市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

令和元年12月5日午後3時、名古屋地方裁判所1102法廷の風景

名古屋城住民訴訟(正確には、平成30年(行ウ)第124号 名古屋城天守閣整備事業における基本設計代金の支払いに対する返還請求、及び同事業の差止請求事件。またの名を「河村城要らない訴訟」)の第5回公判が行われました。

・会のHP
peraichi.com

かねてから情報公開された基本設計図書について、「全証拠を提出しろ!」という意見もあり。また、後述するような事情*1で、「竹中提案書も証拠提出しろ!」という意見もあり、また、被告名古屋市側が「保存活用計画」について言及してきたことを受けて、それへの反論のために「保存活用計画」の全ページと、問題となった保存活用計画に対するパブリックコメント(たった一ヶ月あまりで非開示となり、情報隠蔽が指摘された)も証拠提出したために、甲号証だけで3000ページに迫る勢いです。

ちょうど、アスクルのA4コピー用紙の箱があふれるぐらいの量となっています。
(これを裁判所向け、被告向け、原告控えと3部用意するのですから「裁判とは肉体労働だ」ってなもんです)

・24号証
https://drive.google.com/open?id=1eRXwl_GXCR8_kgghHtvPwgmCuQFURDvB

甲第24号証-0  名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 行政文書一部公開決定通知書(PDF)
甲第24号証-1 名古屋城天守閣基本設計業務 基本設計説明書(PDF)
甲第24号証-2 B:石垣現状調査等(PDF)
甲第24号証-3 名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務 石垣測量(PDF)
甲第24号証-4  名古屋城天守閣整備事業基本設計業務 調査業務(PDF)
甲第24号証-5 積算(PDF)
甲第24号証-6 名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務 地盤調査報告書(PDF)
甲第24号証-7 名古屋城天守閣整備事業基本設計業務 施工技術検討業務 関係法令等行政手続き(PDF)
甲第24号証-8 名古屋城天守閣整備事業基本設計業務その他業務 関係法令等行政手続き 天守閣部会 議事録 (1)(PDF)

・竹中提案書
https://drive.google.com/open?id=14xywXKq0I6BeZnTFAN2g-Oi7dRXvyQ6z

甲第25号証 名古屋城天守閣整備事業 技術提案書 竹中工務店(PDF)

・2万人アンケート報告書
https://drive.google.com/open?id=1cLlwxoE216IKWcqRg2D-PHRhCNwuSPhX

甲第27号証 名古屋城天守閣整備検討「名古屋城天守閣の整備 2万人アンケート」報告書(PDF)

・保存活用計画、乙号証、甲号証
https://drive.google.com/open?id=1IvWN62knQo3ZcEPUXcCdv6WNg6THAIlY
https://drive.google.com/open?id=1vCJw7dRngzNbO5HgT-NYrTnW1yr4O5QW

乙第19号証 特別史跡名古屋城跡保存活用計画(抜粋)(PDF)
甲第26号証 特別史跡名古屋城跡保存活用計画(全文)(PDF)

・保存活用計画、パブリックコメント
https://drive.google.com/open?id=11VaqgH1oA0gQe-UuuhQQbSWVjSUzIbTh

甲第30号証 特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)に対する市民意見の内容及び市の考え方 平成30年5月(PDF)

これで名古屋城天守木造化計画について、業者の募集(要求水準書)から、基本設計に係る文書、2万人アンケートや保存活用計画まで、殆どの文章が公判に示されたことになります。

名古屋市オンブズマンが、並行して情報公開を論点として裁判を起こしており、そちらは主に文化庁とのやり取りに係る文書の情報公開であるようなので、それとセットで捉えると、名古屋城天守木造化事業の異常さが浮き彫りになるのではと思えます。

名古屋市オンブズマンお城関係ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

テレビなどの裁判シーンでは、原告、被告の代理人(弁護士)が丁々発止の議論を展開しますが、一般的な日本の裁判では、こうした議論は「文書」で行われます。双方が互いに文書によって主張を展開するので、ああいったドラマに出てくるような議論のシーンは見られませんし、公判と言っても、たいていお互いの文書のやり取りが正常に行われたかの確認と、次回期日、スケジュールの調整だけ話し合われるので、傍聴していても面白くありません。

しかし、今回は少々違っていました。

まず、そこそこ私たちの「準備書面(2)」(主張)が、名古屋市に対して危機感を呼び起こしたようで、それまで3人程度の職員が傍聴していたに過ぎませんでしたが、今回はそれが7人に増えました。

現在、国会において、いわゆる「桜の会」問題から波及した「ジャパンライフ消費者庁」問題の追求がなされており、ここで原口一博代議士が、「職員に対して、被告であるかのような追求はしない、職員も職務として行ったことであって、被害者なんだ」というような主張を繰り返していますが、私も同様に思います。

名古屋城天守木造化を進めている観光文化交流局の職員も、名古屋城総合事務所の職員も、本気で天守を木造化したいとは思っていないでしょうし、ましてや違法行為を行ってまでこの事業を進めたいとも思っていないでしょう。

インパール作戦戦艦大和の査定、沖縄戦、そして何より真珠湾攻撃

後から考えてみれば無謀でバカな作戦。しかし、組織や集団という「たこ壺」の中にいると、その異常性に気が付かない。その時大切なのは、深い知性と、自分自身をも否定できる勇気、決断力です。

軽佻浮薄に時流に流される、付和雷同に乗って、自分自身正しいのか間違っているのか判らないような流れに巻き込まれる。そうではなく、しっかりとした根拠と信念を持って、左右どちらへ舵を取るのか。その竿先が川底を捉えるのか否か。それこそ職業人として、プロとして、自身のレーゾンデートルを捉えているか否かの問題となる。全体の奉仕者として、公務に就くのであるなら、その川底は首長ではない。市民である。
それも、今、生きている市民だけではない、今のこの街を作った先人たちであり、自分たちがこの街を残す子どもたちや、まだ生まれていない市民たちだ。そうした人々のために、全体の奉仕者は居るのである。「たこ壺」の中で視野狭窄してはならない。

今回の第5回公判で、私は余分なことも書いた。どうせと思って好き放題書いた。2万人アンケート、保存活用計画、そしてそのパブリックコメント隠蔽問題。すべて書いてやった。これ以上名古屋市側が余分な事を書くのであれば、なんなら議会リコールやら減税政策、地域委員会にも言及したって良い。つまりこれらは現在の名古屋市の信憑性への否定であり、河村たかしの嘘に発した、名古屋市そのものへの懐疑を顕すからだ。

何を論点として持ち出してきても、最後にはその事柄に対する矛盾点を明示してやる。その矛盾点の明示は被告としての名古屋市の発言、釈明への最大の攻撃となるだろう。

名古屋市が自身で「検査」を行っていないことを告白し、監督だけでよいと誤認していた。監督だけで完了の確認として、支出命令を行っているとしたら、明白な規則違反、違法行為である。

今回の裁判で注目したいこと。

名古屋市職員が7人も詰めかけたこと(すでに述べた)
・またまた1時間に及ぶ公判となったこと
代理人弁護士が、傍聴席に居る名古屋市職員の意見を3度も確認するという行為に出た
・裁判長が、陪席判事とともに一旦休廷し、合議に入った(約10分程度)
・最後に裁判長より、次回公判に向けて名古屋市代理人弁護士へ質問事項が告げられた

これについて、正確には文書が提示されるそうですが、私がメモをした内容では。

1.名古屋市文化庁に申請書を出したというのであれば、その立証をしてください
2.3月28日の市の職員の発言にある「未完成の基本計画書」と納品物の「基本計画書」の相違を立証してください
3.基本計画書が基本設計説明書の一部として納品された理由を明示してください
4.要求水準書の1,2章と3章が異なるとされる立証をしてください

(追記:「名古屋地方裁判所から12月16日、被告宛に提示された質問。」として下記)

つまり、すでに「スケジュール感」なんて概念はどうでもよくって、「基本計画書」は名古屋市も納品物として必要と認めてしまったのだから(だから、基本設計説明書の中にあるなんてわけのわからない説明をしてしまった)この「基本計画書」が存在していなければ、基本設計は欠品があり、その欠品を「検査」しなかったために見逃してしまった。

ということになるのではないのですかね?



北区にある「北生涯学習センター」で「名古屋城有形文化財登録を求める会」の月例勉強会を開きます。

   12月11日(水)18:30~20:30 第3集会室

※どなたでもご参加いただけます、参加費無料。

ここに書けなかった事も話します。



良記事

headlines.yahoo.co.jp



追記:

名古屋地方裁判所から12月16日、被告宛に提示された質問。

(1) 「各階各室面積表」の提出の有無に関し,乙20は,各階の面積が記載されていることはうかがわれるが,各室の面積が記載されていることに関する説明。

(2) 文化庁長官に対する文化財保護法125条1項に基づく現状変更許可の申請の申請 書類が竹中工務店から納品されていることの立証を,基本計画書の提出立証と同じようにしてもらいたい。
具体的には,甲10の番号15,.35,34の中身が,申請書類であることがわかるように部分開示をしながら主張して欲しい。

(3) 平成30年3月28日の,事務局において基本計画は策定中であり,同年7月に完 成する趣旨の発言(甲21【10頁)。以下「蜂谷発言」という。)における「基本計画」(被告において文化庁基本計画書と定義されたもの)が,委託仕様書(甲6) における「基本計画」と異なること(答弁書10頁)に関する主張立証。

(4) 委託概要書(甲5)において,成果物として提出されるべきものとして,基本設計説明書と基本計画書が分けて記載されている(前者は5項(1)),後者は5項(1)ク)) ところ、納品に当たっては前者に一本化されている。その理由について。

(5) 要求水準書(甲1)の第1及び2章が義務でなく,第3章は義務であることに関し,原告の反論に対する再反論。

(6) 基本計画書に関する原告の主張は,次のとおりであるところ,これに対する反論

ア 本件基本設計契約において,竹中工務店は,基本計画書を提出することとされているが,提出されていない。 このことは,蜂谷発言があり,同時点において基本計画が策定されていない以上,同月30日に基本計画書が完成しているはずがないことから明らかである。

被告は,「基本設計説明書」(甲17)として提出されている旨主張するが, 委託概要書(甲5)において,基本計画書と基本設計説明書とは別のものとして規定されているのであって,提出されるべきは「基本計画書」であるから,成果品目録に基本計画書がない以上,提出されていないと考えるべきである。

イ 仮に,「基本設計説明書」が基本計画書だとしても,次の理由により,基本計画書として不十分である。

(ア) 基本計画書には,文化財保護法125条1項に基づく文化庁長官に対する現状変更許可申請の申請書類及び文化審議会に提出されるべき申請書類が含まれなければならないにもかかわらず,これらが含まれていない。

(イ) 基本計画書の作成に当たっては,後に建築審査会の同意等を要する以上,技術提案書 (甲25)のとおり,文化庁との協議,消防協議,建築指導課との協議を経ていることを要するところ,これがされていない。

(7) その他,後に送付する裁判所による主張整理案において,被告において,反論の補充を要すると考える事項


*1:書き漏らしましたが、竹中提案書は証拠物件としては弱いと思っていましたが、「基本計画書」の定義については、非常に効果があったようです。裁判中「0フェーズ」という言葉が飛び交っていました