市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

果たして「河村たかし」は首長としてふさわしいのか

 河村たかし市長が「減税は権力と戦う唯一の道」と力を入れる「0.6%減税」については、経済的効果、つまりは市民にとってのメリットもデメリットも、所詮、0.6%程度のインパクトしかないということは論証した。( http://ameblo.jp/ichi-nagoyajin/entry-10992368089.html )
 本当にこんな「セコイ」政策が、彼にとって「権力と戦う唯一の道」であるとすれば、なんとも政策構想力がないと言わざるを得ない。
 
 しかし「セコイ」といってもこれを歳入源としている名古屋市当局にとっては大きなインパクトがある。特に、河村市長は「減税財源は起債には頼らず、すべて行財政改革で賄う」と明言しているのだから、行政支出の見直し、財政運営の見直しは喫緊の課題だ。

 さて、ではこういった行政改革、財政改革について河村市長はどのような方針を打ち出しているのだろうか。

 つまり、例えば行政改革については、名古屋市の中でもおおよそ3000ほどもある事業のうち、何を切り、何を縮小していこうとしているのか。河村市長からこのような方針の話を聞いたことがありますか?

 確かに市長になられたばかりの頃には、平針里山を保護するだとか、北区の陽子線ガン治療施設について、経営見通しが甘いのではないかと事業継続を見直し、工事をとめたということはあった。

 これらについては、結局、河村市長のこの決定のおかげでそれぞれ余分に5億円ほどを名古屋市が請求された事は記憶に新しい。

 けれども、市長たるもの大きな市の将来ビジョンを打ち出して、こういったそれぞれの事業について再配分、再評価をしていかなくては政策は前に進まない。

 さてさて、この9月に河村市長はいよいよ減税の実施を市長提案として市会にかけようとされていますが、どのように減税を実施するのでしょうか。その様子がこちらのページから伺えます。

 「市民税10%減税検討プロジェクトチーム会議〈開催結果〉名古屋市公式HP」

 「現下の経済状況に対応し、市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展に資するための市民税10%減税にあたっての課題を検討するとともに、その円滑な実施を目的として開催しています」として、8月17日、22日と開催されたプロジェクトチームの会議の概要が掲載されています。

 この2回とも、出席者の役職名を見ると「(1)プロジェクトチーム委員:副市長始め 9 名 (2)税制検討部会、行財政改革検討部会:財政局税務部市民税課長始め 6 名 / 7 名」となっていますね。あれ?

 なぜ、河村市長の名前が無いんでしょうか?

 自身が中核と据える政策の実現を諮るプロジェクトチーム会合に出席していない?せめて初回の会合にぐらい参加して方針の打ち出しでもしなくて良いのでしょうか?

 こういうのを、日本語では「丸投げ」と言います。


 (ここからは完全に主観でしゃべりますが)

 河村市長にとって「減税政策」なんて本当はどうでも良いことなんでしょう。税を抑えて、小さな政府っぽくする事はなんとなく「政治をやっている風」には見えますが、結局「0.6%減税」ですから大きな問題も生まれません(もちろん、大きなメリットも生まれません)
 なんとなく「やっているカッコウ」だけ付けば良いのです。こういった方針は彼の提案したと言う68本の議員提案の法案にも現れています。最初の頃こそまじめな方向性が見えてはいましたが、最後の方は法案の体を為していないものまであります。

 完全にテレビ芸人的なポピュリストの姿です。

 減税政策なんてものがどうなっても良い、とりあえず格好だけつけさせてもらうというのが、この「丸投げ」プロジェクトチームの姿に現れていませんか。

 更に言うなら、河村市長にとって、名古屋市民もどうなっても良いんです。私が観測するにそう断じます。

 でなければ、なぜこの経済状況で歳入実体も明白にならない9月に減税を提案できますか?名古屋市やその市民、名古屋の産業や街が大切ならば、この経済状態を乗り越える施策の2つや3つ打ち出しても良いと思われませんか?

 そこに出てきているのが「中京都」と「発電会社」です。まったく呆れるばかりです。

 特に「中京都」は「地域委員会」の制度的不備を検証する障害になる「ノイズ」でしかありません。これでは、いたずらに地域コミュニティを破壊するだけになってしまいます。これだけ各地で反対意見や問題が提示されているならば、制度設計や運用について見直すと言う方針変更が出てしかるべきでしょう。
 ここまで来てなお、24年度に40地区での実施強行であるとか、同時に「中京都」を議論するとか。まったく正気を疑います。

 河村市長の市政の軽視は他にも見て取れます。こちらをご覧ください。
 「経営会議」

 市政運営の最高意思決定機関がこの「経営会議」です。この「過去の経営会議の概要」から「平成23年1月17日開催(第8回)」を覗いてみましょう。
 市長も参加して「平成23年度予算について」財政局案に関する説明があったとなっています。内容を添付された「資料」で見てみましょう。

 名古屋市の各局から提示された「政策的な判断が必要な事業」が列挙され、さらに「新規・拡充事業」「廃止・縮小事業」が並べられています。本局だけでなく、上下水道局と交通局についても同様の事業項目が並んでいます。

 非常に重要な課題であることは明白でしょう。さて、この会議、いったいどの程度の時間をかけて議論されているのでしょうか?

 はい、「午前9時40分から午前9時50分」のたったの10分です。
 資料にざっと目を通すだけでも10分では無理でしょ?

 さて、では平成23年1月17日に何をされていたか。「平成23年1月 市長の動き」で確認できます。と、午前11時35分「各局との打ち合わせ」以降のスケジュールがありませんね。

 平成23年(2011年)1月17日。リコール署名によって認められた、市議会解散の住民投票が告示された日なんですね。
 名古屋市民の生活を守る予算案についての「経営会議」は10分で切り上げて、半ドンで帰ってまで、「政局」が重要なんですよね。


 ちなみにこの「経営会議」の運営について、先のページに掲載されている平成16年からを集計してみました。

 必ず開催するべきというわけでもありませんし、会議というものは時間が長ければ良いという物でもありません。ただ、河村市長になって、特徴的な傾向があります。
 平成21年度からが河村市長の期間ですが、最初のころは時間もちゃんと取られ、経営アドバイザーの臨席もありました。しかし、だんだんとそれが沙汰止みになってきて、平成22年度に入ると経営アドバイザーの臨席はゼロです。また、ご覧いただけるようにあからさまに開催時間が短くなっています。これでは概要説明程度も時間が取れず、市長から方針を打ち出すなんて先ず無理でしょうね。

 市長と、市当局の上部がこのようなディス・コミュニケーションとなれば、これも完全な「丸投げ」と断じる以外に無いのではないのでしょうか。(河村市長が世界陸上に出ても金メダルが取れそうですな)

 また、一事が万事この通りと言えるのは。最初の頃(21年度の初期)には威勢が良くてやる気も満々であるにも関わらず、それが陳腐化すると途端にやる気を失ったかのように冷淡になります。まるで飽きっぽい子供ですね。こういった人物に地道な努力が要求される地方自治の仕事なんて所詮無理なんです。