市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

大村知事は新自由主義知事か?

東海大志塾

 本日(4月12日)名古屋において大村知事主催の政治塾「東海大志塾」が開催されたらしい。参加者は約650人で講師は大村知事。参加者の言では「2時間、大村知事のアジテーションを聞いていただけだった」「具体的な政策については何もなかった」「選挙戦略についても具体的なビジョンらしいものは無かった」との事だった。
 その参加者は酷く失望したとの事であった。

 今後の講師に東国原英夫氏、竹中平蔵氏、猪瀬直樹氏、田原総一郎氏、田勢康弘氏、そして上山信一氏らを迎えるという。
 こういった名前を聞くだけでも、「新自由主義」をベースにした大阪の橋下市長、東京の石原都知事と歩調を合わせた「大都市利己的繁栄主義」とも言うべき最近の流行を取り入れているのがわかる。

 大村知事は元農水官僚であった筈だが、TPPは賛成しているんだね。

 知事選では「躍進するアジア経済の活力を取り込み、経済活性化につながる」 とどこかで聞いた*1台詞を語っている。

TPP議論

 ちょっと、話は脇道に逸れるけれども。先の知事選の時、県の試算として「TPPに参加した場合、主力の自動車や機械など輸出産業の国際競争力が増し、県内総生産(GDP)を1600億〜2200億円押し上げ、逆に参加しないと、1・4兆円の輸出減、10万2000人の雇用が失われると試算する」とされていたんですね。

 確かに、愛知県は工業製品の輸出(早い話が、トヨタを主とした自動車と、自動車などに関連した工作機器)が主要産業と目されているから、輸出への傾斜が強いのはわかる。しかし、このTPP議論は今の状況も勘案しもう少し冷静になった方が良くはないだろうか。

 例えば「平成21年における愛知県内貿易港の輸出入動向」という資料がある。
 この10ページには地域別輸出動向が記載されているが、「アメリカ向け」の輸出が24.9%を占めており、全国平均の18.9%よりも高い事を示している。
 つまり、愛知県は既にアメリカに偏重しており、輸出を考えるにしてもアメリカ以外の他地域に対する輸出を増やしたほうが良いのではないだろうか。
 そして、21年においては対前年比44.9%の減少を見たということだが、この値がアメリカ市場の落ち込みだけでもないだろうと推測される。すでにトヨタなどの主要な自動車メーカーや周辺サプライヤーは北米進出を進めており、純粋に「日本の企業」とも言えないほどである。

 やはり、今後拡大していくであろう市場はアジア、インド、オセアニア、中東、さらにアフリカとなっていくであろう。そうした場合、TPPなどは参加国が限られている。(13ページの表7 地域別県内港・全国輸出額 参照)

大村知事は新自由主義知事だろうか

 大村知事については、今は新自由主義的な政策を打ち出しているがあまり心配はしていない。現在のように新自由主義的な政策の問題点が指摘され、表面化してくれば、いつでも舵を切って標準的な経済政策に戻ってくるだろうと予想できるからだ。

 また、そもそも大村知事は新自由主義者であるとは思えない。
 その傍証が「二重行政の最たるもの」と批判もされている「東三河県庁」の設置である。
東三河県庁の設置について - 愛知県


 「東日新聞」というコンテンツがあり、ここで「東三河県庁論」という論考があった。
"東三河県庁論(上)”
"東三河県庁論(下)"

東三河尾張・名古屋を中心とする中京都構想から切り離し、愛知、静岡、長野の3県境である三遠南信圏域に組する。政令市の浜松市に牛耳られ過ぎられないよう、東三河を統括する意味で、東三河県庁を置くという狙いだ。政令市・東三河市さえできていれば、必要なかった。

愛知県政の中で、不平不満の代名詞になっている「西高東低」を解消するには、東三河を愛知県政から切り離して、別枠で考えるのが最も合理的である。人口が県全体の1割しかない以上、県庁にそれ以上の行政サービスを求めても対応し切れない。

 私は文字通り「一名古屋人」で、名古屋の土着市民であるので、三河の、それも東三河の感覚はわからないけれども、県内の非均衡や浜松市への意識というのは非常に興味深いものがあった。

 愛知、岐阜、三重、そして静岡と長野という中京圏を道州として、または「中京都」として考えた場合、この東三河県庁というのはどういった位置付けになるのだろうか?
 政令市・東三河市へのステップ?または、「特別区」としての「東三河区」へのステップ?
 そもそも中京都のビジョンなどがハッキリしないからこの位置付けもハッキリしない。

 けれども、こうやって求めに応じて「二重行政」を<ちゃんと>作っていくのだとしたら、大村知事は単純な新自由主義ではなく、引返してきてくれるだろうと期待するわけである。
 (我ながら、何か挟まったような文章になったな)


明日の予告!
平成23年11月定例会 12月7日の議論における錯誤の指摘。

参照

 この議事録は凄い。
 是非、歴史に長く残していただきたい、凄い迷演説だ。


*1:藤井教授が批判していた台詞そのまま