市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

24年度の地域委員会は実施されるのか?

 1月10日の総務環境委員会の模様を見ました。

http://kojieguchi.com/Movie/Default.aspx?MovieURL=http://119.245.136.163/dvl-nagoya/movie/W_H24/201201101102001001001.asx&Category=%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6&Keyword=&SelectedMonth=%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6

 色々と問題が出ています。そもそも地域委員会の内容についての議論にすら入れていません。これには訳があるようです。

 この図はこの3年ほどの間に起きた地域委員会の流れを示したものです。
 (23年度予算執行が4月まで食い込んでいますね、間違えました)
 (24年度予算執行の部分、色を間違えている。眠かったのか?自分)

 地域委員会は21年に河村市長が誕生し、8地区のモデル実施について11月定例会で補正予算が議会に承認されました。それを受けて12月から地域の募集をかけて、翌22年の2月に委員選任選挙、3月から地域委員会が開催されたのです。
 地域委員会はこの図の様に、審議としては22年の12月までに終了しています(一地区だけ、翌23年1月にも1回会合を設けている)
 ですので、機関としては4月から12月までの8ヶ月の間に22年度と23年度の2ヵ年の地域予算の審議をしています。

 これらの流れを示したのが、この図の下の部分です。


 こうやって見ると、この流れの中にも問題がありますよね。当ブログでも幾つかご報告した「市民意見交換会」というのが開催されたのが8月になります。しかし、実は22年度の地域予算が執行され、それが決算と言う形で議会に承認され、確定するのは9月末ですから、それまでは執行が確定しているとは言えない訳です。
 あの「市民意見交換会」というのは、地域委員が審議した様々な地域予算の執行について、議会の決算を受ける前に市民の中で評価をするという、ちょっと「早まった」形となっているわけです。・・・・(P1)

 ここで記述しておきますが。各地の意見交換会やら、実際に地域委員となった方々の意見を拾うと、この22年4月、5月における「22年度地域予算審議」というのは問題が多いようでした。というか、不評でした。

 どういうことかと言うと、22年度の予算について、6月議会に計上して、22年度中に執行してしまいたいという、市当局の都合の為に22年度の地域予算決定がタイトなスケジュールの中で進められたのです。更に地域予算で執行できる対象も混乱しており、この予算審議は相当に無理があったと思われます(※1)
 実は、私は9月以降故意に当ブログで「地域委員会」についての話題に触れることを避けてきました。なるべく静かにしていたのです。22年実施の際には8地区を募集し始めたのが12月です。それから6月までの予算審議でギリギリだったわけです。今、1月です。2月に予算を出すにしても、24年度の審議は出来ますでしょうか?
 32地区の募集をどの程度の期間で?・・・・(P2)


 更に、このモデル実施で提示された地域予算について議会は「附帯決議」を付けています。河村市長が実現を強く希望した事から、その効果などに疑問があっても検証してみようと、そういう意味で4項目の「附帯決議」を付けて予算を承認したわけです。
 今期も総務環境委員を勤めておられる斉藤市議のブログにこの項目が掲載されています。
"6月議会終了。参議院選挙へ!(2010年06月29日)"

<附帯決議>
1 地域予算の執行について徹底した検証を行うため、平均10パーセント程度の参加率の選挙による地域委員が、地域課題及び地域予算を決定している状況を鑑み、当該モデル地域内の全住民に対しアンケートによる住民評価を行うこと。その際、今回の地域予算の使途・価格の的確性、地域間での不公平感についても住民に周知しつつ、さらに、当該モデル地域以外については、各学区連絡協議会・住民の意見を丁寧に聞き取ること。

1 制度設計を再考すること。その際、学区連絡協議会での地域委員会の位置づけ及び役割、さらに地域委員の選考方法、学区連絡協議会での予算要望を実行予算に反映させる仕組みなど、各地域が主体的に取り組めるような制度を構築すること。

1 上記の作業経過を詳細に議会に報告し、その作業が完了するまでは、新たな拡大は一切実施しないこと。

1 以上の附帯決議の項目を厳守し、地域主体のまちづくりを議会とともに進めること。

 つまり、地域予算について当該地域及び、当該地域以外についても住民の意見を聞くことや、制度について現行の地域組織との整合性などを調整する事や、それらヒアリングと制度調整の過程を議会に報告する事を求めているわけです。

 3項目目は厳しいですよね。「上記の作業経過を詳細に議会に報告し」
 「その作業が完了するまでは、新たな拡大は一切実施しない」としているわけです。

 「附帯決議」ですから、「この約束を守ってもらう代わりに、とりあえず仰る予算を承認しましょう」と言う事ですが、逆に言えばこれらが為されなければ、以降の承認は出来ませんという事です。約束ですからね。

 そうすると、そもそも論が出てきます。
 もう一度先ほどのタイムテーブルを見て頂きたいのですが。

 先ほど、22年度予算が執行され、確定する前に「市民意見交換会」が行われたと言いましたが、23年度予算に関してはまだ「確定していません」それどころか、執行中ということになります。23年度予算の執行が確定するのは決算以降です。つまり、今年(平成24年)の9月以降です。
 22年度の地域委員会モデル実施というのは、その予算執行が終了して、決算を通り、すべての事業が確定するのは9月以降となるはずです。つまり「その作業が完了する」のは、正確には本年の9月以降です。

 そして、市民からの意見交換などを経て議会で制度の議論をしてはじめて、次のステップに進めるはずです。
 今(24年1月=23年度)の段階で「新たな拡大」について提案するというのは、この「附帯決議」を無視した議論となる筈です。・・・・(P3)

 まとめてみます。


 P1)決算を受けた(確定した)地域予算の執行について、市当局は市民の意見をヒアリングしていない。

 P2)22年度モデル実施において、地域委員から出た最多の問題点として、あまりにタイトなスケジュールで予算を確定させた。もっと議論を深めたかったと言う意見があったはずで、そういった反省に立ったスケジュールとは思えない。
 というよりも、もっと酷くなっている。

 P3)24年度の地域委員会の実施と言うのは完全に無理ですね。25年度の実施に対して、今から制度的な議論を始めていくべきでしょう。

 特に、予算の縮小や学区連協推薦枠についての選挙対象としないなどは、現実的といえば現実的ですが理念を感じません。
 また、16歳以上へ参加枠を広げることは、制度設計に対する市当局の「本気度」を疑いたくなる無茶です。(私の水晶球には、どういった経緯でこの修正が潜り込んだか、おおよそ浮き出てきていますが、一言言っておきます「市政は玩具じゃない」)



市民意見交換会以降の市当局の対応経緯

9月9日・16日 地域団体(区政協力委員議長協議会、民生委員児童委員連盟、保険委員会及び地域女性団体連絡協議会)の代表との意見交換の実施
10月26日 第2回地域委員会制度準備プロジェクトチーム会議の開催(平成22年度地域予算事業の評価について)
11月7日 総務環境委員(所管事務調査)の開催(モデル実施の検証について)
12月12日・13日 元地域委員会委員長との意見交換の実施
12月26日 第3回地域委員会制度準備プロジェクトチーム会議の開催(制度内容の検討について)
5月〜12月 地域委員会制度準備プロジェクトチーム区役所専門部会(各区長で構成)及びワーキンググループ(関係職員で構成)による制度内容の検討



※1:ここには河村市長自身の無理解もあった。河村市長は今でも「児童虐待や老人の孤立死対策などに地域委員会」と語るが、そのような地域予算の執行はまず無理だ。
 ひとつの地域から、ある事柄について要望が出された。
 河村市長はその要望を受けて「なら、地域委員会で対応すればよいではないか」とモデル地域としてこの事柄の解決をしようと試みた。
 ところがこれが私有財産に対する支出となり、地域予算での対応は認められなかった。これなど完全に河村市長の誤解が引き起こした事例である。
 (故意に誤魔化していたのだとしたらとんでもない話だ)