課題が根っこにある。領土問題の前提として、従軍慰安婦について強制の事実があったかどうかを、韓国ときちんと議論すべきだ」と強調した。

(2012年8月21日20時25分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120821-OYT1T01110.htm


*1:つまり「自分たちの生活が第一」という事になる。

*2:小沢新党「国民の生活が第一」も似ている。

*3:河村市長の言葉とは違って、現代の税と封建社会の税は性格が異なる。封建社会では領主や庄屋が土地を所有し、税とは民衆から召し上げられるものだった。現代の税は何も税務署の職員が私有するものではない。その大部分は社会保障に宛てられているのだ。現代のような民主主義社会における税の機能は「所得の再配分」である事は中学生の公民で習う事なのではないだろうか?こんなに簡単な事が忘れ去られてしまったが為に、小泉・竹中改革と言う日本社会の破壊が巻き起こってしまったのである。

*4:これは彼らが主張しているだけではなく、米国社会においては「ゲーテッドコミュニティ (Gated community)」 として議論の対象となっている。

*5:河村市長は増税に民衆が暴動でも起すべきだといっている。税を「求めて」民衆が蜂起した事はないと語っている。しかし、現在、米国で起きている「ウォールストリートを占拠せよ!」活動は、課税を求める民衆の蜂起である。

*6:彼の主張する公務員給与の削減など、単なる有権者に対する阿りでしかない。

*7:ゴヤ庶民連の中にあって、他の庶民連メンバーを「程度が低い」と詰るが、私から見ると、彼が最も程度が低い。

*8:圧倒的な国力の差がある米国に対して、戦争を仕掛ける。それも戦略的目標が無い戦争を。これが無謀でなくて何だっただろうか。

*9:そもそも群を形成して生活する何十万年、何百万年という「種」としての習性から「ヒト」は論理的整合性よりも群れの中での関係性を重視するようである。

*10:それこそ、新自由主義者お得意の「愚行権の行使」であり、「自己責任」の行為だ。