市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

広報なごや「市会だより」第125号より

広報なごや「市会だより」第125号が発行されました。
今日は、これを読んだ感想を述べさせていただきます。

広報なごや「市会だより」第125号(平成23年5月)PDF

最初から「苦言」で申し訳ないのですが。
東日本大震災東北地方太平洋沖地震)被害者及び、
被災者の方々へ向けたお見舞いの言葉があるのですが、
これについて違和感を感じました。

「このたびの東日本大震災東北地方太平洋沖地震)により、多くの尊い人命が失われ、
我が国に想像を絶する被害がもたらされたことは、まことに痛恨の極みです。」

「我が国」でなければ良かったかのようにも取られかねない文言であるように思います。

この制限は必要ありませんでしたよね。
如何でしょうか。

(この辺りに実は、
30行ばかりあれこれ書きましたが、
読み直して消しました)


同ページの下は、
河村市長の掲げる市民税減税が実施された
22年度の財政状況に付いて説明がされています。

ここで重要なのは。

行財政改革を進めてもなお生じる収支不足に対応するため、
臨時財政対策債を発行するほか、
財政調整基金の取崩しなどにより財源確保を図りました。」


減税を組み込んだ予算を成立させるために、

1.臨時財政対策債を発行
2.財政調整基金の取崩し


を行ったわけです。

減税の財源に、借金はしないと市長は仰った。
明確にしているじゃないですか。

市債残高が、339億円増えている。

「市債は借金じゃない」と最近言われていますが、
どんな理屈を並べても、
名古屋市にとっては市債は借金です。

さ、公約破ったんだから、
名古屋港で泳いでちょう。

(浮かべる、とか言うと、
恐ろしいこと想起しますので、
せめて、泳ぐぐらいしてもらいたい)


更に、「財政調整基金の取崩し」という問題もあります。
この「財政調整基金」というのは、
それこそ、予想される東海地震などの災害に対するために、
今までこつこつ積上げてきたお金なんです。

100億程度は基金として持っておかなければ、
今回、東北を襲ったような危機が、
名古屋、220万人の眼前に現れたときに、
市民の安全を守れないと、
ためてきたお金です。

これを、まあ、使う使う。
先のわけのわからない
(と言うよりも、
明白にトリプル選挙にしたかったために起こした)
市長選挙に、2,200万円。

そして、その結果としての
リコールを受けての市議選に約5億。

そして、取り崩しで36億。

いざ、と言うときのためにお金を供えておくのは、
そのお金の存在自体が安心を与える、
「市民サービス」です。
その基金を減税のために取り崩したのですから、

さ、公約破ったんだから、
名古屋港で泳いでちょう。


右下に興味深い資料の案内があります。
広報は紙で配布されますが、
こうやって、インターネットで見ると、
こういった参考資料にも触れられて便利です。

「市民税 10%減税の導入に伴う経済的影響等について 試算結果」(PDF)
平成21年12月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000012/12673/houkokusho.pdf


フローやら数式、
更に細かい数字に係数を並べた39ページにわたる報告です。
(これを作ってもらうにも、
お金がいる訳ですし、
更に、読込んで評価するのにもお金がいるんです。
というか、河村市長はちゃんと目を通しているのかね?)

こういった資料には、概要を最初につけるようになっていて、
この資料では6ページ目がもっとも重要となっています。
(というか、結論)

様々なシミュレーション結果が並べられていますけど、
「2009年から2019年までの10年間、
毎年市民税減税を10%し続けたとしても、

人口の流入は2万人程度であり、
個人市民税は104億〜138億減収したまま。
(つまり、民間セクターの消費拡大、
産業振興だけでは減税幅の穴埋めはできない)」

と、言っているわけです。

また、実は24ページにこのような記述があります。

「(政府支出の削減が経済成長を抑制する可能性)
政府投資の削減によって名古屋市ないしその周辺の企業活動が影響
を受ける場合には、それによって経済成長は長期にわたり抑制される。
この場合には、現実の経済の成長率はシミュレーション結果よりも小さくなる。」


つまり、市民税減税10%を行政改革で行うのは結構なことなのですが、
それによって各事業も縮小を余儀なくされます。

このシミュレーションには、
それは盛り込まれていないので、
事業削減が地域産業の足を引っ張れば、
減税によって経済にマイナスの効果を及ぼしますよ。
と言っているのです。

まあ、この件については
まだ明確な数字が出ている訳じゃないので、
名古屋港で泳いでいただく必要はないのでしょうが、
そんなに簡単に産業振興なんぞできやしないって事でしょう。
(簡単なら、皆やります)

さあ、広報に戻りましょう。
2ページ目には新しく市議になった人々の顔写真が載っています。
(あ、この写真は著作権が無いんだよな。
時間があれば、
減税日本ゴヤ」(これが市会における正式名称なのね)
の一覧表を補完しようかな)


3ページ目の表は
この3月定例会で提出された議案に対する、
各市議の賛否です。

提出議案も、たくさんありますよね。
右側にずらりと並んでいますけど、
最後が「(94)」となっています。
この議案の数に付いては後にも述べます。

興味深いのは、
左側の表。
各市議の賛否結果なんですが、
(45)名古屋市児童福祉施設条例の一部改正に付いて
(58)指定管理者の指定に付いて
(65)財産の処分について

の3議案に減税日本の玉置市議と山田市議が反対を表明しています。

山田市議の(45)への反対表明については、
彼女のブログでも触れられていますが、
その他の議案についての意見も聞いてみたいものですね。

そして、ブログ更新が止まっている玉置市議には、
私との「地域委員会論議」よりも、
この反対表明に付いての説明を、
先にブログにあげていただきたいなと思います。

さて、次の4ページ目。
「議員報酬について考える」として、
今回の定例会で最も興味をひいた、
議員報酬の800万円について、
説明がなされています。

ここで、
自治体の財政規模と議員数」として、
名古屋市豊田市、更に大治町の比較があります。

ここでは、財政規模と議員数を割って、
一人当たりの財政的なチェック規模を算出しています。

確かに、一人当たりにかかる財政規模というのは、
責任の重さに匹敵しますので、
そこそこ根拠の無い比較ではないと思います。

しかし、これを見てみてください。

「豊田市 平成23年3月定例会上程議案」

「おおはる議会だより」(PDF)
最終ページに3月定例会における議案一覧があります。

名古屋市の3月定例会は3月24日に始まり、
4月27日に終了しました。
本会議・議事日程

この間、本会議は9日間開かれたのですが、
(というと、一ヶ月にたった、9日!
市会議員は気楽な商売だな)
と思われるかも知れませんが、
各本会議に上程されている議案数を並べてみましょう。

(1)3月24日 -議案数=1件
(2)3月25日 -議案数=98件
(3)3月28日 -議案数=49件
(4)3月30日 -議案数=57件
(5)4月12日 -議案数=45件
(6)4月13日 -議案数=45件
(7)4月14日 -議案数=45件
(8)4月15日 -議案数=50件
(9)4月27日 -議案数=83件

中には、先送りされて、
内容が同じものもありますが、
延べで総合計 473件

先ほど、広報の3ページ目に「(94)」と有ったように、
「市長提案≒市当局の提案」だけでも94あるのです。

また、各議案は、
専門委員会の審議を経ます。
(その日程が入るために、
本会議はこうやって飛び飛びになるわけです)

そして、これは特に今例会に限ったことではないのです。
だいたい、この程度の議案数は今までも普通に処理されてきていると思います。

そして、ちゃんと広報なごや「市会だより」には、
掲載されていました。

如何でしょうか?
市会議員は働いていない、
800万円程度の報酬で充分なのでしょうか?

私にはそう思えません。

何より、
リコール運動のときに聞いた「市会議員なんて何もやっていない」
という言葉は、

こういった資料を読むのが面倒なので、
「市会議員が何をやっているか知らない」

という台詞でしかなかったように思えます。

こういった事にちゃんと目を向けて、
ちゃんと事実に則した議論をしない。

だだくさな、
「市会議員なんて何もやっていない」という意見を持つ市民には、
やはり、
だだくさもたいがいにしてもらわなければならない人々が代表として選ばれるのでしょう。