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名古屋市は名古屋城裁判において自らの違法性を告白している

12月5日追記:
公判が行われましたので、準備書面を公開します。

https://drive.google.com/open?id=1VUphyoD2kJ8l_ds7oWT-cH9YGhaaK_bl
証拠文書等
一般公開フォルダ - Google ドライブ
https://app.box.com/s/ff3ykt80mtkbmfcvoo27khekujr296id


12月5日に名古屋城住民訴訟の第5回公判が行われます。(午後3時、名古屋地方裁判所1102法廷)

bit.do

1、2回公判において私たち原告住民側の訴えが整理され、3、4回公判において名古屋市側の答弁が行われ、両者の主張が出そろった段階での私たちからの反証の番です。

そもそもこの裁判は、平成30年3月30日に名古屋城天守閣木造化事業を請負っている事業者から納品された基本設計業務について、その内容が揃っておらず、基本設計が完成していない。業務完了をみないままの代金の支払いは違法である。との、住民監査請求に引き続いての住民訴訟となります。

河村たかし名古屋市長が「命をかける」とまで明言しつつも、とん挫している事業だけに、この住民監査請求においても非常に珍しい(名古屋市においては初の)「合議に至らず」という結論になるほど、灰色の代金支払いでありました。

名古屋市において、これだけ騒がれている事業であり、住民監査請求でこれほど珍しい判断が出ているにも関わらず、市民の関心は低いままです。その理由は簡単でしょう、中日新聞が書かないからです。この裁判で、ひょっとするとひょっとするような結果になるかもしれませんが、その時にも中日新聞は書かないつもりでいるんでしょうか。それならご立派です。特落ちしたいということなら、特落ちすればいい。(東京新聞がすっぱ抜いたりしてね)

12月5日の公判における原告側からの主要な指摘事項は次の3点であり、これらが認められれば、基本設計代金の支払いの違法性が立証されるものと思われます。

この中で被告、名古屋市河村たかしは、基本設計代金の支払いが違法であることを告白しています。

§1.要求水準書に記載された条件が満たされていないこと
§2.基本設計業務として求められている基本計画書が存在しないこと
§3.検査が行われていないこと

§ 1.要求水準書に記載された条件が満たされていないこと

名古屋市は、要求水準書に書かれた。

「②木造復元に際し、実施設計に着手する前の基本設計の段階において、文化庁における『復元検討委員会』の審査を受け、文化審議会にかけられる」

という条件を、「スケジュール感」を表したものに過ぎず、「契約や設計に係る条件、水準を一般的・抽象的に示したものに過ぎない」と主張していますが、要求水準書の他の記載などと照らし合わせてみても、その主張に正当性は見られません。

要求水準書( https://drive.google.com/open?id=1QfTcew8KM7AmY_q6PBTZ1eouct6hW6yz )
https://app.box.com/s/gcxzbw0zxrhf2mmu259n2at4mozguona


被告書面(3)( https://drive.google.com/open?id=1uspTrxc9SCfP0sjKWYhIlctoTnBguBg1 )
https://app.box.com/s/4q8tx22y74524f0uly7rn1idembmaav4

被告書面(3)の第3

-- 再参照先 --
→ 被告書面(2)第1の1(p.2)
→ 被告答弁書第3の2(3)(p.5)
→ 被告書面(2)第1の2(p.2) (文化庁の内部手続きだから、受注者の債務ではないこと)

ここで名古屋市は次のように主張します。

「要求水準書の第1章及び2章は受注者が履行すべき義務を定めたものではなく、一般的・抽象的な条件、水準を示したものであり、第3章は受注者が履行すべき義務を定めたものである。」

1、2章と3章を分けた理由は、3章の中に「(1) 受注者の役割(適切なプロジェクトマネジメントの実施)」の記述があり、そこに

① 受注者は、提案事業費と完成期限を遵守し、本施設を本業務要求水準書及び技術提案書のとおりに完成させるため、施設整備を実施する設計、施工の段階において十分に能力が発揮できるように体制整備を図る

つまり「本施設を本業務要求水準書及び技術提案書のとおりに完成させる」という「受注者の役割」が明記されているために、それを3章にだけ係るものであって、1、2章に対してはかからない。と、解釈させようとしているのでしょう。けれど変な主張です。

例えば、第2章の第3節には「関係法令の遵守」が掲げられ、「本事業の実施に当たっては、適用を受ける関係法令等を遵守しなければならない」と明記されているのですが、これを「義務」ではなく「一般的・抽象的な条件、水準」であると主張されても、その「義務」と、「条件、水準」の相違が私にはわかりません。

被告書面(2)( https://drive.google.com/open?id=11i0jiwCA26m8bSpP6WCsLT2_asAiF5Lq )
https://app.box.com/s/mhwju61oghxhrw4cap1ys765fji1865m

被告書面(2)第1の1(p.2)

「発注者である名古屋市が受注者に対して要求する水準その他の事項を定めている」

「このように、当該方式における「要求水準書」の位置付けは、受注者が履行すべき義務や満たすべき要件を具体的に定めたものではなく、あくまで受注者に対して実施を要求する業務の概要や必要最小限の業務の範囲、契約や設計に係る条件、水準を一般的・抽象的に示したものに過ぎない。」

名古屋市は主張しますが、上に続く要求水準書の第4節の「1.敷地条件」には、「具体的」に地図を描いて敷地を示していますし、「(2)法規制」では、関連法令を「具体的」に示しています。

今回問題となっている文章は「第2章 業務の概要及び計画条件」の「第4節 敷地に関する事項」の「1.敷地条件」の「(6)特別史跡における条件」の中の「その他、下記事項による」とされる項目です。つまり「計画条件」の「敷地条件」の「特別史跡における条件」を記載している事項であって、「受注者が履行すべき義務や満たすべき要件」ではないとするには無理がありすぎます。

また、名古屋市は被告書面(2)第1の2で「文化庁の内部手続きだから、受注者の債務ではない」と主張しますが、要求水準書には予め「第1章 総則」の「第3節 要求水準書の変更」の中に「(5)関係法令等を所管する機関との調整・協議において変更が必要となったとき」「要求水準の変更を行うことがある」としており、実際に今回のように文化庁への提出書類が整わなかったのであれば、全体の納期を遅らせるなり、納品物から除外する(もちろん、除外した変更契約の手続きと、どの時点で納品がなされるかの明記が必要。納品されないのであれば業務量自体の変更があったのであるから、請負代金の見直しも当然に必要となる)なり、対応は有ったはずだ。そうした手続きを取らずに単に欠品したまま、その欠品を無視して納品を受け入れるなどということが有ってはならない。

(ここから先は、裁判では主張しませんが)

結局、2月末の納期を1月遅らせて、期末ギリギリにした。それでも納品物は揃わない。
竹中工務店としては、基本設計業務の延長を待っていたのではないかと思う。(原告準備書面でも書きましたが、今回、基本設計図書を大量に証拠提出した理由の一つは、その「タイトル」がバラバラであることを示したかったから。各書類のタイトルがバラバラで、竹中社内の納品チェックも満足にされず、関係文書をかき集めた印象がある)
竹中社内では、納品の延長方針でいたものを、名古屋市のというか、河村たかしの政治的思惑、つまり計画が順調に進んでいるかのように市民に見せる必要があったから、急遽関係文書をかき集めて納品した格好を付けたのだろう。
だから担当職員が「まだ検査をしなければなりませんから」「でも、納品として受け取りました」という発言になったのだろう。
そして、手続きをすれば年度をまたいで納品確認、支出命令もできるにも関わらず、そうした納品確認もせずに、即座に出金命令を出して支払いまでしてしまったとすると、法令遵守の姿勢まで緩んでしまったことになる。それは元々「基本設計業務の年度内完了」という大前提自体が、市長河村たかしにおける「政治的課題」であったからで、いよいよ市長一人が責任を負うべき事柄だろうと思われる。それなのに、被告答弁書で市長の責任回避を狙い、担当職員だけに責任を被せるかのような主張があることは、この人物の醜悪さが現れている。

一般的な業務で、職員の懈怠によって地方公共団体が損害を受けた場合、その責任を無条件に首長に求めるのは過酷すぎるだろう。監督責任とはいっても自ずと限界がある。しかしこれは市長自らの「最優先事業」であり、職員に異常なプレッシャーを与えている事業である。以下に述べるような違法な行為もその全責任は、指示書にあるように河村たかし個人にあるだろう。

指示書 ( https://app.box.com/file/775761247282?s=3r64ksgrj3qxaql3zsd0vzmmlzr658ll
 )

§ 2.基本設計業務として求められている基本計画書が存在しないこと

名古屋市は被告書面(2)において、

被告書面(2)( https://drive.google.com/open?id=11i0jiwCA26m8bSpP6WCsLT2_asAiF5Lq )
https://app.box.com/s/mhwju61oghxhrw4cap1ys765fji1865m

「基本計画書」が「基本設計説明書」に含まれていると主張していますが、基本設計説明書とは、基本設計における図書全体の説明をするもので、どういった項目があるかについてすべてを説明しています。(当然、中身については当該箇所に任されて基本設計説明書内にはありません)

「基本計画書」とは、そもそも文化庁、復元検討委員会の審査に供するものであって、そこには様々な関係法令に準ずる手続きや、各行政手続き、またはその準備としての協議が必要となります。これが欠落した基本計画書はあり得ませんし、成果物一覧にも記載されていないこと、並びに。

3月28日の有識者会議において、名古屋市当局自身が「基本計画書の完成は7月になる」と報告していることから、基本計画書は無いと断ずる以外ありません。

「基本設計説明書」に項目として「基本計画書」の構成要素の、それも一部が掲載されているからと言って、「基本計画書」そのものが納品されているとする説明は完全に虚偽です。(裁判ではここまで決めつけて言いませんが)

§ 3. 検査 が行われていないこと

被告答弁書 ( https://drive.google.com/open?id=1yP59x0ube-Q6jk5lqAtK9DMYBDAC4Jpp )
https://app.box.com/s/ut24aqso3f1wpgzyvszneepqhqesqdw1


第4  被告「名古屋市長」及び被告「名古屋市」の主張について
 →2 基本設計代金に係る支出行為の適法性(請求の趣旨第1 項)について
 →→(2)  財務会計上の行為の適法性
 →→→イ  監督(p.18)

において、名古屋市側弁護人は次のように主張しています。

「法第234 条の2 第1 項において、職員は、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行なう工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分の確認を含む。)をするため必要な監督をしなければならないとされている。基本設計業務委託契約における必要な監督とは、受注者である訴外竹中工務店が、契約書( 変更契約も含む。甲第7 号証及び同第9 号証)に基づき適切に履行されるようにするため又は履行しているかを確認するため、契約約款、設計図書等の内容を熟知し、業務日程の管理、指示、協議、承諾等を行う行為である」

つまり名古屋市はこの条文を次のように理解しています。

  <契約の適正な履行を確保するため> 又は <受ける給付の完了の確認>
をするためには、必要な「監督」を行えばよい、・・・・と。

地方自治法第234条の2第1項の条文は次のようになっています。

「契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(略)をするため必要な監督又は検査をしなければならない」

地方自治法 | e-Gov法令検索


条文としては

  <契約の適正な履行を確保するため> 又は <受ける給付の完了の確認>
をするためには、 「監督」 又は 「検査」 をしなければならない。となります。

これだけを見ると、「監督」による<受ける給付の完了の確認>が適法であるかのように見えますが。違法です。


新版逐条地方自治法<第1次改訂版>【甲第28号証】
( https://drive.google.com/open?id=1nOiX156tTVMAHlMwnGXHNOuLo50AHlmr )(p.798)では
https://app.box.com/s/csfbgf3mzcq93sambe9wwdz08vukhtdz

「この場合の監督は、契約の性質又は目的により検査のみでは契約の目的を達するには必ずしも十分でないものについて、相手方の当該契約の履行途中において、立ち会い、指示その他の適当な方法によってその適正な履行を図ろうとするものであり、検査は、契約の相手方の給付の完了について、その給付が契約の内容どおり適正に行われているかどうかを契約書、仕様書等の関係書類に基づき確認するものである」とされています。

「給付の完了」については「検査」によって確認するものであって、「監督」による<受ける給付の完了の確認>は謳われてはいない。

会計法ではその第29条の11第1項で「契約の適正な履行を確保するために必要な監督をしなければならない」と定め、第2項で「その受ける給付の完了の確認(略)をするために必要な検査をしなければならない」と定めています。

会計法第29条( https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000035&openerCode=1#123 )

すなわち、監督とは契約の適正な履行を確保するために行われるものであり、その完了の確認については検査を行わなければならないものと項を分けて定めています。

また名古屋市契約規則【甲29号証】( https://drive.google.com/open?id=1QFieIs7Nhmw40-kzT7ba27peDtznFMOx )では、
https://app.box.com/s/qh0vnhyv9pmyyms3bxo5swveo20noij6


第53条において

「工事その他の請負及び物件の買入れにかかる契約の契約代金の支払は、当該契約の目的物についての検査を完了(略)したのちでなければすることができない」

とされているのであり、監督のみによって検査を代行する行為は違法、規則違反です。

また名古屋市は、これに続く主張として

ウ  検査
 →(ウ) 事前の点検が原告が主張する「指定部分完了検査」には当たらず、違法なものではないこと
 
において次のように述べます

「指定部分完了検査」は、当該指定部分の業務が完了したのちに検査を行うもので、法第234 条の2 第1 項に規定する「検査」 の一つであるが、本件において行われた事前の点検等は、「検査」にはあたらず 、同項に規定する「監督」にあたる 。
上記イで述べたとおり、本件事業においては、監督員が成果物の納品に先立って、点検・修正を行い、内容を精査することで、適正な契約の履行を図っており、当該「監督」については、その過程に瑕疵はなく、適法かつ適正に行っている。

つまり、「検査」は行わずに「監督」を行ったとの主張であり、違法行為の「告白」です。


私もまさか自分が、法律のプロである弁護士に向かって「あなたの法律解釈は間違っている」なんてセリフを言う日が来ようとは思ってもいませんでしたが、ここまで明白に間違えられると、ある意味清々しい。

しかし、住民監査請求においてもこうした説明がなされているようで、名古屋市の行政事務全体でこうした検査の軽視、監督業務の拡大解釈が行われているとしたら、他の業務においても支障を及ぼすのではないでしょうか。

あいちトリエンナーレの件でもそうですが、もう少し法律の在り方に詳しいか、謙虚に専門家の法律解釈を受け入れる姿勢をもった者を市長にしなければ、名古屋市の行政自体が毀損されます。

河村市長における歪んだ法律解釈と、
「ワシは9回も司法試験受けとるで、法律の専門家だ」という歪んだ自意識。

司法試験に受かってから「法律の専門家」だと言うのならまだしも、9回も落ちている事実から、自身の法律の捉え方のどこかが誤っているのではないか。という謙虚な姿勢が生まれないものだろうか。もっとも、こうした「謙虚」なんてものを欠片も持ち合わせていないことが、この人物のそもそもの誤りで、そんな誤りも70歳を超えてしまった今となっては、もう遅すぎる。

いや、70歳を過ぎても遅くはない。人間の人生に限界はない。とでも言うのであれば、まず即座に市長の職を辞すべきだ。
市民や関係者、大村知事にも謝って、自身の法律解釈や過大な自意識について反省し、訂正し、謝罪すべきだ。

それができずに、自身の誤りを誤魔化し続けるのであれば、残り少ない人生、遂に真実には至らないままであると覚悟すべきだろう。そして、そうした誤魔化しは、自身が死んだ後でもついて回る。死後の評価、笑いものとしての「河村たかし」を容認する以外にないだろう。自分の蒔いた種であり、自己責任だ。