市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

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「慰安婦問題」について

 12月28日、日韓外相会談が行われ、「慰安婦問題」について、日韓両国で合意が行われた。

 外務省の報告には次のようにある。

(1)岸田外務大臣による発表は,以下のとおり。
 日韓間の慰安婦問題については,これまで,両国局長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,日本政府として,以下を申し述べる。

ア 慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。
(略)

日韓外相会談|外務省

 「慰安婦問題」について、日本政府が「謝罪」を行った合意に対し、「慰安婦問題」に対して懐疑的な人々から「謝罪」を行った安倍首相に批判が巻き起こり、首相官邸の電話はパイルアップ状態になり、安倍首相の Facebook にもコメントが殺到したようだ。


安倍 晋三 - 今年も残り数日、今日で仕事納めの皆様も多いかと思います。... | Facebook


 外務省の発表にもある通り、日本政府はこの問題に対して、「軍の関与」を認めている。

 「慰安婦は無かった」といったような歴史修正主義は論外として、軍の関与、日本政府の関与も歴史研究の上では定説とされている。少なくとも軍の関与を否定できるだけの論拠は無い(というか、そもそも当時の軍・行政機構の中に「慰安所」があったとすれば、そこに軍の関与が無かったとする方が難しすぎる)


 有名な証拠とされるのものが「軍慰安所従業婦等募集に関する件」と題される文書でオリジナルをアジア歴史資料センターのサイトで閲覧することができる。

アジア歴史資料センター

 レファレンスコードは「C04120263400」

 この文章に対しても様々な「意見」が提示され、「軍の関与」を否定する主張が為されてきているが、そういった批判に対しもしっかりとした反証もされている。

 日本軍の慰安所政策について


 歴史研究として否定しえない従軍慰安婦問題に対する旧軍の関与。さらに、否定しようもない従軍慰安婦という存在。しかし日本国内には今回の「謝罪」を「認めない」国民は多い。それらの人々は「従軍慰安婦問題に対する旧軍の関与」を知らされておらず、または「従軍慰安婦」について否定する言説に晒されている。

 つまり、オーソドックスな歴史研究を知らぬまま、それを否定する言論に触れているという事になる。


 まるで、進化論を認めない、アメリカにおける福音主義者のような頑迷さだ。


 従軍慰安婦問題は政治問題ではない。歴史研究を真摯に受け入れて蓋然性の高い現実の歴史と向き合い、そこから真摯な反省をくみ取ろうとするのか、それとも思い込みによる空想的な過去を再構成し、その物語に身を委ねようとするのか。

 これは歴史というものに対する「教育」の問題であり、科学に対する態度の問題だ。


 私は今回の報道を受けて首相官邸に電話をかけ、安倍 Facebook にコメントを書き込む人々を批判するつもりにはなれない。彼らはこういった事柄を否定する言説に晒され続けていただけであり、大多数の人々はご自分の目でそれらを検証しようとはしていなかったのだろう。つまり、「ウソを吹き込まれていた」に過ぎない。


 2007年米国の下院において、従軍慰安婦問題に対して、日本へ公式の謝罪を求める声が高まった。こうした議論を受け「すぎやまこういち屋山太郎櫻井よしこ花岡信昭西村幸祐」の五人がワシントン・ポストニューヨーク・タイムズに意見広告を掲載しようとした。

 (NY・タイムズからは掲載を断られた)

 その意見広告がこれだ。

 この意見広告にも上記の「軍慰安所従業婦等募集に関する件」は触れられている。

 それでいて、「和歌山県知事発内務省警保局長宛『時局利用婦女誘拐被疑事件ニ関スル件』(1938年2月7日付)」については触れられてはいない。

 もちろん、この文章は2007年には公知のものであった。

 この意見広告は次のように述べている。

people must have access to correct facts, rather than fallacies, distortions, biases, and factual errors.
This public comment seeks to present a number of historical facts relating to "comfort women" that have not been adequately brought to light so as to enable the readers of this respected publication to draw their own conclusions.

虚偽、歪曲、偏向、事実誤認ではなく、正確な事実を国民が自由に入手できるようにしなければならない。
この意見広告のねらいはこれまで充分に明らかにされていなかった「慰安婦」に関する歴史的事実を何点か提示し、その上で、本誌の読者が自身の結論を出せるようにすることである。

(翻訳文は wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/THE_FACTS#cite_note-3 による)

 しかし、十分な事実を提示していないし、事実の提示以上にその解釈に踏み込んでおり、いまとなっては歪曲的な(としか言いようのない)歴史を説明するものとなっている。

 そしてこの意見広告は非常に残念な結果を引き起こす。

 当時の読売新聞の記事をひこう。

 米下院外交委「慰安婦」決議を採択…日本政府に謝罪要求

 【ワシントン=五十嵐文】米下院外交委員会は26日午後(日本時間27日未明)、旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦問題で日本に公式な謝罪を求める決議案の修正案を賛成39、反対2の賛成多数で採択した。(略)

 採決にあたり、ラントス委員長は、日本の超党派国会議員44人が、14日付米紙ワシントン・ポストに掲載された決議案に反対する全面広告に名を連ねたことについて、「慰安婦制度の中で生き残った人々を中傷するものだ」と批判した。(略)

https://web.archive.org/web/20070701173333/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070627it02.htm

 ラントス委員長から「慰安婦制度の中で生き残った人々を中傷するものだ」と批判された中に、我らが名古屋市長 河村たかし の名前がある。


 さて、有り難い事に、
 いろいろな事情から当ブログを新しく知った方が増えたようだ。

 残念な事に(と自分でいっていいのか?)当ブログは文字数が多すぎる。
 順に読んで行くと大変な労力が必要となる。

 過去ログの中にもぜひご覧いただきたいものは多いけれども、
 特に「真・庶民革命」のシリーズはご覧いただきたい。

 真・庶民革命(1)革命の鳴動
 真・庶民革命(2)幹事長、辞表提出!
 真・庶民革命(3)議会は酷薄な戦場
 真・庶民革命(4)5分間の休憩
 真・庶民革命(5)3号議案取下げ
 真・庶民革命(6)党議拘束
 真・庶民革命(7)代表の真意

ぜひ、お正月休みの暇つぶしにご覧いただければ幸いです。

では、皆様には、良いお年をお迎えください。


追記(令和2年4月5日):
wam-peace.org