市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

リコール署名の疑惑について

 こうやって「地域委員会」から「減税日本ゴヤ」の市議研究と、一貫した話題でブログを書いていると、いろいろな情報を寄せていただける。ありがとうございます。不思議と反論はなく、激励もないけれど面白い情報提供が多いです。

 できうる限り、検証させていただきますが。まったくの個人ですので限界もあることはご理解ください。

 また、国政関係の情報をお寄せいただきましても対応しかねます。

 メールアドレスは akira.mori1961@gmail.com です。

 さて、そんな情報の中で実は「リコール署名簿」についての疑義が寄せられました。すでに報道されているような「リコール署名簿の流用」(リコール署名簿を後の市議選に利用した)ということではなく、このリコール署名簿自体が「偽造されたのではないか」という疑いの情報です。

 先週末、実はこの件で名古屋市選挙管理委員会に伺ったのですが、リコール署名簿は「個人情報保護法」の壁に阻まれて検証が出来ない状態になっています。

 それだけではなく、当時、受任者欄の抜けということで「郵送調査」も行われたのですが、それ以降の報告、調査、法的対応が抜け落ちている感想を持ちました。

 結局、リコール署名簿の扱いに対する喧騒と、その後の市議選で話題が紛れてしまったような印象を持ちますが、実は、その時の「郵送調査」でも「書いた覚えが無い」という人が601人も居たのですね。そして、その601人の「署名偽造」について対応がなされていない。

 また、今私の手元にある情報が真実であるなら、この受任者空白の名簿ではなく、受任者欄が埋まっている、前回の調査対象にならなかった名簿に、偽造されたものが大量に紛れている可能性があるわけです。これってちょっとしたスキャンダルですよね。

 というわけで、この一時情報も含めて、問題点を数人の、名古屋市政に精通されている有識者の方々にメールでお送りしました。

 また、その問題は置くにしても、名古屋市選挙管理員会として、その対応が問題ではないかとの指摘を、名古屋市会の議員の方々数名にお送りいたしました。今日は、その市会議員の方々にお送りした問題点の指摘書、要望書をここに掲載いたします。





名古屋市会議員
●●●●●●●● 様

名古屋市在住:●●
平成23年6月6日

概要:
先に行われたリコール署名について、違法行為が行われた可能性が示唆されております。この示唆の真偽を検証しようとしましたところ、名古屋市選挙管理委員会の事務に不十分な部分が見られましたので是正を要望したいと思います。

 要望事項
 1)公式調査の結果報告
 2)偽造認定事例に対する対応
 3)選挙管理委員会が求めた「専門家」の意見について

本文:
 突然、メールを差し上げまして失礼いたします。
 私は、河村市長の掲げられた「地域委員会」制度について疑義があり、その研究の為にブログを作成している名古屋市民であります。一私企業の会社員であります。

ブログアドレス : http://ameblo.jp/ichi-nagoyajin/
ツイッターアカウント : @akira_mori0120

 「地域委員会」について検証を進めようとしましたところ、リコール署名が成立し、市会議員選挙、そして「減税日本ゴヤ」市議団の誕生を目の当たりにすることとなりました。「減税日本ゴヤ」市議団は「地域委員会」の全市展開を公約に掲げました。各市議の、この政策に対する具体的なスタンスを検証しようとしましたが、各市議の政治的指向、経歴等に不明確な部分が多く、それも含めて検証の対象としておりました。
 そうしたところ、「減税日本ゴヤ」市議団についての情報が様々な形で寄せられるようになりました。今般の則竹市議の「費用弁償」問題については5月30日にブログ上に疑問を提示し、ご本人に質問状を送付しております(この質問状送付について、客観的な第三者として、CCで「名古屋市オンブズマン」殿及び報道数社にも送付しておりましたところ、たまたま同時期にあの発表となり「名古屋市オンブズマン」殿から驚かれていました)
 そのような中で、真偽のほどは定かではありませんが、リコール署名の成立について、その正当性を疑うような証言が寄せられました。この問題は、既に報道されているような「リコール署名簿の、市議選への流用」ではなく、「リコール署名簿自身の偽造」という問題であります。
 寄せられた証言にはリコール署名の時期に、ある企業の顧客情報からリコール署名簿が作られたという様子が生々しく描かれておりました。
 この証言自体匿名ですし、物的証拠となるべきこの企業の名簿及び、リコール署名簿自体が「個人情報保護法(以下、単に「保護法」と記述いたします)」の壁に阻まれて検証が適わない状態では、その真偽のほどは追求できません。また、リコール自体は成立し、その後の住民投票、及び市議選まで実施されてしまった今となっては、その無効性を訴えることは、あるいは無駄かもしれませんが。この不正が放置されたままでは、名古屋で実施された、全国でも珍しい、人口が百万を超える規模の地方自治体における住民投票請求という制度自体に瑕疵を放置させる可能性があります。

 1.リコール署名の制度自体が保護法の制定以前に定められており、その正当性の検証に対して保護法の障害があるということを想定していない。つまり、現行のように保護法によって、何人も一次資料であるリコール署名簿を閲覧できないとするならば、不正がやり放題という事になる。

 2.リコール署名の組織体において、請求代表者という責任主体と、受任者という収集する存在が居て、受任者が今回行われたように多数に渡る事が想定されていたか(請求代表者が、受任者の行動を検証することが可能であったか、そして、その合法性を担保できているか)

 3.今回のリコール署名において非公式ですが、各区の受任者はその後の出直し市議選において、各区から立候補する市議候補と言う位置付けがされていたようです。受任者の中にはリコールの対象となった現職の市議に対する批判を訴えると同時に、リコール成立後の出直し市議選(入れ替え市議選)に自ら公認候補として立つことを明言し、リコールの訴えをしていた事例もあります。また、実際に選挙公報上で自身の獲得したリコール署名数を誇示している例もあります。つまり、署名簿の収集数が「公認争い」という様相を呈し、これがリコール署名簿の収集に「偽造」という、あってはならない違法行為を招く要因になっていたのではないかとの疑いがあります。

 これらの事情を考えるに、リコール署名について、その正当性をもう一度検証し、法的正当性を打ち立て、上記のような匿名による告発などの根拠の薄弱な疑義に対して反論することが、少なからぬ市民の公金を使用してなされたリコール署名の検証及び、市議選の実施主体としての名古屋市、及び名古屋市選挙管理委員会の義務であると考えます。

 この問題を放置することは、リコール署名、住民投票、ならびに地方自治制度に法的瑕疵を放置し、法の下に築き上げられた地方自治の根幹を揺るがす問題でもあると思慮します。
 よって、以下の事柄を、名古屋市、及び名古屋市選挙管理委員会に求め。同時に、名古屋市会議員の各位に置かれましても、是非名古屋市に対して働きかけをしていただきたいと存じます。

 要望事項:

 1)公式調査の結果報告
 リコール署名簿について、受任者欄空白の多量の署名について、その正当性検証の為に郵送調査が行われました。それらの調査について報道発表はなされているようですが、公式な発表が無いようです。これらの発表を行われることを求めます。
 また、名古屋市会におきましても、これらについて質疑をされ、公式な回答が議事録等に残るようにしていただきたいと思います。
 また、この時の調査は、受任者欄空白という形式的問題から調査という動きになったのですが、上記に述べたような疑義は、受任者欄も記入がなされている事例であり、これらの正当性、合法性の検証はどのようになされているか、選挙管理委員会の見解を伺いたいと思います。
 更に、述べるならば。リコール署名簿の最大の検証方法は「縦覧」であったわけですが、この制度は百万を越すような地方自治体を想定しているとは思えません。期間が短すぎます。また、縦覧というのは主に「書いた記憶がある人が、自分の時間を割いて確認する行為」であり、自分が書いた覚えも無ければ「縦覧」で確認することも考えにくく。また、一般に意識していなければ「縦覧」に時間を割くこともしないでしょう。これは、実際に「縦覧」に訪れた有権者の比率から推定できると思います。

 2)偽造認定事例に対する対応
 報道によれば(2010年11月17日 読売新聞報道:以下同じ)先の郵送調査において、調査票送付は9万9883人、返送されたのが5万8536人であり、返送率は58.6%となっております。この中で「署名していない」との回答が601人あり、これについて選挙管理委員会のコメントとして「地方自治法の署名偽造に当たる可能性があり、専門家と相談して刑事告発も検討する」と記述されています。
 この刑事告発は行われたのでしょうか。
 また、9万9883人の内、601人という数字は、0.6%に当たり、これをすべてのリコール署名46万5602件に当てはめてみますと約2794人分の署名偽造と疑わしき事例があると推定されます。
 家族が書いたというような「軽微」な事例もあるでしょうが、しかし、このような不正行為を見逃すことはリコール署名制度の正当性を揺るがす行為でありますし、遵法精神、地方自治の精神にも適うものではありません。罰の軽重はそれぞれ考慮するにしても、しっかりとした検証が必要であり、違法行為をした人々には、違法であると示す必要があると思います。

 3)選挙管理委員会が求めた「専門家」の意見について
 上記報道によれば、当時選挙管理委員会は「専門家と相談して刑事告発も検討する」との意向を表明されています。
 この「専門家」とは、具体的にどなたでしょうか。
 また、その回答内容について公式に発表を求めます。
 最後に、繰り返し述べますように。リコール署名の制度と言うのは今回行われたような百万人を超える地方自治体における実施を想定していません。しかし、今後道州制などが導入されますと、もっと大きな「地方自治体」における署名収集も考えられます。名古屋の事例が、「違法行為のし放題」といったような汚名とならないよう制度の問題を検証するためにも、しっかりとした行動をお示し願いたいと思います。
 また、リコール署名の制度自体、保護法制定以前に作られた制度であり、保護法による検証の障壁には無力です。この問題も含めて関係各位に対しても再考の意識を持っていただきたいと思います。

以上