市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

減税日本は政党要件を満たせるか

維新の旗の取り合い

 大村知事が公表した「中京維新の会」は波紋を広げている。昨年の11月には河村市長のトリノ外遊中に県税減税断念を発表してみたり、今回はメキシコーロサンゼルス外遊中を狙ったかのような「旗揚げ発表」に、「やはり大村は信用の置けない人物である」という評価が固まっているようだ。

 別に河村市長を擁護するつもりも「中京維新の会」自体を批判する材料も持っていませんが、留守を狙ってだまし討ちを続けるかのような大村知事の「癖」はどうかと思いますね。

     ・・・そもそもそんな大村さんだから河村さんと「ムラムラコンビ」を組んだんでしょうけど。

 日本全国に「○○維新」と言うような政党は幾つでもある。(ちなみに「日本維新の会」はこちらだ!)この「中京維新の会」自体も既に以前から「押さえられた」もので、単に発表の時期を河村市長の外遊に合わせただけだろうと見られる。

民主衝撃、自民に次ぎ維新が2位…比例投票先

 読売新聞社が11〜12日に実施した全国世論調査で、橋下徹大阪市長が代表を務める地域政党大阪維新の会」が、次期衆院比例選の投票先で民主党を上回る「第2党」となった結果に、民主党内には衝撃が走った。(略)
(2012年8月14日11時50分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120814-OYT1T00182.htm

 この報道を見ると「北陸信越・東海」においても「維新」の支持率は高い。(17%、全国平均は16%)
 既存政党への不信、不満があったからといって、正体不明の地域政党に任せてみればどのような事になるか。名古屋の減税日本が前例を示しているにもかかわらず、この数字である事に失望しますが、まあ社会というのはこういったものなんでしょう。

 この「維新」の旗を奪い合う大村、河村両者の姿は、自ら「ポピュリスト」である事を公言しているだけに非常に滑稽です。

政党要件

 地域政党には「政党要件」は重要な意味を持つ。政党としての政見放送が行える。配布できるチラシの量が違う。マスコミの扱いも異なる。そして比例区との重複立候補ができる。
 政党要件を満たす為には現役国会議員が5名必要となる。実は減税日本も、佐藤夕子衆議院議員民主党を離脱して一人会派の減税日本となってから、様々な議員に声をかけて5名で会派を組もうと画策していたようである。
 国会議員にとって、一人会派として単独で活動しているのと、5名がそろって会派を設立するのとでは現実的で切実な差がある。それが「政党助成金」であった。
 佐藤夕子衆議院議員には政党助成金が入っていない。*1
 5名揃えられるかどうかは死活問題に関わっていたのだ。*2

       ・・・それでも5名揃えられなかったという事実は大きい。

 大阪維新の会は具体的に5名の国会議員の名前が取りざたされてきている。前回、雪崩的な民主党の勝利で国会議員となり、磐石な基盤を築けていない議員にとって「維新」の名前はアピールポイントになるかもしれない。

 しかし「減税日本」にとって政党要件は満たせるのだろうか。

 中日新聞が「中京維新の会」旗揚げに伴う対立を捉えて、大村・河村両者にインタビューを行っている。この中で河村市長は次のように答えている。

 −(政党化のための)五人以上集めるめどは。

 集まるでしょう。それなりに順調に進んどりますよ。名前はちょっと言えませんけど、ええ話は聞いとります。民主党の中にも離党した人もおるしね。ただ何人かはやっぱりためらうんですわ、高杉晋作奇兵隊に入るようなもんだから。

 一番早ければ盆明けくらいに政党化を狙っとったんですけど。今月下旬の政治塾の合宿とか、九月に名古屋で二千人くらいの集会をしようかと考えていて、そういう時に五人そろえてちゃんと来るようにしたい。

「中京維新の会」で対立の2人に聞く(中日新聞 2012年8月14日)

http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20120814/CK2012081402000038.html

 発言の中でいう「ええ話」というのは誰が話して聞かせたのか、非常に気になるところであるが今のところは追及しない。

 発言の中の「九月に名古屋で二千人くらいの集会」というのは次の事だろう。

(連絡)9/5 国民決起大会

8月1日

減税日本 所属議員、関係者各位
日頃から活動お疲れ様です。
来る9/5(水)夜(18:00〜19:00開演予定)に、
減税日本主催にて「反増税・反原発 国民決起大会(仮称、参加無料、於名古屋市公会堂)」を開催予定です。
詳細は追ってご連絡致しますが、
2000人規模の大会を目指しますので各自支援者様等にアナウンスを開始して下さい。
なお今回は、所属議員には50人をノルマとしてお連れ頂きたいと考えております。
よろしくお願いいたします。

減税日本 幹事長 広沢 一郎

(これは別に私信でもないので公益性を鑑みて断りなく公開していますが、著作権等の権利を主張されるのであれば引用相当の範囲まで削減いたしますので権利者の方はお申し出ください)


 この会合に国会議員が5人参加するのは可能でしょう。
 しかし、そこに「減税日本所属の国会議員」が5人揃う事は無いでしょう。

 そもそも私は、減税日本は次の選挙までに政党要件は満たせないとみています。

 現役国会議員が減税日本に参入する理由を考えてみましょう。大きく分けて二つの理由が考えられます。「減税政策に賛同する為に減税日本に参入する」(Bif:1/Case:A)
 こんな「ファンタジー」を信じている人、または信じられる人は当ブログを読んでも得るものは有りませんので以降の文章は読む必要はありませんよ。

 「次の選挙に有利であると判断するために参入する」(Bif:1/Case:B)
 つまり何かの利点、メリットを減税日本河村たかしに見出したという場合です。選挙を見越した時に必要なものとはなんでしょうか。昔から「ジバン、カンバン、カバン」と言われるように大きくは3つのリソースが必要となります。

 特に、66万票という実績のある河村市長の名古屋市内における集票力はインパクトを持ちますが、ではこの「ジバン」で名古屋市内の現役国会議員が減税日本に参入できるかというと他の要因、困難が大きすぎて無理が有ります。*3

 この利点を更に次のように分けて考えてみましょう。
 「カンバン要因」つまり、「民主党」よりも「減税日本」が選挙に有利だと判断した場合。すなわち「カンバン」を付け替えたい為に「減税日本」に参入するというものですが、当の河村代表自身が大村知事と「維新」の旗を取り合っているように「減税日本」自身にはブランドイメージは既にありません。現役国会議員にとって「維新」にも「減税日本」にも自分を売り込めるのであれば「カンバン」として「減税日本」よりも「維新」を選択するでしょう。(B:1/C:B→Bif:2/Case:A)

 そして最後に残った選挙に必要なリソースが「カバン要因」です。(B:1/C:B→Bif:2/Case:B)
 特に民主党の若年議員には資金的な余裕が無い議員が見受けられます。小沢氏の影響力の源が彼の資金力であるように、現在に至るも国政の舞台で「カバン」は物を言います。結局は呆れる位に馬鹿馬鹿しい「金の話」になるのですが減税日本、河村代表は政治の舞台におけるこの資金力というリアルなパワーを否定していません。

 そして現に今も東京事務所(東京本部)を平河町砂防会館に構えて支援者を募る努力をしているのでしょう。そしてその指揮を執っているのが減税日本選挙対策事務局長・政策顧問・ 東京本部事務局長の藤川晋之助(藤川基之)氏である。

 ある人は東京事務所の機能は2つあると見ています。それは「減税政策」か「河村たかし」を売り込む事によって全国的に支援者を募る事。その販売代理店が東京事務所であり、そのセールスマンが藤川氏なのだろうという観測である。
 そして、もう一つの機能はこの売り込みによって得られた支援*4を使って、永田町から4人の現役国会議員を釣り上げる事だろう。
 
 14日の夜、河村市長が外遊から帰国して記者の質問に答えたようだ。

減税日本」も政党化=大村知事には決別−河村名古屋市

 名古屋市河村たかし市長は14日、自らが代表を務める政治団体減税日本」を政党化する方針を明らかにした。公職選挙法上の政党化の条件である「現職国会議員5人以上」を確保できるめどが立ったとして、「できるだけ早く政党化したい」と述べた。米国出張から帰国した中部国際空港で記者団に語った。(略)
時事ドットコム 2012/08/14-21:50)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201208/2012081400859

河村氏「中京維新はだまし討ち」 大村氏と深い亀裂

(略)減税日本の政党化について「簡単ではないが、一定の自信を持っている」と語った。(略)
(日本経済新聞社 2012/8/14 23:05)

河村氏「中京維新はだまし討ち」 大村氏と深い亀裂 :日本経済新聞

 さて、どうなりますやら。

政策よりも政局

 本当に河村市長が名古屋で大革命を成功させて、減税によって民主主義のすばらしさが名古屋から発信されているのであれば、今頃は全国から河村代表に賛同し、減税日本に結集するという声が澎湃と起こっているのではないだろうか。
 しかし結果はご覧の通りである。
 河村市政、減税政策の結果が3年程度では判らないというのであれば、それこそ慌てる事はない。2期8年、3期12年でもじっくりと市長を務めて、燦然たる成果を名古屋に残せば良いのではないだろうか。

 本当に、何をバタついているのだろうか?東京事務所開設の意義は?大村知事や維新の動向を気にする理由は?

 結局、政策的な正当性が無い為に、あたふたと地に足が着かないような事ばかりを追いかけてうろたえているのではないか?

 政策的に誤っていたために、市民に希望や満足を与える事ができなかった。それどころか失望と混乱だけを残してきた。そして市民も、そのような河村たかしという存在が、単なる政局とポピュリズム的集票力だけで生きてきたのだという事に気が付き始めた。

 こういった視点から河村たかしという存在を見ると、非常に矮小でさもしく、そして可哀相に思えてくる。



追記(8月15日 13時):
近畿豪雨災害における、松井知事と橋下市長の対応が、ぶっ飛び過ぎている件

河村市長も似たようなものですが。

追記(8月16日 13時):

松井大阪知事:「酒と肴で充電中」陳謝 豪雨中ツイッター

 近畿地方が豪雨に襲われた14日、大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事ツイッターで「旨(うま)い酒と肴(さかな)で充電中」と書き込み、翌日に「不愉快な思いをさせた」と陳謝した。
(略)
(毎日新聞 2012年08月16日 11時32分)

http://mainichi.jp/select/news/20120816k0000e010158000c.html



追記(8月15日 22時):

民主離党の無所属4議員、維新合流を検討

 民主党を離党した議員が結成した衆院会派「改革無所属の会」の衆院議員4人が地域政党大阪維新の会」に合流を検討していることが15日わかった。木内孝胤(東京9区)、中島政希(比例北関東)、横粂勝仁(比例南関東)、中津川博郷(比例東京)の4衆院議員で、横粂氏は記者団に「維新への合流は十分にあり得る」と語った。

日本経済新聞 2012/8/15 20:37)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1502U_V10C12A8PP8000/:TITLE


*1:その割にはカードによるお買い物は派手みたいですが。

*2:確か大晦日の日までに5名揃えられると次の年度に政党助成金が公布される筈なので、それまでに揃えようとしていたようだ。

*3:名古屋市内を離れると、減税日本は「ジバン」を持ちません。

*4:もっと明け透けに言うと「お金」