市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

それは原因ではなく結果である

 虚栄心と、自己認識の欠乏、および批判的能力のさらにそれ以上に欠如すること。
 これらの悪性の精神的ならびに道義的欠点は、西洋の学徒や芸術の杯から少しばかり啜ったような日本人において特に目立って、また滑稽な風に現れる。
 すなわち、主として『学者』と言われ、『指導者』と呼ばれる人たちにおいて認められるのである。(ケーベル博士随筆集 久米勉訳)

 河村流減税政策が「正しい経済理論」からは否定されるものであり、名古屋における河村市政が為してきた経済政策*1がいかに間違ったものであったか。それを減税日本の市議や県議、または中日新聞の記者にでも判るように書いて欲しいというリクエストがあったが、多分非常に難しい。―それは彼等の「自己認識*2の欠如」と「虚栄心」に関ってくるから、今更、引き返すことはできないのだ。

 しかし、中学校の二年生程度になら、理解できるように噛み砕いて説明することはできるかもしれない。
 以前からお約束しているこの「子どもにも理解できる河村流減税政策の間違い」について、記述してみる。

 今日はその一回目ということで、河村市長もよく口にする「今、世間では預金が銀行に余っている」という話しについて説明してみる。

実際どうなのか

 まず、図を見ていただきましょう。これは、銀行の「預金」と「貸出金」の量を計った図です。

 (この図は京都大学藤井聡教授の資料から引用しています)
 "藤井聡教授のオリジナルはこちら"

 銀行には、皆さんや企業などがお金を預けます。皆さんもお年玉などを銀行に預けていると思いますが、そういった預金には「利子」がつきます。
 お金というのはたくさん集まると「資本」といって、商売や仕事の元手になるのです。
 皆さんのお年玉も銀行に預けると、そういったお金がたくさん集まって何かの商売や仕事の元手になります。すると、そのお金を使って商売や仕事をした人が、お金を使ったお礼に付けてくれるのが「利子」です。*3
 (お金を使わせてもらったお礼に支払うお金が「利子」です。お金を一定期間使わせてもらった「代金」と言えるかもしれません)
わたしたちの生活と金融の働き


 銀行は皆さんや企業などからお金を預かり、それをお金が必要な人に貸し出します(また貸しをします)そして、借りた人から「利子」を取ります。その「利子」の一部を皆さんや預け入れをした企業に分けて、一部は自分たちの利益として取ります。
 銀行の行員さんの給料や、銀行の店舗を維持するお金は、この利子の一部。つまり、元々は皆さんのお金を使って得た利子の一部からまかなわれています。

 この図に戻りましょう。
 一番左を見てください。

 「1991」と書かれているのは「1991年」のことです。今から11年前ですね。21年前ですね。*4
 (あなたは何歳でしたか?)

 一番左はこの1991年の頃の状態です。
 上の青い部分が「貸出金」です。図にも書かれているように「銀行が貸しているオカネ(お金)」ですね。横に 「400000」という数字が出ていますが、これは400兆円をあらわします。(単位は十億円です。400兆円を漢字を使わずに書くと 400, 000,000,000,000円 になります。あまりに 0 が沢山続きますから後ろの 0 を9つ省略して  400, 000(十億円)という事にします)
 ざっと、青い部分が450兆円ぐらいになります。

 下の赤い部分が「預金」です。皆さんや企業などが「銀行に預けているオカネ(お金)」ですね。これも下向きに450兆円ぐらいになりますので、1991年では、銀行を中心に、皆さんから預かったお金と、それを商売や仕事に貸し出したお金がともに450兆円ぐらいでバランスが取れていたということになります。

 それから、右に、1992、1993と、年が経つにつれて預金の方(下)に緑色の部分が出ていますね。

 これは、青い「貸出金」と赤い「預金」の差を表したもので、この時期には「預金」よりも「貸出金」の方が少し多い。つまり、銀行は皆さんから預かった「預金」以上に、お金が必要な人に「貸し出していた」という事になります。*5

 それが1998年ぐらいまで続きますね。
 1999年からこの傾向は逆転します。緑色の部分が今度は貸出金(上)の部分に出てきます。これは、「預金」は増えるのに「貸出金」が増えないので、銀行にお金がたまって残っているという事になります。

 これが「預金超過額」です。「銀行が民間に貸し出せずにだぶついているオカネ(お金)」と説明されています。

 この図を見ても、1999年ぐらいから赤い部分(預金)はどんどん増えていきます。
 それなのに青い部分(貸出金)はガクッと減って、あまり増えません。

 皆さんは手元にお金がたまってだぶついているのなら、大歓迎ですよね。ところが、銀行の場合は、手元にお金がだぶついているということは、預かっているお金が多いということですから、その預金に利子を支払わなければなりません。

 けれども、そのお金を借りる人が少ないのですから銀行に利子を払ってくれる人は少ししか居ません。

 こうなると、貸出金が少ないために、銀行が受取る利子は減り、
 預金が増えるために銀行が支払う利子は増えます。

 こんな事が続くと、銀行はどんどん利子を払うだけになってしまいます。
 
 河村市長の言うとおり、「銀行にお金が余っている」というのはその通りです。

 河村市長は、「だから、銀行から国や市が借りて、お金を使ってあげないといけない」と言いますが、それはちょっと違います。

 そして、問題は「余ったお金を国や市が使う」ことが良いのか悪いのかという事でもありません。本当に考えるべき問題は、なぜ、銀行にこうやってお金がたまるのか。お金がだぶついてしまうのか、と言うことなのです。

 つまり、河村市長は自然現象のように銀行にお金がたまっていて、その原因については何も言いませんが、銀行にお金がたまることの原因が、本当は問題なのです。

 銀行にお金がたまることは、国債や市債を発行するための「原因」ではなくて、誤った経済政策の「結果」であって、そもそもこうやって銀行にお金がたまってしまうような経済政策をていせいして、正しい経済政策を行えば、銀行にお金がたまることもありませんし、それを無理やり国債や市債として使う必要も無いのです。

 では、銀行にお金がたまる原因を探っていきましょう。


 あまりに長すぎるので、この原因は明日にします。

減税日本ゴヤ、林市議、説明責任を!

 本日次のようなニュースが報じられました。

新座女性市議:「3カ月以上の居住実態」なく当選無効 (毎日新聞 2012年04月20日)

 埼玉県新座市選挙管理委員会は20日、公職選挙法に規定されている「3カ月以上の居住実態」がなかったとして、2月19日投開票の同市議選で初当選した立川明日香議員(27)の当選を無効とする決定をした。
 (略)
 公選法は、市町村議について3カ月以上の居住実態が必要としている。同選管によると、立川氏の選挙前3カ月間の電気、ガス、水道などライフラインの利用実態を調査したほか、夫と義母が「当選するまでは前住所地(東京都練馬区)に住んでいた」と説明したことなどから、判断した。
 (略)取材に対し「混乱している。市選管の判断は疑問。今後は弁護士と相談するが、不服申し立てをすることを検討する」と話している。

http://mainichi.jp/select/news/20120420k0000e040191000c.html

 一部では「美しすぎる市議」と呼ばれていたらしい。

http://tachikawaasuka.com/

  居住実態がない(選挙区に居住実態がない)候補は、この名古屋の減税日本ゴヤの中でも色々と問題がある。それでも名古屋市内に居住しているのであれば百歩譲って理解するにしても、名古屋市内にすら(愛知県でもない!)居住実績がないとなると、その実態については説明責任を果たすべきだろう。
書かれている事の簡単な裏を察する - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0
 単身赴任でもしてきて、名古屋で仕事をしていたというのであれば理解もできるが、これが例えば「市長の姻戚関係に当たり、熱心に応援していたから」とか言う理由であった場合。場合ね。可能性として。
 「議員の家業化禁止」とか言いながら、仮に、実際には縁故やら姻戚関係だからというので、推薦をしていたり、議員にさせていたとしたら、仮に、仮にね。
 それならそれで、ちゃんと市民に説明すべきなのではないだろうか。


*1:デフレ期における新自由主義的経済政策の意味。

*2:つまり、そろそろ周りはバカにし始めていることに気が付いていない。

*3:一人の人が預けているお金が一万円だったとします。一万円ではできることは限られますが、そんな人が一万人集まれば一億円になります。一億円もあればお店を開いて商売することも可能です。お金はたくさん集まると「資本」になるというのはこういう意味です。

*4:指摘を受けました訂正します。

*5:預かった「預金」以上に「貸し出す」って、「預かったお金が無くなったら、もう貸し出せないじゃない」と気が付いたあなたは凄い!銀行は手持ちのお金が無くなったら、日本銀行など他のところからお金を借ります。