市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

令和元年5月24日の事務連絡に対する回答書

現在、私たちが提訴している「名古屋城木造化阻止訴訟」または「河村城は要らない! 訴訟」の第一回公判において、裁判長より、訴状趣旨の確認、整理があった。
この中で、私たちの訴える「名古屋城天守閣整備事業/木造化計画」そのものの停止を求める請求についての確認があり、これについての回答書をまとめるに当たり、名古屋城有形文化財登録を求める会などで議論があり、現在顕在化している違法性についてすべてを盛り込んだほうが良い。とのことでありましたので、とりあえずすべてを盛り込んでみました。

現在の木造化計画の問題の一端が整理できるかと思います。

違法性はこれ以外にも「エレベーター未設置」による「差別解消法」に対する違反であるとか、消防法など`、各種防災法令に対する違反等ありますが、顕在化しておらず違法性が確定していないものもあります。

また、この文書の中で、私が敢えていままで触れてこなかった問題点も触れております。名古屋市当局、および名古屋市会においてこの問題がどの程度認識されているのかはわかりませんが、こうした問題点を放置したまま100億円弱の木材購入費を承認するということには疑問を禁じえません。(少なくとも、以下本文にあるような「建築基準法の適用除外」が明確化するまでは、木材の購入など必要ない、または適用除外が受けられない建築物の材料を先行して購入することは、あるいは違法性を構成する可能性もある)

また、22日(土曜日)には前回のエントリーでご紹介したような講演会が行われておりましたが、その席上でも差別解消法に対する配慮にかけた事業の推進や、およそ実現性に乏しく、そういった意味では対象者を馬鹿にしたような「技術提案」や「国際コンペ」なるものに予算を割くという、およそ見識ある判断からはかけ離れた議会の問題、マスコミの問題も指摘されています。

文化庁の判断を受け、現計画である2022年竣工が破綻したわけですから、現計画は凍結し、いまできること。

1.現天守の一刻も早い耐震改修
2.及び、石垣等の早急な調査、耐震対策
3.現天守への必要な長寿命化、及び最上階までのエレベーター等の設置によるバリアフリー
4.展示内容の更新、充実
5.有形文化財への登録申請

を行うべきです。

本文中でも触れられている文化庁における「史跡等における歴史的建造物の復元に関する基準」 
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shiseki_working/01/pdf/r1411437_04.pdf

 では外観復元に主眼が置かれており、内部については観光事業等に供するような改造(歴史的建造物の復元的整備)が認められている。そうした意味では内部を博物館同等とした昭和における再建計画は今日においても色あせない整合性を持つ(バリアフリーについて配慮が足りなかった事は歴史的な事実である)。であるならば、その精神も含めて昭和の歴史的遺構である現名古屋城天守建物を守ることこそが、名古屋市民の使命であると感じる。

市長において、名古屋の宝を守る姿勢が見られないのであれば、そのような者は名古屋市の市長たる資格はない。

なお、本文にはないが、ここでは適時適宜本文中にリンク等の補足を加える。

平成30年(行ウ)第124号
名古屋城天守閣整備事業における基本設計代金返還等請求事件
令和元年5月24日 事務連絡に対する回答書 別紙


「2.請求の趣旨第3項について」への回答
 名古屋城天守閣整備事業(以下「本件事業」という)が財務会計法規に反して違法となる根拠。(なお、請求の趣旨第2項については当第3項に含ませるものとします)


 本件事業は史跡等における歴史的建造物の復元にあたるとされるところであり、文化庁において平成27年3月30日、「史跡等における歴史的建造物の復元の取り扱いに関する専門委員会」によって「史跡等における歴史的建造物の復元に関する基準」が定められている。

 このことは名古屋市において認識されており、「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル 業務要求水準書 平成27年12月(平成27年12月10日更新)」(甲一号証)においても引用されている。
 
甲第1号証 - Google ドライブ

 同基準には「(1)基本的事項」に「ウ.復元以外の整備手法との比較衡量の結果、国⺠の当該史跡等への理解・活用にとって適切かつ積極的意味をもつと考えられること。」との条件が謳われている。

 ところで、名古屋城は昭和34年に鉄骨鉄筋コンクリート構造により復元されたわけであるが、その以前、昭和6年に同様の鉄骨鉄筋コンクリート構造によって大阪城天守閣は復元されている。そして平成7年から平成9年にかけて、「大阪城・平成の大改修」が行われた。

www.osakacastle.net

 この際、耐震性を高める改修とともに、鉄骨鉄筋の腐食を防止するコンクリート内部のアルカリ回復工事も行われ、コンクリートの耐久性を確保している。

 名古屋城においてはコンクリート内部のアルカリ回復工事について、効果費用等検討は行われていない。


 名古屋市は平成28年に名古屋市民を対象とした「2万人アンケート」を行ったが、このアンケートの説明文やアンケートの説明会など様々な機会に「名古屋城天守閣は耐震改修を行っても40年しかもたない」と市民に公言しているが、そもそも「耐震改修」という作業は、建造物の震災に対する耐久力を向上させる改修であり、直接建造物の供用期間を長期化するものではない。建造物、特に大阪城天守閣名古屋城天守のような、鉄骨鉄筋コンクリートによって構築されている建造物においては、「大阪城・平成の大改修」において行われたようなコンクリートアルカリ回復工事などの長期供用を目的とした改修手法が存在するのであって、名古屋市においてこうした整備手法の検討が行われていないことは、上記文化庁の基準にも反している


 そもそも「木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの」は建築基準法によって建築の確認申請が必要とされる。

e-Gov法令検索


 名古屋市はこうした建築基準法の規定に対して、その第三条による「適用の除外」を受けると主張しているが、適用の除外を受けるためには、条例に定められた「保存建築物」である必要があるが、本件事業によって建造される木造天守はいかなる条例にも規定はなく「保存建築物」ではない。また同様に適用の除外を受けるための条件である「建築審査会の同意」も得られていない。つまり、建築基準法の適用の除外を受ける条件を備えておらず、このまま建築するのであれば違法な建築物となる。


 名古屋市が違法な建築を行うとすれば、地方自治法第2条16項違反である。名古屋市は法令に違反してその事務を処理してはならない。即刻事業を停止すべきである。

 さらに、基本設計図書が未完成であれば、本件事業の計画に遅延が発⽣する。しかるに本件事業において、すでに⽊材購⼊費⽤が予算計上されており、これを購⼊した場合、その保管代⾦が発⽣する恐れがある。

甲第15号証 - Google ドライブ


 地方自治法第2条14項では「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とされているところ、いたずらに市税を費消することにつながる。

 そのような違法行為を防止するためにも、被告は、本件事業に関し、公金の支出、財産の取得、管理並びに処分、契約の締結並びに履行及び債務その他の義務の負担を一切してはならない、との趣旨の判決を求めるものである。
以上

令和元年6月24日

原告(選定当事者)                  



追記:
名古屋城の復元計画で市を批判 大村知事(2019年6月24日 12時22分)

 名古屋城天守の木造復元事業で現天守の解体が文化庁に許可されず、名古屋市が2022年末の完成予定を見直す方針を示したのを受け、愛知県の大村秀章知事は24日の定例会見で「当初から難しいと聞いていた。いつ誰が何を言ってこうなったのか。まず事実関係を明らかにしてもらいたい」と述べ、文化庁の許可を得ずに木材調達などを進めてきた市の姿勢を非難した。


 文化庁名古屋市有識者会議「石垣部会」の意見を求めていることを巡り、大村知事は専門家から石垣の調査に5~6年かかると聞いたとして「めどが立たなくなった。一から調査をしないといけないのではないか」と指摘。名古屋市が94億5千万円かけて昨年から調達を始めた木材に触れ「製材した木材は劣化し、下手すると100億円が全損になる」と懸念した。


 河村たかし名古屋市長が「認められなかったら関係者は全員切腹」などと述べたことにも「典型的なパワハラじゃないか」と批判の矛先を向け、市議会にも「議決の責任がある。しっかりただしていただきたい」と述べた。

https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019062490122200.html

木材は、移築する愛知県体育館で使ってやってください。



○「名古屋城天守閣整備事業」違法支出訴訟 第二回公判

7月3日(水)午前11時
名古屋地方裁判所 第1102法廷

○月例勉強会
7月8日(月)18:30~20:30
「北生涯学習センター」(北区)第1集会室

名古屋城天守有形文化財登録を求める会
https://bit.do/Ncastle