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2月22日名古屋市長河村たかし弁明における嘘

追記:
「政治」をプロとして考察したい方は、こちらもご参照ください。

住民投票制度のプレビシット的運用(1)名古屋市の事例から考える : 2011-03|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

当該論文(PDF)がダウンロードされます。
https://aichiu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=3464&item_no=1&attribute_id=22&file_no=3


河村たかし名古屋市長2月22日会見における嘘


河村たかしが大村知事リコール署名簿収集における不正署名問題について、22日の市長定例記者会見の後、補足の会見を開き、その際配布したという資料を公表しているが、嘘が混じっている。*1

文面には次のようにある。

2010市議会リコール時の各種名簿について


署名簿:
 名古屋市内16区合計で約450,000名の名簿。
 署名簿原本をスキャンしPDF化したもの。区ごとにわかれているが、町名・地番は順不同。エクセル等データ入力されたものは存在しない。
 保管されてから一切使用・閲覧されていない。
 2010年当時の管理者からは、ネットワーク河村市長の代表に譲渡したUSB以外の名簿は存在せず、その後の流用・譲渡依頼の接触もなかったとの確認が取れている。


受任者名簿:
 市議会リコール時の受任者名簿は、『名古屋市政改革活動の目的に限定して』との明文のもと、一般的に政治に携わる者が使用している支援者・後援者名簿のように使用されてきた。選挙・行事案内などに使用され、故人・転居者等は随時削除・訂正を行っている。また、別候補の選挙応援などのため、議員が後援会名簿などを使って案内を出すことは一般的に有り、名簿提供も個人情報保護法には抵触しない(市選管事務局に確認)
 名古屋市内16区合計で約34,000名の名簿。
 データ入力されている状態。ソート機能である程度の地番整理は可能。
 地番は飛び飛び・同一世帯者も少ない名簿であり、今回の不正署名簿のように相当数連続する地番、かつ相当数同一世帯者が並ぶ名簿(請求代表者の二人が市内選管にて実際に確認)にはなっていない。


不正署名簿について


 河村たかしが段ボール40箱分の不正署名簿を確認した事実はない。
 40箱という表現は、360,000名を超える不正署名簿の分量を枚数換算した場合、その程度の段ボール分になる、との請求代表者の一人がFacebookに投稿した推計によるものである。


この文書中「(署名簿は) 保管されてから一切使用・閲覧されていない」とされているが、明らかな嘘で2011年(平成23年)に流出事件を起こしている。

「リコール署名簿流出について」 H24.3.28 リコール署名簿流出調査委員会(実体は、単なる河村事務所)

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「使用・閲覧」はされていないが「流出」させているのであれば、それを記載していない報告書など虚偽報告と断じて問題ないだろう。典型的な「ご飯論法」だ。

更に「2010年当時の管理者からは(略)その後の流用・譲渡依頼の接触もなかった」という表現があるが、この筆者が自ら「嘘」を言っていることを認識しているように思えてならない。なぜなら、上のセンテンスでは「保管されてから」については「使用・閲覧」という表現を使っているのに比べて「その後」に対しては「流用・譲渡依頼の接触」という表現を使っている。上の流出事件は「その後」の前なので「その後」については「流用(流出)」がないと主張したいのだろう。

これは詭弁である。こうした詭弁を弄するものの発言を聞くときにはよほど注意深く聞くか、いっそ弁明させないことだ。付き合うだけ人生の時間の無駄である。つまり、名古屋市河村たかしは、名古屋市長として名古屋市民にこうした詭弁を弄して自己の無謬性を誤認させようとしているのであり、有権者に対して誠意ある態度と言えない。

また、悲しいことは、ここまで浅知恵を絞って詭弁を組み立てているにも関わらず、まだ明白に嘘があり、底が割れている。

この文書では、「その前」の流出事件以来、「流用(流出)」がないと言っているようだが、「平成25年(2013年)8月20日に、当時の減税日本ゴヤの幹事長であった中村孝道議員が、事務所に保管していた署名簿の写し及び受任者連絡用はがきを元スタッフ2名により窃取されたとして愛知県南警察署に告訴状を提出」している。(名古屋市会 平成25年12月6日)

会議録表示

明らかな虚偽である。名古屋市河村たかしは、名古屋市民、国民に対して嘘をつかず、詭弁を弄する事なく、誠実に事実をありのまま述べるべきであり、それができないのであれば公職者として身を引くべきである。


次に「受任者名簿/受任者の個人情報の取扱」については、そもそも市議会リコールにおける受任者募集時の実態を見る必要がある。

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これが、当時の「受任者募集ハガキ」であり、ここに

ご登録された個人情報は上記団体以外の第三者に開示提供せず、名古屋市政改革活動の目的に限定して、厳重かつ細心の注意をもって管理いたします。


とされている。


上記22日弁明書には「名古屋市政改革活動の目的に限定して」の部分だけが切り取られているが、その前段には「上記団体以外の第三者に開示提供せず」とされているのであり、今回、この受任者個人情報(約34,000名の名簿)を署名偽造行為を行ったとされる知事リコール事務局に提供したとすれば、この利用条件に反して「第三者に開示提供」したことになるか、「ネットワーク河村市長」は「知事リコール事務局」と一体不可分であったということであり、この受任者情報の提供をもってしても、河村市長の署名偽造事件に対する説明責任、また、今後署名偽造について、事務局の関与が立証され、警察(または、検察から)訴追されることになれば、河村市長の責任は明白であろう。

また、知事リコール事務局における受任者情報はすでに様々に流出しており、このネットワーク河村市長の受任者約34,000名に対する知事リコール受任者への参加呼びかけに対しては、約300名程度の参加があっただけである。つまり、参加率は0.8%であり、大部分は拒絶している。これを見ても登録された受任者の意図とは反する個人情報の利用と断じられるだろう。


(参考:
いわゆる「個人情報クラスタ」の皆さんは、次の私のブログに掲載された玉置市議と平野一夫の対論を読まれれば頭から湯気が出るだろう。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

会議録表示 )


また、個人情報保護は政治団体に対しては適用除外されているが、「ネットワーク河村市長」は現在、政治団体として登録されていないようだ。

ちなみに、名古屋市会は議会リコール受任者名簿に記載されている、一部受任者からの請願を受け、平成25年12月6日に「名古屋市議会の解散請求に係る署名簿及び受任者名簿の目的外使用に関する決議」を採択している。

名古屋市議会の解散請求に係る署名簿及び受任者名簿の目的外使用に関する決議


 減税日本ゴヤは、平成24年5月7日の議会運営委員会理事会において、平成22年8月から9月にかけて行われた名古屋市議会解散請求に係る署名収集のための受任者名簿を選挙等で使用する可能性があることを示唆した。
 これは、受任者名簿の目的外使用であり、大変遺憾である。
 よって、名古屋市会は、名古屋市議会の解散請求に係る署名簿及び受任者名簿を選挙活動に使用しないことを確認するものである。
 以上、決議する。

 
平成25年12月6日


名古屋市


この採択には減税日本ゴヤも賛成している。

この決議に伴う様々な騒ぎは以下を参照されたい。

名古屋市:市会だより第141号 平成25年11月定例会で可決した「名古屋市議会の解散請求に係る署名簿及び受任者名簿の目的外使用に関する決議」の撤回を求める請願を本会議で不採択(市会情報)


名古屋市会として当該受任者名簿の目的外使用は「大変遺憾」であると(減税日本ゴヤも含めて)決議しているのであり、今回の受任者名簿提供と矛盾するのではないか。

ここにも嘘がある。


次に、実際にこの受任者名簿によって送られた、知事リコール署名簿収集のための受任者募集の案内に同封されたいう文書を参照する。

愛知県知事解職請求(リコール)署名 受任者のお願い


 河村たかし名古屋市長・減税日本の政治活動にご支援賜り誠にありがとうございます。本日は、以前のリコール運動で受任者になって頂いた皆様に、大村秀章愛知県知事リコール署名活動受任者としてお力を賜りたく、葉書を郵送させていただきました。以下、『リコールへの経緯』を通読しご賛同いただける方は、是非同封の葉書に必要事項ご記入の上お送り頂くか、または下欄ご記入の上FAXご返信をお願い致します。後日、リコールの会事務局より登録先ご住所に署名簿を郵送させて頂きます。署名は、ご本人様・ご家族様の分だけでも構いません。一筆でも多くの署名を集める為、ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。
※行き違いで既に受任者として活動頂いている方に重複で届いておりましたらご容赦ください。


リコールの経緯


 この度のリコールは、昨年の『あいちトリエンナーレ2019表現の不自由展』において、①昭和天皇写真をバーナーで燃やし、足で踏みにじる動画作品、②慰安婦像、③日本兵士を間抜けな日本人の墓という作品を、名古屋市愛知県主催の公共事業として税金を使い、愛知県芸術文化センター(公立施設)で、大村秀章愛知県知事(実行委員会会長)が独断独裁で展示許可した事実に端を発します。昭和天皇侮辱動画は、名古屋市への展示内容説明文とは違う作品説明(虚偽)であり、事実を知った河村たかし名古屋市長(実行委員会会長代行)が展示中止・再開取りやめ等、実行委員会での話し合いを4度に渡って大村知事に求めましたが、一切協議は開かれず大村知事は独断で展示を再開しました。名古屋市としては、皆様の血税である公金を支出する事はできないと判断して、名古屋市負担分残金3380万円不払い決定を通知致しました。すると大村知事は、日本・世界が一丸となってコロナ感染対策に苦心している真っ最中に、名古屋市を負担金不払いとして訴えてきました。これも大村知事の独断独裁による行動であり、このような愛知県知事を認めることはできません。
 政府、自治体、名古屋市、愛知県主催の場合では裏書き効果が生じます。名古屋市愛知県がその内容を正しいものと保証する効果が生じ、あたかも皆様方ご自身が支持しているような効果が生じ、社会に与える影響は膨大となり、民間主催・私費で個人的に表現主張された場合とは全く異なります。河村市長は個人の表現について、それに抗議したことはただの一度もございません。公共主催の公共事業、皆様の血税を使ってのこのような反日プロパガンダといわれるような政治的に著しく偏った展示を大村知事の独断独裁でするのは許されないと、名古屋市の公務として主張しているのです。


※HPでも詳しい説明・動画等ご覧頂けます。『愛知100万人リコールの会』

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愛知県知事解職請求(リコール)署名 受任者のお願い

特に後半の「リコールの経緯」における事実誤認、というよりも、明白な「プロパガンダであり、政治的に著しく偏っている」主張については、敢えて論評しない。愛知県の検証委員会や、名古屋市の検証委員会の議事録等を引いて、詳細に批判することも可能だろうが、それよりも今般の知事リコール署名活動において、愛知県民有権者660万人の内、訴えに応えた署名実数はわずか8万筆弱であり、わずか1.2%の同意しか得られなかったのであって、それだけを見ても如何にこの主張が歪んでいるかが判る。

問題なのは文末にある「名古屋市の公務として主張している」との記載である。

これは、この書面を受取る名古屋市民に対して、名古屋市長として「名古屋市の公務として」の呼びかけを行っていると解することができる。

一部報道によると、佐賀において行われた署名偽造作業について「行政の仕事」であるような説明がなされていたようであるが、確かに「市長の要請」によって為された作業であるのなら、「行政の仕事」であるのかもしれない。つまり、名古屋市は市の公務として署名簿の偽造という法に反する行為を行ったのか?

およそ想像を超えた破廉恥な事態という以外無い。*2

名古屋市会において、名古屋市会議員の皆さんは上記のように。

1.2月22日の市長弁明書における虚偽
  1-1.2011年(平成23年)に発生した流出事件を隠蔽していること
  1-2.2013年(平成25年)に発生した
      減税日本ゴヤ幹事長・中村孝道議員における窃取告発を隠蔽していること

2.議会リコール受任者に対して個人情報を「第三者に開示提供せず」としているのであれば、ネットワーク河村市長は知事リコール事務局と一体不可分なのか

3.または、議会リコール受任者に対する説明を翻して、第三者に無断で流用したのか

4.「ネットワーク河村市長」が政治団体として登録されていないのであれば、任意団体として個人情報保護法に従う必要があるのではないのか

5.名古屋市会の平成25年12月6日「名古屋市議会の解散請求に係る署名簿及び受任者名簿の目的外使用に関する決議」を無視し受任者名簿の提供を行ったのか

6.議会リコール受任者に対する要請は「名古屋市の公務」として行ったものか

などの疑問点について、名古屋市河村たかしに対し名古屋市民に代わって追求していただく責務があると考える。

また、マスコミは有権者の目や耳として、これらの議論を伝える義務があるだろうし、名古屋市民は自ら選んだ市長の弁明を注視すべきだ。

私の主観から言えば、市民に虚偽を述べる者は公職者の資格はなく、この期に及んでもまだ、上記のように虚偽によって自らの無謬性を言い立てるのであれば、即座に市長の座から身を引くべきだろう。

「恥」という言葉を知るべきである。


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*1:それにしてもその後、24日の選挙管理委員会に対する愛知県警の「ガサ入れ」を受けた会見などでは「名古屋弁」を忘れて標準語で話すなど、明らかに慌てふためいていたのには笑った。平野氏も報道を見て慌てて市長室に飛び込んでいったそうだし。よほど県警の動きは効いたようだ

*2:ある方は、「頭が逝っちゃった尊師に率いられた名古屋市オウム真理教になっちゃった」と論評していた