市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

河村市長の任期折り返しを受けて(2)

本日も2011年4月27日付け中日新聞に記載された「任期折り返し、河村市長に
聞く」とのインタビュー記事を受けて思ったことを書いてみたいと思います。

原文はこちらに→ (取扱いに付いては27日付けの記載をご参照ください)

本日は特に、私が今の河村市長に対して最も不信感を持っている、
「市債は借金ではない」との氏の主張に付いて書きたいと思っていますが、
その前に、この記事にある一言に付いて触れておきたい。

河村市長は、
「委員会の討議で既成政党が、
新人の減税議員を容赦なく追い詰めたのはちょっと残酷だった。
質問内容を事前に通告し、
議会事務局が答弁案を作成するような運営に変えるべきでは」


と発言しています。
減税日本の議員がどの程度「追い詰められて」いたのかは、
是非こちらでもご参照ください。

名古屋市会、総務環境委員会において、
議員報酬半減(800万円)について、
提案者として減税日本の則竹団長が提案理由について、
ご説明されています。

確かに、しどろもどろだと、私は思います。

[ 名古屋市会 インターネット録画 ] 総務環境委員会(4月20日(水))

今までは、このような委員会討議では、
委員(市会議員)と当局(市役所の職員/お役人)とがやり取りをするのが通例で、
委員間討議(つまり、市会議員同士の議論)はあまり見受けられませんでした。

これは、あくまで、
市会議員は市民の代表として市の行政運営をチェック監督するべきで、
その貴重な時間を議員間の討議に費やすのは、
市当局のチェック監督の機会を失う。
という前提でなされていたことで、
別に、与野党の間の市会議員が馴れ合いをしていたという事ではありません。
(実際に、今、議会に提案されている議案も、そのほとんどが市長提案、
つまり、市当局が作成した議案ですので、その議案に対しては
提出者(市当局/お役人)と市会議員間で討議されています。
(その様子は、他の委員会を見るとよく判ります)

この「総務環境委員会」が今回特に特殊で、
それなりに見応えがあって、あからさまに言って「おもしろい」のは、
提案者が減税日本という市会議員団で、
それに対して他の会派の市会議員が質問、討議を行うという、
ちょっとした対立構図があるからです。
八百長があったと言われる、相撲よりも面白いかも)

さて、そんなせっかくの「議員間討議」という機会に、
河村市長はなんと言ったか。

「質問内容を事前に通告し、
議会事務局が答弁案を作成するような運営に変えるべきでは」


( ゚Д゚)ハァ?

ちょっと判りやすく言い換えてみますね。

自民、民主、公明、共産などの野党各党は、
その質問内容を事前に通告し、
つまり、予め減税日本の委員に知らせて、
議会事務局が、
つまりは、お役人が。
答弁案を作成するような運営に変えるべきでは。
と仰っている。

予め質問通告するのは、
確かに国会の代表質問等にもありますけれども、
ほとんど八百長、または「セレモニー」との批判がなされているではないですか。
というか、そういうことを衆議院議員時代に批判してきたのあなた、河村市長でしょうに。

更に、その答えを「議会事務局」が作れ?これじゃ完全に八百長だ。
減税日本は、事前通告された質問に対する答えすら作成できないの?

それも、自分たちが出したたった3つの公約のうちの一つ(議員報酬半額)を
議案化した提案ですよ。なぜ、ここまでしどろもどろになるの。

(と、本題に入る前に非常にヒートしてしまいまして、
本題が片付くかちょっと不安になって来ましたが、続けましょう)


さて、いよいよ河村市長ご自身が、特に最近繰り返される。
「市債は借金ではない!」との発言を検証していきます。

あまり、この名古屋の事情に詳しくなく、
逆に経済に詳しい方は、「そんな馬鹿な事を言っているの?」(1)と思われるか、
「あ、例の話ね」(2)と思われるかどちらかだと思います。

まず、(1)の常識的な方に、確かに河村市長が「市債は借金ではない!」と
公の場で述べられている証拠をお示ししましょう。

平成22年11月定例会 11月30日−29号

ちょっと長いですが、変に編集して偏向と言われるのも嫌ですから発言をそのまま引用します。
(引用部を主文と差別化するためにイタリックに統一しようかと思いましたが、
あまりにも長く読みづらいのでフォントも若干大きくして揃えました)

「まず、減税をしながら臨財債がふえてどうだという話ですけど、
この話はずっと何遍も繰り返して議論をしてまいりましたが、

借金だというふうに、
ギリシャ国債と一緒にしてしまって、
こういうのはやっぱり間違いなんですよね。

残念ながら、本当に銀行で借りる人がいないんですわ、
今、日本の社会で。

その場合は貯蓄投資バランスに従って政府が使うと、その金を。
それが国債であり、地方債であるので、

現実に名古屋の市債の利息を払って大変だ、大変だと言いますけど、
その利息をもらっておる人はほとんど実は日本の銀行なので、

その銀行はだれに利息を払っておるかといったら、
実は預金者である国民に払っておるわけですね。

ですから、その構造が違いますので、
ここはよほど気をつけてやらないと、

僕も、日本の経済がこれだけいかぬようになったのには、
これを
形式的に名古屋の市債は借金だ、借金だと言って、
どんどん市が独自にお金を使えなくなっていくと。

そのお金はどこへ行ったかといったら、
実は全部
国債に回るわけなんですわ。

銀行に余っちゃっているから。
どんどん
東京一極集中が進んでいってしまうと。

これのデススパイラルは、これは皆さんのせいじゃないですよ、
国が考え方を間違えておりますので、

ここのところを変更しない限り、
本当に庶民の生活は苦しくなるし、

それから、東京と地方の格差は進んでいくということでございますので、
単に数字だけで見るのは間違いだし、

やっぱりこんなときに、
税収が減ったときに起債を減らしてしまったら、
即死になっちゃいますよね、名古屋の経済は。


そこら辺のところはぜひお考えをいただかないといかぬと思っています。

 ということでございまして、あと、この辺は余り言わんでもいいか。
僕の意見では信用ならぬと言うなら、リチャード・クーさんの本をぜひ読んでいただきたい、
そんなふうに思います。」



と、ここでリチャード・クー氏の名前が出てきた時点で(2)と分析した「あ、例の話ね」
と理解された方も居る事でしょう。

河村市長は、リチャード・クー氏の「バランスシート不況理論」を引いて、
市中の資金流動が滞ったら、政府が国債を発行し景気を下支えするしかない。
と、言いたいのでしょう。

あ、でもその前に本日、こんなニュースも飛び込んできていたのでお知らせを。

「ギリシャ国債金利「サラ金」状態」

ついに、ギリシャ国債2年物の金利が25%になったという事です。


さて、ではまず市債が借金か、借金でないかから見ていきましょう。
これは、実は今年(23年4月)の市本会議で副市長が「借金です」と明言しています。

また、リチャード・クー氏も「よい赤字」というような表現は使っていますが、
国債が借金ではないなどと言った事は一度もありません。(でしょう)
そもそも、その議論の対象は国債です。

地方債には「財政再生団体」という枠がはめられていて、
リチャード・クー氏のいうような積極的な財政投資はそもそもできません。

(財政再生団体として、名古屋市自治権を失うには、
例えば実質公債比率で35%以上に落ちた場合が考えられますが、
名古屋市の今の値は20.9%です。(04〜06年平均値)
順調に増えています。

また、河村市長は利息を国民に払っている。
と仰っています。(これ、市債が借金であることを認めている傍証だと思いますけど)

市債がゼロで、それに対する金利がなければ、
その分は市民サービスに回ります。(減税に回るかもしれません)

しかし、市債という厳とした借金があるために、
その金利を払い続けなければならないわけで、

その金利が、銀行、そして、銀行に預金がある方。と流れるのだとしたら、
前回行われた「一律市民税減税10%は、金持ち優遇である」という批判と同様、
河村市長は、一般市民から富裕層への所得移転。
(ぶっちゃけて言えば「金持ち優遇」)
がお好みらしい。

どうにも、長くなりすぎて私の論旨も散逸してまいりました。
長い文章にお付き合いいただきありがとうございます。

あと、2点だけお話したい。

1.たぶん、河村市長は、昔からの持論である。納税者が税の使途に付いて選択できるような制度。
米国などでは、一定の要件を満たしたNPOなどに寄付をすると、
その分は所得税から控除される。
つまり、納税者が自身で、所得税の配分先を決定できる。

というような制度を実現したいのでしょう。

しかし、今の市債に対する立論は無茶苦茶ですし、
減税も無茶苦茶です。理想は高いのはわかるのですが、
その為の制度設計がなっちゃいません。(その理由/背景も、実は大問題なんでしょう)

2.そもそも「減税自治体」という構想は
河村市長が言うように名古屋発祥ではない。
それどころか、「無税」を目指している自治体があった。

山田宏杉並区長(1999年-2010年)に率いられた、東京都杉並区である。
(実は、政治的ポジションは私は山田氏、大嫌い。河村市長とは意外な接点があるんですね)(謎)

杉並区「減税自治体構想

※市職員の方(市庁の中の方)には申し訳ないが、(謎)
なぜ、名古屋市民はこの事実をあまりにも知らないか。

実は、私は不思議でならないんですよ。ねえ、中日新聞さん。

すいません、今日のところは、この辺りで終了いたします。ガラガラガラ。