市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

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堀川をドブ川に戻したのは、河村たかし

 2月14日(火曜日)、名古屋市河村たかし木曽川導水路事業の方針転換を発表した。公式発表の前に中日新聞によるスクープという形で報道された。

 もちろん、事の重大さ、ニュースバリューから、当該記事は当日朝刊の一面を大きく飾ったが、中日新聞の取材とは思えず、明らかに河村市長から「投げ渡された特ダネ」としか思えない。

 ゲンキンなもので、このスクープ以降、あれほど河村の顔を映すことを拒んでいた中日新聞市民版に、15日、16日、21日と「笑顔の河村市長」の連続登場とござい。

笑顔の河村市長()

 まあ、こんな事はご愛嬌。この程度の歪みにイチイチ反応していたらモタない。しかし、中日新聞を読んでも、後追いをした各社の報道を読んでも、この突然の方針転換の理由が判らない。

 河村にとってこの方針転換は、木曽川導水路事業反対を唱える少なくない支援者を敵に回すことになる。それも、すぐ目前に名古屋市会議員選挙や愛知県議会議員選挙を控えての時期にだ。

 もしも河村にして、この方針転換をしなければならない事情があったとするのなら、その発表は選挙後まで引き伸ばすだろう。いままでの河村のやり方から考えると、そうしなかった理由が判らない。

 逆に考えると、市会議員選挙、県会議員選挙の前の段階で、一部の支援者を裏切ってまで方針転換を図らなければならなかったとも思える。つまり、方針転換によって得られる「ナニカ」は、こうした支援者よりも影響力があると河村が値踏みしたということだ。

 ここに少々気になる情報が2つある。

 まず、この木曽川導水事業再開について、名古屋市会のドン(?)である、自民党の某市議が動いていたものを、河村が直前に成果を掠め取って市長室から中日新聞にリークして書かせたのだ。という観測だ。

 この観測には、そもそも河村が木曽川導水事業再開を願っていたという前提が必要になるが、河村のスタンスは、支援者との関係もあって、導水事業停止のママというものであった。よしんばこのドン市議が事業再開を決定的にしたとしても、そもそも無理筋を通して河村は止めたのであるから、河村が今まで通りのスタンスを守ろうとすれば守れるはずだし、再開するのであればそれも河村には容易いことだ。

 中日新聞にスクープを上げさせて、市議選、県議選の前に中日新聞と手打ちにしたかった?

 にしては、木曽川導水事業の事業規模や、支援者の存在は大きすぎるだろう。そうしたハレーションを考えれば、一発のスクープや、一時的なメディア懐柔にこれほどのネタを使うのは理解できない。

 もう一つの話というのが、2月14日の発表の一ヶ月ほど前に導水事業反対派の市民の元に河村から電話がかかってきたという話だ。

 この電話もいい加減なもので、「●●さんか、木曽川の導水路事業、いま(反対運動している人たちは)どうなっているか、ちょっと電話変わるから教えたってちょう」と、挨拶もそこそこに別の男性に電話が引き継がれたそうだ。
 どうも、特別秘書の田中秘書が引き継いだようだが、電話の内容は、今思うと方針転換の前の根回しだったようだ。それ以降特段この支援者のもとには河村市長側からの働きかけはなく、突然の方針転換が報道発表され、3団体の抗議、記者会見となってしまっている。

 つまり、ここから判ることが2つ有って。1つはいつものことながら、河村市長には根回しとか政治的交渉なんてものはできないという事と、その河村市長の側としては、すでに1月前には方針転換の準備が進められていたということになる。そして、それは1月の中旬から年明けの頃となる。


 ここで私の妄想の翼が大胆に広がる。

 つまり、まったく根拠もない妄想でしか無いが、こうした出来事が有ったのではないかと推測されはしないかということだ。

 昨年の年末、どこかの忘年会で河村市長と、このドン市会議員が顔を合わせる。そんな事は当たり前にあるだろう。

 その席で、今年の市議選の話題が上り、ドン市会議員がからかい半分に河村に「お宅のところ(減税日本)も、改選で二桁確保は難しいでしょうね、どうだね、止まっている木曽川導水事業ね、あれ再開してくれたら、ウチの会派(自民党)は減税日本さんが現有議席確保できるように配慮するよ」

 河村たかしにとって、そもそも市議選など誰が受かろうと落ちようと関係ない。いままでも市長選挙の際には必死になって政策や公約を捏造してきたが、市議選挙においては「市議報酬」一本槍で、何か考えたという形跡すら無い。そうした個々の議席についてはどうでもいいことなんだろうが、やはり元々有った議席数28を回復しないまま現在は9議席に追い込まれ、改選で二桁確保できないという状態は「みっともない」特に、維新が敵に周り、いくつかの議席が奪われる可能性も考えると、この申し出はありがたい。

 こうして、河村が木曽川導水事業再開に翻意した。と考えるのはどうだろう。*1

 もちろん、実はこんなことをドン市会議員が約束したからと言って、他会派が減税日本ゴヤ議席確保にできることなど実は知れている。せいぜい「選挙のトークで金メダル噛んだ事はあまり言わないようにしましょう」ぐらいが精々なところだ。

 しかし、年明けから河村が現有議席のある西区、千種区に「身内」とも言える者を候補者に当てるよう方針転換したり、こうした選挙区における議席確保に自信を見せる理由も説明が付きそうな気がする。

 さらに、減税日本は県会議員の議席を諦め、それを維新に提供する代わりに市議選挙における協力を求めているとも聞く。減税日本ゴヤ議席二桁とバーターで木曽川導水事業が再開されたのか、選挙結果が楽しみとも言える。

 さて、それはさておき、またぞろ河村はこの事業を14年間も放置してきた責任を前任者や名古屋市職員、国交省に押し付けようとしているそうだ。「700億円、ほかっとけん」ということかもしれないが、その700億円を14年放置していたのは誰で、その金利は幾らかと聞いてみたい。*2

 
 かの「西部医療センター賠償金問題」では、2015年(平成27年)4月28日にADR和解案として日立と1億5,300万円の賠償という合意ができていたにも関わらず、それを蹴って*3ずるずると、2021年03月に3億8,500万の賠償が裁判所から言い渡された。それにも関わらず「名古屋市は儲かった」などとトチ狂ったことを言っていたが、同じ様なことを言い募るのだろう。この「西部医療センター」の件での2億2200万円程は、河村のグズのために名古屋市名古屋市民は明白に損をしている。*4

 しかし、中日新聞はそうとは書かないので、名古屋市民は知らない。

 何にせよ木曽川導水事業が正常化する事はめでたいことだ。徳山ダム木曽川導水事業は一体の事業で、そこに様々な問題が有っただろうことは想像に難くはない。しかし徳山ダムは既にできてしまったし、名古屋市揖斐川水系の水利を得ておくということには意味がある。

 そして何より堀川導水事業も再開の見通しが立つのであれば大歓迎だ。最近の堀川の水質、臭いは以前にも増して酷いものだ。この酷いドブ川になってしまった堀川を作ったのは河村たかし名古屋市長だ。堀川の水質悪化は河村のせいだ。

 正式には、徳山ダム木曽川導水事業、それから堀川への導水事業は別の施策であり、名古屋市国交省もそう忖度して扱っていたが、木曽川導水事業再開に絡んで堀川の水質向上、導水事業の再開を御本人が公言し、木曽川導水事業と堀川導水事業を関連付けるのであれば、遠慮はいらないだろう。

 この数年、堀川導水事業を理由もなく停止して、堀川を汚し続けて、せっかく底が見えだした堀川の水の浄化を後退させたのは、他ならぬ木曽川導水事業を乱暴に遮断した河村たかし名古屋市長であるという自白と捉えていいだろう。

 この数年、中日新聞などが「堀川の水がきれいになった」とか書くたびに、「水がきれいになる要因がなくなったのに、どんな根拠で提灯を上げているんだ」と鼻白んだものだが、これでやっと本当に堀川に清水が戻ってくるのであれば歓迎だ。

 ところで、この堀川導水事業再開は、一昨年の市長選挙対立候補となった横井元市議が掲げた公約である。横井元市議のコロナクーポン券事業に引き続き、堀川導水事業再開という政策泥棒。堀川を汚していたのは自分であるという自白。この2つは明確に覚えておきたいものと思う。


*1:尾張ゴヤ共和国構想の時に、河村はこのドン市会議員と似たようなよく分からない約束をしたとも聞く。

*2:もちろん、この場合単純に700億円が債務としてあったわけではないことは百も承知で書いている。

*3:市会議員選挙の直前に賠償金支払いが明白化するのを恐れた。

*4:というよりも、まともな政治家ならそもそも賠償金など1円も支払わないようにしただろう。