市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

本日は3部構成となっています。

  §1 減税は企業を名古屋に呼び込むか?
  §2 市庁内で囁かれている話
  §3 議員報酬の話

§1 減税は企業を名古屋に呼び込むか?

 本日(10月8日)の中日新聞朝刊に「名古屋10%減税」について、名古屋大学 小川光教授関西学院大学林宜嗣教授の対論が掲載されていた。
 形としては小川教授が減税肯定、林教授が否定となっていたようだが、肯定派に立った小川教授にしても「景気刺激については失敗例もある」などと、全体のトーンとして否定しているんじゃないかと思いたくなるような記事になっていた。ただ、リードが「行政改革の手段として有効」と打たれていたので、内容をよく読まない人には減税も良いところもあるのだろうと捉えられる事でしょうが。

 そういった中で、小川教授の発言で「河村市長の目的は、(減税によって)金持ちを名古屋に呼び込み、税収を増やすこと」という、減税による企業や個人の「呼び込み効果」を取り上げておられて、これに懐疑的な人から御意見をいただいた。(小川教授も、ちゃんと記事を読むと、この「呼び込み効果」が、岐阜や三重に対して失業を押し付ける事になる。とか、企業誘致には電力料金の安さや市場への近さ、雇用環境などの要因の方が圧倒的に重要だ。と、問題点を指摘している)

 実は、この「呼び込み効果」については市会委員会質疑においても面白い議論が展開されている。10月3日の財政福祉委員会質疑において提示された「超過課税」の問題だ。当事者である横井市議がご自身のブログに質疑の模様を載せている。(後半)


 法人税の標準税率は「12.3%」だが、各県がこれに「超過課税」を載せており、愛知県も「14.7%」の税率となっている。実はこの「超過課税」は全国46都道府県が導入しており、導入していないのは静岡県だけとなっている。つまり、全国的に法人税率は14.7%であるのに静岡県だけは12.3%と安くなっている。法人税率をずっと「減税」しているのと同じ事になる。
 河村市長の言うように、法人が法人税率が安い自治体に移転して集まってくるのであれば、今頃日本中の企業という企業は列をなして静岡県に集まらなければおかしい。
 この静岡県の「(相対的)減税政策」は昭和50年から始まっており、すでに36年間も続いているのである。
 確かに静岡にも優れた企業は多いが、地方税が安いから静岡に移転する企業など聞いたことが無い。

 更に今日いただいたご意見では「東京はもっとすごく無いですか?」というものであった。「是非調べてみてください」と言われたので調べてみた(というか、ご自分で調べて情報をいただいてもいいと思うんですが・・・・ブツブツ)


 まず、内閣府の出しているこういった資料があった。
 「課税自主権について 平成20年4月23日」
 (この資料を見ると、地方において「課税自主権」が認められているけれども、それは各地方が自主的な判断で「課税すること」を認めているのであって、河村市長が言うように、各地方が減税を競い合うというような意味では描かれていない。まあ、「だから役人が書くような文章はいかんのですわ」とぐらい言いそうですが)

 ともかく、この5ページ目に横井市議が指摘された「法人税割」の実施団体が静岡県を除く46都道府県であることが示されている。また、東京都は「法人事業税」があり、「自動車税」が独自に課税されているのが判る。東京都で自動車を所有する事にここにもハードルがあるが、18年度決算でのこの金額は1千3百万円程度であり、そんなにたいした金額ではない事も判る。

 この資料では肝心の率が判らない。
 また、税の種類を整理してみましょう。

国税法人税 + 地方税:法人住民税(均等割+法人税割) + 地方税:法人事業税

1)地方税:法人住民税ー均等割 = 都民税均等割の税率表
 例えば、資本金が1千万円以下、従業員50人以下の場合(一番少ない金額)主たる事務所を23区内に構えると7万円の課税、従たる営業所を構えると5万円の課税。

2)地方税:法人住民税−法人税割
 すごいですね。超過税率「20.7%」
3)地方税法人事業税
 軽減税率不適用法人の場合は5.78%ですか。

 素人の単純な考えでいくと、

 東京都における法人への課税額は、

 均等割金額 + 課税対象額 × (20.7% + 5.78%)
 均等割金額 + 課税対象額 × 26.48%

 凄いですね。東京都に企業を構えると、こういった税金が課されるのです。しかしそれでも企業は東京に事務所を構えますよね。首都圏で事業を起こそうとするときに、神奈川や千葉など周辺の人でも、事業所の所在地を23区内に求めると思います。
 結局、それは企業の与信力であるとかステータスという事もあるのだろうと思います。

 

§2 市庁内で囁かれている話

 同じようにご意見というか、情報提供された話ですが、こちらはググッとやわらかい(?)話2題です。

 当ブログの集客キーワードNO.1である済藤実咲議員の話題から。(ちなみに、9月度の検索ワード一位は「さいとう(済藤)実咲」議員です。2位は「浅井康正団長」であって、これは例の「アドレス流出騒動」で一気にアクセスが上がっています。こういった実態を把握しているのでしょうか?相変わらず無責任なままです)

 なんでも5月15日に減税日本ゴヤの研修旅行が催されたらしい。この旅行には全ての市議が参加したわけではないということだが、則竹団長(当時)も参加していなかったという。ところが、この旅行に済藤市議(当時は次点落選候補)が参加していて「則竹さんにナニカあったら、よろしくお願いします」と挨拶していたのだと言う。
 なんとも意味深な事だ。勿論、この旅行に他の落選候補は参加していないという。(この辺り、まだ確認が取れていません)

 もう一つ、市の職員が富口幹事、宇佐美副幹事長、山田幹事と歓談していた際に、富口幹事が市議候補者の勉強会について語ったと言う。「まだ、リコール署名簿収集の前、一次公認者に対して(千種の日本料理店で)勉強会が開かれた。自分の他には、余語、河合、その他落選した人も含めて何名か居た。講師は則竹さんで、いろいろな話が出た。その中で則竹さんは『どうせ減税の市議は多くても15名ほどしか当選しない、そうすれば少数会派なので幾ら踏ん張っても議員報酬の半減なんか通せっこない。だから議員報酬は1600万円のままだから安心していい』と言われた。自分はこの話を真に受けていたけれど、実際に当選してみると本当に議員報酬が半減されて800万円になってしまった。なんだか騙されたような気分だ。自分には家族も居るのでこの報酬ではやっていけない、どうすればいいんだろうか」

 なんともご愁傷様×2。

 一つは、こんな話を市の職員の居る前で話せば、こうやって私のブログに載ってしまいます、というか、言って良い事と悪い事ぐらいのケジメを付けられないのだろうか?
 または、この話の問題点を自覚できない?
 一つは、報酬が思ったようにならなくて。

§3 議員報酬の話

 議員報酬については、私は冷淡なんだけれど、様々な方々の話を聞くと、これもやはり大きな問題を含んでいることが判る。議員報酬の半減という議論では、あたかもこの金額が「収入」であるかのように扱われていたけれど、実際には「売上げ」に近い性格のお金であることがわかる。

 減税議論において、河村市長が言うように「減税する地方自治体が良い自治体」という論法が正しいとするならば、「何もしない自治体」が良い自治体であると言う事になる。(究極の「自己責任論」、新自由主義者の「夜警国家」論そのもので、ある意味ご立派な議論だけれども、果たして名古屋市民に受け入れられるか?)

 また、この議員報酬も同じで、単に議員報酬が安ければ良いのだとすると、「何もしない議員」が良い議員と言う事になる。そして、委員会質疑で発言もしなければ、事務所やホームページも設置をしない減税日本ゴヤの市議たちを見ると、本当に「何もしない議員が良い議員」と思っているのではないかと疑いたくなる。(そういえば、市議団のホームページというのは、いったいいつ設置されるんでしょうな?手薬煉引いて楽しみに待っているんですけどね)

 先日、ある方と「減税条例の行方」と絡めて、この議員報酬論議についての「戦略」を考えてみました。

 遠慮も会釈もなく書きますよ。

 減税条例については、11月の定例会で2つの可能性がある。それは、公明党が何等かの条件(低所得者層への補助金等)を引き出せば可決する可能性がある。ただ、河村市長は実はこの可能性が一番困る。
 減税条例が可決してしまうと、河村市長にはテーマとすべき政策がなくなってしまうのだ。

 なので、ポスト減税条例として焦点があたるのが、議員報酬の制度値論議と成るだろう。この時に、議員報酬の在り方についてもう一度仕切りなおすということができるかもしれない。(何かエポックな出来事がなければならないだろうが)

 もう一つの可能性としては、11月定例会において減税条例が否決される。ファイナル・アンサーが出されると言う事だ。

 これを受けて、河村市長は自身が辞職し、減税日本ゴヤの市議にも辞職を求め、市議会を解散に追い込むのではとの観察もある。しかし、この辞職が空振りに終われば・・・めでたい事だ。

 そこまでドラスティックな事が起きなくても、ただでは済まないだろう。

 さて、ここでだ。自分が減税日本ゴヤの市議ならどうするか(・・・真っ先に臍でも噛んで死にますが、それはこの際置いておいて)

 自分であれば、「自分は市民に減税の実現を公約として市議になった、減税は絶対に実現せねばならない。しかし、市長の減税の公約と言うのは次のようなもので有った筈だ『行政改革を進めて、市民税を減税します』今回の議論を見ていくと、市民税減税自体に反対している会派は共産党だけだ。自民、民主、公明の各党は減税自体には賛成をしている、ただ、今定例会で市長提案の減税条例が否決されたのは、財源措置があやふやだったからだ。この市長の公約の前半部分『行政改革を進めて』の部分が弱かったからに他ならない。我々市議団は、市民からこの減税の実現を望まれている。この際、減税が実現化しなかった、つまり財源措置があやふやになってしまった原因について、市長にしっかりとした説明を求める義務がある」「市民に対して減税を約束した以上、市長の公約である行政改革による減税への財源確保の実態についてしっかりと検証したい」

 「そもそも、我々市議団は市長の三大公約の実現を、自らの公約として市議選を戦った。我々は市長の公約が良いものであり、必ず実現できると市民に約束したのであるが、どうだろうか?一人の市民として見ていた時、河村市長や則竹氏の話を聞いていた時と、実際にこうやって市議となり、市の当局者から説明を聞いたり、行政の現実を見たり資料を読んだりしてみると、いささか疑問が無いわけでもない」

 「河村市長が良い物であると進められていた地域委員会ついても問題が無いわけでは無いし、河村市長の本(「名古屋から革命を起こす!77ページ」)に書かれていたような待機児童対策には何も力を及ばすことができない。それどころか、待機児童対策は日本の中で最も酷い結果となってしまった」
 「そして今、減税についてもその是非は、民意は各党にも通じているとおもわれるものの、財源措置の不明瞭さで実現ができなかった」

 「また、議員報酬半減にしてもどうだろうか、これで半年間議員報酬半減の800万円でなんとか賄ってきたのだけれど、やせ我慢してやりくりしているというのが本当のところで、前向きな政策立案や地域活動を起こすには余りに資金がなさ過ぎる」

 「そして、これははっきりと申し上げたいが、議員の活動費は寄附で賄うと河村代表は言われるが、それは実体の無い空論である。則竹氏は実際に8年間、そういわれた河村代表の方針にそって活動された筈であるにも関わらず、結果、一年間に受けられた寄附は20万円程度に過ぎない。これではまったく焼け石に水で、このままでは自分の8年後の姿が則竹氏の姿とダブる」

 「例えば、今、減税条例の実現を訴えて住民投票を求めても、問題となった財源措置については市民に説明ができない。地域委員会についても制度的問題と見直しについて考え直す必要がある。そして議員報酬についても徹底的に党内で討論して、納得し、支援者や市民に嘘偽り無い説明ができなければ住民投票の応援をお願いすることはできない」

 「我々は、地域委員会、減税、議員報酬について市民に約束してきた。そしてそれについてそれぞれに今のままで良いとはとても思えない。再度考え直す必要がある。そして、しっかりとした納得の下で、市民に対して実現化に向けたロードマップを示す必要がある。地域委員会、減税、議員報酬について、1年後が2年後か判らないけれども、着実な実現に向けて、課題を取り上げ、問題点を対策して市民の皆さんに、そしてなにより自分自身にしっかりと納得の行く施策の実現を図らなければならない」


 と、いうような訴えかけをするんじゃないだろうか?
 まあ、こんな党内議論が減税日本ゴヤの中で行われるとも思えないし、河村代表が耳を貸すとも思えないですけどね。