市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

名東区意見交換会/スターキャットチャンネル

 地域委員会の市民意見交換会名東区に行って来ました。
 やはりここでも議論が「議決機関の地域委員会」と、「執行機関としての各種既存地域団体」の間ですれ違っている気がしました。

 自分が出した意見は概ね次の通りです。

 「議論がすれ違っている。皆さんが提示されているのは地域の課題について誰がどのように解決するかと言う話で、それは執行機関の話になる。けれども地域委員会は議決機関である。河村市長は地域委員会で児童虐待や孤立老人の解決が付くと言うような事を言っているが、議決機関であればどのような議決でもできる。
 今問題となっている原発全廃だって議決できるし、なんなら核兵器廃絶、世界平和だって議決としてできないわけではない。
 問題はこれらの議決をどう実行するか、その担い手が問題となるのである。
 実際にこの貴船においても議事録よれば児童虐待が議題には上ったが、では、いったいいくら予算が付いたのか、ゼロです。解決したのか、できるわけがない。
 地域課題の解決の為に、今、必要な議論は執行団体の梃入れであって、議決機関のありようを議論しているのは無駄である」


 というような感じだったと思います。

 会場全体の雰囲気は6〜7割り程度が否定的な意見であったと思いますが、河村市長も出席していたのでトーンとしては若干大人しめだったのかもしれません。

 気になった発言として、福祉関係に携わっている方が「声なき声を掬い上げて頂きたい」と言っていたのに対して、その直後に発言した人が「掬い上げてもらうとか、誰かに助けてもらうと言うことではなく、この地域委員会、住民自治というのは自分たちでやっていくと言う事」と言っていました。
 これって、弱者切捨ての論理ですよね。「弱者が声も挙げない、自助の努力もしないのなら、自己責任だ」と言って切り捨てるのと変わらないように感じましたがどうなんでしょうか。

 また、終了間際に河村市長が挨拶としてまたぞろ「減税論」を振りまいていまして、「いい加減にしろ」と思いましたが、そう自分が野次る前にすぐ隣の方々が「まぁた言っとらっせる」と嘲笑されていたので、野次は止めておきました。

 河村市長は「権力と戦う唯一の道」とみなしているかもしれませんが、そろそろ市民はこんな「にんじん」には誤魔化されないようになっているみたいですよ。





 「地域委員会」に対する理解を深めるコンテンツとしてこんな物が出てきました。

 スターキャットチャンネル「なごやNOW」市政記者が行く! Vol.9
 市政特集「コミュニティのかたち」


 河村市長のブレーンとして「地域委員会」の制度設計をされた名古屋大学の後教授と、その「地域委員会」の委員として実際に制度の中身を見た玉置市議(減税日本ゴヤ千種区)の対談です。

 玉置市議は本来、市議としての立場ではなく、あくまで「元地域委員会委員」としてならということで、この企画に乗ったそうです。(なので、写真に写っている姿は私服のジャージとなっているそうです)

 抄訳よりは、PDFで置かれた完全版がお勧めです。

 後教授の主張には所々引っかかる物を感じます。これは東海社会学会の際にも感じたもので、この文章でもそのモヤモヤは解消できませんでした。

 特に、「税金を使うことに対しての引け目みたいなものがある」という意見に対して、選挙で選ばれた正当性があると過半数だから良いに決まっているわけですよ、正当性から言えばですけど」と言ってしまえるのに違和感を感じます。まあ、後教授ですからその直後に「そして、効果があるか・ないかは何年か経ってからじゃないと検証できないわけですよ」と言われるわけですけど。誰かさんはこの後段をすっ飛ばすんでしょうな。

 地域委員会については、委員会討議では過半数を獲得できるのかもしれませんが、委員の選出選挙自体は8.7%と言う投票率だったわけで。更にその制度も郵送だったんですよね。と言う事は、やはりどこまでいっても「正当性」は言えないと思うんですよね。この場合。


 こういった発言については大賛成ですね「一番大きな責任はやっぱり市長にあるので、政治利用したというのが最悪ですよ。議会が地域委員会の予算を 09 年 12 月に認めたわけじゃないですか、それをわざわざケンカにして否決させたわけでしょ。政治利用をするネタとして、こういう重要なことを…今回も全部やるか・やらないかみたいなね。そういう出し方をするのなら、それはもう潰すためにやっているとしか思えない」


 更に区役所の機能強化についても触れられていますが、この「地域委員会」でしっかりとした議論ができていない状態で(今日のような会合で、相も変わらず提案者の市長が「減税」の話を持ち出して嘲笑を受けていたり、議決機関と執行機関のズレを意識していなかったりするような低次元の議論のレベルでは)
 ここで、区の機能強化と「中京都」と言う話が出てしまうと「基礎自治体は市なのか区なのか、はたまたボランティア議会(地域委員会)を擁している学区なの?」というような議論にも成りかねないので、「生まれの不幸」にまた輪をかける結果になってしまうと思うんですよね。


 本当に、地域自治の制度を設計するのであれば、既存機構の再評価と、区の機能の評価、そして、その期間、完全に「中京都」の議論を停止する事(つまり、基礎自治体の枠組みを変えて、市を解体しない事)が必要であると思う。

 そういう意味では、地域委員会が困難な段階に差し掛かっているにも関わらず、どこから持ってきたか知らないが「中京都構想」を打ち出したどこかの市長は何も考えていませんね。無責任すぎます。

 実は、そんな市長の無責任な仕事ぶりを表す傍証が得られましたので、明日のエントリーでそれを書きます。