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市民税0.6%減税から、0.42%減税へ?

 市民税0.6%減税から、0.42%減税へ?

 本日の報道によると、河村市長と公明党の間で減税率を10%から7%へ縮小して、市民税減税を実施すると言う方針で同意が得られ、減税日本ゴヤ市議団が税率7%の修正案を提出すると言う方針らしい。

 公明党市議は12議席を持っているので、減税日本ゴヤの28議席と加えると40議席となる。これは全体の75議席過半数を占めるので、この報道が事実とすれば市民税減税は7%で実施されるという事になる。

 市民税10%減税というのは、6%の市民税を5.4%にすることなので、
 7%への減率とすると、6%から、5.58%への減税となる。

 つまり、「市民税0.42%減税」である。

 以下、各報道。

名古屋市長:減税条例案7%に圧縮検討 野党に譲歩 (毎日新聞 2011年11月30日 2時30分(最終更新 11月30日 9時47分))

 名古屋市河村たかし市長は29日、開会中の11月議会で審議している市民税10%減税条例案の減税率を7%に圧縮する方向で検討を始めた。減税率10%のままでは野党会派の理解を得られず成立が難しいと判断、譲歩した。市議会でキャスチングボートを握る公明党内にも市長の柔軟化を前向きに評価する声があり、条例案は修正のうえで可決される可能性が出てきた。

 関係者によると、市幹部が同日、公明党幹部に「減税率の7%への圧縮を検討する」と打診した。河村市長が提案した条例案を取り下げた上で、市長率いる減税日本」市議団が7%修正案を議員提案する方向で検討しているという。市は10%減税の財源に158億円を想定。税率を7%に圧縮すれば47億円分を圧縮できる計算だ。

 市民税減税は河村市長の看板公約で、09年の初当選から一貫して法人・個人市民税の一律10%減税を主張してきた。しかし東日本大震災の影響による税収減などで市財政は厳しく、10%減税した場合、来年度収支で76億円が不足する見通し。減税日本以外の各党は「減税できる状況ではない」と反発していた。

 しかし公明党内には「圧縮すれば検討の余地がある」との声があり、29日の市議会個人質問でも、公明市議が「減税率の圧縮を検討してはどうか」と呼びかけた。公明党(12人)が賛成すれば、減税日本(28人)と合わせて市議会(定数75)で過半数を確保できる。


名古屋の河村市長、減税幅7%に修正検討 議会に歩み寄り (日本経済新聞 2011/11/30 1:40)

 名古屋市河村たかし市長が、開会中の市議会11月定例会で審議されている市民税を一律10%減税する条例案について、減税率を7%に縮減する修正案で議会側との協議を検討していることが29日、関係者の話で分かった。厳しい財政状況などから市議会では減税への反対意見が高まる一方、来年度に減税を実現するには今定例会での可決が必要なため、歩み寄りの姿勢を示した形になる。

 河村市長は11月定例会の開会中に、自身が代表を務める地域政党減税日本」に条例案への修正動議を提案させるとみられる。ただ、市長の公約である一律10%減税を撤回する形になるほか、「財源を確保している」「行革に効果がある」といった従来の主張との整合性もとれないことから、他会派が協議に応じるかどうかは不透明だ。


名古屋市長、減税7%に譲歩 (中日新聞)2011年11月30日 09時03分

 来年4月からの市民税10%恒久減税を実施するため、名古屋市議会の11月定例議会条例案を提案している河村たかし市長は、減税率を7%に引き下げる方針を固めた。10%減税を公約に掲げてきたが、現状では条例案が可決される見通しはなく、政治決断した。30日にも自ら率いる減税日本の市議団に説明する。市議団が条例案の修正を提案し、各会派に協力要請する。
 関係者によると、これまでの市幹部と各会派との調整では、減税率引き下げなど市長が譲歩すれば、減税自体には反対していない公明党市議団が賛成の方針を示唆。議会は減税日本と公明で過半数を占め、修正された条例案が可決される公算が大きくなった。
 条例案は9月市議会に提案され、自民、公明、民主が継続審議で足並みをそろえた。
 10月には「10%減税実施の場合、76億円の財源不足となる」との来年度の財政収支見通しが示され、「減税は民意」と主張する市長に対し、3会派は財政難を理由に反対の立場を示していた。
 否決の場合、市長は住民投票を可能にする条例案の提案を表明。しかし投票が実現しても、来年度からの減税実施は手続き的に不可能となり、「来年度の実施は譲れない」(市長周辺)と方針転換したとみられる。
 29日の本会議では、公明の馬場規子議員(中川区)が「減税で福祉が削られてはいけない。福祉も守り、減税もできる解決策を見つける努力をするべきだ。減税率の引き下げも含めて検討してはどうか」と市長に譲歩を促した。
 本会議後、市長は本紙の取材に対し「10%はベストだが、否決されたら意味がない。成立に向けて、あらゆる手を尽くす」と語った。
 7%減税の場合、30億円弱の財源不足となるが、市幹部は「さらなる行革で捻出は可能」としている。


 (各記事の引用中、太字、下線等は引用者(私)の判断です)

 私としては、0.6%減税が成立してみても、河村の言うような経済効果は測定不能であろうし、市民の中にも減税の恩恵が感じられないと言う事で、河村の主張の嘘が市民に明確に判るであろう事から、ここは市の財政や、将来負担は無視して、無責任に、河村の言う事を丸呑みして減税をやってみれば良いと思っていたので少々残念な話だ。

 この減率によって、経済効果が現れ無い事に対して、河村としては「率が下がったために効果が現れない」というような言い訳を持ち出すだろう。

 また、あれほど散々騒いだ「民意」である筈の減税率を守れなかったことについては口をつむぐのだろう。

 ちなみに、「市民税10%減税恒久化」または、
 「市民税減税10%恒久化」というのが、大多数の減税日本ナゴヤ市議たちの公約である。

 つまり、彼らは明確な数値目標を掲げて「民意」を得てきたのであるから、今回の減率案を提出するのであれば、公約との齟齬の説明責任は当然あるだろう。

 (正確に言うと、選挙公報に「10%」の数値を掲げていないのは、則竹元市議、湯川市議、富口市議の3人だけである。この内、富口市議は「市長の3大公約」という表現を使っている。「市長の3大公約」には10%の数値が入っているので、現職の減税日本ゴヤの市議で選挙公約に「10%」の数値を掲げなかったのは湯川市議一人という事になる)

 また、公明党定率減税は金持ち優遇であると言っていたのだから、その率が0.6%から、0.42%に変わったところで「定率減税=金持ち優遇」であることに変わりは無い。これも今までの主張とは齟齬を見せている。説明責任がいるだろう。

 結局、この減税率の変更は、財源の手当てが付かないという事からきた弥縫策ということになるだろう。河村はつい先日まで「減税財源は行政改革で確保しました」と言っていたのだから、その言葉が「嘘」であったという証拠である。

 名古屋市の予算は2兆6000億円ですけど、重複分を切りますと1兆6000億円です。今度やるのが約160億円だとしますと、たまたま初年度ですから、だから、ちょうど1%ですよ、総予算の。総予算の1%の行政改革ができぬのですか。そんなことだったら最低の経営者ですよ、それは。できるんです、これは。」(平成21年12月1日 定例会における河村市長答弁)



 毎日新聞が面白そうな企画をはじめている。
 一般の市民に対して、減税の是非を含めて様々な意見を聞こうとしているようだ。

有権者は今:名古屋・河村減税の是非/1 勝田明さん (毎日新聞 2011年11月28日 中部夕刊)

 ◇役所も身を削るべし−−南大津通商店街振興組合副理事長・勝田明さん(79)

 減税、是か非か−−。名古屋市の11月定例市議会では、河村たかし市長と野党会派の減税論議がかみ合わない。両者の「民意」のとらえ方が違うからだ。市民税10%減税を掲げた河村市長が圧倒的な支持を集めた2月の市長選。そして起こった3月の東日本大震災。「減税より防災対策を」との声も上がる。果たして民意は変わったのか。商店主、DJ、大学生ら5人の有権者に語ってもらった。

 減税は商店街にはあまり関係ないね。10年に1年間減税やったときも、売り上げが上がった実感はない。富裕層に多額の税が戻るから百貨店はいいかもしれないけど。河村さんは「百貨店から商店街に寄付してもらえばいい」と言うけど、彼らもためこんじゃうからね。

 でも、減税には賛成なんです。もちろん経済効果はあるだろうし、役所は収入が減らないと業務を見直さないでしょう。民間企業は苦しくなれば、人を減らし、事業所を減らす。血のにじむ思いでね。市も当然、そうすべきだ。役所には「この人何やってるの?」という人がいっぱいいますよ。

 河村さんは減税や議員報酬年800万円の公約を掲げて市長に当選した。それはまさしく民意。東日本大震災が起きた後も、それは変わらないと思う。市議も「民意で選ばれた」って言うけど、市議は政策というより地元の付き合いで選ぶから。市長選の民意とは違います。

 河村さんは商店街の催しによく来てくれるね。おかげでイベントは盛り上がるし、庶民的でいいんじゃないですか。減税条例が否決されたら住民投票をしたいらしいね。それだって常識的に考えたら当たり前ですよ。=つづく


 下線、太字は私が施したが、やはり市民には漠然とした「公務員への不信感」があるのだろう。

 「待ち行列理論」という数理モデルがある。例えば、銀行のATMは何台設置すべきか、列車の運行においてどの路線に何時、どの程度の輸送能力を割り当てるべきか。これらを確率的に具体的な数量で予測するのが「待ち行列理論」の一つの成果である。

 皆さんは、例えば月末や給料日直後にATMを訪れることが多いと思うので(大多数の人がそう)「もっとATMを設置すればいいのに」とイライラする事があるでしょう。しかし、月中の午前中とかという時間に銀行を訪れてみると、ATMはがらがらで、ズラリと並べられたATMが無駄に感じるかもしれません。

 この「待ち行列理論」でも、「日計のピーク」「月計のピーク」「年計のピーク」などが問題となります。一般的には「一年の最高に混み合う月の、最高に混み合う日の最高に混み合う時間」にも対応すべきですが、コスト的な限界もあり、必ずしも満足できるとは限りません。つい先日も、iPhone4 の販売で大混乱がありましたが、ああいったことも起き得るわけです。

 実は、役所における人員にもこういった問題はあります。
 最繁忙期における人員要求を基準に配置をすれば、一般の閑散期には人員が空いてしまいます。その為に「役所には『この人何やってるの?』という人がいっぱいいますよ」という言葉が市民から突きつけられるのでしょうね。
 (本当に、何やっているのだか疑問な人は、市民の目に触れないところにいます)

 私は、特に職員がサービス業であるということを再認識すべきで、そういった意識改革こそが、待遇とか給与の絞込みよりも、市民の不信感を払拭するものだと思っているのですけれども、中々難しい問題でしょうね。しかし、待遇や給与を絞り込めば、却ってサービス業であるという本旨を外れて、またぞろ市民の不信感を生み出すことになる。つまり、今のような、不信感から待遇を悪化させるという議論は、悪循環を生み出すスパイラルだと思えるのですけどね。