市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

本当の問題を見つめよう

めいとう区民会議

 本日は、お知らせから。

 前市議、名東区の冨田勝三さんは、市議を引退してからも、市政について地域住民と語り合う会を開催している。名東区選出の各会派の市会議員も参加して、党派を超えた会合となっている。

 次回は11月定例会終了後の12月21日に開催されるようだ。
 場所は名東区役所講堂。

 今回は呼びかけの動画も用意してある。
 (動画では参加費300円程度、と言っていたが、100円になったようだ)

本当の問題を見つめよう

 この世の中には、一見正しそうだがよく考えてみると正しくない話というのがいくつもある。様々な迷信は文明の進展で廃れていくかに思えるが、その文明が新たな迷信を作るということもある。
 血液型性格診断などがその好例だろうし、「ホメオパシー」についても迷信だったのかなんだったのか、武田邦彦さんにご説明を賜りたいものだ。

 名古屋市の公営バスを民営化しろという人が居た。その人の主張によると。
 「名古屋市の公営バスの営業所や車庫の土地は市有地で、ただで使わせている。これを有効活用すれば名古屋市に金が入る。バスを民営化させれば家賃と固定資産税が入るだろう」
 「民営化すれば経営努力をするだろうし、利益が出れば法人税を得る事もできる」

 一見、まことに正しい意見に聞こえるが、実は全く間違っている。

 公営交通が「効率的な経営」「民間感覚の経営」を行うのであれば、非採算路線を打ち切ってしまえばいい。名古屋の市バスも民営化したならば、こういった路線は大幅なカットがされるだろう。そうなると困るのは子どもたちや老人であり、社会的弱者、マイノリティの移動手段が毀損される。

 行政の民間移転、行政の縮小、新しい公共、社会起業、そして財政均衡論。

 これらは行政の非効率な経営が、国や地方の借金を増やしたというような前提に立っているが、それは間違っている。特に各地方自治体の債務に付いては、これは日米間の外交問題、経済協議の結果だ。
 更に、日本の国債残高の問題。これは日本国内における財の偏重の問題だ。

 結果として、毎年のキャピタルゲインを維持するために、法人が利益を積上げてしまい、それが結果として膨大な内部留保となっているだけではないか。

 日本の原子力行政の貧困が、国内における核廃棄物の問題を積み残しているのだとすれば、この国債の積み残し、富の偏重は小泉・竹中構造改革の政治判断の結果だ。

 それをチマチマとした行政の撤退で解消しようとしても無駄だ。

 堤防が決壊した最中に、家に侵入する水をバケツで汲み出しているように見える。

 まあ、この辺りを論述していくと、それだけで本が一冊書けそうな勢いになるので、この辺で止めておくが、何事によらず、よく考えてみればすぐに底が割れるにも関わらず、大勢の人にさも「当たり前の事」として了解されている事がらというのは、まことに多い。

 さあ、そういった「懐疑の眼」で今回の政務調査費の不正請求問題を見てみると、果たしてこれは公金支出の不透明さが生んだ問題だろうか。
 そして、河村市長などが主張するように、政務調査費の人件費受取人を公開する事で、問題の解決に繋がるのだろうか。

 この問題を深く考えていくと、実は、問題の根に、河村市長の歪んだ社会観があり、「本当の原因」は河村市長自身にあるのではないかという疑いすらある。

 以下にそれを述べていく。

錦見問題、中村孝道問題の根は河村市長にある

 政務調査費の人件費に付いて、受取人を公開すれば不正はなくなるのだろうか?

 実は、この問題は公金支出の正常/不正常という問題ではない。

 政治家事務所という閉鎖された労働環境の中で、被雇用者としての政治家秘書(または政務調査補助員)の労働者としての権利、人間の尊厳を如何に確保するのかといった問題なのではないだろうか。

 錦見氏の元秘書(A)は、就労実績のないスタッフ(B)に給与を支払ったかのように見せて、政務調査費の支出を受け、スタッフ(B)に渡さず、事務所資金としてプールしていたとされている。

 そしてこの問題は元秘書(A)の告発によって明らかとなった。

 この元秘書(A)やスタッフ(B)が錦見氏と友好な関係を維持していれば、告発はされず不正も闇の中に留まった事だろう。

 あるいは、情報公開が進めば、外形的にスタッフ(B)の就労実態と、支払額の食い違いを指摘できるかもしれない。

 では、更新実態の見られない減税日本、及び各市議のホームページについて、政務調査費から維持管理費の支払いがあることに付いて、今、どのような「声」があがっているのだろうか?
 (お笑いな事に、維持管理されていないどころか、減税日本ゴヤの冨口氏はホームページを「ハッキング」されている可能性がある。

 このページの文章の最後に「cialis paypal」というページへのリンクがある。
 これは冨口氏が書かれた記事の一部なのだろうか?
 または、このサーバ管理者が置いた広告なのだろうか?

 今のところ、当該リンク先が悪質なものとも思われないが、今後どのようなリンクが仕込まれるかは不明だ。
 そして、こんな管理に月に幾ら払っているって?)

 話を戻すが、このホームページの例でも判るように、外形的な就労実態と支払額の差から、その不正を指弾する事は容易ではない。また、中村孝道市議のケースを見てみよう。(勿論、このケースは事実関係が確定したわけではない事に注意してほしい)

 この場合は、25万円支払われたとされる元スタッフに対して、実際の支払い実績が17万5千円しかなかったのではないかという疑惑である。

 客観的に見て25万円の支出が正当であると思われる労働であるから、公金支出としての政務調査費の支払いが成立したのだろう。

 その労働に対して17万5千円しか支払われていないという問題は、「公金の不正な支出」という問題ではない。

 「公金の不正な支出」を問題にするのであれば、問いの立て方は。
 「17万5千円で働かせていた元スタッフに25万円支払ったかのように見せかけて、政務調査費の支出を受け取った問題」である。

 正しい問題の認識は「25万円分の労働の対価に対して17万5千円しか支払われていない」という労働問題だろう。*1

 これも、元スタッフと中村孝道市議の間で、友好な関係が維持されていれば(いくら情報公開が進もうとも)けして表に出ることはない。

 こういった「ご奉公」とでもいうかのような前時代的で不公正な就労実態は、この日本には未だに根深くあり、いみじくも天白区における減税日本主催の、錦見問題の市民説明会において、錦見元県議の不正よりも、それを告発した元秘書に対する批判を声高に繰り広げる人が居た。

 雇用者/被雇用者の関係というのは非対称なものであり、被雇用者はどうしても弱い立場に追いやられる。逆に、雇用者が優位な立場を利用して、被雇用者に人件費の引き下げ、「値切り」を行うことは、許されることとは思えない。人として恥じるべき行為だ。
 しかし、だからといってどのように対策が取れるのか。

 私は判らない。

 雇い入れた後で、被雇用者の生活や事情を省みずに、人件費を出し渋るような人間は、人を雇うべきではないし、人の上に立てるような人物でもないのだ。

 被雇用者は、こういった不正を受けた場合、それを公表する事で、こういった不正な雇用者の二次被害を防止すべきかもしれない。(あ、私も支払って貰っていないお金があった!)

 と、ここまで論考を進めていくと、事の実像が見えてくるのではないだろうか。

 人件費のごまかしが何故起きたか。そしてそれが露見した真の理由。


 雇用者と被雇用者という関係の中で、雇用者が優位な立場を使って被雇用者の人件費を「値切った」(不正流用した)という問題なのではないのか。

 人を雇い入れるという事は、その人物のみならず、その人物に支えられる家族の生活を守るという責任がある。会社の経営、雇用とはそういった重い責任を負う行為なのである。

 そしてここで是正されるべきは、被雇用者の不正常な立場と、それを省みない、一部の恥ずべき、非人間的な雇用者の存在ではないのか。*2

 さて、この問題の真の構図が浮き出た事で思い出す事例がある。

 他でもない、河村市長が副市長として大西聡氏を雇い入れた際の問題だ。

 この問題は週刊文春2011年1月27日号が詳細に記事にしている。

「〇九年七月に副市長に就任した大西さんは、同年十月三十一日の土曜日、河村氏の自宅兼事務所に呼び出された。待っていた河村夫人と、河村氏の高校の同級生だった私設秘書(I沼氏のことだね:引用者注)は、こう要求したのです。

 『選挙運動などのために私設秘書が二人必要だが、収入が減って苦しいから雇えない。年に計八百万円の秘書給与をあなたが負担してください。あと、あなたの個人所有の乗用車も河村がいつでも使えるように役所に置いてください』

 副市長の給与は年二千百万円ですが、そんなことをしたら贈与になるし、違法性が高いから無理だと大西さんはきっぱり断った。もちろん、車の提供も断った」(名古屋市政関係者)

 ところが、河村氏側はこれであきらめなかった。

 「河村夫人らは『あなたが会社か政治団体を立ち上げて雇用する形態にすれば違法じゃない』と迫った。

週刊文春2011年1月27日号 p.132 「副市長に『秘書給与』肩代わりを強要した! 河村たかし『庶民革命』の正体 / 『減税日本』のまやかし」)

 大西氏はこの要請も断るが、すると河村氏は副市長担当の秘書課の職員(当然、名古屋市の職員である!)を呼び出して、大西氏を説得するように頼んだという。

 記事の最後では河村市長自身は要請したことを否定しているが、夫人は大筋で要請を認めている。

 なんだろうか。「自分が副市長にしてやったんだから、その給与の二千百万円の内、八百万円は自分の選挙に出すのが当然」ということなのだろうか?

 せこいヨ、河村さんヨ。

 というよりも、すでに述べたように、優位な立場を利用して、後付で人件費を値切るような行為は恥ずべきである。

 そんな人物は人を雇うべきでは無いし、人の上に立てる人間ではない。

 今回の錦見元県議、中村孝道市議、その問題の根底には、河村氏自身のこの反社会的な歪みがあったのでは無いだろうか。



追記:
「昨年(2012年)2月河村市長の「南京事件」否定発言に対する抗議と同発言の撤回要請」
「中国民間アジア平和文化交流会発足一周年記念フォーラム」参加者一同

 2013.10.17⇒ - アジア太平洋・平和文化フォーラム

 河村市長はこそこそと逃げ隠れせず、堂々と議論したらどうなのか。


*1:その原資が政務調査費という公金であったから<それも>問題とされているのではないのか

*2:一部言われているように、解雇を容易にして起業を簡単にしようという考え方もあるが、そのような安易な考えで起業するから国際競争力を持った力強い企業が生まれないのではないのか?