市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

平成24年請願第12号請願審査


 本日は7月31日、名古屋市会総務環境委員会において行われた請願審査の内、請願12号について述べたいと思います。

請願・陳情審査(総務関係)
平成24年請願第8号 日本軍慰安婦問題について日本政府に誠実な対応を求める意見書提出に関する件

平成24年請願第12号 名古屋市議会解散請求に係る署名収集のための受任者名簿を選挙・政治活動に使用しないことを求める件

平成24年請願第13号 議会報告会の実施に係る予算措置を求める件

平成24年陳情第8号 地方再生のための拠点となる国立大学を都道府県ごとに選定し、その大学に国立大学法人運営費交付金を重点的に増額して交付することを求める意見書提出に関する件
平成24年陳情第11号 本会議及び委員会傍聴時の受付を廃止することを求める件

http://www.gikai-tv.jp/dvl-nagoya/2_iinkai_question.asp?start_date=2012/07/31&cmt_cd=2&cmt_seq=1&movie_publish=-1

 こちらで録画を見ることができます。
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 また、著作権法 第三十二条第二項の規定に従い、名古屋市会の公式サイトより論点の部分だけを YouTube に転載しております。以下の論考ではその転載された動画を元に論述していきたいと思います。

 市議会改革の一環として、名古屋市会の委員会では「委員間討議」が行われる事となりました。この請願審査では珍しくすべての委員が討議に加わる結果となるほどの議論になっています。

 委員会の構成は次のようになっています。
 http://www.city.nagoya.jp/shikai/page/0000010651.html

 委員長は減税日本ゴヤの湯川市議です。これが後ほど重要なポイントになります。

 副委員長は自民党の岩本市議と公明党の福田市議です。この両名については発言はありませんでした。

 当事者でもある減税日本ゴヤの委員は松山市議と余語市議で、余語市議は幹事長として議会運営委員会の副委員長でもあります。

 以下、おおよその発言順に。

 うかい市議 (民主・中村区) 
 近藤市議 (公明・緑区)

 丹羽市議 (自民・名東区)

 田口市議 (共産・天白区) 
 玉置市議 (新政・千種区)

 渡辺市議 (自民・北区) 
 久野市議 (民主・中川区)
 伊神市議 (自民・千種区)

 となります。

 まず、議論の対象となっている請願については、このイメージの様に3つの事柄を名古屋市会に求めています。










① 減税日本ゴヤにおける名古屋市議会リコール解散署名受任者名簿の管理状況の公表をし、名古屋市民に対して説明会を開催すること。

② 名古屋市議会において市議会解散リコール署名簿ならびに受任者名簿を選挙政治活動に使用しないことを確認するとともに、これらを管理保有している関係各位に使用しないことを確認するとともに、これらを管理保有している関係各位に要請する決議など適切な措置を講ずること。

③ 名古屋市での市議会リコール解散後の署名簿および受任者名簿の選挙・政治活動への流用実態調査と目的外使用を規制する法整備を求める意見書を国に提出すること。

 要望事項を整理しましょう。
 ①−1 受任者名簿の管理状況の公表。
 ①−2 説明会の開催。

 ②−1 市議会において署名簿・受任者名簿を選挙政治活動に使用しないことを確認。
 ②−2 これらを管理保有している関係各位に使用しないことを確認。
 ②−3 これら関係各位に(使用しないことを)要請する決議などの措置を講ずる。

 ③−1 名古屋市での署名簿、受任者名簿の選挙・政治活動への流用実態調査。
 ③−2 目的外使用を規制する法整備を求める意見書を国に提出。


 請願の主旨では署名簿にも言及されているが、受任者名簿についてだけに議論を絞ると、受任者についてはそもそも受任者募集時のハガキに次のような記述があった。




 ご登録された個人情報は上記団体以外の第三者に開示提供せず、名古屋市政改革活動の目的に限定して、厳重かつ細心の注意をもって管理いたします。

 これに対して減税日本ゴヤとして「受任者名簿を使う根拠について」と受任者名簿の政治活動、選挙活動への利用は法的に問題ないとコメントを表明する。
 日本政治の中空構造 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

 【受任者名簿を使う根拠について】

 受任者名簿や署名簿を政治活動等に使用することは、法的に問題はない。

 そのうえで、「受任者名簿は政治活動・選挙活動に使う可能性がある」という根拠は以下の通りである。

 一昨年の署名活動の受任者は、ネットワーク河村市長が掲げた名古屋市政改革に賛同し、その一員としてリコール署名活動に参加した方々であるから、市政改革運動の目的に合致した行為は、受任者となった時点で了承していただけたと考えている。

 なお、受任者登録ハガキに書かれていた文言は「ご登録された個人情報は上記団体以外の第三者に開示提供せず、名古屋市政改革活動の目的に限定して、厳重かつ細心の注意をもって管理いたします。」であった。政治活動や選挙活動に使用する、と明記はされていないが、市政改革に資する行為の範疇であれば問題ないと考える。

平成24年5月7日

減税日本ゴヤ

http://f.hatena.ne.jp/ichi-nagoyajin/20120508215634

 個人情報保護法は政治活動、宗教活動、それと報道に対しては除外されているので「法的に問題がない」ではなく、「法的に処罰規定が除外されている」というのであればその通りだが、個人情報保護法の主旨からいえば完全に逸脱しており、目的外使用であることは明白だ。つまり法的には問題がある。(処罰規定が除外されているだけである) ( 参照 )

 その為に、当の受任者が「市議会リコール解散署名受任者の会」という会を作成して、この請願を提出している。

 以上が、この請願審査を「鑑賞」するに当たっての事前情報といったところでしょう。
 審議の最後には減税日本ゴヤに特有のドタバタもありますので、一時間ちょっとの動画ですが、生の委員会請願審査について見ていただければと思います。

 この請願について、松山市議が「そもそも市議会で議論する問題ではないのではないか」と口火を切る「ネットワーク河村市長という民間団体の活動に、議会が制約を加えるような事をするべきではない」という主張で、これは こちら における「ネットワーク河村市長」=「請求代表者」=「減税日本」=「河村事務所」の平野一夫氏の主張と軌を一にしている。

 これに対してうかい市議が、委員として参加している余語市議の存在もあるので、事情を聞きたいと「委員間討議」への移行を求めた。

 この1番目の動画から敢えてポイントを3点押さえるとすると。

 1) 受任者名簿について「名古屋市政改革活動の目的に限定して」と言いつつ国政選挙に利用する事は真っ当な事だろうか。

 2)利用するしないはネットワーク河村市長の判断する事で、減税日本ゴヤとして「可能性がある」としか言えない。とする態度は果たして正しいか。
 この問題については後に追求が入る。

 3)今回請願が出されたが今まで申し出がなかった。(なので「 受任者となった時点で了承していただけたと考えている」という推測が成り立つ?)
 この問題についても後ほど追求が入る。

 2番目の動画を見る前に、短い動画(2分ほど)を見ていただこう。
 7月30日市長会見(第二部)において国政における受任者名簿利用を明言する河村市長である。

 (高潮防潮堤の問題は、名古屋市政の問題かもしれませんが「名古屋市政改革活動」とは完全に異なりますよね)

 この2番目の動画で興味深い事実が摘出されます。松山市議が選挙の際に、公選ハガキの宛て先をネームタグに印刷して減税日本から支給されたと言っているのです。この宛て先の元データは河村市長の支援団体の名簿*1でしょうか、受任者名簿でしょうか、それとも巷間言われるようにリコール署名簿の流用でしょうか。

 共産党の田口市議の質問で興味深い事実が摘出された。
 請願の要望項目の中で「①−1 受任者名簿の管理状況の公表、①−2 説明会の開催」については既に、6月21日の議会理事会で、6月定例会の後に受任者の意見を伺える方法を考える。つまり、説明会を開くような事を余語幹事長が明言されているのですね。

 (この田口さんの「この一ヶ月ほどは忙しくて大変だっただろうけど」という台詞はサイコーですね)

 「減税日本、またはネットワーク河村市長の中で名簿登載者に対応できるよう整備がされているか」という質問に「名簿管理委員会」があると松山市議は答えています。
 そんな物があるとははじめて知りました。(流用、流出問題の時にも表に出てきていませんよね。)

 「削除の問い合わせも来ていない」という台詞は松山市議も(上の市長会見で河村市長も)持ち出していますが、問い合わせ窓口は事実上有りません。例えば、減税日本のホームページにもありませんし、河村サポーターズのブログにも案内は有りません。

 ここからいわゆる「重量級」の市議、渡辺ヨシロー市議、久野市議、伊神市議の連続攻撃で畳み掛けます。特に渡辺ヨシロー市議の「受任者に対する説明会について、記者懇でも理事会でも言ってみえて、未だかつてどうもそれをやられていない。やるべきだ。嘘を言っている事になる。市長さん流かどうか判りませんが当然やるべきだと思う。そういうことについて(会派内で)論議をしたのか?」「理事会や記者懇で言われたら嘘いうのはいけない」「4万5千人の受任者がいらして、一人の人が(異論を言われて)出てきたので一人の人だけ(対応を)やられて、他の人は黙っているから(対応を)しなくてもいいなんていうそんなバカなことは通らない」という言葉はいちいちもっともだ。


 
 伊神市議の議事進行、動議提出から減税日本ゴヤの湯川委員長の仕切りがハチャメチャになります。事柄によっては大変な事になりかねない話です。(例えば、これが東電原発事故対応の場面であったならと想像してみてください)
 このシーンだけ見ても河村市長の言うような「議員は素人がボランティアで十分」という言葉が危ういものである事は明白です。

 また、全体の議論として減税日本ゴヤは大敗北を喫していると思われます。

 なぜ、減税日本ゴヤがこれほど議論が弱いのか。湯川委員長は何を間違えたからこういった危うい目に遭ったか。既に紙幅が尽きましたので、その理由については稿を改めましょう。もう一つの請願「議会報告会についての請願」についても詳細に書いてみます。ここでも減税日本ゴヤは政治的敗北を喫しますが、その理由も同根です。

 孔子はこの問題にどう対処したか、論語に記されています。
 「康子饋藥、拜而受之、曰、丘未達、不敢嘗。」


*1:松山市議の選挙区、守山区と余語市議の選挙区、緑区は河村氏が国会議員として出た愛知一区の範囲ではありません。