市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

区役所民営化

 「河村政治塾」にも「東海大志塾」にも何も言うことはありませんね。河村市長は自らの塾に橋下大阪市長を講師として呼びたいらしいけれども、これ自体が河村政治塾の性質を現しているのではないでしょうかね?
 大阪の維新塾には千名規模の応募(2750人?)があったそうですけど、河村政治塾はどの程度なんでしょうね。今日、橋下維新の会がTPP参加、日米同盟を機軸とするといったような政策を打ち出したらしいけれども、どんどん、弱肉強食の新自由主義的政策が充分な議論もなく推し進められていくような気がしますね。

 河村政治塾(あ、正確な名前は知りません)についても、こういったリバタリアニズムに準じた政治的指向で教育されようですね。最初に呼ばれた講師が「上念司」という方で、中央大学法学部―日本長期信用銀行から臨海セミナーへ、勝間和代氏のパートナーとなって、経済的には「リフレ派」大の日銀嫌い(長信の頃に何か嫌な思い出でもあったのでしょうかね?)
 勝間氏のパートナーで「リフレ派」ってだけで、たかが知れてますが。

追記:上念司氏について面白いブログを見つけた。
抱腹絶倒 上念司「日本は破産しない!」を読み解く①: 保守イチローのブログ
特に、第6回で取り上げられている部分。

天罰覿面 上念司「日本は破産しない!」を読み解く⑥: 保守イチローのブログ

第二章
P118 日本政府の負債総額はおよそ900兆円と言われています。
P121 政府が国民からお金を借りたということは、そのお金は政府にとっては「負債」でも、国民にとっては「資産」です

引用の孫引きになりますので決め付けはしませんが。
どこかで聞いた事のあるフレーズですね。

日本は破産しない! (宝島SUGOI文庫)

日本は破産しない! (宝島SUGOI文庫)

おもしろそう。



 そもそも「この状況で」河村政治塾を選択する時点で「負け組」って奴でしょうね。自己矛盾していますよ。

 さて、すでに一週間ほどになりますが河村市長は区役所の民営化を打ち出しました。

 しかしこの施策は実を結ばないでしょう。

 ・・・・富士山が大噴火するって言う人が度々マスコミを賑わせますよね。そういう人って「いついつの地震を予言した」というような事で騒がれるのですけど、たいてい分析してみると的中した予言の後ろに、的中しなかった「空振り」の予言がヤマの様にあるわけです。つまり「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」という事で、いい加減で無責任な事を幾つも言っていればその内何か当たることもあるだろうというものです。

 河村市長の施策もそうですね。適当で無責任に、いい加減な事をあれこれ言っていればその内何かが当たるかもしれない。実現した事は、自分が言っていなくても「自分の発案です」というような顔をしてもいいのですよ(例えば、水道料金の値下げとかね)

 とりあえず、この区役所民営化もまともに受け止めていたらバカを見ます。(副市長、区長などの公募も、結局碌な実績は得られませんよ。というか、既に沙汰止みの方向に向かっていると思われます)

 河村市長が「区役所民営化」にどのようなイメージを持っているか、彼自身が著書に記しています。本当に区役所が民営化されるかもしれない名古屋市民としては、その施策の根底に流れるものも理解するためにも、市長の考え方を知る必要がありましょう。そういった意味で少々長いですが以下に引用します。
 というか、こんな文章、所々引用しても信用してもらえないというか、意味が通りませんので、その論理の混乱も含めて引用します。

河村たかし著「復興増税の罠」p.119 より


 私の住んでいる名古屋市東区は人口が7〜8万人で、区役所には150人ほどの職員が勤めている。150人でやっている事業ならスーパーに任せてもできると思う。個別の事業をアウトソーシングするのではなく、丸ごと任せてしまうところがポイントだ。事業委託という形でもいいが、いちばんいいのは区役所をそのまま民間に払い下げてしまうことだ。

 もしもマルエイデパートが区役所を運営したら

 名古屋にはマルエイデパートという江戸時代創業の老舗がある。最近、なかなか苦境にたっているらしいが、たとえばこのデパートに区役所業務を発注したらどうなるか。
「マルエイ区役所」。そらもう必死にやってくれると私は思う。個人情報漏洩なんて起したら大問題だ。お客さんの住民からの大クレームが来て死活問題になる。倒産もありえる。これが公務員の役人だと漏洩しても、内部でごちゃごちゃとやってうやむやにして、せいぜい転勤で済んでしまう。*1

 民営化のメリットのひとつは見積書と明細書が出る事だ。マルエイ区役所には先ず行政サービスの見積書を出してもらう。*2住民票の発行業務いくら、年金業務いくら、図書館運営いくら、などなど。従来の区役所より安い見積もりが出てくるのは間違いない。*3職員の人数も給料も見直される。確実にコストダウンが図れる。*4

 マルエイ区役所が安くていい行政サービスを提供してくれたら、地域で評判になって「住むなら東区がいいわよ」ということになって、引っ越して来る人が増えるだろう。*5区民が増えれば税収があがる。そうすれば事業が拡大できる。マルエイ区役所の評判が広まれば、ほかの区役所からも業務委託が来るかもしれない。ほかの市や県からも注文がくるかもしれない。*6

 このように民間会社が運営するメリットのもうひとつはインセンティブの違いだ。いい仕事をすればするほど仕事が増える。*7マルエイ職員の給料も上がる。事業として成り立てば、次には「ウチはもっとよいサービスを安くやりまっせ」というデパートや会社が出てくる。ホテルにやってもらってもいいかもしれない。ホテル業界は今地獄のような競争を強いられているし、一流のホスピタリティが自慢だ。区役所をホテルに移してやってもらってもいい。こうしてマルエイ区役所とホテル区役所ができて、区民はどちらに税金を納めてもいいよとなると、めちゃくちゃ熾烈な競争になるだろう。*8

 区役所にそんな競争をしてもらわなくてもと思うかもしれない。しかし民間の企業は、どこもこういう熾烈な競争をしている。寿司店だってラーメン屋だって、食うか食われるかの競争を日々しているのだ。
 行政サービスが自由競争していけない理由はない。もしも民間の区役所が2つあったら価格競争が始まる。役所と特定の業者との長年の関係で養成されてきた癒着や談合も解消されるだろう。*9
 それにもし民営化した区役所が過酷な競争で潰れてしまったとしても、行政の場合、「倒産」はしない。*10北海道の夕張と同じで「破綻」するだけだ。ここがまただまされやすいところなのだが、倒産と破綻は違う。銀行も同じようなもので、北海道拓殖銀行にしても、日本振興銀行にしても、倒産じゃなくて破綻。それで破綻してどうするかというと、国がなんらかの手を打ち、*11別の銀行に営業譲渡されることになろう。潰れて何もかもなくなってしまうわけではない。
 もちろん区役所を民営化したら、公的資金の注ぎ込みは考え直さないといけない。民間のデパートやホテルと同様に、破綻ではなく倒産してもらわないといけない。そのとき区役所が2つあれば、あわてなくても済む。救済する必要もなくなるだろう。*12


 如何でしょうか。
 個々の「ツッコミどころ」については、それぞれ脚注の形でコメントを入れさせていただきましたが、そもそも河村市長自身、区役所の業務とは何か、そして何が問題で何が重要かが判っていないのでしょうね。具体的に区役所の業務についてもご存じないと思われます。
 (実はこの問題を取り上げようと思ってから、ほぼ一週間ほどかかってしまったのは、この基礎資料を用意しようと思っていたからなのですが、どうも芳しいレスポンスが期待できそうもありませんので見切り発車してしまいます。以下の事実は市長の動きを元に集計しています。名古屋市の公式な回答も今のところこの「動き」以外に市長が区役所を訪れた事実は無いということでした。追って別の報告が入る可能性がありますが、今のところ、この「動き」が公式の市長の動きとのことです)

 河村市長は区役所の業務を知りません。
 河村市長が区役所の業務を視察に訪れたのは平成21年4月28日から平成23年12月31日までの間でたったの3回です。


平成21年10月15日(午後3時00分)北区役所保険年金課を視察・・・①

12月29日(午前8時20分)平成21年度年末年始援護対策 臨時相談所を視察、於中村区役所・・・②
(その直後午前10時30分から、平成21年度年末年始援護対策 無料宿泊所を視察、於港区旧船見寮。この時間を見ると、中村区役所にどの程度居たかは判りますよね)

平成22年は一年間無しです。(イベントや会合で区役所講堂は訪れているがそれは除外、それを含めても9月から11月までは足も踏み入れていない)

平成23年1月11日(午後1時00分)東区役所を視察・・・③

 これ、異常を通り越して異様ではないですか?
 河村市長は区役所に何かトラウマでもあるのでしょうかね?


 市議会、地方議会の事を知らなかったので「年間80日しか働かなくて2千万円の報酬を貰っている」というような間違った事を言って、それを真に受けて「そんなに楽でおいしい仕事なら」と有象無象が集まってきたのが「減税日本」という政党です(はいはい、一部の方は除きますよ、怒った方は当たっている方です)
 この区役所民営化も河村市長の独特の「空想の産物」である「腕抜きにくたびれたネクタイをしたお役人が、渋茶をすすりながらノロノロと非効率な書類を無駄に沢山作って、市民を待たせてダラダラ仕事をし、それでいて高給と待遇はいい、そして彼らは市の職員で作る組合に入って、次々と過剰な待遇改善の要求を出しているに決まっている」というようなステロタイプな「イメージ」で「悪人」か「敵」を作っているのでしょう。


 また、個別のツッコミでも触れましたが河村市長の経営者としての資質も非常に怪しいですよね。価格競争で競合他社から仕事を奪おうとして、業界に波乱を起すからと父親から諌められて、仕事を干され。それで中京法律学校に9年通ったという噂にも真実味があります。このような「市場理解」で事業に乗り出すような企業家が居るわけがない。


 なんにせよ、リーダーがこの程度の見識です。この程度の話を多分、延々と聞かされる河村政治塾、塾生絶賛募集中!→ここ!

「2月24日開催の「プレ河村たかし政治塾」は、2/10 17:00の受け付け開始から一日余りで定員の250名を突破いたしましたので、受付を終了いたしました。多数のご応募ありがとうございました。
なお、お申し込みが予想よりも多く、ご参加頂けない方が多数に上ると思われるため、急遽、3/13にもう一回行うことにいたしました。」
だって。


*1:そんなバカな

*2:この見積もりは出来高か、総括か?

*3:一般的に、市場主義の現実では寡占から独占に至ると価格は暴騰する

*4:どのような根拠でこういえるのだろうか。デフレ局面の今であれば官民格差は官が高く民が安い。しかしインフレに変動して価格高騰が発生すれば逆転するだろう

*5:いまでも北区の住民からみれば東区に移住するモチベーションは高い、しかしそれは区役所の品質ではなく、公教育の環境や住環境による。北区役所の玄関には「やめよう越境入学」の看板が掲げられている

*6:以前、減税日本の政策は「幼稚」だといった。視野狭窄、自分の事しか見えていない。これもその一つだ。もしも区役所を丸ごと民間で運営するようなビジネスモデルが成立しえて、それが業者も儲かり、行政に対しても効率がよいのであればすでにどこかがやっていておかしくない、そしてそういう業者が名古屋や愛知県に売り込みに来てもおかしくは無いだろう。しかし、現実にそのような業者は居ないし、実行した事例も無い。なぜか。

*7:だから、区役所にとって「仕事が増える」ってどういうこと?

*8:ここも「視野狭窄」の立論が伺える。一地区に一件というコンビニエンス・ストアにもあるような商圏の独占が認められなければ上で言った様な「見積書」は発行できないだろう。このような過当競争を煽るような環境に乗り出す民間企業も少ないと思われる

*9:ここでは別の詭弁も現れる。民間業者が役所と特定業者の癒着や談合を解消するというのは具体的に何を指しているのだろうか。一括で発注するのであれば、逆にその先のコントロールは効かなくなる。市場原理主義的に選別は進むだろうがそれだけのことだ。しかし、そもそもそのような発注は「区役所民営化」とは全然別の話だろう

*10:ここからの議論は「無責任」体質を表している

*11:なんとも無責任で脳天気な話だ

*12:2つあればね。2つあって、その内の一つが潰れるのであれば、残ったもう一つも潰れる可能性はある。そもそも2つも参入してこなければ、唯一の民営区役所が破綻する可能性もあるのだろう。その時、その地区からは区役所が無くなる。そうなったら「国がなんらかの手を打つ」のだろうか?